
みなさんは海外の地下鉄に興味を持ったことはありますか?
今回はお隣だけど謎の多い国・中華人民共和国の上海にある地下鉄に実際に乗ってきたので、そのレポートになります。
今回の記事は続編です。前編の上海リニアの記事を読むともっと記事を楽しむことができます。
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はじめに
改めましてこんにちは。もりもりくんです。
今回の記事は上海地下鉄についてお届けするのですが、まずは最初にこちらの画像を見てください。

こちらは上海地下鉄の路線図になります。「東京の地下鉄は意味不明!!!」なんてのはよく言われる話ですが、それに匹敵するどころか超えてくるぐらいの広大な路線網です。
それもそのはず、全部で16路線もありますから。東京メトロは9路線、都営地下鉄の4路線を加えたとしても13路線。上海のほうが地下鉄の路線が多いのです。
上海の人口は約2400万人もいるので、その分路線も密集しているというわけです。
【必読】注意事項
上海があるのは中華人民共和国。ある程度の自由がある日本と違いあまり自由に活動することが許されておらず、特に政治や軍に関しては慎重に対応する必要があります。
地下鉄も例外ではなく、撮影は少々グレーなライン。もしも現地当局に拘束されてしまったら大変危険なので、撮影は控えるか、十分注意して行う必要があります。また、言うまでもありませんが軍の施設などの撮影は絶対にやめましょう。
こちらの記事では十分注意した上で撮影した写真を使用しております。そのためいくつか画像でお伝えできない部分もありますが、ご了承ください。
上海地下鉄のびっくりポイント
まずはタイトルにもある通り、上海地下鉄全路線の路線延長は700km超えの704km。これは東京から広島までの直線距離に匹敵するくらいで、東北新幹線の全距離(東京新青森間)が713kmなので同じくらい。
駅数は449駅で、東海道本線、山陽本線、鹿児島本線を全て足したくらいの駅数があります。
また、16号線の最高時速は120km。11、17号線は100km。果たしてそんなに必要なのかと思いたくなりますが、58kmもあって13駅しかない路線なので案外出せそうな気がします。いや地下鉄でその駅間は果たして地下鉄と言えるのか!?
また、3号線はほとんど地上。それを地下鉄と言い張る勇気。リニア中央新幹線が横浜市営地下鉄グリーンラインより地下率が高いというお話もありますが、これを軽く超えてくるレベル。その他にも地上区間がたくさんあるどころか、途中からほぼ高架の路線もあります。これに関しては理由があるので後述します。
また、上海地下鉄1号線の開通は1993年。そこから30年で700kmの路線を敷設するという、普通では考えられないスピード。まあ中国なので裏がありそうですが…
と、こんな感じで日本の常識で考えるとびっくりするポイントがたくさんあります。これが海外鉄の面白いところ。
最初に面白いポイントをお伝えしたので、次の章では真面目に概要を紹介していきます。
概要と乗車方法
上海地下鉄の運営元は上海軌道交通で、地下鉄の1から4号線、7から18号線の他にライトレールの5・6号線と、新交通システムの浦江線、前回の記事で紹介した上海トランスラピッドがあります。
期間は標準軌の1435mm、右側通行。ここは中国らしさが出ています。
運賃は6kmまで3元、10kmごとに1元づつ加算されます。なお、3元は日本円で63円ほど。まさかの初乗り60円台です。日本ではどう考えてもありえないレベルの安さです。また、小児運賃は身長によって決まり、1.3m以下は無料になります。
切符はこの無骨な券売機で購入します。1台だけ見た目が違うのはICカードのチャージ機です。
路線図からわかりやすく直感的に購入できるので、そんなに苦労しないと思います。

フリーパスもあり、1日乗車券は18元(379円)、3日乗車券は45元(947円)。こちらも激安です。また、それぞれ24時間、72時間有効のため、1日目の昼に買ってから4日目の午前まで使う、みたいな乗り方もできます。なお、こちらは記憶が正しければ窓口で購入するタイプだったはずです。また、日本のSuicaみたいなものもありますが、一部の窓口のみで購入できます。
切符はすべてタッチ式で、タッチして入場、出るときは投入口に返却します。QRコード決済のAlipay・WechatPayを使って乗車することもできます。改札口はすべて自動改札ですが、ここで一つ注意事項が。
上海地下鉄、というか中国の鉄道はだいたい乗車前に手荷物検査があります。空港の保安検査場のようなイメージで、手荷物をX線検査機に入れてから係員に機械で検査されます。他の方が通る様子を見て通り抜けましょう。そこから改札口になります。
次の章では、車内や駅の様子をお伝えします。
実際の光景
まずは駅から見ていきましょう。まずは改札口から。
荷物検査をくぐり抜けた先に改札口があります。日本の鉄道と違い両側通行の改札機はなく、片側通行の改札機のみです。新しいタイプと古いタイプがありますが、基本的には同じです。

駅の看板は基本的に中国語と英語が併記されています。日本人でも英語を見れば理解はできますし、中国語は漢字なのでニュアンスは感じ取れると思います。看板を見て目的の場所へ向かいましょう。

