
ご無沙汰してます。ふぺです。
京阪神の主要都市を結ぶ新快速。新快速は並行する私鉄との競合のため、快速(T電)が停まるような駅も通過しますが、新快速が通過する駅のうちの1つであるJR神戸線「大久保駅」は利用者が増加していることもあり、近年新快速を停車させようとする運動が見られるようになりました。
今回はそんな大久保駅に込められた、とある”願い”について解説していこうと思います。
大久保駅とは

大久保駅は兵庫県明石市に所在するJR神戸線の駅のひとつで、2面4線となっており、優等列車の待避が可能な構造となっています。停まる種別は快速(普通)のみで、新快速や「スーパーはくと」や「はまかぜ」といった特急列車も全て通過します。また隣には新幹線停車駅である西明石があるのも特徴となっています。
また大久保駅の利用者は1日の平均で3万5692人(統計情報リサーチより)で、千里丘や摂津富田といったほかの新快速通過駅と同じくらいになっています。
そんな大久保駅で近年出てきた話題がJR神戸線の無料最優等種別「新快速」を大久保駅に停車させよう…というもの。大久保駅に新快速を停めることができれば、現行の日中の毎時4本にプラスで新快速を4本で毎時8本に増加させることができ、利用者の利便性向上に繋がることができます。そのため明石市は新快速の大久保駅停車化を求めていますが、新快速を運行するJR西日本はこれに反対傾向にあります。
大久保駅に込められた願いとは

大久保駅周辺には「ビエラ大久保」「イオン明石」と商業施設が多く立地しているほか、「明石医療センター」「大久保病院」といった医療機関も充実しており、近年の明石市では子育て制度の充実を図る動きがあることも相まって大久保駅周辺は“住みやすい街”といったイメージがつき、年々利用者数が増加傾向にあります。

そんな大久保駅で近年出てきた話題がJR神戸線の無料最優等種別「新快速」を大久保駅に停車させよう…というもの。大久保駅に新快速を停めることができれば、現行の日中の毎時4本にプラスで新快速を4本で毎時8本に増加させることができるほか、乗り換えなしで40分で大阪方面に行けるようになり、結果的に大久保駅の価値をより高めることができます。そしてこの「新快速を大久保駅に」というものが明石市の願いだったのです。
そのため明石市は新快速の大久保駅停車を要請しましたが、新快速を運行するJR西日本はこれに反対傾向にあります。
なぜJR西日本は新快速を大久保駅に停めたくないのでしょうか?
停まれない”新快速”
JR西日本が大久保駅に新快速を停めたくない理由…それは隣駅が関係してきます。

現行の新快速の停車駅は姫路、加古川、西明石、明石…と停まっており、このうち西明石と明石は隣同士となっているため、新快速はこの区間のみ2駅連続で停車しています。
明石と西明石はどちらも重要な駅のため停車するのは当然ですが、これにプラスで前述の2駅より重要性の薄く、新快速停車駅がすぐ隣にある大久保駅に新快速を停めてしまうと、この区間は3駅連続停車になるうえに当然所要時間も延びることになります。新快速は阪神や山陽といった並行する私鉄と競合するのが目的で走らせているため、JR西日本にとっては大久保駅に新快速を停めるメリットは少ないのです。
「構わないじゃないか」明石市長の願い
以下の理由からJR西日本は新快速の大久保駅停車に反対傾向にありましたが、それでも明石市は諦めませんでした。

そんな時、当時の明石市長はJR神戸線でのダイヤ乱れに巻き込まれた際に「新快速 大久保行き」の文字を目にしました。新快速大久保行きというのはJR京都・神戸線系統でダイヤ乱れが発生した際に稀に発生する行き先で、この時のみ新快速は通常は通過する大久保駅に停車していました。
そしてこの列車を見た明石市長はこう思いました。

なんだ。大久保駅にも停められるじゃないか。
こうして明石市長はもう一度「大久保駅に新快速を」とJR西日本に掛け合い、何度も断られ続けましたが、明石市長はこう反論しました。

構わないじゃないか!
こうしてJR西日本にしつこく反論、また見返りとして「明石市にあるJR西日本の社宅の建て替え費を負担する」するなどして交渉し続けた結果、ついにJR西日本が折れました。
悲願の通勤特急らくラクはりま

明石市長の交渉の甲斐もあり、2021年3月15日のダイヤ改正より始まったのが「通勤特急らくラクはりま」の大久保駅停車。「通勤特急らくラクはりま」というのは2019年より運行を開始した「通勤特急」で、平日に網干・姫路〜京都で運行しています。
列車名 | 運行区間 | 停車駅 |
通勤特急らくラクはりま2号 | 網干⇨京都 | 網干、はりま勝原、英賀保、姫路、加古川、大久保、西明石、明石、神戸、三ノ宮、大阪、新大阪、京都 |
通勤特急らくラクはりま4号 | 網干⇨新大阪 | 網干、はりま勝原、英賀保、姫路、加古川、大久保、西明石、明石、神戸、三ノ宮、大阪、新大阪 |
列車名 | 運行区間 | 停車駅 |
通勤特急らくラクはりま1号 | 新大阪⇨網干 | 新大阪、大阪、三ノ宮、神戸、明石、西明石、大久保、加古川、姫路、英賀保、はりま勝原、網干 |
通勤特急らくラクはりま3号 | 京都⇨網干 | 京都、新大阪、大阪、三ノ宮、神戸、明石、西明石、大久保、加古川、姫路、英賀保、はりま勝原、網干 |
この列車が大久保駅に停車したことにより、形は違うものの明石市は新快速の大久保駅停車の夢を果たすことができたのです。
またこの通勤特急の大久保駅停車が成功したのか、このように快速通過駅を通勤特急が停車する事例は最近増え始めており、昨年新大阪〜奈良にて運行開始した「通勤特急らくラクやまと」も、今年のダイヤ改正より大和路快速が通過する柏原駅と八尾駅に停車するようになりました。
※らくラクはりまの大久保駅停車の詳細については鉄道ファンの待合室様が記事を出してくださってますのでこちらもぜひご覧ください。

まとめ
いかがだったでしょうか?
JR神戸線 大久保駅の通勤特急停車の背景にはこのように新快速を停めてほしいという明石市の願いがあったことがお分かり頂けたかと思います。明石市長の努力の甲斐あって手に入れた通勤特急の大久保駅停車、皆さんもぜひこの機会に乗車してらくラクに通勤・退勤してみてはいかがでしょうか…。
参考


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よく奇行に走ります
icon @Bashamichi_mm04
- 2025年6月18日京阪神【新快速通過駅】JR神戸線 大久保駅の”願い”
- 2025年6月13日京阪神【昭和のAシート】かつて存在した京阪神快速”グリーン車”について
- 2025年6月11日九州【どこ】BEC819系「DENCHA」の次の投入路線は?
- 2025年6月11日東北地方【新しい夜行列車】E657系 夜行列車仕様の概要について
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