
皆さんこんにちわ。月波奏さんです。本日は考察や旅行記なんかとは違った記事を書いてみようかなと思います。
突然ですが皆さん、北陸本線ってご存じですか?今回はそんな北陸本線(超広義)のお話です…
〜復活させるは国鉄急行!?〜えちごトキめき鉄道

最初に紹介するのはえちごトキめき鉄道。北陸本線の新潟県区間と信越本線の新潟区間(直江津まで)を受け継いだ第三セクターです。
昨年まではローカル線経営のカリスマ、鳥塚亮氏が経営したていたところですね。
この会社は北陸三セクの中でもかなり『観光』という分野に力を入れている会社です。
この会社の目玉といえばやはり、『観光急行』でしょう。
旧国鉄の413系と455系を譲り受け、往年の時代の国鉄急行を再現し、直江津駅から市振駅の間を2往復運転しています。(急行3,4号の糸魚川~市振間は普通列車で運行。)こちらの車両は約50年ほど前のものと、電車の中では骨董品の扱いなのですが、クラウドファンディングなどを活かし、全般検査を見事に通過したことで最近話題になりましたね。
ほかにもリゾート列車として『えちごトキめきリゾート雪月花』というものも運行されています。川西康之氏によるデザインの観光列車で三セクが運行する列車の中では珍しい豪華列車です。
こちらの列車では日本海の海の幸などを使った食事を楽しむことができる最近流行のレストラン列車です。
このように、観光に多くの力を注いでいるのがえちごトキめき鉄道。ほかにも普通列車を使用した「乗り鉄」向けのイベントなども多く企画されており、最近ではC寝台(普通のロングシートで雑魚寝すること)をメインとした夜行列車の運行なども話題を呼びました。

また、余談ですが、えちごトキめき鉄道のえちご押上ひすい海岸~梶谷間には交流と直流の切り替え点、デッドセクションが設置されています。この区間を電車で通過するためには高価な機器を搭載した車両と2両以上の両数が必要なのですが、糸魚川から先の区間は屈指の閑散区間。そんなところに2両もの高価な電車を走らせたって意味はないです。(その区間を通過する用の列車をJR西日本から譲渡してもらうことができなかった、ということもあります)
しかし、この区間は貨物列車も通過する区間。勝手に架線をはがすことはできません。そこでトキ鉄は気動車を運行することとしました。ですので、この区間は世にも珍しい架線があるのに気動車が走る区間としても有名ですね。
~特急列車がなくなっても~北越急行

続いて紹介するのは北陸本線三セクではないですが北陸本線と強い関係を持つ三セク、北越急行です。
この会社はもともと国鉄の北越北線として犀潟~六日町間で建設されてた路線を引き継ぎ、建設がなされた路線です。建設開始は1968年、開通は1997年と、建設に約20年もの歳月をかけた『超』高規格路線 です。
また、この路線は2015年までは北陸方面への最速ルートとして運行されており、最高時速160kmの特急、はくたかが運行されていたことも有名です。
このはくたかなどがきっかけで電車でGO!にて収録されており、160㎞/hで高架区間を駆け抜ける疾走感を味わえる路線という今でも根強いファンを持つ鉄道会社です。

この路線では先述のように「特急はくたか」というものが運行されていたのですが、こちらは北陸新幹線開業の際に北陸新幹線に立場を奪われる形で廃止されて今いました。その面で見れば、北越急行は一番北陸新幹線開業の影響を受けた路線といっても過言ではないでしょう。
そんな北越急行、厳しい状況ですが、何とか存続の道を模索しています。
この会社の最大の特徴といえばその最高時速でしょう。もともとは貨物列車運行用の直線的な線形、そしてのちのバイパス路線用としての最高時速160㎞/hというポテンシャル。これを活かさないほうがおかしいでしょう。そこで運行を開始したのが『超快速スノーラビット』越後湯沢から先、六日町、十日町、まつだい、虫川大杉の順に停車して直江津までを最速57分で走破する、驚異の一時間切りダイヤの列車です。
ほかにも観光客向けに『超低速スノータートル』という北越急行線を三時間かけて走破する超低速列車も設定されており、奇抜さで集客も試みています。
これによって北陸新幹線へと挑戦状を叩きつけたわけですが、そんな中、不幸なことに新型コロナの不況が襲います。これによりただでさえ苦しかった高規格対応の保守が厳しくなってしまい、現在では超快速も廃止され、最高時速も95km/hへと下がってしまっています。現在ではウサギの面影を感じるだけとなってしまいました。
しかし、観光にも力を入れていることなどから、まだまだ頑張れる会社だと思っています。この先の動向が気になる会社の一つです。
~2両を3両に~あいの風とやま鉄道

