成田空港アクセスルートのA・B・C案

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序 章

どうもどうも、北千葉線レポート動画の編集を担当しましたゴハチさんです。

ご覧になられていない方は一番下に動画のURLが貼ってあるので、そこから見てください。編集頑張ったからみんな見てくれ頼む…

さて、そんな北千葉線と共に語られる、いや、なくてはならない存在が、東京から千葉ニュータウンを経て成田空港までを結ぶ「成田新幹線」計画

ともに千葉ニュータウンと東京都心を結ぶという需要を求めたものであり、ともに計画倒れに終わった未成線ですね。

で、どうも北千葉線運転会提案者の中沢が、成田新幹線計画にも興味を示したらしく、この計画についていろいろ調査するために国会図書館に行ってきたのです。

そのとき漁っていた資料の中に「北千葉線の計画を国鉄に転用して成田空港アクセスルートを作る」というまぁまぁ気になる文言を見つけたので、今回は成田空港アクセスルートについて、どのようなものであり、それらがどのように実現したのかを考えようと思います。

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成田空港アクセスルートとは

まずそもそも、成田空港アクセスルートとはなんでしょうか。まぁ文字の羅列をみれば一発でわかりますね。

そうです、計画倒れに終わった成田新幹線の代替として、東京都心から成田空港までを結ぶルート計画のことを指します。

1978年に開港した成田空港は、当初より成田新幹線のみの輸送を考慮した体系になっており、その他の交通網がかなり貧弱だったのです。事実、1980年代に取ったアンケートでは「成田空港は日本の玄関にふさわしくない」という答えが15%を超えており、理由として7割が「交通網が貧弱だ」ということを挙げているのです。

これを踏まえ、成田空港への利便性を上げるべく、新しいアクセスルートを構想したのです。

立ち上げられた計画は大きく分けて3つ。それぞれのルートを詳しく見てみるとこんな感じです。

  • A案:東京・京葉線・西船橋・新線(北千葉線の免許転用)・新鎌ヶ谷・北千葉線(免許転用)・小室・住都公団線(改軌)・印旛松虫・新線・成田空港
  • B案:東京・新線・日本橋・都営浅草線・押上・京成線・高砂・北総線・小室・住都公団線・印旛松虫・新線(三セク)・成田空港
  • C案:東京・総武本線・佐倉・成田線・成田・新線・成田空港
  • いずれの案も、成田空港手前の新線区間のうち、成田線交差部付近までは完成している成田新幹線の路盤を流用することとする。

成田空港アクセスに係るルートとして計画された3つの案。

当然ながら、それぞれのルートに関してはメリット・デメリットがあるので、それらをリストとしてまとめてみましょう

アクセスルートA案

事業主体

国鉄・JR

経由地

東京ー新木場ー舞浜ー西船橋ー新鎌ヶ谷ー千葉ニュータウンー成田空港

メリット

  • 当時建設を進めていたJR京葉線の線路を有効活用できる
  • 速達性においては、当時のどの案よりも速い(東京~成田空港間45分)
  • 開発が遅延している千葉ニュータウンの再開発に拍車をかけることができる

デメリット

  • 新たに建設する区間が長い
  • 住都公団線を改軌をする必要がある
  • 基本的に東京駅までしか行けない(りんかい線の計画が再び立ち上がるのはもう少し後の話)

アクセスルートB案

事業主体

京成電鉄・東京都交通局

経由地

羽田空港ー品川ー新橋ー┐  上野ーー┐
      新東京ー日本橋ー押上ー高砂ー新鎌ヶ谷ー千葉ニュータウンー成田空港

メリット

  • 都営線を介して、羽田と成田の両空港のアクセス路線として活用できる
  • 東京駅周辺のみならず、横浜や三浦などからも成田空港へのアクセスに使える
  • 改軌等の時間がかかる工事がないため、新線建設分だけの工事で済む

デメリット

  • 複数社を経由して運行が行われるため、各社間の調整が厳しい
  • 京成高砂駅付近の踏切が開かずの踏切になってしまう懸念がある
  • 東京副都心エリアへの利便性がよろしくない

アクセスルートC案

事業主体

国鉄・JR

経由地

東京ー船橋ー千葉ー佐倉ー成田ー成田空港

メリット

  • 建設費が一番安い
  • どこよりも早く建設に着工し開業できる
  • 東京駅を介して、その先横浜・新宿方面へも足を広げることができ、ネットワークが売りの高速バスと互角に戦える

デメリット

  • 一番所要時間がかかってしまう
  • 線路容量がひっ迫している総武快速線を通すため、むやみやたらに増発できない
  • あくまで本完成するまでの暫定処置な面がかなり強いこと

