
こんにちは。ふぺです。
やや特殊な筑肥線「快速」

筑肥線(唐津〜姪浜)で運行されている「快速」。
基本的に6両編成のJR車が充当され、地下鉄空港線に直通し福岡空港駅〜唐津・西唐津駅を結んでいます。
筑肥線「快速」の運行時刻表は以下の通り。例として平日のものを提示します。
| 列車番号 | 始発駅出発時刻 | 終着駅到着時刻 |
| 1620C | 西唐津駅 05:48 | 福岡空港駅 07:12 |
| 1622C | 唐津駅 06:34 | 福岡空港駅 07:59 |
| 1624C | 西唐津駅 06:59 | 福岡空港駅 08:38 |
| 1626C | 西唐津駅 16:19 | 福岡空港駅 17:50 |
| 列車番号 | 始発駅出発時刻 | 終着駅到着時刻 |
| 1321C※ | 筑前前原駅 08:00 | 唐津駅 08:35 |
| 1621C | 福岡空港駅 09:04 | 西唐津駅 10:33 |
| 1623C | 福岡空港駅 10:08 | 西唐津駅 11:45 |
| 1625C | 福岡空港駅 17:54 | 西唐津駅 19:22 |
| 1627C | 福岡空港駅 18:50 | 西唐津駅 20:18 |
このように、筑肥線快速は基本的に通勤ラッシュ時のみ運行される形となっている事がお分かり頂けると思います。しかしこの快速列車、よく見ると不可解な点がいくつかあることに気づきますでしょうか。
それでは、この筑肥線快速の”ナゾ”について深掘りしていきましょう。
運行目的は実は遠近分離ではない
筑肥線快速と同じ、ラッシュ時のみ運行される種別といえば「通勤快速」「通勤急行」といったものが挙げられますが、このようないわゆる「通勤種別」は、主に速達化・遠近分離を目的として運行されます。
Q.遠近分離とは?
A.近距離の駅まで行く乗客(各停)と遠距離の駅まで行く乗客(優等)を列車で分ける運行形態
遠近分離を行う事で、近距離へ向かう乗客と遠距離へ向かう乗客がそれぞれに合った列車へ分散し、混雑の緩和を狙うことができますが、この筑肥線快速は遠近分離とはあまり関係ありません。
では速達化の観点から見ると、どうなのでしょうか?
| 列車番号 | 唐津駅発車時刻 | 博多駅到着時刻 | 所要時間 |
| 1622C(快速 福岡空港行き) | 06:34 | 07:53 | 1時間19分(79分) |
| 624C(普通 福岡空港行き) | 06:41 | 08:10 | 1時間29分(89分) |
| 316C(普通 筑前前原行き) | 06:57 | 08:27 | 1時間30分(90分) |
平日朝6時台に唐津駅を発車する姪浜方面の列車のうち、快速(地下鉄直通)・普通(地下鉄直通)・普通(前原乗り換え)の3本の唐津⇨博多での所要時間を計算したところ、快速は約79分で走破したのに対して、後続の普通は約89分と約10分程度しか変わらないという結果になりました。また途中で快速が先行の普通を追い抜く…といったこともないため、速達化の観点から見ても微妙と言わざると得ません。
唐津〜博多は総距離が約52kmもあるにも関わらず、なぜここまで快速と普通で所要時間の差が縮まっているのでしょうか。
ほぼ区間快速!?驚きの平日快速の停車駅
平日の筑肥線快速が鈍足な原因の1つが停車駅。

筑肥線快速(平日)の停車駅は唐津-和多田-東唐津-浜崎-筑前深江-筑前前原-各駅…となっており、実質的に快速が快速運転をするのは唐津〜筑前前原の29.9kmのみとなっているのです。

なぜ唐津〜筑前前原のみ快速運転するのか…についてですが、筑肥線は筑前前原を境に輸送需要が大きく変化し、唐津側は103系や307系のような短編成でも需要を賄えるものの、姪浜側は福岡市のベッドタウンとしての色が強く、ラッシュ時は通勤通学客で非常に混雑する状態となっています。

