同じ顔、違う足元。横浜市営地下鉄ブルーライン3000R・3000Sものがたり

どうもこんにちは。使っているメカニカルキーボードが銀軸なせいで誤字に悩まされているもりもりくんです。

今回の記事では、横浜市営地下鉄ブルーラインのいわば「姉妹形式」と言えるような3000R・3000Sについて、比較しつつ、3000Sの異端な誕生の経緯と、この2形式の詳細、そして未来を見ていきます。

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ブルーライン3000形とは?

まずはこの2形式がともに属する「3000形」の他の仲間について簡単に見ていきます。
また、過去に横浜市営地下鉄の全形式解説記事を投稿していますので、そちらも良ければどうぞ。

3000形のデビューは1992年で、まずはこちらの3000A(3000形1次車)が新横浜~あざみ野間の開業とともにデビュー。

そして7年後、今度は戸塚~湘南台の開業、つまり地下鉄が今の姿となったタイミングで2次車の3000Nがデビュー。

写真は更新前。現在は更新されて方向幕や前照灯が変わっています。

説明の都合から2形式飛ばして、2017年に横浜市営地下鉄12年ぶりの新型車両としてデビューしたのが3000V。今までの暖色基調の内装から横浜の海をイメージした青系の内装に変更され、外側のデザインも装飾がたくさんついて横浜市営地下鉄の新時代を予感させるような新形式となりました。
12年の間にホームドアの設置や快速運転の開始など変化がたくさんあったため、それに伴って3000Vも何かと変化が多く横浜市営地下鉄の異端児的存在です。

そして時間を巻き戻して2004年、まず先に3000Rが1972年の開業時から走ってきた1000形の置き換えのため「Replace」のRを冠してデビュー。


遅れること1年、2005年には1984年から走ってきた2000形の置き換えのため「Satisfaction」のSを冠して3000Sがデビュー。

これまで紹介してきたのが、約25年にわたって製造された3000形の愉快な仲間たちです。
今回はこの中から3000Rと3000Sにフォーカスを当てていきます。

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君たち、似すぎじゃない?

さて、3000形の仲間たちについて知っていただいたところで、今回の主役である3000R・3000Sの共通点・相違点について見ていきます。

まずはその電車を代表する「顔」から見ていこうと思います。

どちらも横浜らしい青を基調とした寒色系で、形状は開業当時から続く「く」の字に折れ曲がった形状。
全駅ホームドア設置のためスカートがないのが大きな特徴になります。

そして、見ていただいた通り、この2形式の顔は前面下部の色以外すべてが同じです。マスコットキャラクター「はまりん」がいるのも同じです。
ただ、この2形式を判別する上で一番わかりやすい相違点はここだと思います。

また、側面にも少しだけ違う点があります。

左側3000Rは「青色で水色を挟む」配色なのに対し、右の3000Sは「水色で青色を挟み、青色が太い」という相違点があります。ホームドアで隠れてしまう部分ですが、ここも2形式を判別する上で重要な相違点になります。

続いては車内も見ていきます。

暖色を基調とした車内で、落ち着いた雰囲気です。
また、「全席優先席」を掲げていることを反映して、すべての座席が同じ色になっています。

こちらは残念ながら、全くと言っていいほど見分けがつきません。一応左が3000Rで右が3000Sなのですが、わかりません。毎日乗ってしっかり車内を目に焼き付けていてもわかりません。似たような車内だと3000Nなんかは座席が明らかに違うので見分けがつくのですが。

一応、ドア横手すりなど一部にお下がりの部品があるそうなのですが、それでも見分けはつきません。せいぜい貫通扉上の車両番号を暗記するくらいですね。

まだまだ相違点はあるのですが、そこは後程紹介するとして、次は「どうしてこんなに似ているのに別形式になったのか」というところを紹介します。

なんで別形式に?

2004年、車両の老朽化などから横浜市営地下鉄開業当時からいた1000形を置き換えることになり、1999年に登場した3000Nをベースにしながら3000形3次車となる3000Rがデビュー。
同じ時期に、1984年にデビューした2000形も古くなってきて、更新の時期を迎えていました。

しかし、ここで大きな問題が発生。横浜市営地下鉄ではこの時全駅ホームドア対応の準備が進んでいたのですが、古い2000形はホームドアへの対応がドア位置などの関係から困難で、すぐに横浜市営地下鉄を走ることはできなくなってしまうのです。

しかし、まだ20年しか走っておらず廃車するにはあまりにも勿体ない車両。
そこで、まだ使える機器を再利用することで、コストカットを図ることとなったのです。

こうして誕生したのがそう。3000Sです。

床下や車内一部設備に2000系の部品を再利用した上でデビューした3000Sは、車体はデビューの時期が近い3000Rと共通でありながら床下機器などが大きく違うため、3000Rと別形式となったのです。

詳細解説-3000R

歴史を振り返った上で、車両の細かい仕様を見て理解を深めていこうと思います。

まずは先にデビューした3000Rの方から見ていきます。

こちらの形式は全て新造された編成で、言ってしまえば3000Sのベースとなる編成です。

ブルーライン最多の14編成が在籍し、横浜市営地下鉄のある意味「顔」となる形式でもあります。
例えば4000形は8編成、3000Sは6編成と、他の形式たちと編成数に大きな開きがあるのがわかるかと思います。

