江ノ電を走る電車の「ヌマ」、語ります①

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夏と言えば海!海と言えば湘南!

どうもゴハチさんです

夏です。暑いです。我が街も最高気温30度を超える猛暑日が続いています。
こんな日には相模湾にダイブして汗をさっぱり流したいものです。まぁ入ってからベットベトになるので本音を言うとあんまり行きたくないですが…
※写真を撮った七里ヶ浜は離岸流が発生しやすいので遊泳禁止区域に指定されています。遊ぶ際はご注意を

さて、そんなわけで海水浴に行く人も多いでしょうこの頃。特に関東近郊の皆様は湘南地区周辺へと赴く方も多いでしょう

その際にお世話になる方が多いであろう路線がこちら、江ノ島電鉄こと通称「江ノ電」。

四季折々の風情を醸し出す、全長10キロちょっとの短い路線ですが、湘南を題材にしたアニメやドラマ・映画なんかで緑とクリームのツートンカラーの電車を見かけた方も多いのではないでしょうか

と、そんな江ノ電ですが、実はかなりの迷車ぞろいなことはあまり知られていません。

今回は、そんな江ノ電の車両に秘められた「ヌマ」について、数回に分けて見て行きましょう

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CASE1:1000形 -釣り掛け?カルダン?そんなの知るか-

さて、まずは江ノ電の主力車両1000形

2両編成6本の計12両が在籍し、江ノ電の中では最も見かけるタイプの電車で、よく江ノ電が舞台の作品の中にも出てくるので知ってる人たちも多いのではないでしょうか

老朽車両の改善と、増え続ける乗客への対応のため、1979年に江ノ電48年ぶりの完全新造車両としてこの世に生み出されました。 

実は江ノ電は1970年代前半まで他の地方私鉄同様にモータリゼーションの影響で経営状況が著しく悪く、廃線の危機に瀕していました

ところが、その後にドラマやサザンの音楽などで江ノ電が描写されるようになると、いわゆる「聖地巡礼」として江ノ電を利用する乗客が増加し、江ノ電の収支が改善したことや、車両更新の時期に差し掛かっていたことなどから、導入に踏み切りました

48年ぶりの新車、ということもかなりすごいのですが、それだけではなく翌年1980年には鉄道友の会からブルーリボン賞を受賞。これは地方私鉄としては初の快挙なのです

と、これだけ聞くと名車のように感じる同車ですが、どういったところが迷なのでしょうか

1次車(通称0番台) -革新的だけどまさかの吊り掛け!?-

初期生産の1次車0番代2本。1001Fおよび1002Fが該当します

前述したように江ノ電48年ぶりの新型車両として登場した同車ですが、足回りには吊り掛け駆動が採用されています

もう一度言います

吊 り 掛 け 駆 動 で す

1979年といえば、国鉄117系や201系などがデビューした時代。

牽引力をダイレクトに伝える必要がある機関車ならまだわかるものの、こいつは旅客用電車として新製された車両です。

理由としては、固定軸距(台車内にある車輪と車輪の間隔)を短くして、最小半径28メートルの急カーブを通過するために、車輪の外側にモーターを設置する必要があるためです

そのため、江ノ電では初めて電気指令式のブレーキが採用されたり、地方私鉄では珍しくワンハンドルマスコンが採用されたりなど、年相応の新鋭ぶりを発揮していたのですが、如何せん1980年目前生まれの吊り掛け電車というインパクトだけはデカいです

ちなみに、1000形投入が公表された際、半世紀近く新車を投入していなかった江ノ電のことなので「そんなわけないだろ」と馬鹿にされたらしいです。まぁそりゃそうかw

2次車(通称100番台) -SIVなんて大層なものつけおって…-

モト東急玉川線の600形が車長の関係で4両編成が組めなかったことによる置き換えや、江ノ電の冷房化促進のために1981年に投入されたのが2次車の1101F。

2両編成1本のみの増備で、割と広告ラッピングやイベント仕様になっているイメージのある編成です

外観上の特徴としては、前照灯の切り欠きが垂直なものから角丸なタイプへと変わったこと
…以上です。細かすぎてよくわからん

ただ、コンプレッサーなどに電気を送る補助電源装置には、東洋電機製の静止型インバータ(SIV)を採用。これがこの車両最大の特徴です

まぁそれで静かになったのはいいけど、如何せん吊り掛け駆動なんですよねw

ちなみに、当編成までは冷房準備工事にとどめており、車内に扇風機が残っているのが大きな特徴です

3次車(200番台) -日本最後の吊り掛け駆動車-

1983年にデビューしたのが3次車1201F。

2両編成1本のみの在籍です。

床下の機器類は2次車と同一仕様ながら、前照灯がこれまでの丸形ライトから、前照灯と尾灯が一体のケースに収められた角形ライトに変更されたのが大きな特徴です。

そして、この3次車1201号車の最大の特徴として上げられるのが、「旅客営業を行う電車としては日本で最後に製造された吊り掛け電車」ということ

床下から響く特徴的な重低音や振動は、特別に感じる音鉄の方も多いと思います。なお中の人は当たり前すぎてそんなこと中学まで知らなかった模様

日本最後の吊り掛け駆動車にして、首都圏唯一の営業用吊り掛け駆動車。この夏、是非聞きに来てください

ちなみに中の人が江ノ電で一番好きな編成がこれです。

…さて、お気づきでしょうか。

1000形には先述の通り6本が現在在籍しているのですが、ここまで紹介した車両は4本のみ。

残りの2本は…というと、お察しの通りです。

4・5次車(通称500番台) -え、それルール的にありなん!?-

1986年と1987年にそれぞれ増備されたのが4・5次車の1501Fおよび1502F

見た目的には先述した1201編成そっくりなのですが、この車両最大の特徴として上げられることが
「江ノ電初のカルダン駆動を採用した」こと

保守技術の向上により、固定軸距がこれまでの1600mmから1650mmへと拡大することが可能になったことで、カルダン駆動を採用。静粛性、メンテナンス性が大幅に向上しました