そのため、平日朝ラッシュ時は需要の多い筑前前原〜姪浜は各駅停車とし、電車の間隔を少しでも狭める必要があり、このため前述の遠近分離も行う余裕がない…というのが実情です。
ちなみにこの平日ダイヤの下り快速は、快速運転を行わない筑前前原以東も快速幕で運行するものの、車内放送等は普通列車と変わらず「ワンマン 福岡空港行き」と変更されます。
しかし土休日の快速停車駅は…
平日の快速はかなり鈍足であることが分かりましたが、土休日の快速はひと味違います。
| 列車番号 | 始発駅出発時刻 | 終着駅到着時刻 |
| 1680C | 西唐津駅 07:54 | 福岡空港駅 09:16 |
| 1682C | 西唐津駅 08:59 | 福岡空港駅 10:18 |
| 1684C | 西唐津駅 10:02 | 福岡空港駅 11:20 |
| 1686C | 西唐津駅 15:54 | 福岡空港駅 17:19 |
| 1688C | 西唐津駅17:03 | 福岡空港駅 18:25 |
| 列車番号 | 始発駅出発時刻 | 終着駅到着時刻 |
| 1681C | 福岡空港駅 08:17 | 西唐津駅 09:36 |
| 1683C | 福岡空港駅 09:21 | 西唐津駅 10:42 |
| 1685C | 福岡空港駅 10:21 | 西唐津駅 11:45 |
| 1687C | 福岡空港駅 17:24 | 西唐津駅 18:44 |
| 1689C | 福岡空港駅 18:20 | 唐津駅 19:34 |
土休日の快速は平日より追加で1往復運転されていますが、平日は始発上り快速の唐津駅発車が5時台だったのにたいして、土休日では7時とかなり遅く、その他快速列車の運転時刻からも、この土休日の快速は通勤通学客をターゲットとしていないことが分かります。
さらに所要時間の面でも変化が起きており、例えば始発駅発車時刻が近い平日1623Cと土休日1685Cの福岡空港⇨西唐津の所要時間を比べて見ると…。
| 列車番号 | 福岡空港駅発車時刻 | 西唐津駅到着時刻 |
| 平日1623C | 10:08 | 11:45 |
| 土休日1685C | 10:21 | 11:45 |
そう、始発駅である福岡空港駅の出発地点では、平日1623Cのほうが約13分先発しているにも関わらず、終着駅である西唐津駅には同時刻に到着しているのです。
このほか、平日ダイヤの快速は福岡空港〜唐津の平均所要時間が約84分だったのに対し、土休日ダイヤの快速は平均約76分と、8分もの差が生まれてしまっています。
この所要時間短縮の要因は、まさに停車駅の変化。

平日ダイヤの快速は、姪浜側の通勤通学需要に応え筑前前原以西は各駅に停車…となっていたものの、通勤通学需要の減る土休日に各駅に停車する必要はないため、土休日ダイヤの快速は唐津〜姪浜の全区間で快速運転を行っています。

土休日ダイヤの快速停車駅は、唐津-和多田-東唐津-浜崎-筑前深江-筑前前原-九大学研都市-姪浜-地下鉄線内各駅…となっており、このほか筑前前原〜姪浜の途中停車駅は九大学研都市のみ・その他唐津〜姪浜の21駅中12駅を通過と、まさに「快速」の名に恥じない走りっぷりを披露してくれます。
なぜ筑肥線に快速が設定されている?
ではなぜ、筑肥線には快速が設定されているのでしょうか?

設定の理由としては、まず車両基地の問題が挙げられます。
福岡市地下鉄側は姪浜(下山門)に車両基地を設けているものの、筑肥線の車両基地である唐津車両センターは、遠く西唐津に設置されています。

筑肥線は前述の通り、筑前前原を境に需要が大きく変わります。そのため筑肥線の車両は「筑前前原〜姪浜(地下鉄)に合わせた大量輸送のできる6両編成(303系,305系)」と「筑前前原〜西唐津に合わせたローカル線向けの2,3両編成(307系,103系)」で分かれているのですが、どちらも所属基地は唐津にあるため、6両編成の303系,305系は必ず唐津へ帰らなければなりません。
しかし、6両編成を普通列車で唐津へ入出庫するとなると、時間もかかってしまううえ、筑前前原〜唐津の途中駅では供給過剰となってしまい、非効率極まりないです。

