みなとみらい線開業&デビュー21周年!Y500系の内装をみる【17901MiniArticles】

おわびとお願い

当記事は複数箇所において、情報や出典、画像の不足が見られます。記事公開後も随時情報更新を行い改善いたしますので、情報の訂正やご指摘、記事内容に関するご質問を、どうぞお気軽にコメント欄へお寄せください。

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はじめに

みなとみらい21線・通称みなとみらい線が開業したのは、当記事公開時点でちょうど21年前の、2004年(平成16年)21日のことでした。一昨日の東急東横線横浜~桜木町間の廃止と、それに伴う東急桜木町駅・高島町駅の営業終了、さらには東白楽~横浜間の地下線切り替えと、史上稀に見るほど横浜界隈の鉄道が盛り上がりを見せた日でもありました。そして皆々の興奮が冷めやらぬ中、足掛け11年の建設工事を終えたみなとみらい線の開業は、それらのハイライトであったことでしょう。

そんなみなとみらい線の開業と同時にデビューしたのが、今回の主役たる横浜高速鉄道Y500系です。Y500系は東急電鉄の当時の最新鋭車両である5000系(狭義)と共通設計を行っているため、内外装に数多くの共通点があります。また上回りについては、共通設計である5000系ともども、当時のJR東日本の最新鋭・E231系の影響を受けています。しかしながら、内外装ともども配色を変えることにより、これらの車両と差別化を図っているのが特徴です。

みなとみらい線の各駅のデザインが、開業同年にグッドデザイン賞を受賞しているほど優れていることは、皆さんご存じのとおりでしょう。しかし、Y500系の内装も、それらに負けじと個性を放っています。では、Y500系の魅力的なポイントを交えつつ、内装を観察してみましょう。

Photo by 方向幕量産者さん https://freedomtrain.jp/author/houkoumaku/
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Y500系の内装の現況

ふたつの出自・内装観察方針

まず、Y500系には二つの出自が存在します。

  • みなとみらい線開業に合わせて製造されたグループ(8連6編成(Y511ーY516F)・5編成残存・5000系2次車相当)
  • 東急5050系を譲り受けたグループ(8連1編成(Y517F)・5000系4次車相当)

当記事では、基本的に両者の内装を比較するという方式を取りつつ、内装を観察することとしました。

(この事故の詳細は別の方にお任せします)元住吉駅追突事故においてY500系Y516Fが当該編成となり、それの穴埋めとして、現Y517F・当時の5050系5156Fが横浜高速鉄道へ譲渡された経緯があります。しかし製造時期の違いやY517Fに施工された後天的な内装工事によって、両者間でさまざまな形態差分が生じることとなりました。そのために、両者の内装を比較するという方式を取ることとしました。

Y511ーY515FとY517Fの共通点

化粧板・床材

ライラック系の色調でエレガントな感じというのが、5000系列ベースの内装をY500系たらしめる根幹です。ライラック系の色調というのは「やや灰色い紫系の色」と説明される色調で、エレガントさは忘れない一方で気取らないような、横浜のオシャレさをうまく演出している色合いだと感じます。床材も、本家5000系列よりも若干紫がかったものに見えます。

申し遅れましたが、Y517Fは、2018年5月から9月にかけて化粧板・モケット・LCD筐体をY500系の既存編成にほぼ準拠した仕様に更新されています

また化粧板そのものも無地ではなく、細やかな模様がちりばめられています。なかでも、Y516Fまでのグループは妻面上部のFRPにまで模様が入っておりこだわりを感じます。筆者の知る範囲では、同じような構造の妻面を持つ車でFRPにまで模様が入る車は、Y500系(-Y516F)以外存在しなかったはずです。

座席モケット

横浜スカーフをモチーフとした美しいモケット。スカーフ柄を保存したデータベースから選定されたものであるという。

ライラック系の色調の化粧板に呼応して、日本国内の鉄道車両としては珍しい濃い紫色のモケットを採用しています。また優先席モケットは区別のため青色としていますが、一般席と優先席でモケットを変えるのは直通先の東急では廃れてしまった文化のため、東急車ベースの車としては貴重なものです。