製造費用は一般的な約8億円。後にこの数字が重要となるので、覚えておいてください。

また、製造後20年が経過したこともあり車両更新が計画されていて、今後大きく姿を変えるかもしれない形式です。

詳細解説-3000S

3000Sは3000Rと同じ車体、違う機器を持つ形式です。

ここまでご紹介した通り様々な部品を再利用しており、その効果もあってか製造費は3000Rの8億円よりだいたい3億円も安い約5億円に収まっています。

ちなみに、古い部品を再利用した関係か、一部機器は後から改造されていたりもします。

しかし、京成3400形もそうですが、機器を再利用した形式は通常よりも寿命が短くなってしまいます。

この形式も例外ではなく、3000Rとほぼ同期でありながら既に余命宣告がされた状態であり、2030年度までに引退することが発表。置き換え車両は4000形2次車と発表されています。

さらに、この形式は下飯田駅で発生した脱線事故と、車両故障により既に2編成が廃車されており、横浜市営地下鉄では特に「ツイてない」形式でもあります。

余談ですが、4000形2次車はこの形式の他に3000Aと3000Nの置き換えにも充てられ、何かと騒がれている地下鉄の新百合ヶ丘延伸とも被るため、かなりの大所帯になりそうな予感がします。

未来はどうなる?

最後に、この2形式の未来について考えていきたいと思います。

まず、横浜市の計画を参照してみると、

  • 3000Sの置き換え
  • 3000Rの車両更新

が、令和7年の事業計画として記載されています。

まずは前者から見ていきます。3000S自体は製造から20年ほどとまだまだ戦えるラインなのですが、横浜市によると台車が2000形からの流用品ということで約40年が経過、流石にもう使えないと判断されたようです。

横浜市の事業計画を参照すると、置き換えに使用する4000形2次車が令和7・8(2025~2026)年度に設計、令和9(2027)年度にまず1編成が製造された後1年ずつ3+3+1編成と製造され合計8編成が令和12(2030)年度までに製造されることになります。

既存編成の廃車についても令和9(2027)年度から進行していくと記載されています。

ただ、このあたりは不明な点が多く、あくまで憶測となってしまうのですが、
実は、これに加えて機器更新予定と記載されていた3000Nの更新が表示機や車内設備の更新など小規模なものにとどまっており、また予定されていた床下機器などに手がつけられていないことから、3000Sを置き換えた後3000Nが置き換え、それまでどこかのタイミングで機器更新を行い延命ということになると予測することもできます。

その場合、4000形2次車は計画の8編成ではとてもとどまることにならず。しかも、4000形で置き換えを完了する予定だった3000Aが2編成残留しており、正直予測がとても難しいです。

さらに新百合ヶ丘駅までの延伸により必要な車両数が増えるため、ますます予測が困難に。これからの計画に注視が必要ですね。

次に後者、3000Rを見ていきます。鉄道車両は大体20年くらいでどの形式も更新時期を迎えるのですが、3000Rは2004年デビューなのでそろそろ頃合いに。

横浜市の事業計画を参照したところ、令和8(2026)年度に4編成、その後1年ずつ6・2・2編成と更新を進めて令和11(2029)年度に更新完了となるそうです。

更新対象としては、

  • VVVF装置
  • ATC/ATO装置
  • 列車無線装置
  • 放送装置
  • 一般電気装備
  • ブレーキ装置
  • 空調装置
  • 補助電源装置
  • 表示装置

となっており、かなり大掛かりな更新になりそうです。
また、3000Rの更新は過去に一度行われており、表示機が3色LEDからフルカラーになったり、車内にLCDが設置されるなど様々な更新がされていました。
その時とどう異なるのかも注目です。

更新前、3色LEDの3000R 幼少期の適当な写真です。 ※消しゴムマジック使用

そして、引退時期についても決まっており、しれっと車両更新の中に2035年まで使用と記載されています。製造から30年程度での引退ということで、これには納得ですね。

最後に

横浜市営地下鉄関連の記事はこれで4本目になりますね。好きな路線なのにファンが少なく、鉄仲間を誘っても断られてしまうので、この場を借りて布教活動をしております。

というわけで、私の記事から興味を持った方がいましたらぜひ横浜市営地下鉄に乗ってみてください。撮影地たくさんあります。地上区間ならエントリー一眼とかでも撮れます。俯瞰撮影もできます。面白い車両たくさんいます。

これからも継続的に横浜市営地下鉄を記事にしていこうと思っておりますので、そのときは応援よろしくお願いします。ここまで読んでくださりありがとうございました。

参考文献

●横浜市交通局3000S形
日本車両は新幹線やリニアモーターカーをはじめとする鉄道車両製造のトップメーカーです。また、輸送用機器、建設機械、橋梁のほか環境プラントなど幅広い分野で活躍しています。
●横浜市交通局3000R形
日本車両は新幹線やリニアモーターカーをはじめとする鉄道車両製造のトップメーカーです。また、輸送用機器、建設機械、橋梁のほか環境プラントなど幅広い分野で活躍しています。

https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/yokohamashi/org/kotsu/jigyoukeikaku/r7jigyoukeikaku.files/7kousoku-12-01-05kensetsukairyou.pdf
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横浜市交通局3000形電車 - Wikipedia
この記事を書いた人
もりもりくん
もりもりくん
ゆったりまったり、様々なジャンルの記事を書いていこうと思います。

コメント  ご意見やご感想等お気軽にどうぞ。

  1. 辻本 より:

    横浜市営地下鉄3000R形リニューアルして、機器更新は4000形2次車で採用されるフルSiCになる。

  2. 辻本 より:

    ドアはE233系と同じ複層ガラスに交換

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