こんばんは。鶴川です。この前まで「ひぃ暑い」なんて言ってましたが、いよいよそんな時期も終わりもうすぐ秋。今年も10月に入り、いよいよ3/4が終わったんだなぁと実感します。
そんなぼくも部活の大会がもう目の前ということで真面目に頑張らないといけないなぁと思いつつ…
さて、いよいよ明日「10/13 日曜日」から中央線グリーン車が運行開始します!来年度の運用開始まではお試し期間と題し、追加料金なしで乗車できる期間が設けられるそうです。他路線のお試し期間よりも中央線のお試し期間は長いんですね…。
今回は、そんな中央線グリーン車にスポットを当て、どのように変わっていくのかということを中心に、首都圏の普通列車におけるグリーン車について簡単に見ていきたいと思います。
なお、当記事では「中央線快速」・「中央線」・「快速」が混同しますが、注意書きが無い場合、どの言葉も「中央線快速電車 東京~高尾」を指します。また、「本線」と表す路線は注意書きが無い場合、「中央本線(中央東線)」を表します。ご了承ください。
なお、「中央線系統」と呼ぶ場合につきましては、中央・総武線各駅停車、青梅線、五日市線等のJR線都心対多摩方面路線も入ります。
ついに5方面全てに入る普通列車グリーン車!
さて、今回の中央線快速・青梅線向けのグリーン車導入に伴い、東京駅を中心とした「五方面」のすべての「普通or快速電車」にグリーン車が導入されることになります。(常磐線 緑快速を除く)
そもそも、首都圏五方面のグリーン車はどのような経緯を経て連結されることになったのでしょうか?
そこには、「通勤時等の快適さ」を求めた国鉄の姿がありました。
“通勤地獄”と着席サービス
関東圏以外の鉄オタからすると「THE 東京圏の象徴」と言っても過言ではない普通列車向けグリーン車。
- 横須賀線(+直通運転を行う湘南新宿ライン)
総武快速線(+直通を行う列車(外房線、内房線、総武・成田線)) - 東海道線(東京 – 熱海、熱海から沼津は直通を行う10両編成の列車のみ。)
伊東線(東海道線と直通を行う列車のみ) - 宇都宮(東北)線(東京 – 宇都宮、宇都宮以北は現在廃止)
高崎線(+乗り入れを行う上越線・両毛線(前橋まで)) - 常磐線(取手以北に直通するいわゆる「青快速」と呼ばれるE531系で運行される列車)
以上の「北関東方面」「南関東方面」「房総方面」「常磐方面」で行われています。
将来的にはここに中央線快速、直通を行う青梅線・中央本線(東京 – 大月/青梅)が追加され、「中央方面」となり、国鉄時代から言われてきた「五方面」のすべての路線にグリーン車が導入されます。これはJRの中でも結構話題になっているんだとか。(NHKの番組より。)
特急向けのグリーン車と異なり、2両ともがダブルデッカー構造であることも特徴の一つ。そんな普通列車向けのグリーン車はどのような経緯で登場したのでしょうか?
1950年頃には登場していたとされる普通列車向けグリーン車。当時は「二等車」と呼ばれていました。特急向けのグリーン車と異なり、あくまで「着席をすることが目標」の普通列車向けグリーン車。車内の設備は特急型車両の普通車並みのものが採用されています。
長距離の移動や速達性を求めた移動を目的とした「列車線」の車両に投入されたグリーン車。(国鉄)新性能電車向けとしては111系向けの「サロ113」が急行型の設備をもって登場しますが、回転クロスシートというのは詰め込みが効かず、当初掲げていた「着席定員増加」の妨げに。数年後に簡易リクライニングシートを搭載し定員を増やした「サロ110(-1200)」を製造し、東京圏での着席定員増加は達成します。なお、この時に邪魔になったサロ113は京阪神向けに転属。現在の「Aシート」のもとになる車両になりました。Aシートの原型が113系電車(111系電車)だったと思うとなんか個人的にロマンを感じます。
ちなみになんですが、ダブルデッカーが2両組み込まれるという姿を確立したのは、現在長野地区に集約されている211系田町車。もともとは東海道線・横須賀線・総武快速線を走行する113系電車と同じく2両とも平屋という姿でしたが、民営化後に人気が急増。東海道線に投入された211系は、113系同様に1両だけダブルデッカーに変更し着席率を高め対応しましたが、それでも足りませんでした。結局、廃車になる113系の2階建てグリーン車を改造することでまかないます。同じころに総武快速線・横須賀線でのニーズも高まりますが、こちらはE217系で対応。
余った211系の平屋車はこちらも余った113系の2階建てグリーン車と連結し、北関東のグリーン車へと変化します。
