この記事は、YouTubeに投稿した動画の補足解説になります。ご覧になってからこの記事を見られると、より面白く見られると思います。
実は魔境な「寝台特急」

迷列車で行こう16周年おめでとうございます🎉
まーた性懲りもなく停車駅奇想録を作りました。だって再生回数一番稼げんるんだもん。
さて、今回の舞台はズバリ「寝台特急ゆうづる」。チャンネル開設から早5年、ようやっとチャンネル名にした「583」を回収ができたなとほっとしております。
さて、動画をご覧になられていかがでしたでしょうか。思ったより多くあったなという意見もあると思いますが、私も勿論その一人です。
ですがまあ、これだけ停車パターンがあるということは各列車の迷要素もひとつやふたつで済むはずもありませんよね?
さぁ、今回はそれら各便の「さらなる沼」へ、皆様をご招待しましょう。
Type M(583系使用の便)

当時の北の大地への優等列車の花形として知られる583系。彼らを活用した寝台優等列車は、北の大地に革命的な所要時間短縮をもたらしたのです。
M1タイプ

名称(勝手につけたもの)
M1タイプ
停車駅
上野・水戸・平・仙台・青森
該当号数
- 下り:1/3号
- 上り:該当なし
概要
ゆうづる号で唯一、複数便が該当するタイプ。3号は臨時便ですが…
最大の特徴は何と言っても仙台〜青森間387.4kmを客扱いを一切行わずに駆け抜けること。
それだけ止まらないということは、所要時間も短く、上野〜青森間を9時間13分で走破し、常磐線経由の「ゆうづる」号においては、最速を誇りました。でも上には上がおり、全区間東北本線経由の「はくつる」は、同区間を8時間50分で駆け抜けていました。えぇ…
後続の3号は1980年10月改正より臨時便になった列車なんですが、上野駅をゆうづる1号の僅か3分後に発車するという、超高密度で夜行列車が出ていっていました。いやぁ~当時の上野駅も見てみたかったなぁ…
M2タイプ

名称(勝手につけたもの)
M2タイプ
停車駅
上野・水戸・平・八戸・青森
該当号数
- 下り:該当なし
- 上り:14号
概要
上り14号のみ該当するパターン。当の14号は1980年改正で季節運行の臨時列車になりましたが…
そしてこのタイプ、何よりの特徴が青森駅を5分後に発車する「はくつる」に抜かれないことなんです!
…え、特急同士だから当たり前じゃないかって?そうじゃないんだよなぁ。
遠回りな代わりに、急こう配・急曲線の少ない常磐線と、まっすぐな代わりに勾配や曲線の多い東北本線。当然ながら、運転のしやすい常磐線でも14kmの差は埋めることは難しく、東北本線経由の「はくつる」の方が速やかに東京対青森を結ぶことができることは先述した通りですが、それでも当のゆうづる14号は東北本線経由の「はくつる」に抜かれることなく上野駅へ先着します。
要因として、両列車ともに朝9時15分前後に到着するのですが、時刻は朝ラッシュど真ん中。
はくつる号は大宮~上野間の高崎線と東北本線の重複区間を経由するため、線路容量的に乗り入れる隙間がなく、やむなくゆっくり走っていたのです。ちなみに、湘南新宿ラインの前身となる東北貨物線経由の池袋行き電車は1984年からの運行なので、当時は両路線の電車を上野駅ですべて受け止めるという、本当にギリギリのダイヤでした。
一方で常磐線は、東北・高崎線ほど多くの本数が走っていなかったことが功を奏し、特急最優先でダイヤを組むことができたため、速やかに上野駅まで送り届けることができたのだと思います。
ちなみに、所要時間的には以下の通りです。
| 列車名 | 青森発時刻 | 上野着時刻 | 所要時間 |
| ゆうづる14号(常磐線) | 23:53 | 9:11 | 9時間18分 |
| はくつる号(東北本線) | 23:58 | 9:18 | 9時間20分 |
はい、若干ではあるものの、距離の長い常磐線経由の方が所要時間短いんですよね。さすが首都圏の特急街道常磐線。
M3タイプ

