この記事は、YouTubeに投稿した動画を基に、補足解説を行う記事でございます。内容の一部にネタバレが含まれておりますので、先に動画の方からご覧ください。

JR西日本最大の停車パターンを誇る特急
2024年3月、北陸新幹線が敦賀まで延伸開業。一方で並行する在来線特急である「サンダーバード」「しらさぎ」などの北陸特急は、大幅な運行区間の短縮・整理を実施。
これにより、停車パターン数において長年首位に君臨していた特急サンダーバードが、運行区間短縮の煽りを受け、ついにその座から陥落。
現在は特急ソニックが日本一の停車パターン数を誇っています。
ちなみにソニック編はふぺ氏が記事を書いていただいているので、そちらもぜひ合わせてご覧ください。
【多すぎる】特急ソニックの停車パターンをまとめてみる883系旧塗装写真提供:山ちゃん@三十代突入 (@yamatian2012)様 ありがとうございます🙇こんにちは。ふぺと申します。今回ご縁ありましてなんと鉄道関係の記事を執筆する「FreedomTrain」さんに参加させて頂くことになりまし…
となると、現在そんな停車パターン狂人のJR西日本が運行する特急列車の中で、一番停車パターン数の多い特急列車は何になるでしょうか。
大阪から白浜・新宮を結ぶレジャー特急的役割から、阪和線の通勤ライナー的な立ち位置に存在している特急くろしお?
城崎温泉から福知山線経由で大阪へ向かう、北近畿ビッグXネットワークの一角を担う特急こうのとり?
確かに、複数の目的地が存在していれば、自ずと停車パターンは増えてきます。東海道・山陽新幹線の「のぞみ」が最たる例ですし、サンダーバードも金沢のほかにも和倉温泉行きが設定されていたりもしました。しかしながら、「くろしお」「こうのとり」そのどちらともまだ、JR西日本における停車パターン首位の座には大きく届きません。
現在JR西日本において最も多くの停車パターンを要する特急列車。それは意外なことに、陰陽連絡の柱であり、最後の国鉄形特急電車が運行されていた列車。

そう、特急「やくも」なのです。
さぁ、今回はそんなJR西日本が誇る、特急やくもの、混沌とした停車パターンのお話し。
根雨停車タイプ
ほぼ全列車が選択停車駅として選定されている根雨と生山、まずはこの2駅にそれぞれ停車するタイプについてお話ししましょう。
N1タイプ

該当号数
- 下り:7,15号
- 上り:12,16,24号
概要
特急やくも15往復の最大勢力を誇るのが当タイプ。
上下計5本は、特急やくもの中でも最大勢力を占める停車パターンです。
余談としてお話しできる内容ですが、この列車の選択停車駅になっている根雨駅についてでしょうか?
根雨駅は当駅の所在する日野町の中心駅であり町役場の最寄り駅でもあります。また、伯備線内の駅でも利用者数はトップ10に数えられるほど多くの乗降者数がいます。
駅周辺の観光地として挙げられるのが、南へ歩いてすぐの場所にある、出雲街道根雨宿の景観。中でも「旧根雨公会堂」は国指定登録有形文化財(建造物)に指定されています。興味がある方はぜひどうぞ。
N2タイプ

該当号数
- 下り:3号
- 上り:20号
概要
先ほどのN1タイプから、玉造温泉を抜いた停車駅。上下1往復の計2本が該当します。
玉造温泉を通過している理由に関しては、2本の列車それぞれ理由が異なります。
やくも3号が通過している理由は、後続の別の特急にあります。
当列車の20分後追いで走る特急スーパーおき3号は、対照的に「玉造温泉停車で宍道通過」。
こうすることで、東京・大阪から直接出雲市に向かう旅客と、玉造温泉をチェックアウトし出雲市へ向かう旅客がバッティングしないようなシステムになっているのです。
それでも宍道に停車している理由は、当駅で木次線の列車と接続するためだと考えられます。ローカル線なんてJRにとってはお荷物でも地域にとっては町おこしのひとつになりますからね…
一方のやくも20号が通過している理由は「千鳥停車」。前後のやくも18号およびやくも22号は後述するS2タイプに該当し、両列車とも「宍道通過の玉造温泉停車」。交互にそれぞれ止めることで両駅の利便性を向上させています。
とはいえ実は20号、木次線の列車が宍道に到着する10分前に発車してしまうという非常に勿体ない接続をしてしまっているのです。ここで上手くつなげることさえできれば、利用状況が少しでも良くなると思うんですけどね…(まぁ木次線の列車も3分待てばすぐに米子行きの普通列車に接続できますが…)
N3タイプ