北関東方面はE231系の記事も参考にしたほうがわかりやすいですので、当サイトの東北本線マニア、「とうほくらいん」さんの記事をお読みください…↓
E231系の記事はこちらから!結構コアな内容ですよ…。
…とまぁこんな感じで始まったグリーン車。
常磐線にはE531系が登場した2年後の2007年から導入が開始されましたが、殆どの列車が「品川or上野 – 土浦」という中途半端な区間の為、日中を中心に乗車率の低さが問題になっているんだとか。「上野 – 土浦」は距離的には高崎線の「上野 – 籠原」とほぼ同距離とはいえ常磐線には特急列車が数多く走行しており、グリーン車を使用した場合20円ほどしか変わらない上に特急の本数が多いため特急列車を選ぶ人が多いことから、日中の利用率は他の路線と比べて低迷しているそう。つくばエクスプレスとかもありますもんね…。
常磐線には「宴会列車」という別名があるそう。中央本線に似たものを感じる。
👇常磐線グリーン車の低迷に関する記事は以下から~(他サイト)👇
いよいよ開始する中央線グリーン車の概要
ここでは、中央線に対応した「特別なグリーン車」を様々な視点から見ていき、どのような設備なのか、どこを走るか…などの詳細を見ていきましょう!
中央線ならではの「最新機能」
中央線快速は「列車線」でありながら、列車間隔が2分に1本の時間帯もあるという過密路線であることでも有名です。また、東京駅での折り返しは1面2線の貧弱設備で2分から3分しかないという他路線よりも過酷な環境にある路線です。そこで、今回のグリーン車では「中央線ならでは」の最新機能が登場しました。
①両開きドア
プレスリリースの資料を使いたかったんですがいろいろと面倒くさいのでほぼ同じ形の209系(八高線用3500番代)のドアで代用します…。にしても画質悪いな…
中央線快速は、首都圏の中でも指折りに入るほどの混雑路線としても有名です。緩行線の役割どこ行ったおい。
そんな路線に今まで通りのグリーン車を入れることは混雑助長となり意味が無い!!!!ということで、両開きドアが採用されました。
形はE231系や209系500番代のような丸窓。そこは角窓で揃えろよ!という意見を色んな所で見ましたが、他の路線のグリーン車が同じような形なので、それに合わせた形なのでしょう。
なお、このドア構造により、ドアに一番近い平屋部分の窓に干渉してしまうことから、窓を細くした上で対応。ですが、座席が微妙にずれていることにより、「柱とコンニチハ!」になってしまうそうです。おいおい。
ドア上へのLCD画面の設置は従来の他線区の車両と同じく、設置されないようです。
②新幹線の座席と同じく、「自動で転換」する座席
先述の通り、中央線快速の東京駅での折り返しは設備面から、短時間での作業を求められます。そこで、東海道新幹線に導入されている「自動で方向転換してくれる」座席を採用し、清掃等の効率アップを図ります。なお、この技術は中央線グリーン車が初。他線区ではまだ導入されたことが無い設備も、中央線の路線事情によってできたものなんですね。
③中央線系統”通勤電車”では初となる「16:9」のLCD
ドアの上にあるモニタ、「LCD」。首都圏では多くの路線で導入がすすめられ、搭載していない路線も少なくなってきました。と言いつつまだまだ結構あるんですけどね…
このLCD、一般的には「16:9」の比率のものが使われるのですが、中央線系統は車両が古いため、「4:3」のものが使用されています。なお、この比率が使われているJR東日本の形式・路線は
E233系0番代 中央線・青梅線(・東京アドベンチャーライン)・五日市線
E231系500番代 中央・総武線(各駅停車)
のみ。中央線系統には「成田エクスプレス」の廃止により、4:3のLCDを搭載した車のみが走っていました。
そこに、今回の中央線グリーン車「16:9」が登場。とてもマニアックな所ですが、大きい画面で詳しい情報などが見れるのは個人的には楽しみだと思っています。
なお、デザインは「横須賀・総武快速線系統」のE235系1000番代のグリーン車と同じデザイン…と思ったら全然違いました。白を基調としたデザインになるんですね。
走行区間と料金
中央線グリーン車、コロナ前の資料のみでやり取りをしている状態でしたが、ついこの間今後の計画について発表されました。
というわけで、ここでは走行区間と料金について見ていきましょう。
走行区間
中央線グリーン車は当初の計画通り、
- 中央線快速:東京~高尾(「普通列車」を除いた全列車に連結)
- 青 梅 線:立川~青梅(中央線と直通を行う電車)