3つ目に紹介するのはあいの風とやま鉄道。市振から倶利伽羅までの旧北陸本線富山県区間を引き継いだ第三セクターです。富山県はほとんどの都市から一時間以内に富山市に着けることや富山市の路面電車網を生かした『コンパクトシティ』計画を押し進めており、あいの風とやま鉄道もその計画をサポートする形で運行が行われています。
そんな富山県の計画もあってか通勤ラッシュ時間帯には多くの利用者がいるあいの風とやま鉄道。521系の2両編成では快適性や輸送力が足りなくなってきてしまいました。そこで富山県が2023年に発表したのが521系3両化計画です。これは2025年に521系を現行の2両から中間車を一両増備し、3両に増結するという計画です。
今年度から3両化は開始され、さらなる増発も検討していくようです。

ほかにも観光列車として一万三千尺物語という413系を改造したものが運行されています。こちらは白エビで有名な富山湾の海底から、日本でも有数の有名山、立山連峰までの高さのことを表します。
車内では富山の食材をふんだんに生かした寿司や懐石料理が提供され、富山の雄大な景色を眺めながら舌鼓をうつ…なんてこともできちゃいます。
また、現在では高岡から南北に延びる2つの鉄道路線、氷見線と城端線もあいの風とやま鉄道に組み込まれる予定となっており、新型の電気式気動車が導入され、譲渡されることとなっています。
余談ですが、富山ライトレールの原型、富山港線があいの風とやま鉄道に移管されていたらどのようになっていたんでしょう‥富山のコンパクトシティ計画は全く進行しなかったでしょうし、そもそも計画すら生まれなかったかもしれませんね。
今後の成長が止まらない富山の基幹路線、それがあいの風とやま鉄道なのです。
~地味だけど、着実に~IRいしかわ鉄道

続いて紹介するのは旧北陸本線の石川県区間、倶利伽羅~金沢間を引き継ぎ、昨年の延伸によって金沢~大聖寺間も引き継いだことで旧北陸本線石川県区間全線を保有することになったIRいしかわ鉄道です。
石川県、実は私の地元に等しいところでして、結構縁のある会社だったりするのですが、そんなことは置いておきましょう。(石川県、いいところだから一度はおいで)
北陸でも最大の都市、金沢を起点とし西は福井、東は泊まで運行が行われており、金沢駅では北陸三県の三セクすべての車両に加えJR西日本の車両も拝めるお得スポットです。
そんなIRいしかわ鉄道、正直ほかの北陸三セクに比べると存在感は薄いです。距離も短く、目立った観光列車も運転されていないという点が大きなところでしょうか。金沢駅の立派さに比べると少し不釣り合いな会社…なんて言われてたりもします。
ですが!そんなIRいしかわ鉄道も実は着実に存在感を増してきているんです!こういう地味に見える会社が実は一番面白かったりするんですよ…

まずはなんといっても区間快速これでしょう。今年度のダイヤ改正から設定されることとなる列車で、大聖寺から先、小松まで各駅に停車し、能美根上、松任、金沢の順に止まる通勤ライナー的な列車です。優等列車自体は、あいの風ライナーが運転されていましたが、快速列車の設定はこれが初めて、金沢地区で見たら約20年ぶりのことです。
新幹線も止まる加賀温泉から金沢までの所要時間は新幹線20分、快速34分とそこまで時間は変わりません。新幹線より安いこともあり、こちらのほうが利用しやすいまでありそうです。ちなみに小松から金沢までだと新幹線10分、快速21分とこちらも全然戦えます。なおかつ小松では普通列車との接続も行いますので、松任、金沢以外の駅の利便性も向上することとなります。
次に少し地味ですが大きな違いを、
これを見て気づくでしょうか…