該当号数
- 下り:19号
- 上り:8号
概要
N1タイプに伯耆大山を追加したタイプ。新キャラ登場です、伯耆大山君だみんな仲良くしてやってくれ。
下り便は夕方から夜間にかけて、上り便は朝の時間帯に主に停車しています。
駅の近隣には、米子流通業務団地や王子製紙の工場など、鳥取県を支える重要な工業地帯。そこへのアクセスのためにも停車にしているものと考えられます。
乗車日前日および当日限定の「【e5489専用】トク特チケットレス」でも、米子や安来からは300円、松江からは500円で乗車することが可能です。追加ワンコインで座って帰れる。ライナー列車のような感覚で乗車できることもあり、意外と人気だったりします。私も1度だけ利用しましたが、本当に安いうえに快適なんですよねこれ…(目的は381系の乗り納めでしたが…)
なお、やくも19号は玉造温泉に停車する最後の下り特急列車です。玉造温泉には19時6分に到着、これ以降は松江から普通列車で頑張ってください。
N4タイプ

該当号数
- 下り:23,27号
- 上り:該当なし
概要
先ほどのN3タイプから玉造温泉を抜いたタイプ。
玉造温泉通過の理由は、時刻的な都合が大きいと考えております。
出雲市に23号は21時24分、27号は23時13分に到着します。これだけ遅い時刻に到着するのであれば、普通なら温泉宿でゆっくりくつろいでいる時間です。旅館に泊まる人は時間に余裕がある人ですからね(ド偏見)。
生山停車タイプ
S1タイプ

該当号数
- 下り:1,9号
- 上り:該当なし
概要
すべてにおいて標準となる、タイプその1。生山に停車するのでS1タイプです。
生山駅、動画内でもお話しした通り実は特急停車駅の中でも最弱クラスの乗降客数なのです。一応日南町役場の最寄り駅ではあるものの、徒歩40分かかります。一応生山の集落が駅出てすぐの場所にありますが、かといってわざわざ特急を止めるほどか?と思うかもしれません。
なので調べました。
結果、おそらく観光需要です。
駅から歩いて20分ほどの場所に「石霞渓」という場所があるのですが、ここがどうも「奥日野県立自然公園」としての指定を受けているらしく、秋には綺麗な紅葉で有名なのだそう。
こちらも興味のある方はどうぞ。

S2タイプ

該当号数
- 下り:13号
- 上り:18,22号
概要
S1タイプから宍道を抜いたタイプ。
宍道を通過する理由は便によってさまざまで、18号および22号は、先述のN2タイプで述べた通りで、やくも20号との千鳥停車。詳細は上のN2タイプの項目をご覧ください。
一方で13号が宍道を通過する最大の理由は「玉造温泉~来待で交換する普通列車の遅れを出雲市まで持ち越さないため」だと考えます。当列車は終着の出雲市で、浜田行の普通列車と接続しますが、その接続時間はわずか4分。万が一遅れた場合、その遅れをそのまま浜田までもっていくことになってしまいます。
そうなることを防ぐため、少しでも余裕を確保する目的で宍道を通過しているものと予想します。
最も、交換する普通列車は出雲市始発なんですけどね…
S3タイプ

該当号数
- 下り:該当なし
- 上り:26,30号
概要
S1タイプから玉造温泉を抜いたタイプ。
通過している理由は号数からわかるでしょう、こんな夜中に止めたところで需要が無いからです。
出雲市を26号は16時41分に、30号は18時32分にそれぞれ出発するのですが、こんな時間まで滞在して日帰り入浴するくらいなら、普通に泊まった方がコスパはいいです。
そして、動画内でも触れた「最終のやくも30号、出発時刻早すぎ問題」の絡みに存在する接続。
30号は終着岡山に21時35分に到着。この時刻で接続できる列車の一覧は以下の通り
- 21:44 のぞみ108号名古屋行(最終)
- 22:18 こだま970号新大阪行(相生・西明石最終、西明石で新快速京都行最終接続)
- 21:51 のぞみ81号広島行(広島にてこだま889号新山口行最終接続)
- 22:09 のぞみ59号博多行(最終)
- 21:38 特急南風27号高知行(最終)
- 22:00 特急しおかぜ伊予西条行(最終)
- 21:42 快速マリンライナー67号高松行(高松にてオレンジタウン行最終接続)
これだけの列車の接続を一手に引き受けるべく、早めの時刻に最終特急を発車させるのです。
ちなみに「やくも30号に乗り遅れた!」という方へ。ご心配なく、出雲市を25分後に出発する「サンライズ出雲」があります。座席指定券のみで横になれる「ノビノビ座席」であれば、特急やくもの指定席と同料金で岡山まで乗車することができます。但し、席が空いていればの話ですが…
S4タイプ