- 中 央 線:高尾~大月(中央本線、中央線快速と直通する「オレンジ色の電車」)
となっており、五日市線には入線しません。
※ここでの「普通列車」とは、本線の211系電車で運行される列車とむさしの号を指します。
なお、今後どうなるかは未定ですが、富士急行線直通列車の1本目に当たる「1811H」は、基本編成側を「1464M~翌日1451M」として高尾駅を往復する運用につきますが、これが「本線のみ」の運用である為、今後どうなるのか?ということを心配する声が上がっています。
まぁ多分変わらないとは思いますが…。
なお、ここでポイントとなってくるのが「青梅線のグリーン車対象列車は『中央線快速と直通する』電車」であること、「諏訪湖花火大会臨時列車で使われるオレンジのE233系は『青600編成』であり、グリーン車組み込み対象ではないこと」という点。
前者は「青梅線内に8両停目が新設」という点が引っかかりますが、そこはダイヤ改正時にわかるでしょう…。
後者は「諏訪湖花火大会臨時列車にE233系来なくなるの!?!?」という質問をいただいたことに対する返答です。来年度も絶対運行する!とは限りませんが、もしも運行しなかった場合、運行しない理由が「グリーン車を組み込み8両編成となったことで、一部の駅に対応しなくなってしまったから」ではないようです。
料金体制
中央線グリーン車は、来年春まではお試し期間と題し、追加料金なしで利用することができます。なお、グリーンアテンダントの乗車や Free Wi-Fi など、グリーン車ならではの設備については使用することができません。
10月13日以降は「JR東日本アプリ」にて、「12両編成」と案内の上、グリーン車が連結されているということを確認できるようになります。ゆくゆくは全ての列車が「12両」となる中央線快速。もうぼくが知らない世界がそこまで来ているんですね…。
ということで、料金についてまとめてみましょう。表形式にしてまとめてみます。
営業キロ\乗車券 | Suica | 紙のきっぷ | JRE POINT | 主な区間 |
---|---|---|---|---|
50キロまで | 750円 | 1,010円 | 600ポイント | 東京~八王子 東京~拝島 新宿~高尾 新宿~青梅 |
100キロまで | 1,000円 | 1,260円 | 〃 | 東京~高尾・大月 東京~青梅 |
(101キロ以上 | 1,550円 | 1,810円 | 〃 | 設定なし) |
大月までの直通のため、料金形態において「101キロ超え」が無いのが特徴的。
途中新宿~高尾では「京王ライナー(京王)」、新宿~拝島では「拝島ライナー(西武)」が競合相手となります。こちらも比較してみましょう。
時間帯は「平日午後5時~6時台の下り」とします。
車両 | 新宿から | 追加料金(Suica) | 本数間隔 | 所要時間 |
---|---|---|---|---|
京王ライナー | 京王八王子 | 410円 | 1時間に1本 | 最速36分 |
中央線グリーン車 | 八王子 | 750円 | 4分に1本 | 最速55分 |
車両 | 新宿から | 追加料金(Suica) | 本数間隔 | 所要時間 |
---|---|---|---|---|
拝島ライナー | 西武拝島 | 400円 | 1時間に1本 | 最速47分 |
中央線グリーン車 | JR拝島 | 750円 | 25分に1本 (直通電車) | 最速1時間 |
流石私鉄、早いし安い、強い。って感じですが、本数の面ではやはり中央線の勝ちなのかなぁ…とか思ったり。
個人的には山梨県民なのでフリパ+中央グリーン車とかでもいいのかなぁ…。と思いつつ、特急とそんなに変わらないんだよなぁ…と思いつつ…
中央線グリーン車、実は「高尾山もしくは青梅線利用者向けなのでは?」という考察が広まっています。現に大月までの場合、特急かいじ号とそこまで料金が変わらないという点が大きく、やはり特急が少ない青梅線向けなのかなぁと考えてしまいます。ですが、通勤時の着席という面で考えるとそれは違うよなぁと感じてしまったり。
常磐線の土浦止グリーン車=中央線の大月行グリーン車、となるんでしょうか?と思いましたが「インバウンド需要」などを考えるとそれはそれでまた違った結果になるのでは?と考えてしまったり…
来年の春からどうなるか、ちょっと見ものですね。
グリーン車に対応した中央線と「去る者」
中央線のグリーン車導入は他の路線と違い、ホームの延伸工事などの大規模工事を必要としました。
