E233系 トタT71編成の今後について考える③ これまでの調査と新規データをもとに結論を導く!

スポンサーリンク

はじめに

このブログは、2024年4月に沿線ちゃっと様にて公開したブログを一部改変・編集した記事です。そのため一部情報が古い可能性があります。

前々回↓

前回↓

このブログは前回、前々回をご覧になってから見ていただけると、より深くお楽しみいただけると思います

さて、前回、前々回とT71編成を主題にT40編成およびH49編成の転用先を長々と考察してまいりました、今回で最終回でございます、T71編成だけは

T40編成およびH49編成は番外編として後日ご紹介しましょう。

というわけで、転用先論争に白黒つけてやろうと思います(間違ってたらコメ欄をコメ乱にするくらい思いっきり煽ってください(笑))。

ちなみに、ほかのサイトでも見やすさ重視で上下に軽い装飾を施してみました。個人的にはすんごく微妙です(じゃあなんでつけたし)

スポンサーリンク

T71編成の転用先を考察する①

というわけで早速本題へ

この物語の主人公でもあり、こんなめんどくさい記事書かせるきっかけを生み出した張本人、T71編成の転用先考察へと参りましょう

車掌スイッチとアンテナ台座の位置から導く転用先

さて、前回のブログで「車掌スイッチ周辺」を重点的に調査しました。

そこで、T71にはホームドア関連工事の施工可能な個所が存在するとお話しました(上画像の赤丸参照)。このことから、ホームドア関連の機器取付を、転用改造に合わせて執り行う可能性が見えてきました。

りょーさんからいただいた運転台の画像にはホームドア関連の装置は見受けられませんでしたが、今後改造で取り付けられる可能性が高いです。

あとは前回調査した屋根回りですが、以前0番台から改造を受けた青670編成について、E233系に詳しいF.S.氏に聞いてみたところ、転用化改造中にWiMaxアンテナをポン着けしたらしいです。そんな簡単なもんでいいんだ

改めて情報提供ありがとうございました。

さて、そんなT71編成の屋根上機器類で最大の特徴なのが、前回もお話した通りATACS用と思われるアンテナの準備工事なのですが、実はこれ、埼京線のアンテナ位置と違う場所に配置されているんです

ついでに言うと、このアンテナ台座のうち、画面奥の台座のある場所に、埼京線車両はWiMaxアンテナや、GPSアンテナの準備工事がなされています

何だよこの変な場所にあるアンテナ台座、と思いましたが近い場所にこのATACSアンテナを本設置している車両がE233系にいました

↑それがこいつです(え?)

はい、前々回のブログで「絶対にない」とか大仰なことを語った京浜東北線車両です。

京浜東北線のATACSアンテナは、かつてラジオアンテナを搭載していた個所に設置されており、かつWiMaxアンテナやGPSアンテナの準備工事も施工されていないという車両です。中央線の次に投入された線区なだけあって、個性豊かなE233系列の中では割と中央線向け車両に近い感覚です。

とはいえ、前回7本分の余裕があるということをお話しました。そう、予備車はたんまりあるのです。なおかつATACS新設で朝ラッシュ時の本数増加を考慮しても予備車として余るだけです。さいたま車両センターから悲鳴が聞こえてきそう…

そして、ATACSの設置が行われたとしても、問題として残るのが東神奈川~大船間に残るD-ATC区間。

T71編成の活躍する中央快速線はATS-Pという信号設備を使用している一方で、京浜東北線が現在使用している信号制御はデジタルATCと呼ばれるシステムが採用されています。

ATACSとD-ATC自体、機能は似ているのですが、前者は車両側から発信された電波をもとに閉塞を移動させながら走行するタイプ、一方の後者は、地上子をもとに列車の位置を判断するシステムを採用していますため、互換性がありません。

そのためこのT71編成、仮に京浜東北線に転用される場合はD-ATCも併せて搭載することになっています。

京浜東北線のATACS化は2028年を予定しているため、それまでの期間に改造工事を施工すればよい話ではあるのですが、わざわざD-ATCを新設する必要があるのか、というかそもそもそれを積むことができるスペースが存在するのか、この点が気になります。

