
こんにちは、こづるしんでんです。
2026年3月23日から運行開始が予定されている「荷物新幹線」。東北新幹線では、やまびこ号と併結する形で盛岡〜東京間を平日に運転しスタートする予定です。
これに使用される車両として、E3系L69編成が改造されました。
今回は、このL69編成がどのように変化したのか、そして荷物新幹線としてどう使われるかを見ていこうと思います。
「荷物新幹線」の登場
新幹線物流サービス「はこビュン」
JR東日本では、2021年から「はこビュン」という名称で、新幹線や在来線特急などの列車を活用した荷物輸送サービスを段階的に行ってきました。
当初は実証的な意味合いが強く、列車の空きスペースを活用した小規模な輸送から始まりました。客室の一部やデッキスペースなどに荷物を載せる形でトライアルが行われ、その次の段階として登場したのが、東北新幹線での貨客混載輸送です。
E5系で行われた貨客混載輸送
新青森発東京行きの列車である「はやぶさ50号」では、E5系の編成のうち1号車・2号車を締め切り扱いとし、そこに荷物を積み込む形で輸送が行われました。ただし、3〜10号車の残りの車両は通常通り旅客営業を行います。毎週金曜日に実施され、最大200箱程度の定期輸送ができるようになりました。
こうした実証実験を通し、次の段階として登場するのが今回の本題である「荷物新幹線」です。
計画ではE3系1編成の客席を撤去し、車内を荷物スペースとして改造することで、編成全体を荷物専用列車として運行できるようにするとされています。
改造されたL69編成を見る

今回荷物輸送用として改造されたのが、E3系L69編成です。
もともとは山形新幹線で活躍していたE3系2000番台の1編成でしたが、今回の改造に伴い車両番号や形式にも大きな変化が見られます。
まず、従来の山形新幹線カラーとは異なる新しい塗装が採用されました。屋根上の塗装は行ったがそれ以外の車体側面は白色になっており、E926形East-iのような印象も受けます。
荷物輸送専用列車としての運用を想定し、事業用車両のような塗装になっており、ある意味「新しいE3系」という感じですね。


| ←盛岡方 | 東京方→ | |||||
| 17号車 | 16号車 | 15号車 | 14号車 | 13号車 | 12号車 | 11号車 |
| E372-1 | E375-1 | E378-1 | E376-101 | E379-1 | E376-1 | E371-1 |
また、車両番号にも大きな変化が見られます。
元々L69編成は山形新幹線用のE3系2000番台でしたが、改造後は「E371形」「E376形」といった新しい形式番号へ変更されています。車番は「E371-1」など1番から振り直されており、これは従来の2000番台とは別グループに振り分けられたことになります。おそらくこのE371の「7」は貨物用として新たに用意されたのかもしれませんね。
また、実質的にE3系0番台が4年ぶりに復活したことにはなります。

また、車内は座席が撤去されており、荷物を台車に乗せたまま輸送できるそうです。
それでは、編成を東京方から順に見ていきます
11号車 E371-1

11号車で東京寄りの先頭車が E371-1。元の車番はE311-2009です。
山形新幹線時代にはグリーン車として使用されていた車両で、他の車両と比べ窓の間隔が広くなっていることがわかります。今回の改造では客席が撤去され、荷物輸送用のスペースとして使用されるとみられます。
また、反対側のデッキの部分には、農産物のアピールのラッピングが、こちら側には医療関係品のアピールのラッピングがされています。
12号車 E376-1

中間車である12号車は E376-1。元の車番はE326-2009です。
山形新幹線時代には普通車として使用されていた車両で、パンタグラフが搭載されています。
窓にはこビュンで輸送するもののイメージがラッピングされていますね。手前の窓の桃みたいに、ちょくちょく窓からこぼれ落ちているのも面白いデザインですね。
13号車 E379-1

中間車である13号車は E379-1。元の車番はE329-2009です。
ちなみに、客室内のコンセントは撤去されてないとか。それはまあ使うかもしれないからわかるのですが、デッキの化粧室とかはどうなったんでしょうか。ちょっと気になります、
14号車 E376-101

中間車である14号車は E376-101。元の車番はE321-2109です。
パンタグラフが設置されています。
15号車 E378-1

中間車である15号車は E378-1。元の車番はE328-2009です。
山形新幹線時代は普通車として使われていました。そういえば、方向幕は無表示で運転するのでしょうか。正確な列車の愛称は決まっていない(というかない)らしいので、何かしらの幕をつけて欲しいところではありますが厳しそうですね。
16号車 E375-1

中間車である16号車は E375-1。元の車番はE325-2009です。
盛岡方の車端部にははこビュンのロゴがかなり大きくラッピングされていますね。
17号車 E372-1

盛岡寄りの先頭車が E372-1。元の車番はE312-2009です。
特徴的なのは、ドア部分を思いっきり使った水産物のラッピング。白い車体なので、かなり目立ちますね。一方他の中間車と異なり、窓部分への装飾はあまりされていません。
どんなダイヤで運転される?


