はじまりは、一つのニュースリリースからだった…
時は10月31日。
高専祭(高専の文化祭)もおわり、研修旅行を控えていた私はいつものように14:01になると公開されるJR東日本のニュースリリースを楽しみに閲覧していた。
仙山線奥新川、面白山高原、 奥羽本線(山形線)板谷の冬季通過のニュースを見て、もうこんな時期か…と思いながら他のニュースも確認していると、隣に似たような題名のニュースがあった。
“奥羽本線 大沢駅の全列車通過について”、と。
あら、大沢も冬季通過なるんやな~と思ってみてみると、なんかおかしい。
「……あれ、いつ営業再開するんだろう。通過期間が明記されてないな。」
“通過期間が明記されてない”。
“奥羽本線 大沢駅は、列車のご利用が極めて少ないことから、2024 年12月1日(日)より全ての列車が通過いたします”という文章。
そう、私は気づいてしまった。
「大沢駅が、(事実上)廃止になる……!」
その事実に気づいてしまった私は、この際せっかくなら最初で最後の訪問を兼ねて記事にしてみるか……と思い立ち、土曜日であること、近場であることもあって、11月30日の最終営業日に訪問することを決意した。
いざ、仙台から大沢へ。
駅舎が雪を防ぐような構造になっている駅にわざわざ朝から行くのはただの自O行為なので、終電一つ前に間に合うように訪問。こうすれば2時間の滞在になるのでちょうどいいだろう。
せっかくなら一時的にお休みする板谷駅も見ておきたいと思ったので、行きは福島駅から行くことに。
(今回メインではないので福島までは割愛。ちなみに乗車列車はE721系のP4-4編成というE721系統随一の迷列車だった。)
福島駅からは、いよいよ奥羽本線に入る。
板谷、大沢までお世話になるのは、今や絶滅危惧種である719系。担当は719系Y-10編成だった。
発車後、主な駅の到着時刻の案内があったが、鉄道ファン向けに普段は言わないであろう、板谷と大沢に関しても放送があった。(到着時刻の案内があったのは庭坂、板谷、大沢、終着米沢。)
また、板谷と大沢の通過に関しても停車中に放送があった。
福島市内で比較的本数、利用客も一定数ある笹木野、庭坂を超えると、大沢駅と同じ運命を先に辿った赤岩駅を通過する。
赤岩駅を通過すると山形県に入り、県境を越えてすぐに、長い眠りにつこうとしている板谷駅に到着する。
板谷駅を過ぎると、今度は力餅で有名な峠駅に着く。
もう1年くらい買ってなかったので、せっかくなので購入。
本来、予約なしではお昼の3往復しか購入できないが予約をしておいたので無事購入。
電話越しで指定された場所に立って、30秒で購入。
人が多いなら仕方ないが、基本的にもたもたしていると遅延の原因になるので料金1000円はスタンバイしておこう。
峠駅を過ぎると、いよいよ風前の灯火な状態である大沢駅に到着する。
本題・奥羽本線 大沢駅
さて、列車はついに大沢駅に着いた。
計算したところ、乗車人数32人中23人が残っていたので、自分含めて9人下車したとわかった。(乗車は0だった。)
また、前の列車や車で訪問していた方がすでに10人ほど待機していた。
以降、大沢駅についての写真を掲載していく。
・大沢駅構内
大沢駅は2面2線の構造で、福島方面に向かう列車に乗車するには構内踏切を横断する必要がある。
・待合室
大沢駅には小さいながらも待合室が備わっていた。
中には運賃表や時刻表、駅ノートや有志の方が作成した記念訪問証などが置いてあった。
・スイッチバック時代の旧ホームや入口
大沢駅……いや、奥羽本線を語る上で欠かすことのできないのが、山形新幹線開業前に存在していた赤岩、板谷、峠、大沢の4駅連続のスイッチバック関連のものである。
大沢駅のスイッチバック遺構は現ホームから2分ほど北に歩いて見ることができた。
(そもそも出入口が旧ホームを通った先にあるものだから、構造上出入りするには否応なしに通ることとなる。)
スノーシェッドのことだろうか。スノー”セェット”と書いてある。
大沢の集落へは長細い橋と下り坂を通る必要がある。
・大沢駅の通過
大沢駅は利用客が極少とはいえ、山形/新庄と東京を結ぶ大切なルート。
2時間の滞在の間に3本のつばさが通過していった。
すべてE8系だったので、E3系がいないさみしさを覚えた……
(動画は割愛させていただきます。)
大沢駅とのお別れ…
22時24分、大沢駅を最後に発車する列車は所定から8分遅れて到着し、ほぼすべての乗客を回収していった。
一部の猛者は大沢駅に残ったり、なんなら最後の列車から降りて、米沢方面に歩くというヤバい人もいた。
そんなこんなで、大沢駅に別れをつげ、大沢駅を後にするのだった……
・大沢駅に到着した最終列車、465M(8分延)
所感、感想、あとがき
大沢駅に訪れてみて、歴史的なものや山の奥深くだからこそ感じられるものがたくさんあった。
歴史的価値がある駅がまた一つなくなってしまうのは悲しいが、これも時の定めだろう……
今後は除雪車両の車庫になるらしく、新たな形で奥羽本線を支える大沢駅の今後の活躍に期待したい。
参考リンク
いくつかの参考リンクを貼っておきます。
大沢駅(山形県)-Wikipedia-
大沢駅-JR東日本-
名残惜しむ鉄道ファン 奥羽線「大沢駅」今月で封鎖 少ない利用客で全列車通過へ -産経新聞-
大沢駅「ご苦労さま」 米沢・JR奥羽本線、列車停車の最終日 -山形新聞-
大沢駅と同じ運命をたどった東北の駅たち
・只見線 田子倉駅 2001年12月1日臨時駅降格(冬季通過)、
2011年7月30日福島新潟豪雨により休止(路線ごと)、
2012年10月1日全列車通過(路線は復旧)、2013年3月16日廃止。
・山田線 大志田駅 2015年11月30日全列車通過、2016年3月26日廃止。冬季休業歴あり。
・山田線 浅岸駅 2015年11月30日全列車通過、2016年3月26日廃止。冬季休業歴あり。
・北上線 矢美津駅 2021年11月30日全列車通過、2022年3月12日廃止。冬季休業歴あり。
・北上線 平石駅 2021年11月30日全列車通過、2022年3月12日廃止。冬季休業歴あり。
・山田線 平津戸駅 2022年3月12日全列車通過、2023年3月18日廃止。
・大沢駅発着の乗車券の今後について
マルスに発売ロックがかかるため、完全廃止前ですが購入不能となるみたいです。
最後に……
お疲れ様、ありがとう!大沢駅!
この記事を書いた人
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帰国子女高専生という超珍しい属性の人間です。
台湾滞在歴7年。なので台湾の鉄道にも触れます。
駅メモというゲームをやっており、将来の夢は駅メモを台湾に導入することです。
LEDの方向幕なんかも自作したりします。
最近は耐久乗車や全線下車にはまってます。
どうぞよろしくお願い致します!
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