ちなみに、埼京線の場合はATACSを採用している池袋~大宮間を除けば、信号制御はATS-Pを採用しているため、費用的な面を考えると埼京線のほうが安いです。

さて、床下機器についてですが、前回車内設備見てばかりで完全に失念しておりました。

が、簡単に、そして手軽に床下機器の詳細を見ることができるサイトがありました

JR東日本E233系一般形電車|RailFile.jp
JR東日本E233系一般形電車の編成サイドビュー写真・側面写真の一覧の一覧です

はい、側面写真を簡単に見ることができるサイト、RailFile様です。今回はE233系が中心なので、E233系だけ貼っております。

なお著作権の都合上、お写真は省略させていただきます。裏タブ等で見比べながら比較していただけますと幸いです(PCで見たほうが比較しやすいのでオススメです)。

さて、T71編成の床下機器を調査したところ、基本的に中央線向けの機器配置をしていました。そりゃ当然だよ暫定的とはいえ中央線のために作られた車両なんだからさ。

ただ、ここで問題となるのが埼京線・京浜東北線両路線のATCあるいはATACSなどの保安装置系の機器を搭載している箇所に、T71編成はコンプレッサを搭載しているという点。

…あれぇ?ワケガワカラナイヨ。

そう、屋根上の機器配置はほぼ京浜東北線仕様、床下機器配置はほぼ中央線仕様と、かなりややこしく矛盾した構造になっているのがわかったのです。

転属先駆者、青670編成→ナハN36編成はどうだったのか

さて、0番台の転属に関してはなにも今回が初めての事例ではありません。その転属先は南武線、1編成だけ一般人であれば見分けがつかない、でも詳しい鉄道ファンなら知っている異端車両。彼の名はナハN36編成。南武線で残っていた209系を置き換えるために、はるばる青梅・五日市線から南武線に転属しました。

さて、先駆者であるこの編成の転属に当たる改造メニューをちょいと確認してみましょう。

当時のTwitter情報によると、改造メニューは以下の通りでした

  • 帯を中央線仕様から南武線仕様に変更
  • WiMaxアンテナを搭載
  • 車掌スイッチから半自動機能を省略
  • 車両番号変更
  • LCDを15インチのものから17インチのものに変更

さて、書いたところで感はありますが、ここで問題になるのが「コンプレッサー移設工事を行っていない」というもの

南武線と中央線は、床下機器の仕様がほぼ同じなため、コンプレッサなどの大型装置の移設工事が完了せずに終了することができました

要するに今回のT71編成は、E233系でこれまで数多に行われてきた改造メニューの中でも、前例のないコンプレッサ移設工事を敢行する可能性があるのです。

ATACSとT71から答えを導く

この件で、頭がいっぱいいっぱいになってしまったので、一旦床下機器のことは忘れましょう。こいつらのせいで記事の更新がしばらく止まっていたわけだし…

今回T71編成の今後を握るであろうカギは大きく分けて2つあると考えます

  • 先頭車後方に存在する謎の2台のアンテナ台座
  • ホームドア対応工事の施工ができそうな車掌スイッチ上の謎の空間

アンテナ台座はわかるとして、問題となるのは下の車掌スイッチ周辺の機器

これをまずは詳しく調べます。

ホームドア関連機器を最初から搭載できるスペースを持っているのは異例?

実は3000両を超えるE233系の中で、最初からホームドアに対応している編成というのは、相鉄直通に向けて新造されたハエ132~138のみで、それ以外の車両は後から対応改造を行っています

前回のブログに記載した京葉線の車掌スイッチ、それが当初のE233系の車掌スイッチであったと考えていただけると幸いです。

さて、そんな中でT71編成には最初からホームドア対応機器をポン付けするだけでボタン類が押せそうな箇所が存置されています。

その他の機器類についても、他編成同様追設工事を実施することは可能そうです。

となると、T71編成は落成した2020年時点でホームドア対応工事が完了、または工事施工中の路線へ転用されることを想定していた可能性が高いです。

床下機器配置と投入年月から見えた、急な「計画変更」

さて、ここまで見てきた機器配置や屋根上・製造年数等から、「T71編成の転用計画が急遽変更になった可能性がある」ということがふと脳裏をよぎりました。

さて、突然ですがクイズです

Q:T71編成が中央線で営業運転を開始したのはいつだったでしょうか?