またモケットの絵柄として、横浜の特産品である「横浜スカーフ」をモチーフとしたものが採用されました。船を係留するのに使用するロープや舵輪、ランプ、帆船で使用されていた滑車を盛り込んだ柄となっており、在りし日の横浜港を偲ばせます。なお、優先席モケットも同様の図柄です。

LCD

全扉上に15型(縦:横=4:3)LCDが設置されています。すでに東急5000系列からは消滅した15型LCDですが、Y500系ではY517F含めて健在です。しかしLCDの更新計画がすでにあるため、お早めの記録をお勧めします(詳細は後述します)。

その他

そのほか

  • 荷棚
  • スタンションポール
  • 化粧板

などが、両者で共通しています。

Y511ーY515FとY517Fの相違点

座席周り

幅・高さ(㎜)
座席幅450
座面高さ430
座席奥行550(座面奥行430)
両者の寸法は共通

Y511ーY515(Y516)F

Y517F

一番目につく相違点と言えば、やはり座席でしょう。

Y511-Y516Fと共通設計の東急5000系2次車では、3000系にほぼ準じた座席を採用しており、これらと同じものをY511-Y516Fでは採用していました。その後、3次車から6次車まではE231系近郊タイプ(国府津・小山後期)と同一品を採用することとなりました。いわゆる新系列座席です。Y517Fは先述の通り5000系4次車相当の車ですから、座席が従前の編成とは全く異なるものとなったのです。

また座席下のシーズヒーターについては、Y517Fは斜め吊りの形となりました。

余談

Y500系の座席は、現存するいずれの編成も原型を留めていないことをご存じでしたか。

Y511ーY515Fについては、2017年から2018年ごろにかけて座ぶとんにバネが仕込まれる改造がなされましたが、改造後の座面は中央が盛り上がったような見た目となり、特徴的に見えます。

同年中に消滅したと思われた原型の座席でしたが、実は3年ほど前、2022年に原型の座席を間近で見られる機会がありました。

https://www.rekihaku.city.yokohama.jp/koudou/see/kikakuten/2022/202203_mintetsu150th/

2022年に横浜市歴史博物館にて行われた特別展『みんなでつなげる鉄道150年 —鉄道発祥の地よこはまと沿線の移り変わり―』では、数多くある展示品の一つとしてY500系の座席を展示していたのですしかも消滅したはずの原型のものを。個人的には、この座席をもう一度どこかで展示していただけないかなと……。


明らかに座面の見た目が違うことが見て取れるだろう

そしてY517Fは、Y517Fとして再デビューした時期と内装を更新した時期がずれたことにより、座席が原型を留めていない扱いとしました。Y517Fが再デビューを果たした直後は、このような座席をしていました。

車番表記をY500系とそろえた程度で、車内は東急5050系そのままです。一方で座席は同じもののように見えますが、アニメーションで比較すれば、違いが分かりやすくなることでしょう。

とはいえこれ以上申し上げると記事が冗長になってしまうので、また別の機会にお話しすることにしました。次回作をお待ちくだされば幸いです。

Y500系東急5000系列の座席については、過去にそれらの全種類を網羅した記事を公開しております。よろしければご覧ください。

妻引戸

妻引戸も両者で異なります。Y511-Y515F2019年ごろ、Y517F5156F時代に、化粧板なしの妻引戸から傾斜式・化粧板付きの妻引戸に交換されています。ただしY517Fについては、内装更新時に妻引戸の化粧板が交換されています。

妻面FRP

Y511ーY516Fでは妻面上部のFRPにも化粧板と同様の模様が入っていましたが、Y517Fではそのようではありません。

天井周り

Y511ーY516FY517Fでは、天井周りも大きく異なっています。

いままでの形態差分のおさらいをしているかのような画像をご用意いたしました。ラインデリア吹出口が両者で異なっているほか、天井周辺ではありませんが消火器の収納方法が異なっているのが見て取れます。

ラインデリア吹出口の仕様変更については、かの有名な大邱地下鉄放火事件を受けて改正が行われた鉄道に関する技術上の基準を定める省令により、FRP製のものから、より耐燃焼性・耐溶融滴下性に優れた金属製のものへ変更されています。なお東急5000系列では同じ金属製の吹出口であっても2種類存在し、他形式や他社で一般的な整風板が飛び出したタイプは、Y517F含む4次車のみで見られる貴重な仕様となっています。FRP製のものに関しても5000系列内では少数派のため、どちらにせよレアリティは高いと考えます。

その他

そのほか

  • (形態差分募集中です!コメント欄にドシドシお寄せください!)