ホームはほとんどホームドアが設置されており、一部の古い駅を除いてフルスクリーンなので撮影は厳しめです。
駅名標はドアの前、隣に路線図もあるので行きたい駅へはどの電車に乗ればいいか確認します。
また、特徴的なのがホームの壁にある駅名。一般男性の身長くらいの大きさの文字で駅名が書かれているので、今自分がどこにいるのか一瞬で把握できますね(白目)。

上海でも乗車マナーは日本と大きな違いはありません。が、降りる人が先というマナーはあってないようなものでみんな突撃してきます。こちらも負けじと突撃しましょう。

それでは車内に入っていきます。ホームと車両の隙間が全然ないので、安心して乗車することができます。
上海の地下鉄に日本ほどの乗り心地を期待するのは無理な話です。最初から全員しっかり捕まっている前提で電車が走っていますので、しっかり手すりや吊り革につかまっておきましょう。揺れる分、日本の電車より多めに手すりが配置されています。

現在位置の把握はドア横のモニター、通路上部のLED表示器で確認できます。
ドア横のモニターは上海地下鉄全路線に設置されています。表記こそ中国語ですが、日本語と同じ漢字なのでわかると思います。なお、たまに壊れていたりする。
座席は当然プラスチックの硬いやつです。乗り心地は言うまでもありませんが、我慢しましょう。
優先席は車端部ではなく、シート端に配置されています。

目的地に着き、下車するときは切符なら投入口に投入、1日券や3日券ならタッチ。荷物検査はありません。
ちなみに、上海地下鉄の駅は基本的にエスカレーターが爆速です。
どれくらいかというと、東急横浜駅の高速エスカレーターより速いです。
しっかり手すりに捕まってください。歩く人はおらず、二列で乗ります。
【路線紹介】2号線
ここからは私が乗った路線から2つ紹介していこうと思います。
まずは上海地下鉄の中でも早期に建設された2号線です。
路線距離 | 63.8km |
駅数 | 30駅 |
最高時速 | 80km/h |
開業 | 2000年 |
起点 | 国家会展中心 |
終点 | 浦東1号2号航站楼 |
両数 | 4・8両 |
運転間隔 | 4分〜7分20秒 |
電化方式 | 直流1500V 架空電車線方式 |
上海地下鉄の中では比較的乗車人数が多く、中心路線の1個です。空港や上海トランスラピッド、買い物の中心地の南京路など、様々な使い方ができます。
運行区間は2分割されており、空港付近は4両編成、それ以外は8両編成で運行されております。
乗り換え可能な路線も多く、上海に行くなら必ず乗る路線と言っても過言ではないと思います。
その分混雑も激しく、特に日本と同じようにある朝夕のラッシュは避けたほうがいいかもしれません。
ただ空港付近はそこまで混雑しておらず地上を走ることもあり風景ものどか…ではないですが民家や畑が広がっています。
ラインカラーは黄緑。ただ古いので明るい印象はあまりないです。
【路線紹介】17号線
次はかなり飛んで17号線。こちらは比較的新しい路線で、郊外を走ります。更に最近、1駅だけ延伸しました。

路線距離 | 41.6km |
駅数 | 14駅 |
最高時速 | 100km/h |
開業 | 2017年 |
起点 | 西岑 |
終点 | 虹桥火车 |
両数 | 6両 |
運転間隔 | 7分〜10分 |
電化方式 | 直流1500V 第三軌条方式 |
こちらの路線は開業が2017年と比較的新しく、また最後の東方緑舟から西岑駅まで延伸されたのが2024年11月、つまりこの記事の執筆時点で2ヶ月前くらい前に開業したことになります。とにかく新しいので、その分面白いポイントも多い路線です。
こちらの駅の起点、虹橋火車駅駅←!?!?は高速鉄道が複数路線乗り入れる駅で、「火車」とは高速鉄道という意味。つまりこの駅名は「高速鉄道の上海虹橋駅の最寄り駅」という意味なわけです。いや駅駅ってなんやねん。
そして私が訪れたのがこの朱家角駅。

朱家角といえば上海有数の観光地で、水路が張り巡らされた水郷の街として有名。その最寄駅ということで、駅はもちろん超ビッグ。サイズ感的には日本でもターミナル駅的な感じですが、ただの1面2線です。人は多いけど。
この駅から朱家角までは15分ほどでアクセス可能で、美味しいご飯や美しい景色、ショッピングを楽しむことができるのでぜひ行ってみてください。
最近開通した東方緑舟から西岑は13kmもあり、おおよそ地下鉄とは考えられない駅間になっているほか、17号線はかなりの距離が地上区間、しかも高架線になっています。そのくせ、上海地下鉄では珍しい第三軌条を採用しているので謎。
沿線風景はなかなか中国らしい景色で、広がる畑や野原の中に、突然同じ見た目のビルが十数個出てくる、といった光景が繰り返され、地下鉄は日本鉄道建設公団もびっくりの高架フル規格。韓国とか中国にこういう光景が多い印象です。