該当号数
- 下り:17号
- 上り:6,10号
概要
ここからはNタイプ同様、伯耆大山に停車するタイプのご紹介。
それぞれ「下り最初の伯耆大山停車便」と、「上り最終の伯耆大山停車便」がそれぞれ該当しているパターンです。とりあえず一旦、6号は無視しましょう。
やくも10号は伯耆大山に9時40分に到着。10時からの出社に間に合う時刻となっています。
一方でやくも16号は伯耆大山を17時26分に発車。17時明けの退勤に間に合う時刻となっています。
あとは…特にコメントできることは無いかな。伯耆大山に止まる以外はS1タイプと特に大きく変わりはありません。
S5タイプ

該当号数
- 下り:21号
- 上り:2号
概要
S4タイプから玉造温泉を抜いたタイプですね。
該当列車のひとつである、上り1番列車であるやくも2号。この列車実は「日本一早起きな昼行特急」としても有名な列車なのです。
出雲市の出発時刻は4時42分。これだけ早起きなのも理由があり、出雲~伊丹線の航空便に対抗することが大きな目的です。
航空便は出雲を8時25分に出発し、伊丹に9時15分に到着。一方でやくも号と新幹線を利用する場合は、出雲市を4時42分に発車し、途中岡山での乗り換えを挟んで新大阪に8時43分に到着します。
出雲空港の門限開放が7時30分なのですが、出雲発伊丹行き初便は、伊丹発出雲行きの便の折り返しになるので、どうしても遅くなってしまいがちです。おまけに伊丹の門限開放って出発便が集中するので、遅れが出やすいんですよね…
総社停車タイプ
J1タイプ

該当号数
- 下り:11号
- 上り:該当なし
概要
ここからは総社に停車するタイプをご紹介。
まずはN1タイプ に総社を加えただけのシンプルな列車。11号は昼間の12時33分に総社に停車。昼間時間帯の観光需要の喚起に役立っています。ちなみに総社を終着とする井原鉄道の列車が12時37分に到着するのですが、残念ながら当列車を待たずにやくも号は発車していきます。しょうがない、しょうがないんだけどもう少し何とかしてくれ…!貴重な井鉄の総社行きだぞ…
J2タイプ

該当号数
- 下り:該当なし
- 上り:28号
概要
J1タイプから玉造温泉を抜いたタイプ。
そして、東京行最終ののぞみ64号と接続を取る列車です。
日帰り需要の小さな温泉街なので、こんな夜遅くまで止める理由もない事。そして東京行最終の64号に確実に間に合わせる必要があることから、このような停車駅になっているものと予想します。
ちなみに総社に停車していますが、出雲市→岡山間の所要時間3時間1分は、上りやくも号では2番目の俊足を誇ります。かなり余裕のないダイヤになっているだろうとは予想できますが、すべての交換待ちでの優先権(あとから入ってそのままスルーで通過できること)を駆使して、所要時間を短縮しています。
最終接続って怖いんですよ。最悪山陰本線の遅れをそのまま首都圏に持ち込むことになるので…
J3タイプ

該当号数
- 下り:該当なし
- 上り:4号
概要
上りの通勤ライナー的な役割で総社に止まる4号。
玉造温泉を通過する理由は言うまでも無いですね、朝早すぎです。
当列車は出雲市を5時27分に出発する列車なので、 そんな朝早くに旅館をチェックアウトしてどうするんだというお話しですね。
一方で、総社は岡山都市圏の一角として君臨していることから、通勤で利用する方が多いのが現状です。
というわけで、追加料金を支払うことで確実に座って通える心強い特急列車がこのやくも4号です。
地元の方だと知らない人もいると思いますが、岡山の電車ってめっちゃ混むんですよ。特に倉敷から先。
本当に身動きが取れない程度には大変な目に合うので、その状況を500円課金して回避することができるのなら、非常に有効な手段だと私は考えます。
J4タイプ

該当号数
- 下り:該当なし
- 上り:14号
概要
ここからは生山に停車するタイプ。まずは上り14号から。
昼間の13時26分に総社に停車します。山陰方面から総社への観光需要のほかに、あさイチで総社に来た観光客を岡山に帰す需要も担っているものと考えます。
お昼ご飯は岡山だと混むし総社で食べて、あとはやくもでとりあえず岡山に帰ってから岡山市内へ…という観光プランも考えることができますね。せっかくの機会なので、岡山・倉敷のみならず、総社を堪能してみてください。
J5タイプ

該当号数
- 下り:5号
- 上り:該当なし
概要
総社停車の下り一番列車。特急やくも5号の停車パターンです。
当列車は品川6:00発ののぞみ99号から接続を受けて発車します。そのため、東京圏から総社への観光需要を目的に停車していると考えます。
総社はどちらかといえば岡山空港が近めですが、そもそも岡山空港自体便数が少ないこともあるので、今のところ鉄道優勢な状況です。
玉造温泉通過の理由は朝早いから。こんな時間から旅館に向かう人は荷物預けたい人だけだと思うので、通過にしています。
J6タイプ