名称(勝手につけたもの)
M3タイプ
停車駅
上野・水戸・平・盛岡・八戸・青森
該当号数
- 下り:5号
- 上り:該当なし
概要
こちらのタイプも、東北本線経由の「はくつる」を先行して青森に着く列車ですが、性格はまるで異なります。
上野駅の発時刻は以下の通り
| 号数 | 上野発時刻 |
| ゆうづる5号 | 21:40 |
| はくつる号 | 22:21 |
一方の青森着時刻は以下の通り
| 号数 | 青森着時刻 |
| ゆうづる5号 | 7:05 |
| はくつる号 | 7:11 |
はいそうです。上野時点で41分差だったものが青森時点ではたったの6分差。
なんと35分も所要時間を縮められています。これが常磐線経由である特急ゆうづる号の宿命とでも言うべき列車です。接続する青函連絡船の便も変わりませんからね。
M4タイプ

名称(勝手につけたもの)
M4タイプ
停車駅
上野・水戸・平・盛岡・八戸・三沢・青森
該当号数
- 下り:該当なし
- 上り:12号
概要
M3タイプに三沢を追加したタイプ。
動画内でも解説した通り、三沢に停車する理由として考えられるのが普通列車の接続。
そしてもうひとつが十和田観光電鉄の最終との接続。21時55分に三沢に到着する十和田観光電鉄最終電車と、7分の乗り換え時間で当列車に連絡していました。
ちなみに、1本前を走るゆうづる10号とは、青森発車時点で5分差だったものが、上野到着時点で17分差にまで拡大しています。使用車両も同じはずなんだけどなぁ…
M5タイプ

名称(勝手につけたもの)
M5タイプ
停車駅
上野・水戸・平・盛岡・北福岡・八戸・青森
該当号数
- 下り:該当なし
- 上り:10号
概要
M4タイプから、三沢と北福岡をトレードしたタイプ。
北福岡には22時38分に着くのですが、接続する普通列車や路線バス等が1本も無いんです。なのでなぜ止まってるのか謎です。マジで謎です。ご存じの方教えてください(他力本願)。
ちなみに、連絡船を介して接続する道内優等列車は2つあり、釧路発函館行きの特急「おおぞら2号」。釧路を6時40分に発車し、函館に16時40分に到着します。10時間も走りっぱなしなんだ…
また、このおおぞら2号は途中の札幌で網走・幌延・遠軽の各方面からやってきた急行と接続するので、道内のありとあらゆるところからの需要を一手に拾い上げます。まぁこの頃には千歳空港駅も開業してましたが…
Type P(客車使用の便)

国鉄の収支改善策として立てられた急行列車の特急化および速達化。その波は、昼行夜行関係なく行われました。
もちろん、我らが「ゆうづる」も、その津波を引き起こして勢力を拡大した列車のひとつなのです。
そんな中、特に停車駅の多かった元急行タイプの列車は、客車による運行が主体となりました。
P1タイプ

名称(勝手につけたもの)
P1タイプ
停車駅
上野・水戸・一の関・盛岡・八戸・三沢・青森
該当号数
- 下り:9号
- 上り:該当なし
概要
客レゆうづるで最も停車駅の少ない列車。上野~青森間を10時間59分で結びます。月光形の便と比較して遅い、というかゆうづる号全体で見ても所要時間がめちゃんこ少ないです。
ゆうづる号下り便で唯一、A寝台の付いている便。同時に、14系を使用した1往復だけのゆうづる号です。
なお当列車は盛岡で普通青森行き537列車および、花輪線経由の急行「よねしろ1号」に、そして三沢で青森行き普通535列車と接続します。
普通列車を北東北で追い越す列車というのは、ゆうづる号では多数設定されていましたが、2本追い越すとなるとこの列車が唯一になります。
まぁこの列車1980年10月で臨時格下げ喰らってますけど…
P2タイプ

