【何が来る?】左沢線キハ101系の置き換えを考察してみた

こんにちは。こづるしんでんです。

今回は気動車ネタ、左沢線を走るキハ101系について考察していこうと思います。

山形駅から寒河江・左沢までのわずか24.3km。営業キロは短いけど、沿線人口はそこそこ多く、ラッシュ時には結構混むこの路線。キハ110系列の置き換えが進んでいる中、このキハ101系ももうすぐ引退……

……というわけで、今日はキハ101系の置き換えをどうするかを考えてみました。

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キハ101系について

左沢線のキハ101系は、1993年に登場しました。
それまで左沢線を走っていたのはキハ23やキハ58といった国鉄型ディーゼルカーでしたが、老朽化が進んでいて、一応冷房装置もついてましたが、まあtheローカル線といった感じでした。

当時の国鉄末期の地方線区は「新車など望めない」というのが常識でしたから、左沢線に「独自仕様の新型ディーゼルカー」が入ったのは、衝撃的な出来事でした。
ただ、設計はあくまでローカル専用で、16m級・オールロングシートという極小設計。過去に20m級のキハ40系が活躍していたので、べつに20m級でも良かったと思うんですけどね……

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16m級?20m級?

まず車体を何メートルの新車を導入するかについて考えていこうと思います。

ご存知の通り、キハ101系は16m級の車体を採用しています。気動車が走るローカル線では今も16m級の車両が走っていますが、最近のJR東日本では20m級の車体へとシフトしている……気がします。

混むことで有名な路線なので、20m級の車体にしてもいいんですけど……沿線は駅ホームも短いし、カーブも急。だから16m級じゃないと入れないんじゃないか? というのが素朴な疑問。

という感じで悩んでいたところで、見つけたのが代走の実績。

左沢線でキハ110系が代走|鉄道ニュース|2023年10月7日掲載|鉄道ファン・railf.jp
JR東日本左沢線(山形—左沢間)で使用されている山形新幹線車両センター所属のキハ101形13両は左沢線専用車両で,朝の混雑時に

車両不具合などによる車両不足から,10月3日(火)から,仙台車両センター小牛田派出所属のキハ110系4両(キハ111-216+キハ112-216+キハ111-113+キハ112-113)がキハ101形の運用の一部を代走しています.

https://railf.jp/news/2023/10/07/043000.html 【2023年10月7日付】

2023年6月、キハ101系の運用に穴が開いたとき、なんと小牛田の キハ110系(20m級) が代走に入ったんです。
しかも、ただの1往復じゃなくて6両運用(キハ101×6)の山形〜寒河江間をキハ110×4で代走。

ということは、普段からキハ101の6両編成が走っている寒河江〜左沢も含め、「20m級でもフル区間走れる」ということが完全に証明されました。
つまり次期車両は20m級でも問題なし。むしろ輸送効率の観点からは20m級を入れた方が絶対に有利です。

現状の運用

では現状、左沢線の輸送体系はどうなっているのでしょうか

・日中:2両編成(キハ101×2)

・ラッシュ時:6両編成(キハ101×6)、もしくは4両

で、この2つを定員で比較してみます。

キハ101:1両で107人、16m → 6両で642人、96m

キハ110:2両で267人、20m → 4両で534人、80m

つまり キハ101×6 ≒ キハ110×4。さらに、全長で考えるとかなり近い感じである、ということがわかります。
代走が成立した理由はここにあります。6両編成を4両編成で代替しているので若干減車になりますが……まあ宇都宮線・日光線の減車よりはマシでしょうかね。

20m級を入れるなら?

ここからが悩みどころ。

・単行運用を作る?

・今と同じで2両固定で運用を組む?

・3両編成も導入する?

というのも、左沢線の駅に20m級x6両が入るスペースがあるとは思えないんですよね。全長が100mになる20m級x5両での運用を作っても良いんですけど、そうすると2両編成と3両編成の運用を組まなきゃいけないので取り扱いがめんどくさいんですね。日中の閑散時間帯なら単行でも回せるかもしれませんが、検査予備や運用整理を考えると2両固定の方が圧倒的に扱いやすいです。

まあ結論としては、ラッシュ時は4両、日中は2両で考えていきたいと思います。これで十分対応できるはずです。

実際にダイヤを組んでみた

という感じに考えてきましたが、本当にできるかはダイヤを組んでみないとわかりません。
そこで実際に現行時刻をベースにダイヤを作ってみました。列車本数は同じですが、

  • 朝ラッシュ:基本4両、4両は寒河江で2両切り離し、残り2両を日中運用へ
  • 日中:基本2両編成
  • 夕ラッシュ:基本4両で往復。

最終的に、日中2両・ラッシュ4両という運用がもっともうまくいきそうですね。
この場合、現行13両配置のところ、 10両体制(2両×5) になりそうで、車両配置数を大きく減らすことができそうです。左沢線はよく車両不足になっているので、もう少し車両数を増やしてもいいかもしれませんが……まあそれは適宜考えましょう。

どんな車両が来る?

さて、ここまで考えてきたところで、具体的にどんな車両が投入されるのかについて考えていきましょう。

普通に20m級の車両が入れるので、ほとんどの気動車やHBは入線できそうですが……

HB-E220系?