そこで途中乗降客数の多い駅のみ停車する「快速」を設定することで、需要/供給の調整を行なうことができるうえ、朝ラッシュに向けて素早く前原以西へ6両編成を送り込むことができるのです。
平日ダイヤの快速が変な時間に運行されていて本数も少なかったのはこれが要因で、筑肥線の快速は「速達化・遠近分離」が目的ではなく、あくまでも「車両基地への入出庫」の役割がメインなのです。
まあ「回送(かいそう)」より「快速(かいそく)」にしたほうが便利ですからね。ハハハ。
土休日の快速は少し事情が違う
車両の送り込みが理由と言いましたが、停車駅の少ない土休日の快速は少し事情が異なります。
まず、筑肥線の快速自体は旧線時代から存在してはいたものの、電化開業時に一度消滅しており、今の形で復活したのは2003年改正とつい最近のことなのです。
この筑肥線快速列車の設定背景として考えられるのが「福岡前原道路(西九州自動車道)」の延伸で、2001年に拾六町ICから福重JCT(福岡都市高速道路)まで繋がり、車や高速バスでの唐津方面へのアクセスが飛躍的に向上しました。

この道路延伸により、これまで福岡対唐津の都市間輸送に劣勢であった高速バスが逆転し優勢となり、おそらくこの対抗措置として設定されたのが、筑肥線「快速」の原点だったと推測されます。
この筑肥線快速列車は土休日のみの運行で、愛称として唐津方面が「からつライナー」地下鉄方面が「ふくおかライナー」と名付けられました。なおライナーという名前ですが、充当車両は変わらず103系で追加料金は不要でした。
停車駅は唐津-東唐津-浜崎-筑前深江-筑前前原-姪浜…となっており、九大学研都市(未開業)・和多田は通過していたのが特徴です。なお、設定本数は当時と変わらず5往復のみの運行で、運転時刻も近かったりと、主に行楽客が利用しやすい時間帯に設定されていることが伺えます。

その後、2007年改正に平日にも快速が運行されることとなり、これと同時に「からつライナー」「ふくおかライナー」の愛称は消滅。さらに2014年改正では、土休日の快速停車駅に九大学研都市が加わり、こうして今の形となります。
途中で種別変更!?
筑肥線快速の最後の迷要素が「種別変更」。
前述の通り、筑肥線の下り快速列車は平日/土休日ともに変わらず姪浜まで快速幕で運転されるものの、会社境界駅である姪浜駅から様子が変わります。

画像は1626C 快速/福岡空港行きの姪浜駅到着前後の画像ですが、筑肥線内は「快速/福岡空港」と表示されていたものが、姪浜駅到着後に「普通/福岡空港」と、表示されている種別が変更されたことが分かります。

発車標も他の列車と同じものに変更されており、一見見てはこれが本来快速列車であることは分からなくなっています。

そのため、平日ダイヤの筑肥線快速は…
唐津〜筑前前原:快速らしくドンドン通過するぜ👍🏻
筑前前原〜姪浜:快速だけど各駅に停まるぜ✊🏻
姪浜〜福岡空港:ややこしいからやっぱり普通になるぜ💪🏻
と、「快速運転する快速」と「快速運転しない快速」「元々快速だった普通列車」と、3つの面を持つ列車となっているのです。
平日朝のみの国鉄型快速!
説明延ばしまくって申し訳ないです。最後に平日快速の欄にしれっとあった「1321C(筑前前原発唐津行き快速)」についてです。

この快速列車は列番の3桁目が”3″となっているように、3両編成=103系1500番台の運用となっています。
今や希少となった国鉄型車両の快速運用が、この筑肥線では味わうことができるのです。
充当車両が103系のため地下鉄線内へ入線することはできず、この列車のみ筑肥線唯一の筑前前原始発の快速となっているという点も特徴的。また方向幕は103系としては新出の「ワンマン快速 唐津」となっているのも面白いポイントです。

2014年改正で突如登場したこの快速列車。運行目的は明らかにされていませんが、おそらくこちらも「車両基地への送り込み」と考えられ、実際この列車は唐津駅到着後、唐津車両センターまで回送されたのち昼頃の運用(346C)まで休憩しています。
まぁ設定理由はどうであれ、この時代でも103系の駅通過やMT55の爆音が楽しめるのは喜ばしいことであります。

- icon @Bashamichi_mm04



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