さて、1000形の亜種として紹介した同車ですが、その実は車体以外はほぼ別形式と呼んでも過言ではないほど1979年製の1次車との違いが見受けられます

違いとしてざっと思いつくものはこんな感じです

  • 駆動方式

吊り掛け駆動とカルダン駆動。この両方を新規製造時から同一形式として扱っているのは後にも先にもこの江ノ電1000形だけ。国鉄やJRでは、そもそもの駆動方式が違うので、同じ見た目の103系風の車体を乗せた吊り掛け駆動車として送り出した72系970番台。その後カルダン化したら103系になるように、別形式として扱われることがほとんどなので、前例もほぼないです

  • 主制御器

主制御器についても、カルダン駆動向けに弱め界磁制御が追加され、さらに発電ブレーキも併設されたことで、制動力の強化にもつながっています。
抵抗の段数も、3次車までは直列10段・並列8段の合計18段だったものが、4・5次車については直列11段・並列8段・弱め界磁2段の加速用の段数で21段、そしてブレーキ用の発電制動に19段という、抵抗器そのものの形が

  • ブレーキ制御

ブレーキの制御方式についても、1~3次車は車輪に押し当てる制輪子式のブレーキを採用している一方で、4・5次車についてはディスクブレーキ方式を採用しており、さらに発電ブレーキも併用。システムでいえば全く違います

  • 台車のタイプ

当然ながら、これだけ床下機器の配置が違えば、台車の形も違います。
写真で比べてみると下のようになっています

ね?違うでしょ

このようにこれだけ違いを抱えながらも、車体がほぼ同一仕様ということもあってか、ぜーんぶまとめて1000形という括りになっています

ちなみに、4・5次車はデビュー当時は江ノ電らしからぬクリームにオレンジと赤のラインが入るという塗色を採用しており、「サンライン」という愛称もついていました。
写真は2009年頃に復刻されたときのやつです。こういうのも撮っておくものですね(まぁ撮ったの父親だけど…)

CASE2:2000形 ‐上っ面だけ見る会社 江ノ島電鉄‐

江ノ電の混雑が年を追うごとに増える中、車両長の関係で4両編成に対応できない600形を置き換える目的で、1990年にデビューしたのが2000形。

2両3本が投入され、1000形の次に本数の多い車両になっています

縦長の長方形のような独特な見た目の電車ですが、最大の特徴は前面の1枚曲面ガラス。

この頃になると、観光輸送で安定的な収益を確保できるようになったことから、観光輸送に重点を置き始めたため、前面展望席の設置や、側面窓の大型化。さらには乗降をスムーズにするべく、扉幅も1000形と比較して大型なものに変更しました。

一方、部品の共通化などを目的に、床下機器については1000形5次車と同様のものを採用しています。

某名古屋の赤い鉄道会社の場合、床下機器がおんなじだからという理由だけで6000系9/10次車とかいうヌマ形式がいますが、こっちは床下機器は同じなのに車体が違うから別形式という、ある種逆のような仕立てをしています

というか

  • 床下機器は同じだから客室が違っても同形式
  • 床下機器は同じだけど客室が違うから別形式

この場合どっちが正しいんだ…(近鉄とかいう会社はノーカンで())?

CASE3:10形 ‐多分江ノ電一豪華な内装‐

マトモな写真がねぇ!というか収録に行った日に限って動いてないの何なん?

2000形投入後、一時的に利用者数が減少していたことから、長らく新型車両の投入を行っていなかった江ノ電ですが、1997年に江ノ電開業95周年となること、また車両更新から外された303号車の置き換えを目的に、新型車両10形の投入を決定しました

投入の際に決められたコンセプトは「ヨーロッパのオリエント急行や、100年前のオスロ市電など、クラシック風の車両」ということ

2000形とはまた違った観光輸送特化型、という車両ですね

アール・デコ風の丸みを帯びた窓や扉などを備え、青とクリームを基調にしたどこか高級感のある外装に仕上がっています

豪華なのは外装だけでなく、車内も木目調でレトロな雰囲気であり、また柱も真鍮のようなものが採用されており、どこか特別で落ち着いた雰囲気を醸し出しています(なお内装の写真はないそうです)

こうした側面もある中で、機器類や運転台に関しては「2000形とほぼ同一なものを採用すること」という条件で作られました。

要するに、ベースは1000形4・5次車。11年前の設計と全く同じものを採用しています。汎用性高すぎだろあいつ

1997年製ということで、すでに25年以上走り続けているわけですが、古さを感じさせない見た目でありながら独特な雰囲気は、かなり異彩を放っています。

さてさて…

その1はこれでおしまい。

特に1000形に関しては結構迷要素強めな電車なのはわかってもらえたと思います

その2では、20形、500形、300形の3形式をご紹介しますのでお楽しみに~

あ、あと江ノ電乗りに来てください

というわけで、ここまでありがとうございました~

おいカネだろカネ!(ヤメロ)

この記事を書いた人

ゴハチさん
どうも五八三系です。名前が長いので「ゴハチさん」と呼んでもらえると幸いです
考察を中心にしょうもない記事をあげていきますのでどうかよろしくお願いします。
あと、動画の補足解説も基本的にここでやります。

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