まずは新製真っ最中なHB-E220系から。JR東日本のハイブリッド気動車の最新型で、釜石線や八高線に投入されています。

メリットは、なんといっても3ドア+オールロングであること。ドア数が増えればその分乗降も楽になりますし、混むことで有名な左沢線にはピッタリですね。

デメリットは……特に思い付きませんが、まあGV系統より少し高価になってしまうとかぐらいでしょうね。

EV-E801系?

EVのガラス、よく見るとEVが映り込んでる

はいつぎ。HB-E220系を投入するのもいいけど、ここはあえてEV-E801系を投入するのはどうでしょうか。

EV-E801系と言えば、秋田地区の男鹿線で走っている蓄電池電車です。
この車両は交流電化区間でバッテリーに充電し、非電化区間をバッテリー走行する仕組みで、3ドア、オールロングシートの車両です。2両で1編成であり、まさに左沢線サイズです。

では、EV-E801系(またはそれに準ずる車両)が投入されると考える理由やメリットについて考えていきましょう。

路線全長がほぼ同じ

しかも路線全長を比較すると……

  • 左沢線:24.3km
  • 男鹿線:26.3km

……距離がほぼ同じ!

EVは電池に溜めた電気で走行するので、あまり距離が長すぎると電池切れしてしまい導入が難しくなってしまいますが、左沢線ならそんなことはなさそうです。

途中に交流電化区間がある

しかも山形駅~北山形駅の間は既に電化済み。
さらに、反対側の車庫のある寒河江駅を電化・充電対応にすれば、左沢駅に設備を置かなくても往復できるのです。

つまり:

  • 山形駅で充電
  • 寒河江駅でも充電
  • 左沢駅は完全非電化のまま

という運用が可能になります。これは画期的。

混雑緩和につながる

EV-E801系は拡幅車体+3ドア+ロングシートという、混雑路線向けの仕様になっています。これなら、2ドア・ストレート車体のキハ101系よりも乗降を楽にできそうです。

郡山への入場回送が自走で可能

あとこれはおまけ。キハ101系は郡山で検査を行っていますが、途中経由する仙山線の勾配を越えられないせいで(エンジン?)ED75が牽引して運んでいきました。

ですが、EV系統の車両なら仙山線区間も架線からの電気で走れるので、郡山まで自走で回送することができます。つまり、機関車が必要な仕事を減らせます!

EVの課題についても考える

もちろん、「バッテリー車すごい!便利!」というわけでもなく……
EV-E801系みたいな蓄電池電車には、それなりに悩ましいポイントもあります。

  • バッテリー劣化:スマホと同じで、充放電を繰り返すとどうしても性能は落ちます。将来的には電池交換が必要になります。
  • 寒冷地での性能:舞台は山形、雪国です。EV-E801系は秋田で運用されているので寒さは大丈夫だと思いますが、立ち往生したときは不安です。
  • 設備投資:寒河江あたりで充電できるように工事が必要。これも費用がかかりそう。

――とまあ、導入すればバラ色というわけでもなく、現実的なハードルはいくつもあります。ここをどう乗り越えるかが、EVの成否を分けるカギですね。

まとめ

ここまで段階を踏んで考えてきた結果を整理すると:

・16m級縛りは不要。20m級の車両でいい。

・編成は基本2両、ラッシュ時は4両

・EV-E801系投入なら、寒河江に充電設備設置だけでOK、投入するなら10両。

・HB-E220系投入なら、10両投入。

つまり、

  • 気動車更新なら「HB-E220系」
  • 電車化なら「EV-E801系の山形版」

のどちらかである、と考えられます。どちらにせよ、左沢線は面白そうな未来を抱えていますね。

お隣山形線では719系の置き換えが始まっていたりと……山形のあたりの鉄道の今後の動向から目が離せませんね。

最後までご覧いただきありがとうございました。

この記事を書いた人
こづるしんでん
こづるしんでん
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コメント  ご意見やご感想等お気軽にどうぞ。

  1. 多摩丘陵の人 より:

    編集おつかれさまです。
    HB-E220系ですが、両運転台20mで定員が103名とキハ101と大差ありません。トイレを撤去すればいくらか増えるとは思いますが、ハイブリッド設備が車内に食い込んでいるので17m6両とほぼ同じ長さの5両を繋げてもラッシュ時の輸送力にやや難がありそうです。
    EV-E801系の場合キハ101の6両の定員が642名のところ4両で524人とやや不足気味(というか110よりも少ない)ですが、少子高齢化の進む現状を考えると十数年後にはちょうどいいような気もします。
    以上のことから、もうしばらくキハ101を使い倒してEV-E801やFV-E991をベースにした新型車両で置き換えるのではないかと思います。※使い倒すとHB-E220やEV-E801はそのまま導入するには旧式化してしまうため。
    JR東日本の通勤需要が高い非電化路線は八高線含めてほぼ置き換えが完了ないし計画されています。ローカル線のキハ110や快速はまゆり指定席などを置き換えるための新形式(クロスシート)を起こして流用することも考えられますが、どちらにせよオールロングトイレなしの新規番台区分になるのではないでしょうか。

    • コメントありがとうございます。なるほど、確かに定員の数字で見るとHBもEVもキハ101よりも少なくなりそうですね。

      キハ101をもうしばらく使い倒して、その間にEVやFVベースの新形式を、という視点、確かにありそうです。ただ、左沢線のキハ101には延命工事が施行されていないことや、郡山への検査入場時にGVを持ってくる必要があるということを踏まえると、そこまで遠くないうちに置き換えられるのではないかな?と考えています。

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