などが、両者で異なっています。

今後のY500系の内装の変化について

  • 2025年度~2026年度 車内案内表示器更新
  • 2026年度~2027年度 車椅子スペースないしフリースペースの増設

上記内容は2022年6月末に公開された(令和3年度)移動等円滑化取組報告書で初めて明言された事柄であり、実施時期については2024年6月末の(令和5年度)移動等円滑化取組報告書のものを引用しています。

Y500系のデビュー以来約23年間、本家東急5000系列からはとっくに消滅してしまったなか生き残った旧型のLCDを平和に記録できるのは、今が最後のチャンスかもしれません。LCDにご興味がある方は、お早めにみなとみらい線・東急東横線沿線にお越しください。

またY500系に車椅子スペースかフリースペースが増設されることについてですが、2024年に発表された東急電鉄の設備投資計画に、「車両リニューアルの実施」が盛り込まれていることが詳細を知るヒントとなりうるかもしれません。東急電鉄の広報担当者にリニューアルの内容を問い合わせた記事によると、内外装の更新のほかに、フリースペースの増設が含まれているそうです。また両者の実施時期も似通っているため、文言こそ違えど、横浜高速鉄道と東急電鉄とで同内容を指している……………とするのは、あまりに空想的でしょうか。

いずれにせよ、しばらくの期間の活躍が保証されたと言ってよいもので、横浜高速鉄道Y500系ともども東急5000系列を追い続ける私からしてみれば、この上ない幸せのように感じています。デビュー21周年を迎える今日も変わらず、元気に走ってくれることを願い、この記事を締めくくります。

Photo by りょーさん https://freedomtrain.jp/author/ryo0703/

おわりに

『みなとみらい線開業&デビュー21周年!Y500系の内装をみる』はいかがでしたでしょうか。諸事情により執筆期間を2日しか取れませんでしたので、記事の加筆・修正をいつも以上に積極的に行い、正確な情報の発信を心がけてまいります。記事内容の訂正やご指摘は、コメント欄や筆者(@17901_)のTwitterアカウントをメンションいただければ幸いです。

また2月中の新規記事公開は、これが最後となります。次回の新規記事は3月以降の予定ですが、この間は記事作成のための準備期間と称して、記事ストックの作成・資料調査などを行う予定でおります。なにとぞご理解をお願いいたします。

最後に、撮影技術のない私に代わり写真を提供してくださった方向幕量産者さん、りょーさんのお二方にこの場をお借りしてお礼申し上げます。

参考文献

鉄道ピクトリアル 53巻12号(通号740) 2003年12月, 電気車研究会, 2003. https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000015654-i5734204

(URL直貼にて失礼いたします)

横浜高速鉄道|日本の地下鉄|日本地下鉄協会
日本地下鉄協会
ライラック lilac #d1badaの色見本とカラーコード - 洋色大辞典
ライラック lilac #d1badaの色見本とカラーコード。やや灰色い紫系の色でRGBカラーモデルでは赤(Red):209(81.96%)、緑(Green):186(72.94%)、青(Blue):218(85.49%)で構成されています...
横浜高速鉄道Y500系Y517F
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https://www.mm21railway.co.jp/info/news/uploads/information_report_20220630.pdf

https://www.mm21railway.co.jp/info/news/uploads/information_report_20240628.pdf

https://www.tokyu.co.jp/image/news/pdf/20240513-tkk-2024setubi-t.pdf

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更新履歴

  • 2024-02-01 記事公開・CCライセンス付与

最後に(お願い)

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17901
17901
はじめまして。17901と申します。ロングシートと通勤・近郊型電車が大好物です。
鉄道車両の内装(座席・照明・荷棚)をネタとしています。鉄道雑誌でいうところの鉄道ピクトリアルのような、深掘りした記事を目指しています。
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