シンキングタイム用に東京駅で撮った、E233系の幕の強さと弱さがわかる画像を貼っておきます(※シャッタースピードは1/160)。

わかりましたか?

答えは2020年の6月です。

さて2020年と言えば、忘れもしないあのパンデミックが発生し、交通系企業の経営が大きく傾いた時期でもありました。

個人的に、当初計画ではT71編成を床下機器の配置がほぼ同一な京葉線へ転用するはずだったものが、パンデミックによる乗客激減でグリーン車の投入本数を58本から57本に減便させ、あぶれた編成(結果的に施工対象外となってしまったT40編成)を京葉線に左遷させてT71編成を別の路線へ転用する、という計画に変更なったのではないかと予想します。

ただ、仮にこれが正しい話なのであれば、辻褄の合う点がいくつか見受けられます。

  • まず、悩みの種だった床下機器については、パンデミックの始まる前から設計が完了しており、大幅に動かすことができなかったため、中央線似の配置となった(実は微妙に配置が異なってる)点。
  • 京葉線の床下機器の配置は中央線とほぼ同一配置になっている点
  • 車掌スイッチについては仕様変更品の代替で融通が利くため、変更後に取り付けられた可能性が高い点

これらを踏まえると、T71編成は当初の計画から外れることになった可能性があるのです。

もっとも、そんな急に対応できるかと言われるとあれですが、仮に2019年後半の時点で運用数削減の計画が出ていたのであれば、この急な計画変更と合致する箇所が見受けられるように感じます。

となると次の転用先はどうなるのか。という話につながります。

先ほどまでのお話を踏まえて、屋根上のアンテナ類の配置を見た結果、「京浜東北線だ!」と思った方も多いと思います。

ですが皆様忘れていないでしょうか?京浜東北線転用説に存在する大きな落とし穴に。

破棄された投入計画と、T71編成のつながりは?

覚えていますか?2021年6月に共同通信から発表された、今後の計画の中に「京浜東北線にワンマン運転に対応したE235系の投入を検討している」という内容が記載されていたことを。

都市型ワンマンに対応した10両編成のE235系を新規で京浜東北線と横浜線に投入し、それで転出したE233系を使って長野や高崎の211系、仙石線の205系を置き換える計画がある、と一時期話題になっていました。

ただ、利用客が減少して収益も減った結果、高価なE235系をおいそれと出せる経営体力が残らず、最終的には現状のE233系を改造してやり過ごす判断を下しました(実際、横須賀線向けのE235系もそのせいなのか簡易仕様車が出てきてますからね)。

仮にT71を京浜東北線へ転用させたとしても、数年後にすぐE235系がやってくるのであれば、わざわざ転用するのはおかしな話ですし、何より転用にかかるお金がもったいないです。

つまり、これらの計画が2021年時点で存在していたことから、T71編成は当初から京浜東北線ではない別の路線に転用する計画だったと考えるのが自然でしょう。

このことから、京浜東北線と横浜線の可能性は消滅したと考えましょう。

次のページへ!

この記事を書いた人

ゴハチさん
どうも五八三系です。名前が長いので「ゴハチさん」と呼んでもらえると幸いです
考察を中心にしょうもない記事をあげていきますのでどうかよろしくお願いします。
あと、動画の補足解説も基本的にここでやります。

コメント

  1. あず より:

    待ってました。記事作成ありがとうございます!

    > 羽田空港アクセス線の開業で運用数が増加
    新たにトンネル掘らないといけない西山手ルートの開業はまだ未知数ですが
    2031年の開業が決まった臨海部ルートに東臨車を回すとなれば共通予備車を増やしたい論の根拠がさらに増しそうですね

    • ゴハチさん より:

      コメントありがとうございます!

      りんかい線の新型車両である71-000系も、現在の70‐000系と同数である8編成のみの製造であるため、臨海部ルートの車両不足の懸念もありますね
      同区間をどのように運用するのかについての詳細は出ていませんが、りんかい線を東京臨海高速鉄道のままで据え置くと考えると、新木場では京葉線との間に乗り換え改札を設置するだけになる可能性もありますので、そう考えるとやはり埼京線向けの予備車確保は重要な課題になると思います
      貴重な情報ありがとうございました

タイトルとURLをコピーしました