名称(勝手につけたもの)
P2タイプ
停車駅
上野・水戸・仙台・一ノ関・盛岡・八戸・三沢・青森
該当号数
- 下り:該当なし
- 上り:4号
概要
ゆうづる号上り便で唯一A寝台の付いている便。つまりこいつも14系です。
但し、何か特筆できることがあるかと言われましたら…仙台に停車する最終のゆうづる号。以上です。
有効列車として接続する列車も特段ない、いたって平凡な列車です。当列車も1980年10月改正にて臨時列車に格下げされました。
ちなみに、仙台に0時5分に到着しますが、25分後に青森方面行きのゆうづる1号が仙台に入ってくるため、やろうと思えばゆうづる号で青森~仙台間突貫旅行を敢行できます。最も25分で何ができるんだって話ですが…
P3タイプ

名称(勝手につけたもの)
P3タイプ
停車駅
上野・水戸・一の関・花巻・盛岡・北福岡・八戸・三沢・青森
該当号数
- 下り:7号
- 上り:該当なし
概要
この列車の何よりもおもしろい点が、「上野駅を28分後に出たはくつる号に抜かれる挙句、青森には1時間40分遅れで着く」ということ。
つまりはくつる号と比較して2時間8分も遅く走っていることになります。一ノ関にこの列車が着く時点で、はくつる号はすでに盛岡です。仮にも同じ特急なんだけどなぁ…
なお当列車は花巻で釜石線の急行はやちね1号釜石行きに、北福岡で5分差で久慈行きのバスに接続していました。
P4タイプ

名称(勝手につけたもの)
P4タイプ
停車駅
上野・水戸・一ノ関・北上・盛岡・北福岡・三戸・八戸・三沢・青森
該当号数
- 下り:該当なし
- 上り:6号
概要
そこそこ多めの停車駅に止まる便です。
北福岡に関しては、前を走る2号と後ろの8号が一戸停車の北福岡通過、そして1本前の4号がどっちも通過の便なので、千鳥停車にしていたものと思われます。
三沢はおそらく十和田観光電鉄からの接続で停車していた可能性があるものの、詳細な時刻が書いていないため不明。三戸に関しては十和田湖方面からのバスが存在するものの、調査した時刻表が12月号なので不明です。
何か詳細をご存じの方がいらっしゃいましたら、コメントまでお寄せください。
ちなみに当列車、終点の上野には盛岡を12分後に発車した東北本線経由の寝台特急北星と同時刻に入線するダイヤが組まれていました。
P5タイプ

名称(勝手につけたもの)
P5タイプ
停車駅
上野・水戸・一ノ関・盛岡・北福岡・三戸・八戸・三沢・野辺地・青森
該当号数
- 下り:11号
- 上り:該当なし
概要
盛岡以北で、ゆうづる号の止まるすべての駅に停車する迷列車。
北福岡で20分差で金田一温泉行きのバスに、三戸で普通青森行き537列車に、三沢ではおそらく十和田観光電鉄に接続、野辺地では前を走る普通青森行き535列車からの乗客を拾い、その列車を浅虫で追い越していました。
当列車は、途中の一戸からは自由席特急券のみで乗車することのできる「ヒルネ」と呼ばれる制度が適用されていたため、それらの利用者への便宜を図っていたものと思われます。
P6タイプ

名称(勝手につけたもの)
P6タイプ
停車駅
上野・仙台・一ノ関・水沢・北上・盛岡・一戸・三戸・八戸・三沢・野辺地・青森
該当号数
- 下り:13号
- 上り:該当なし
概要
ゆうづる号で最も停車駅の多い便。しかしながら上野を23時5分に発車し、終点青森には9時55分の到着。全区間の所要時間は10時間50分と下りの客車使用のゆうづる号にしては比較的速い便でした。
ちなみに当列車、盛岡でかの有名な東北本線普通沼宮内/大館行き539列車と接続をしていました。列車番号だけ聞くとよくわからないかもしれませんが、実はこの列車がかなりの迷列車。
というのも、途中の好摩駅まで客車の後ろに花輪線の気動車をぶら下げて走行していたのです。つまりこの列車、電気機関車+客車+気動車という人によっては二度見や三度見どころの騒ぎではなさそうな列車が走っていたんです。
ちなみに当列車は、私の好きな著書である「時刻表2万キロ」にも記載されている列車なので、私の持っている時刻表に載っててちょっと嬉しかったのを覚えています。
P7タイプ