現在のところ、完全に独立した貨物列車として走るのではなく、既存の定期列車に併結する形の様です。具体的には、盛岡発東京行きの 「やまびこ56号」(56B) に併結して運転するとのこと。
流れとしては、おおよそ次のような運用になると考えられます。
- 朝:仙台 → 盛岡(回送)
- 盛岡の車両基地で荷物を積み込み
- やまびこ56号に併結して盛岡 → 東京
- 東京の車両基地で荷物を降ろす
- 夕方:東京 → 仙台へ回送
この方法であれば、新たにダイヤを設定する必要がなく、既存の列車を活用できるといったメリットがあります。
特に、盛岡と東京の車両基地で積み下ろしを行う方式であれば、駅ホームでの作業を避けることができるため、旅客列車の運行にも影響を与えにくいと考えられます。
荷物新幹線は主に平日に定期運行を行うとのことで、E3系0番台が臨時「はやて」で盛岡への運用があった時以来、約6年ぶりに福島以北で定期的にE3系を見れることになりますね。
なぜE3系が使われるのか?

今回の荷物新幹線に使用されるのが、E3系L69編成です。では、なぜ数ある新幹線車両の中からE3系が選ばれたのでしょうか。
まず一つ目は、余剰車両の活用という点です。
E3系は山形新幹線で長年活躍してきましたが、E8系の導入に伴い全編成が山形新幹線から撤退しました。多くの編成が余剰になったため解体されており、今回のような新しい用途に転用しやすい状況にあります。
二つ目は、他形式との併結が可能な点です。
E3系はもともと東北新幹線でE2系やE5系と併結して運転されてきた車両であり、既存の定期列車に連結する形で運転する今回の方式とも相性が良かったのではないでしょうか。
そして三つ目は、編成の長さが比較的扱いやすいことです。
E3系は7両編成で構成されており、10両編成の新幹線と比べるとコンパクトです。貨物輸送の実証段階としては輸送量と運用のバランスが取りやすく、試験的な取り組みとしてもちょうどよい規模といえるでしょう。
こうした条件が重なり、今回の荷物新幹線にはE3系が選ばれた可能性が高いと考えられます。
今後はどうなる?
今回改造されたL69編成は、JR東日本としては初となる本格的な荷物専用新幹線となる見込みです。
これまでの「はこビュン」は、旅客列車の空きスペースを活用する形が中心でした。客室の一部を締め切ったり、デッキスペースに荷物を載せたりするなど、あくまで旅客輸送の延長線上にある取り組みでした。
しかし今回のL69編成では、編成全体を荷物輸送に使用するという点が大きく異なります。
改造では客席がすべて撤去され、車内は荷物を積むためのスペースに変更されています。カゴ台車などをそのまま積み込める構造になっているとみられ、輸送量は最大で約1000箱とされています。この1000箱という数字は、宅配便の一般的なサイズで考えると大型トラック1〜2台分程度に相当する規模です。
つまり新幹線1編成で、都市間の物流をまとめて高速輸送できるということになります。盛岡〜東京間を約2時間で結ぶ輸送スピードを考えると、航空貨物に近い役割を鉄道が担う可能性もあると言えるでしょう。
ただ気になるのは運行本数の少なさ。
1日上り1本のみは流石に少なく、また盛岡への送り込みや仙台への返却など、回送が余計に多く存在しています。もちろんAGVを使った荷物積み込みがまだ習熟しきってはおらず、作業時間に余裕を持たせたかった……という側面もありそうですが。
将来的には積み込み/積み下ろしにかかる時間を短縮し、1日2〜3往復程度まで拡充されるといいなあと考えます。
まとめ

今回登場したE3系L69編成は、JR東日本としては初となる本格的な荷物専用新幹線となります。
まだ試験的な段階ではありますが、もしこの取り組みが成功すれば、新幹線による物流ネットワークという新しい分野が広がっていくかもしれません。
今後、実際にどのような形で運用されるのか。そして新幹線物流がどこまで広がるのか。引き続き注目していきたいところです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
参考:https://www.jreast.co.jp/press/2024/20250304_ho02.pdf

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