帯色が編成によって異なるというものです!
これ、結構面白いですよね、普通は識別のためにラインカラーなんかは同じ色にしますし、デザインを変える必要なんてあまりありません。しかし金沢では七尾線を見分けられればいいのです、その範囲だったら何したってかまいません。そこですべての編成で帯色が違うんですね。
ほかには黄土色や紫色など、かなり多くの色があります。ぜひ、見かけた際にはその車両が何色なのか、見てみるのも楽しみになるでしょう…
金沢という一大観光地を抱えつつも、通勤客も見る、それがIRいしかわ鉄道なのです。
~対抗相手は新幹線!~ハピラインふくい

旧北陸本線最後の区間は福井県区間。ということで続いては大聖寺から敦賀を引き継いだハピラインふくいです。
ハピラインふくいは2024年に誕生した日本で一番新しい第三セクター路線。ピンクと緑のチャーミングな車両が福井の田園地帯を走ります。
また、つい最近まで関西圏とのつながりが強かったことから、関西圏から、関西方面への利用者や通勤客、観光客も使いやすいダイヤを作っており、北陸本線の中でも一番元気な区間といっても過言ではないでしょう。
そんなハピラインふくいにはとてつもない列車が存在します。
それが快速、敦賀駅から福井駅の間を今庄、武生、鯖江のみに停車し、43分という短時間で結びます。普通列車でも、この区間を51分で結びますので、かなりの速達性を持っていることがわかると思います。
現在は敦賀→福井の方方向のみの設定なのですが、それでも十分なポテンシャルを持っています。
ちなみに新幹線だと敦賀→福井は20分、相当な差がついてしまっています。さらに新幹線はサンダーバード、しらさぎという特急列車との接続も行いますので、かなり分が悪いです。
しかし!そんなことでめげていては日本一元気な三セク(当社比)の名が廃れます。それではハピライン福井はどのような対策を打ち出したのでしょうか?

今年度のダイヤ改正、ハピラインふくいは現行の敦賀8:46発の快速の時間を繰り上げると発表しました。
改正後の敦賀駅発車時刻は8:04。これはサンダーバード1号、大阪駅方面からくる始発のサンダーバードに接続できる時間です。つまり、大阪方面からの利便性がさらに上がったのです。時間は確かに新幹線とは20分の差ができてしまいますが、料金は2000円も違います。1分100円です。浮いたお金で何回峠を攻められるでしょうか?
これで皆さんはある一つのことに気が付いたと思います。
ハピライン福井は競合相手を北陸新幹線と見定めているのではないか?ということです。
私もこの点については全くの同感。まさか三セクの中でここまで攻めてくるとは思いませんでした。私は嬉しい…(重度地方地鉄応援系オタク)
新幹線を相手に優位に立てる立場にあるハピラインふくい、今後のさらなる成長に期待です。
あ、できれば恐竜を活かした観光列車が欲しい
~地震から立ち上がる~のと鉄道

最後に紹介するのはのと鉄道。少し横道にそれすぎますので軽いご紹介となります。
のと鉄道は旧七尾線と能登線を引き継いだ第三セクター。2005年には輪島~穴水間と能登線全線の2路線を廃止し、現在は七尾~穴水の間だけの路線となっています。
そんなのと鉄道、ちょうど昨年の地震により甚大な被害を受けていました。私は先日親戚の様子見もかねて穴水を訪れたのですが、道はひどいわ建物は崩れているわで、震源から離れている穴水でもすごく悲惨な状態でした。しかし、のと鉄道はそこから復旧を遂げ、今では地域にパワーを与える存在です。