一番大きな工事の一つ、「高尾駅改良工事」では、中央本線の列車も被害を受けるなど、中央線の歴史の中でも上位に入るほどの大掛かりな工事だったことを鮮明に覚えています。高尾行にあれほど感謝した日は無いですマジで。
駅・車両・そして「青梅線と常磐線を巻き込んだ予備確保」という3つの視点から、今回の導入までどのような対応を行ってきたのかということを見ていきましょう。
①駅の改良工事
従来、中央線(東京~大月間)内では東京・新宿・立川・八王子・高尾・大月駅以外において、12両編成が止まることが滅多にありませんでした。そこで、それ以外の駅に対して「ホームを12両編成に対応させること」が求められます。
一番大きな工事と言えば、先ほども述べたように「高尾駅の改良工事」でしょうか。普段は争っているはずの京王に振替輸送を頼み、直接的には関係のない西八王子駅も運休、本線側では「八王子」「豊田」「相模湖」の行き先が設定、快速側では「中央特快|八王子」「快速|相模湖」等の行き先が設定…。非日常がそこには広がっていました。
特急列車も高尾駅で足止めを食らっており、高尾駅にE353系が「特急として」停車するというカオスな状況となっていました。
この時、「杉並三駅」と呼ばれる「西荻窪・阿佐ヶ谷・高円寺」の延伸工事も行われ、一部の利用者からは「今後も止まる気なのね…苦笑」と落胆した声が上がっていました。
なお、この高尾~東京間の延伸工事により、半年だけですが国立や武蔵境などでバルブの撮影ができたというのはまた別の話…。
②新設されたトイレ
E233系の長野入場なんてのも過去のものになってしまいましたね。
従来の中央線にはトイレが設置されておらず、通勤路線としては一般的な編成となっていました。
ですが、グリーン車を連結するということでトイレを設置。10両固定編成である「T編成」においては、従来6号車に連結されていたサハにトイレを設置し4号車へ移動、従来4・5号車でユニットだったモハのうち5号車側に補助電源「SIV」を設置し5・6号車としました。6+4両である分割「H/h編成」においては4号車にトイレ設置、5号車にSIVを追加で設置。これにより、従来「Tc-MM-T(c)-T(c)-MM-MM-Tc」で統一されていた編成が崩れることになりました。
グリーン車の動きに関してはT71編成の記事を同時にご覧いただいたほうがわかりやすいかもしれません。
T71編成の記事はこちらから!(これは第1回目です。)
ちなみに見た目は房総半島の209系のトイレ設置と同じ感じです。(写真の2両目)
③中央線を「去るものたち」
もともと、E233系が投入された当初の中央線向けの編成数は57本でした。2008年に中央線の増発、青梅線内の運用変更などにより現在の「H/h58編成」である「青658・青468編成」が中央線向けに転用されます。その後、2015年に同じく運用変更と「グリーン車改造の予備編成」として現在の「H/h59編成」である「青659・青469編成」が中央線向けに転用。また、改造が本格化してきた2018年度末、209系1000番代2本が投入。それでも予備は足りず、12年ぶりの新造となる「T71編成」が2020年に登場してきました。
結果、当初の予定から大幅に増え62本体制での運用となっていた中央線快速。ですが、グリーン車の組み込みは「57本」。209系はグリーン車組み込み対象外なので60本と仮定しても、3本が余ることになります。
そこで、中央線快速から「H/h49編成」が一足早く209系とともに引退。現在は武蔵小金井に臨時回送されています。
残る2本のうち、1本はグリーン車改造がされていないT71とみられていますが、あと1本はどうなるのでしょうか…。
T40編成が組み込み改造を行ってTKを出場したため、58本が対応しています。もともとの計画通り58本に戻すのでしょうか?まぁこれも今後どうなるかを待つばかりですね…。
また、中央線グリーン車の導入に伴い、青600編成による代走が姿を消すことになります。別れててわけわからない!!となっていた編成でおなじみの青編成とH編成でしたが、グリーン車導入により少しは見分けがつきそうですね。あ、青400とhは知りません…。
まとめ
いよいよ明日スタートする中央線グリーン車。他の路線と違った「中央線ならではの設備」が目立つ面白いグリーン車になりました。
ぼくの知らない中央線、どんな世界になるのでしょうか…。楽しみです。
…というわけで、今回はここで終わり。ホームドア等はまた違う方がやってくれると思いますのでそれに期待してください…。
この記事を書いた人
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