ラインカラーは淡茶色。当然車両も駅もきれいで新しい印象です。
17号線は以上の通り、高速鉄道の乗り入れるターミナル駅からニュータウン、観光地を結ぶ様々な側面を持ち合わせた路線です。
上海地下鉄の役割
さて、ここまでは乗車レポート的でしたが、ここの章だけは考察系にチェンジします。
上海の地下鉄はそのあまりにも広大な路線網や多すぎる地上区間、田園風景を突っ走る日本の地下鉄の常識が通用しない地下鉄ですが、もちろん理由があります。
1.上海という街と地下鉄
上海という街は国際的な影響を強く受けており、アヘン戦争以降から欧米による中国分割や日清戦争・日中戦争での日本の干渉など様々な国から影響を受け、1990年代からは浦東新区の開発など高度経済成長を続けました。

そして上海地下鉄1号線の開業は1993年。ちょうど高度経済成長の時期にあたり、高い経済力を背景に上海の地下鉄は凄まじいスピードで広がっていきます。ちょうどその頃上海を訪れた母も「上海はもっと小さかった」と語り、上海の発展のスピードが伺えます。
そして近年では上海郊外でニュータウン開発、また上海中心部でも昔からの町並みを取り壊してどんどん新しい建物が建てられるなど、発展は方向を変えつつも続いています。
その流れと同じように、上海地下鉄も郊外にアクセスする17号線の建設やその他多数の計画線など、発展は止まることを知りません。
2.上海の交通事情
もちろん、上海にもJRのような在来線は存在します。ですが、私鉄などはなく、在来線も長距離輸送に特化して上海市内の短距離需要には応えられません。
そんな中市内の鉄道を全て請け負っているのが上海地下鉄。上海地下鉄は地下鉄と表現するのではなく、地域間輸送を担う普通の鉄道と捉えるほうが適しており、地上線の多さはここから来ています。
郊外への延伸もその一面から来ており、一部の路線は上海市を飛び出す始末。もちろんそのような郊外路線は地上区間が多く、2号線の空港付近や17号線がその例です。
上海の鉄道事情は長距離輸送の在来線と、市内や近郊路線を担う地下鉄によって構成されているのです。
3.これからの上海地下鉄
現在最新の路線は18号線ですが、計画線が多数あります。既存路線の延伸や、19〜23号線の建設が進行中。更に計画は26号線まであり、まだまだ延伸が続いていきます。
ただ上海の不動産業は近年衰退気味で、日本で言うところのバブル崩壊と平成不況のような状況になってきています。果たしてこれらの路線が本当に建設され、開業するのかはわかりません。
地下鉄で行けるおすすめの観光地
地下鉄が面白いのはわかったけど、どこから乗ればいいかわからない…
という方のために、地下鉄の駅から行けるおすすめの観光地を紹介します。
1.豫園
10号線・14号線が乗り入れる上海中心地に近い豫園駅。駅の近くに駅名にもなっている庭園、豫園があり、
上海でも有数の観光地で中国らしい庭園と小籠包やお茶などのグルメ、たくさんのお土産屋があります。
とても行きやすいのでおすすめです。

2.朱家角
続いては17号線の乗り入れる朱家角駅。上海郊外でかなり時間はかかってしまいますが、速い・地上・高架・景色が田舎と大都会を繰り返すなど、上海地下鉄の異質さを詰め込んだ17号線にたくさん乗れると考えたらワクワクしてきませんか?
肝心の中身は水郷の町。中国には同じような水郷の町がたくさんあり、そのうちの一つです。
こちらも川沿いに立ち並ぶ屋台料理がめっちゃ美味しいのと、とにかく景色が美しかったです。

3.南京路
こちらは上海中心部のショッピングの中心地で、人民広場から浦江新区という一大観光地を結ぶ道。
途中には大きなショッピングセンターが数多く立ち並び、ちょっと横道に入れば小さな食べ物のお店が立ち並びます。
最寄り駅は2号線と10号線が乗り入れる南京東路駅と、1号線・2号線・8号線が乗り入れる人民広場駅。
とりあえずここに行けばなんでもあるので超おすすめです。

最後に
いかがでしたか?自分も実際上海に行く前は海外の鉄道に興味を持っていなかったのですが、上海地下鉄が面白くて結構興味が出てきました。日本の鉄道が好きな方も、少し飽きてきた方も、海外の鉄道に目を向ければ日本の常識が通じない鉄道に夢中になれると思います。
ちなみに、最近日本では消滅してしまったトロリーバスも、中心地でガンガン走ってたりします。

しかも今はビザが免除されています!私が行ったときは免除直前だったので余計に1人1万円払っていましたが、もうその必要はないんです。物価もそこまで高くないので、初めての海外旅行にはピッタリ!向こうの人々も、少々乱っぽいですが基本的に優しい方ばかりです。
政治的イメージからあまり良くないイメージがある中国ですが、一度イメージを捨て去って行ってみてはどうでしょうか。きっと楽しめると思います。
参考にしたサイト


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