ありがとう、カシオペア。仙台で見送った忘れられない日々

こんにちは、こづるしんでんです。

今回はついにラストランを迎えたカシオペアについて、自分の思いを語っていきたいと思います。

乗ったことは、一度もない。
でも、見たことなら何度もある。
そして気がつけば、何度も「カシオペア」を仙台で追いかけていました。

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豪華列車の象徴「カシオペア」の誕生

カシオペア――それは、1999年に上野~札幌間を結ぶ日本初の全室個室の寝台特急として登場しました。
当時のJR東日本が誇る“豪華列車”の象徴であり、その銀色の車体の存在は、「北斗星」よりさらに洗練された印象がありました。

  • 編成:E26系(12両、すべて個室)
  • 主な設備:カシオペアスイート、カシオペアツイン、ダイニングカー、ラウンジカー
  • 運転開始:1999年7月16日
  • 運転区間:上野〜札幌

牽引機はEF81・ED79・EF510・DD51など、その区間ごとに異なり、それぞれ違った表情を見せていました。

当時私はまだ小さく、仙台に住んでいながらも定期運行のカシオペアをはっきり見た記憶はありません(仙台に来るの深夜だったし)。青森駅で「スーパー白鳥」を見たことは覚えていますが、となりのホームにカシオペアがいたかもしれない――そう思うと、なんだか不思議な気持ちになります。

ED79牽引の写真:Rsa – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=47597394による

DD51牽引の写真:Rsa – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=21800476による

EF510牽引の写真:toshinori baba – 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=11229940による

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北海道新幹線開業、そして「カシオペア紀行」へ

いろんなところに行った 提供:りょー

2016年3月、北海道新幹線の開業に伴い、津軽海峡線を通っていた在来線旅客列車は廃止され、
カシオペアも定期運行を終了しました。それ以降、「カシオペア紀行」や「カシオペアクルーズ」として団体専用列車になり、各地を走るようになりました。

その日によって牽引機も変わり、運行ルートも違ったりする。甲府に行ったり秋田に行ったりと、定期列車時代とはまた違い、さまざまな場所へ走って行きました。運転日は発表されるたびに話題となり、撮り鉄も乗り鉄も「次はどこへ行くのか」と楽しみにしていたことでしょう。

仙台に住む私にとって、「カシオペア紀行」は定期的に訪れる“楽しみ”だったのかもしれません。
乗ることはなくても、見るだけで嬉しくなる。
それが、自分にとってほんの少しの“贅沢”だったのかもしれません。

初めて出会った、雨の日の午後

私が初めてカシオペアを見たのは、2024年9月21日の太子堂駅でした。
その日、私はある列車を撮るためにホームにいました。
ED75-767号機の仙台への配給が夕方に設定されていて、そのために同業者が少ないと噂の太子堂で待っていました。

天気はあいにくの雨。風も強く、傘を差しても身動きが取れず、ホームの屋根の下でしか写真を撮れませんでした。
寒さもあって、帰ろうかとすら思っていた、そんな時でした。

下り線を銀色の編成が静かに通過していきました。

「……カシオペア?」

EF81-80号機が牽引する、E26系12両編成。
突然すぎて構図も間に合わず、写真はブレてしまいました。
でも、今となってはそれが“初めて見たカシオペア”として心に残っています。

仙台で見送り続けた「銀の列車」

それ以降、私は何度も仙台駅にカシオペアを見に行きました。
駅の発着案内に「団体」とだけ書かれているときもありました。
でも、誰もがそれが「カシオペア」だとわかっていた。

昼間に入線してくるE26系は、静かで、堂々としていて、他の車両とはまるで違うオーラをまとっていました。

「もうすぐ見納めなんだろうな」と、どこかで思いながら、
それでも、次の運行があるたびに「また会える」と思いながら、カメラを携えて駅に足を運ぶ、そんな日々を送っていました。

引退発表、そして最終運行

そんな私の思いとは裏腹に、2025年5月8日。
JR東日本はカシオペア(E26系)の運行終了を発表してしまいました。

JR東日本は、寝台特急の「カシオペア」が来月の運行を最後に引退することを明らかにしました。(中略)

JR東日本の喜勢陽一社長は、8日の会見で「お客様からのご要望やご利用が多いということでイベント的に活用してきたが、現在のように寝台特急としての利用はこの6月で1つの節目にしたい」と述べました。

そのうえで、今後の取り扱いについては「さまざまな要望をいただいているので、それを踏まえて決めていきたい」と述べ、今後検討する考えを示しました。

【NHK NEWS WEB 2025年5月8日付】

JR東日本 寝台特急カシオペア来月引退 “今後の取り扱い検討” | NHK
【NHK】JR東日本は、寝台特急の「カシオペア」が来月の運行を最後に引退することを明らかにしました。

おっかなびっくり。いつまでも続くとも思っていた日々にも終わりがあることを実感しました。

忘れられない、見送り

本当の最終運行――6月29日と6月30日の仙台への運行には、私は見にいけませんでした。

だから、6月16日。この日仙台駅に入線するカシオペアを、私は「自分にとっての最終日」と決めました。

昼過ぎ、EF81-95に引かれて、銀色の編成がゆっくりと仙台に滑り込んでくる。
何度も見たはずなのに、この日は少し違って見えました。

めったに上京できない自分にとっては、これがほんとに最後になってしまう、と思うと複雑な気持ちでした。

せめて線路を走る姿を納めたい、と思い、仙台駅を離れいつもの撮影場所に駆け出して撮った一枚。

やっぱりうまく写真はとれなかったけど、それでも心にその風景をしっかりと焼き付けました。

ありがとう、カシオペア

私にとって、カシオペアは「乗らなかった列車」でした。
でも、
初めて見た日、
雨の太子堂でシャッターを切った日、
最後の見送った日――

どれもが、かけがえのない記憶になりました。

カシオペアのいないこれから

https://www.jreast.co.jp/press/2025/20250610_ho03.pdf

プレスリリース

「夜行列車」という存在自体が減っていく中、
カシオペアの引退は、その象徴的な出来事だったかもしれません。

でも、「アルプス(E257系)」のような新しい形の夜行や、「E657系の夜行への改造」など。
カシオペアが繋いできた夜の旅も、きっとまだ続いていくのでしょう。

最後にもう一度

銀色の車体が通り過ぎていくたびに、何か大事なものが運ばれていくような気がした。

銀色の車体が通り過ぎていくたびに、何か大切なものが運ばれていくような気がしていました。
乗らなくても、好きになれる列車がある――それが、私にとっての「カシオペア」でした。

ありがとう、カシオペア。
見せてくれて、走ってくれて、思い出を残してくれて。

この記事を書いた人
こづるしんでん
こづるしんでん
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