人気アニメ作品のラッピングが施された列車もあり、観光列車もあります。地震の被害はまだまだ残り、このまま元通り…というわけにはいかないかもしれません。しかしのと鉄道のように復旧を遂げているところもあります。今後の能登地方の発展を願って…!
まとめ
さて、かなり長々と書いてきましたが、どうだったでしょうか?北陸の三セクはどこも力強く、新幹線があるという不利な状況を、強みにしようとしたり、逆に新幹線に勝とうとしたり、と様々な方法で線損の道を模索しています。
この記事を読んで少しでも北陸の三セクに興味を持っていただき、乗車する機会になってくださったら幸いです。鉄道を抜きにしても北陸というのは素晴らしい地方です。ぜひみなさん、一度訪れてみてください。
それでは今回はこのあたりで失礼します。最後までご清聴ありがとうございました!
この記事を書いた人
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月波ともうします。
鉄道と炭酸水が好きな人。
SNS系統初心者です。
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- 2025年1月24日東北・北海道・秋田・山形・北陸新幹線【どうしてこうなった】北陸地方の三セクがいろいろとおかしい件について
- 2025年1月17日記事【正直よくわからん!】並行在来線って何なの?
- 2024年12月14日東北・北海道・秋田・山形・北陸新幹線【ダイヤ改正】北陸地区のダイヤ改正まとめ
コメント ご意見やご感想等お気軽にどうぞ。
少なくとも北陸本線区間は統合してほしい。また北陸本線の名称は残してほしい。
コメントありがとうございます。
確かに利用者としたら会社が同じな方が便利ですからねぇ…
そこは会社と利用者の相反するところなので仕方がないかなぁ…と思います。
北陸本線、お硬い名前ですからカッコいいですよねぇただ私は個性が出る三セクの名称もいいなぁ…と思ってしまいます。
利用者のこと考えてないでしょ
不便になる統合をする理由がない
北陸新幹線開業するのはいいけど、第三セクターにせずに米原〜直江津までJR北陸本線にすべきです。九頭竜線や七尾線の飛び地だけJRなんてわけわからないです。
切符の買い方も複雑になります。
コメントありがとうございます。
北陸新幹線は整備新幹線ですからね(詳しい話は私の前回の記事を見てくだされば…)
九頭竜線はともかく、七尾線はIRかのと鉄道に組み込まれてもいいのでは…とはよく思います。
北陸の新潟から福井までの第三セクター鉄道は最悪、コスパを金に換算して各駅停車の18キップで日本国中旅している73歳の乗り鉄デス、四国お遍路旅、鉄印帳全国33の第三セクター鉄道のたび、日本100観音など満願して日本最東西南北先端旅など今も三岐鉄道やあすなろ鉄道など楽しんでます、ちなみに太平洋や東シナ海南シナ海や日本海などダイビングで海中も見てきました、如何に旅が重要かを身をもって体験してます、今のJRと第三セクター鉄道は旅人を閉め出している。若い日本を背負う人が可哀想、乗り鉄、飲み鉄、城鉄、寺社鉄の爺鉄お爺さんです、今も大分から熊本迄の豊肥本線を楽しんでます
県の税金で運営しているため
4県3セク統合は困難
しかし
4社を第三種鉄道事業者として
4県共同で
第二種運行会社設立は可能と思われる
たしかに…ただ地元からすると車移動が多いところがありますので、今更作っても…とも感じてしまいますね。地方の難しいところです…
北陸三セク、陰ながら応援してます。
願わくば、大阪~金沢間のJR、ハピライン福井、IR石川の3三社跨いだ直通特急列車 名付けて「特急三ダバダバ」の実現を願うところです
三セク直通列車特急…!使用料等の大人の事情が怖いですが団体列車でもいいのでやってほしいところです…!
ハピラインの快速は方方向ではありませんよ。また快速の停車駅は、今庄と南条のどちらかと武生、鯖江です。快速の敦賀ー福井は39分から43分で1本をのぞいて40分以内です。以前のサンダーバードと余り変わらないスピードです。さらに8:46の繰り上げとありますが、7:45の繰り下げでしょう
小浜線沿線に住んでますが、ハピライン元気なのでもうJRを離れてハピライン若狭線でもいいと思ってしまいますw
できれば敦賀駅改造してハピラインと直通できるようにして京都丹後鉄道とも繋げて観光列車走らせましょう!
コメントありがとうございます。ハピライン元気ですよね!北陸新幹線は小浜を通りますのでもしかしたら実現するかもしれません…
小浜・丹後の観光列車…面白そうなので見てみたいですね!
小浜線は、むしろ福知山地区と一体化すべき。
確かに福知山寄りの運用が組まれていますからねぇ…
ただ福井県ということもありますので、分離されるとしたらハピラインへと組み込まれるのではないかなぁ、と思います。
本文の全てにおいて、「全線」とすべきところが「前線」となっている。
ただいま訂正いたしました。
あいの風が幸せ運ぶ富山湾の風と言えば納得いきますが、いしかわが!なんで頭にIRって愛があるのダジャレでしょうが、掲載順を巡っての゛1(トップ)であ〜る゛の上から目線がはがやしい!(富山の方便で悔しい)
ISHIKAWA-railwayの略称でIRでしたっけ。
筆者の親戚が金沢と穴水にいることもあり、石川の物は長々と書いてしまいました…
富山もめちゃくちゃ好きですよ!