70-000形Z8編成が「先頭車だけ」譲渡された理由を考える

※サムネやイラストでは「70-000系」になっていますが、正しくは「70-000形」です。お詫びします。

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まさかの70-000形九州行き!?

お久しぶりです、全3回の停車駅奇想録の記事書き終え、すっかり意気消沈になっていたゴハチさんです。

まぁそんなボケーっとしている中、私の目に衝撃的な写真が飛び込んできました。

鉄道ファンの待合室
鉄道ファンの待合室

Z8編成の先頭車らしいものが東京港にいた(ブルーシートで覆われているの)

はい、りんかい線の70-000形。

デビューしたのが1996年~2004年と、まだまだ新しい部類ではあるものの、E233系とMT比の違いや、209系ベースゆえの老朽化の進行、さらに非拡幅車体であることから埼京線の車内混雑に拍車をかけていることなどから、新型車両への置き換えが進められることになりました。

そんな新型車両71-000や70-000形の過去記事や待合室さんの記事は、一番下のまとめから見てもらうことにしまして…

そんな中で話に上がっていたのが「70-000形をどこか別の路線に譲渡するのではないか」という話。30年は経過しているものの、車両の機器類はまだまだ製造されているものも多く、終了しているものも2012年前後に行われた更新工事でほとんど取り換えられていますから、まだまだ走らせようと思えば走らせられるわけです。

おまけに、当時の西武鉄道では「他社から譲渡された車両を活用して環境にやさしい鉄道会社を目指す」という、いわゆる「サステナ車」の導入が計画され、これに選ばれるのではないかとさえ言われていました。

サステナ車に選ばれた小田急8000形

ただ、こちらは投入時期と既存編成との廃車の開始時期の関係からか、結局選ばれずじまいに。他社譲渡はお先真っ暗…と思っていた中、もう一つのニュースも飛び込んできました。

提供:ふぺ

サステナ車の発表と時を同じくして、JR九州の筑肥線を走る103系が、デビュー時の塗装に1編成塗り直すことを発表。事実上引退に向けたカウントダウンが始まったことを示唆しました。

しかしながら、九州唯一の直流電化JR線という特異性から、接客設備は共通化できる部分があってもシステムの互換性がないこと。そして当の103系が走っている区間は、乗客が少ない閑散線区であるため、新型車両の導入は行われない可能性が高いと考える人が多くいました。

そこでこれまでの因果関係を踏まえた結果、りんかい線の70-000形をJR九州に譲渡するのではないかという噂が立っていました。

しかし噂は噂。そんなすんなり行くかなぁ…?と思っていたのですが、先日廃車になったZ8編成の先頭2両が東京港に運ばれ、九州行きのフェリーに乗り込んだと、SNSで話題になっていました。

それから2日にわたる長い旅路を終え、70-000形Z8編成の先頭車2両は九州は小倉のJR九州工場に入場したのです。

さぁここで皆さん疑問に感じたかもしれませんが、「なんで先頭車だけ?」というお話。

ここでは、個人的に考えられる説をいくつか考えてみましたので、それを踏まえて書いていこうと思います。

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移動式保安装置の研究用

70-000形の本拠地であった、りんかい線・埼京線・川越線のうち、埼京線の池袋〜大宮間では、移動式保安装置のATACSが使用されています。

これまでの保安装置の仕組み
ATACSの仕組み

ATACSとはなんぞやと思った方、上の画像を見て大体把握してもらえると助かります。(やっとこの画像使える日が来たか)

この機能をJR九州に輸出して、遅延回復機能の向上やコスト削減を行うのではないかという説です。

図にするとこうです。キショい。キショいけど見てみたさある。

ただ、実証実験を行うのであれば、事前にJR九州から告知されているはずですので、それが無いということはその線は無くなったことを意味するでしょう。

なんだったら、アンテナの類は取り外されているようですので、この説はないものとして考えていいでしょう。

ハイ次。

短編成化するため

先頭車の「車体だけ」を貰って、電装品等を付け直すことで走行可能な状態に持っていくこと。

車体だけ譲渡されてそれらに様々な車両の電装品を括り付けるということは、お金の無い鉄道会社では割と行われていることだったりしますね。

床下機器類は取り外されたうえで輸送しているようにも見えましたので、この線も残っている可能性もあります。

また、70-000形にYC1系と同じ仕組みを組み込めば、非電化で残る筑肥線や唐津線などでも活躍できるかもしれませんね。

ただ、断言しましょう。この線は絶対にないです

ディーゼルにするにしても、貫通扉がないので2両固定になりますし、車内改札などのために通り抜けができるようにしないといけないところ、この車両はできないので、トータルのコストを考えたらYC1系を非電化線区には投入したほうが安上がりです。

じゃあ電車に…?と思いますが、新しくパンタグラフの台座を取り付けたり、機器類を移したり…というコストもかかれば、もともと3両だったところを2両に短縮することになりますから、さらなる混雑に拍車がかかることになります。

