
ご無沙汰してます。ふぺです。
福岡市を基盤に、東区の福岡空港から博多や天神といった中心地を通りながら西区の姪浜を結ぶ「空港線」、中央区の繁華街である中洲川端から県庁を通りつつ東区のベッドタウンこと貝塚を結ぶ「箱崎線」、九州一のターミナル駅である博多から六本松・福大前といった主要エリアを通りながら西区の橋本を結ぶ「七隈線」。
この3路線で活躍する車両たちを今回より「福岡市地下鉄車両図鑑」と称して紹介していきたいと思います。
それでは、第1回は「福岡市地下鉄1000系」についてお送りします。
1000系の概要

1000系こと1000N系は1980年の福岡市地下鉄1号線(今の空港線)の開業に合わせて登場した車両です。
1000系 | 1980〜2004 |
1000N系(1000系N化車) | 1998〜2028(予定) |
所属基地・編成数 | 姪浜車両基地・6連×18本 |
運用線区 | 地下鉄空港線(姪浜〜福岡空港) 地下鉄箱崎線(中洲川端〜貝塚) JR筑肥線(姪浜〜筑前前原) |
なお姪浜に配置された全18本のうち、01〜08編成が近畿車輛、09〜15編成が川崎重工(今の川崎車両)、16編成が日本車輌、17編成が東急車輛(今のJ-TREC横浜)、18編成が日立製作所で製造されました。
なお筑肥線との接続線が完成していなかった関係でトップナンバーの01編成のみ博多臨港線経由で甲種輸送、02〜16編成は廃止間近の筑肥線(博多〜姪浜)経由で甲種輸送、そして17,18編成は現在と同じ唐津線経由で甲種輸送されました。
ATO(自動列車運転装置)を搭載し1984年からは日本の地下鉄で初のワンマン運転に対応するなど、当時登場した車両の中でもトップで高性能な車両となっており、1982年には優れた車両に贈られるローレル賞を受賞しました。

しかし登場から十数年経過すると主電動機のフラッシュオーバーや車体の電食が目立つようになってきたため、1997年よりリニューアル改造を開始。
今後20年以上使用することを想定されたため改造はかなり大掛かりなものになっており、主電動機は従来の電機子チョッパ制御からIGBT素子のVVVFインバーターに交換されたほか、行き先表示器を3色LED化、ほかに車椅子スペースを完全に整備するなど、1000系の後に出た形式である2000系とできる限りの共通化が行われました。またこの改造の際に形式を1000系から1000N系に変更されています。
また福岡市地下鉄所有の車両で唯一唐津までの運用実績がある車両で、ほかに最近までJR車の走行距離の兼ね合いで月1程度で筑前前原を超え筑前深江まで走る運用も存在しましたが、2021年のダイヤ改正で消滅し、1000N系のJR直通運用は筑前前原までとなっています。

なお2024年より新型の4000系に置き換えがスタート、記事執筆日の2025/6/23時点で16、17、18編成が運用離脱し廃車陸送されており、残りの編成も2027年度までに全て置き換えされることが発表されています。
1000系開発の裏側

この1000系を開発する際に大きく関わってきたのが国鉄。1000系が走る地下鉄1号線は当時姪浜から筑肥線に直通させる計画があった点から本形式の設計・開発に国鉄が関わるようになりましたが、当時の国鉄は財政難だったことも相まって、自社の力では満足できるような車両を製造することができない状態でした。
そこで国鉄の車両設計事務所は福岡市の潤沢な予算を活かして当時の最新型車両であった201系をベースに本形式を開発。このようにして製造された1000系はまさに国鉄が思い描いた「理想の電車」そのものだったのです。
1000系の前面

前面及び車体はセミステンレス製で、玄界灘をイメージした青色と白色の帯が纏われています。また地下鉄線内を走る車両ということで1000系の前面には非常扉が設置されているほか、ライトは縦に配置され、上が前照灯・下が尾灯となっています。
また前面左側の「11」は編成番号を表しており、貫通扉の上部に行先表示器を配置しているほか、その隣には列車番号を表示するスペースがあります。ほかには非常時にJR車と連結できるよう密着連結器を採用しているほか、非常扉窓下には「地下鉄線内ワンマン運転」のステッカーが貼られているなどの特徴があります。
1000系の側面

前面及び車体は直通先の筑肥線で沿岸部を走ることを配慮して、塩害に強いセミステンレスにビードプレス加工を施したものになっており、沿線の玄界灘をイメージした青色と白色の帯が纏われています。ほか1号車と6号車の運転台近くの側面には「F」をモチーフとした福岡市地下鉄の金色のロゴが、車椅子スペース近くのドアの側面には車椅子ステッカーが配置されています。

また前面及び側面の行先表示器は1000系時代は幕・1000N系では3色LEDとなっております。また営業での行き先である「福岡空港」や「姪浜」は赤色で表示するものの、「試運転」や「回送」といった乗客を乗せずに走る車両は緑色で表示するようになっています。
1000系の車内・機器類

車内はオールロングシートとなっており、座席には暖かさと明るさ、そしてゆとりを感じさせる色彩を採用しているほか、各車両端には車椅子スペースが設置されています。なお優先席は福岡市地下鉄ゆるキャラのちかまるがデザインされたシートが採用されています。

広告はよく見る吊りかけ式のものが使用されているほか、妻面と座席袖仕切りは木目調の化粧板が配置されています。またドアにはドアチャイムが設置されており、上部にはLED式の車内案内表示器と路線図が千鳥配置で設置されています。ほか初期編成である01〜08編成は1・6号車の妻面の化粧板にローレル賞のプレートが設置されています。
運転台は国鉄世代ということも相まってブレーキハンドルを使用するタイプのものとなっているほか、ワンマン運転に対応するため車掌スイッチ等の機能も設置されています。
機器類は1000系が電機子チョッパ制御・1000N系がIGBT素子のVVVFインバーターとなっているほか、台車は国鉄201系と似た構造の空気ばね台車を採用、パンタグラフは下枠交差式のもので3号車と5号車に配置、保安装置はATC・ATO・IR・ATS-SK・EBが搭載されています。また空気笛は0系新幹線と同様のものが使用されています。
どこで・いつまで見れる?

1000N系は地下鉄空港線の福岡空港〜姪浜・箱崎線の中洲川端〜貝塚とJR筑肥線の姪浜〜筑前前原で見ることができます。地下鉄七隈線とJR筑肥線の筑前前原以西では見ることができないので注意が必要です。
また1000N系は前述の通り2028年度までに全ての編成が置き換えられることが発表されており、現在唯一の日本車輌製である16編成が12月中旬に運用離脱、そして1月中旬に唯一の東急車輛製である17編成が運用離脱、6月中旬に唯一の日立製作所製である18編成が運用離脱し、同月中に廃車のため陸送されています。また今年度からは本格的に廃車が進み、02編成が7〜8月に、01編成が8〜9月に、03編成が12〜1月に廃車になると発表されています。また現時点で本形式の保存計画はないとのことで、27年度までに全ての編成が廃車され形式消滅すると思われます。
あとがき
まだまだ編成数は多いものの着々と姿を消しつつある本形式…記録はお早めに。

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よく奇行に走ります
icon @Bashamichi_mm04
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