名称(勝手につけたもの)
P7タイプ
停車駅
上野・仙台・一ノ関・水沢・花巻・盛岡・一戸・八戸・三沢・野辺地・青森
該当号数
- 下り:該当なし
- 上り:2号
概要
全国58万3000人の変態停車駅ファンの皆様、お待たせいたしました。
ゆうづる号の大義名分を疑いたくなるような列車ですが、まぁ常磐線経由の方が急カーブとか急坂が無いので、客車列車を運転しやすかったのではないでしょうか。
水戸を通過する理由ですが、仮に停車する場合の到着時刻が3時40分とかになるので、そんな夜中に駅に放り出されましても…というのが一番の理由でしょうか。まぁ1本前の急行十和田が3時半に水戸で客扱いしてましたが…w
仙台を出るのが23時59分、上野に到着するのが5時24分なので、5時間25分も客扱いを一切行わずに走り抜けていました。
なお当列車ですが、青函連絡船とは接続せず、東北から東京までのアクセスを担う役割が大きかったです。そのため仙台以北ではちまちま止まっていました。
野辺地では大湊発の大湊線最終列車から、八戸では久慈線普代発の列車から、花巻では釜石線最終列車から接続を取っていました。
水沢に止まっていた理由は分かりません。時刻表にはない答えがあるのかもしれませんのでそういうことにしておきましょう。
P8タイプ

名称(勝手につけたもの)
P8タイプ
停車駅
上野・一ノ関・盛岡・一戸・三戸・八戸・三沢・野辺地・青森
該当号数
- 下り:該当なし
- 上り:8号
概要
お待たせしました真打です。
ゆうづる8号、客車使用の上りゆうづる号最後の便が当列車ですが、一の関を出ると次は終点の上野までドアは開きませんでした。
仙台を通過する理由としては、間違いなく深夜時間帯であることが理由ですが、水戸を通過するのは4時半ごろ、この時刻であれば水戸で客扱いをしても良いように感じますが、なぜ通過しているのでしょうか。
断定をすることはできなかったのですが、この列車が上野に到着する時刻が朝の6時8分。その8分前にゆうづる6号が上野駅に到着しているため、水戸駅の需要はそちらに譲り、8号は東北対首都圏の需要をかき集めるためだったと考えられます。
またこうなった理由に関しては、常磐線を経由していた貨物列車も含めて調査をしないといけないのですが、旅客列車しか載っていない時刻表では、詳細な理由は分かりませんでした。すみません。
終わりに

というわけで、全14本で13パターンが存在していたことになりました
いや、、、あの、、、なんで(純粋な疑問)?
やはり停車駅に関するお話は、昔も今も迷列車の話として切っても切れないお話なのかもしれませんね。
さて、今年の6月にゆうづる号の運行区間を引き継いだJR東日本から、E657系を改造した夜行特急列車の計画が発表され、まもなく我々の前に姿を現すと思います。
WEST EXPRESS 銀河のように「(地域名)コース」のような名前になる可能性もありますが、JR東日本管内で完結していた寝台特急も多数あったことから、それらへのオマージュとして「(車両名)あけぼの」や「(車両名)ゆうづる」、「(車両名)北星」のような列車名で呼ばれる期待も込めて、本作品を制作しました。
45年前に最盛期を迎えた対東北輸送の夜行列車。その役目は元号を2つ跨いだ今、形を変えながら再び実現に向けて一歩足を踏み出すことになりました。
今後この夜行列車がどのように活躍するのか期待したいと記して、本記事のあとがきとさせていただきます。

- 2025年11月14日JR東日本【停車駅奇想録】寝台特急「ゆうづる」編 ~北の大地へ恩返し~
- 2025年10月7日JR東日本高崎地区向けのE131系は何色で出てくる?
- 2025年10月1日JR東日本いよいよ営業運転開始!71-000形投入で埼京線系統はどう変わる!?
- 2025年9月11日JR京都線【何でも似合うな】E653系をいろんな列車に充当させて塗装を変えてみた




コメント ご意見やご感想等お気軽にどうぞ。