筑肥線の筑前前原以西の輸送状況について、メンバーに聞いてみたところ

ふぺ
ふぺ

日中時間帯だけど座席はそこそこ埋まってる感じだった

saipal
saipal

九州のトッモ曰く「あそこが2両で足りると思うなら九州舐めてる」とのこと

らしいので、2両化は難しいのかもしれませんね(まぁJR九州ならやりかねない可能性もあるけど…。

ハイ次。

中間に別編成を組み込み4両にする

個人的に有力視しているのがこの説です。

東京臨海高速鉄道70-000形70-011|RailFile.jp
東京臨海高速鉄道の鉄道車両70-000形70-011の側面写真と車両の解説を掲載しています

Rail-File様より70-011号車の側面図のurlを貼っておりますが、パンタグラフのある部分と反対側の車端部に謎の台座のようなものが確認できると思います。

実は70-000形の1次車や2次車はデビュー当時、回生失効対策としてダブルパンタを採用していたのです。当時の台座跡もくっきり残されており、知っている人は知っている沼要素になっています。

さて、なんでこの話をしているかというと、察しの良い方ならわかるでしょう。

そうです。この初期車のモハユニットを活用してダブルパンタの70-000形を復活させるのではないかという予測です。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:JR-Series305-W5.jpg#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:JR-Series305-W5.jpg

その根拠として上げられるのが、303系および305系、ともにダブルパンタを採用しているということ。

提供;ふぺ

なんだったら福岡市交通局から直通してくる車両も含めて、筑肥線の電車は103系以外すべての車両がダブルパンタです。

Wikipediaを見てみたところ、集電電流の関係で採用しているとのことで、おそらくVVVF車両の回生失効対策として運用されているものと考えます。

そういった点を考えると、VVVF制御車の70-000形の転用として、元ダブルパンタのモハユニットを組み込んだうえで、4両編成にさせるのではないかと考えています。

かなり難しい話になるので割愛するのですが、ダブルパンタを組んでいたモハユニットは6両から10両に変更する際に大規模な組成変更が行われ、1編成に2両存在する車両もいることから、そちらから1両を譲り受けるのではと考えることもできます。

※グレーは廃車を意味

図に示すとこうですね。

これならある程度辻褄の合いそうな点はあると思います。というのも、このダブルパンタを搭載していた車両は全部で6本あるのですが、103系の現役本数が5本
そう、足りるんですよ。足りちゃうんですよ。

これも私がこの説を推す一つの要因です。

終わりに

どういう使い道になるのかは自ずと絞られてくる…というかほぼ1択ですが、まさか噂が現実につながるとは思ってもいませんでした。

今後、この九州に渡った70-000形には目が離せない日々が続きそうです。

改めて70-000形Z8編成、新天地でも頑張ってくれ!

あ、あとこつあず鉄道チャンネルさん、ネタ被ってすみませんでした…

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この記事を書いた人

ゴハチさん
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別名:停車駅馬鹿

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  1. 辻本 より:

    70-000形はミャンマー国鉄譲渡

  2. MASA より:

    詳しくわかりやすい解説で、ずっと考えていた事が腑に落ちました。ありがとう。
    …ただ元2パン車は、6両って書いてありますが
    Z1と2が2両ずつ、Z3が1両の計5両です。
    数は丁度ピッタリ足りるので、ご指摘の通りの譲渡になると思います。

    • ゴハチさん より:

      コメントありがとうございます
      実はZ6編成にも元ダブルパンタの車両が1両だけ存在するので、それを合わせて6両となるはず…
      言葉足らずですみません。ただ、現運用だと5両だけで足りるので、その点にも注目して見ていきたいと思っています。

  3. 沿線住民 より:

    筑肥線の、まさに話題の区間の沿線住民です。

    >日中時間帯だけど座席はそこそこ埋まってる感じだった
    それはせいぜい加布里まで。以西は各座席に二人か三人座っていれば多い方。特に平日はガラガラ。

    >あそこが2両で足りると思うなら九州舐めてる
    朝夕立客が出て(増えて)文句が出るかもね、という程度。運ぶだけなら十分足りるよ。
    舐めてるは大げさ。

    本当に70-000が来るかどうかわかりませんが、導入コストの面から、4両編成で投入というのも案外あり得る話かも。
    輸送量を考えたら、鶴見線の205系3両編成の方がふさわしかったと思うけどね。ランニングコストはどっちが有利だったんだろう。

    • ゴハチさん より:

      実績を教えていただきありがとうございます。参考にさせていただきます。

      205系にならなかった理由として大きいだろうと思われるのが「界磁添加励磁制御」だったからだと考えます
      いまの九州だと、界磁添加励磁制御を採用している車両もありませんし、かと言ってVVVF化するくらいなら、最初からVVVFのクルマを持ってきたほうが安いから…っていう判断だったのかなともおもいますがどうでしょうか

  4. ノースウッド より:

    コメント失礼します。今回の仮説を真っ向からひっくり返すようで気がひけるのですが、やはり電装品をくっつけて2両そのまま使うという可能性があるんじゃないんでしょうか?まぁ私もあってほしくはないとは思いますが、相次ぐ減便・減車などのサービス低下をやってきたJR九州ならちゃんとダブルパンタ車のモハユニットを挿入して使えるようにするという綺麗な使い方をするようには思えないんですよね…まぁ流石に私が捻くれすぎてるだけであって欲しいですが

    • ゴハチさん より:

      コメントありがとうございます
      現地の方のコメントだと「2両でも足りる」という意見もあるそうなので、可能性は否定できないのが恐ろしいところですね…
      ちょっと不安ですが、今後も情報に注視していきたいと思います

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