該当号数
- 下り:25号
- 上り:該当なし
概要
下り25号、帰宅時の着席需要の確保のために停車しているタイプです。岡山を19時13分に出発し、総社には19時34分の到着です。
帰りも混みますかね。特に倉敷までは…
少しでもゆったりと座って帰りたい、そんな大都会岡山を支えるサラリーマンたちは、さんすてで買い物をしてから、振り子片手にコーヒーでゆったり総社まで帰宅…贅沢そのものですね…
伯耆大山停車タイプ
H1タイプ

該当号数
- 下り:29号
- 上り:該当なし
概要
岡山発出雲市行き、最終29号が該当するするのがこのタイプ。総社・玉造温泉の小規模駅はおろか、根雨と生山の選択停車駅を一切無視しているくせに、ちゃっかり伯耆大山に停まるタイプ。
ちなみに伯耆大山に停車する理由ですが。おそらく伯耆大山駅併設の「パークアンドライド」を利用してもらうのが狙いだと見ています。
1日400円で駅前の駐車場に止められるお値打ち。おまけに伯耆大山からは境港方面への国道431号線にもすぐ出られる上に、米子IC・米子東ICも付近にあるため、高速道路との共存共栄を図ることが可能です。
そして当タイプ最大の特徴が、「特急やくも史上最速ラップを叩き出している」という点。
本数の少ない深夜の運行、根雨・生山の選択停車駅の一切の無視、すべての交換待ち設備での優先権を駆使して運転停車をなるべく行わないようにする(生山のみ設備の都合で運転停車)、米子駅の停車時間を1分以内に抑える(通常は乗務員交代のために2~3分止まる)などなど…
可能な範囲で所要時間を切り詰めた結果、岡山~出雲市間の所要時間は2時間57分。次位のやくも3号が2時間59分で同区間を結んでいるため、2分の差で最速ラップを叩き出しています。
また動画内でも触れた通り、終点の出雲市の着時刻がかなり遅いのも特徴で、その時刻は0時17分。
夜行列車を除くJR西日本の特急列車の中では、最も遅い時刻まで走る列車なのです。
まとめ
というわけで、全15往復で16パターン。
特急くろしお号が10パターンなので、それと比較しても圧倒的という言葉が似合いますね。
ちなみに、くろしお編はどこかで停車駅奇想録簡易としてまとめるか、阪和線ユーザーのゆっくり動画作者に動画制作を投げます。上がるのをお楽しみに~
終わりに
さて、お久しぶりに現代の時間軸での停車駅奇想録を制作しました。なんだかんだ過去の時刻表って見ていて面白いんですよね。
ただそもそも論、このシリーズを始めたきっかけが「迷列車=過去の産物」という考えを改めたいという認識だったので、その主軸がずれてしまったのかな?という反省です。YouTube君からも「お前は過去に凝りすぎじゃ」と言われたのか、それとも年代が古すぎたのか、1980年ゆうづる編は伸び悩みましたし…(メタい)
うぅ、、、単にムコナの夜行列車復活が嬉しかっただけなのに、、、
さて話を戻しまして、今回は2026年の特急やくもについてご紹介しました。以前からお話ししている通り、私の祖父母が岡山に住んでいる都合上、よく岡山駅で新幹線から乗り換える際に見かけていた381系が懐かしいです。まさか最後の最後であんなBIGサプライズを持ってきてくれるとは思ってもいませんでしたが…(笑)
というわけで、新型車両に変わりましたが、やくも号は変わらず陰陽連絡の要として、そして3つの「JR西日本イチ(停車パターン・始発特急・最終特急)」を抱える特急として邁進していきます。
是非、特急やくもで出雲へ旅してみてはいかがでしょうか
そのほかの停車パターン紹介系記事(停車駅奇想録)はコチラから!
停車駅奇想録シリーズ「停車駅奇想録シリーズ」の記事一覧です。

-
別名:停車駅馬鹿
コメントは遠慮なくどうぞ。返信するかは気まぐれです。
- 2026年5月12日JR西日本停車駅奇想録 -特急やくも編- 宍道られざる陰陽連絡の混沌
- 2026年5月3日JR東日本E353系で色々と遊んでみた【勝手に塗装変更シリーズ】
- 2026年4月26日記事新型車両700形のデビューに寄せて ~求められるものの変化~
- 2026年4月20日記事【Flying train】 What is Chiba Urban Monorail?





コメント ご意見やご感想等お気軽にどうぞ。