最終的な決定

3つある案の中で、話し合いを行った結果A案とB案のどちらかが最適であるという結論が付けられ、最終的な決定は運輸省に一任される格好となりました。

1983年12月号の野田経済にて「B案にする方向で調整している」という風に話され、翌年1984年にそのB案で可決しました。

しかしながら、当のB案についても「経由地である千葉ニュータウンの造成を優先に」ということで遅々として工事が進まず、しびれを切らした当時の国土交通大臣、石原慎太郎氏が「ルートCを先行開業させて成田空港まで直行させるぞ!」と決定。

これが現在に続く成田空港アクセスルートのJRvs京成vs格安バスの三つ巴戦争に発展することになり、各社より上質なサービスを求めるようになるのです。

ちなみにルートBのうち、東京~日本橋間の都営1号線支線の計画については見送りになっていますが、その代替として計画された押上~新東京~泉岳寺間の都心直結線は現在も実現に向けての話し合いが進められています。(ざーさん都心直結線の記事書いて)

車両に見られる「アクセスルート」の可能性

JR253系の場合

実はこの計画を見たとき、かつて埼京線で行われていたとある計画のことを思い出しました。

1991年2月18日から3月4日までのうち8日間の間で実施された、253系車両を活用した160km/hへの高速度試験と、レールブレーキのテスト。

これに関しては、いくつかのブログや迷列車動画で取り上げられている方も多いと思うので、知っている方も多いと思います。ですが、肝心の253系を活用した理由には「JRで一番新しい車両だからだと考えられる」という記述が大半を占めています。しかし、253系自体は設計最高速度が130km/h。線路閉鎖の上で実施したと考えるなら、160km/hを設計最高にしているうえに、試作品をそのまま活用可能な651系を使用すればいいのではないかな…とずっと考えていました。

さて、ここで例の計画、そのうちルートAを見てみましょう。そうですね、国鉄から引き継いだJR線が成田空港まで運営する手はずでしたね。

つまり「線形が良く、160km/hを出すことが可能」、「253系が運用に入る」、「レールブレーキに耐えられる強固なレールを採用する」。これらの条件を満たすことのできるアクセスルートA案、これの再実現に向けて実はJRはひそかにこの計画を行っていたのではないのか疑惑を投げかけてみます。北陸新幹線の米原ルートみたいな感じで話をぶり返そうとしてたのかもしれませんね…

そうした文書が見つかっていないため、断言をすることはできないですが、JR東日本はわずかに残されたルートAに一種の賭けをしていたのかもしれませんね。

京成AE100形の場合

最有力候補として結果的に実現したルートB。当初計画では都営1号線(いわゆる浅草線)の支線を日本橋から分岐させて東京駅へ乗り入れさせる計画でした。

そして、成田空港へのアクセスに向けては特急用車両の製造も求められていたことから、AE100形では前面に貫通扉を設置し、加速度も特急用車両としては異例中の異例の3.5km/h/s(ちなみに2代目AE形が2.0km/h/s)と、1号線直通規格に合う設計がされていました。

これも、成田空港アクセスルートのB案実現に向けて、京成電鉄が先手を打っていた形になるのではないでしょうか。

結果的に、ルートBが実現するタイミングでAE100形に求められたのは「世代交代」でしたが、B案の実現に向けて京成電鉄が30年以上前から躍起になっていたことは、この車両を見れば一目瞭然でしょう。

おわりに

北初富駅から眺める北千葉線予定地

幻に終わった県営北千葉線ですが、それを活用する計画だった国鉄新線の計画も、結果的にはほかの案に負けてしまい、北千葉線の計画も白紙になってしまいました。

しかし、そんな幻の北千葉線を再現したプラレールダイヤ運転会のレポート動画を制作しました!

皆さん、見てください、いや、見ろ(強制)

1日目(設営・フリー運転編)

2日目(ダイヤ運転編)

お知らせ

2日目の動画の最後でもお話しした通り、コミックマーケットC106、FreedomTrainへの委託という形で、PRTTの運転会レポート本を販売することが決定しました(1週間前だということはさておいて…)!

当日は私も設営から携わることになりますし、基本的にシフト制ではあるもののスタッフ経由で連絡さえくれれば即刻飛んでいきますので、遠慮なくお声がけください。見に来るだけでも大歓迎です!

さて、もちろん北千葉線だけではなく「直通運転」を題材にFreedomTrain各々のメンバーが期限ギリギリまで精査して書き上げた題材を取り上げています。詳細は以下のリンクよりご確認いただけますと幸いです。

というわけでコミケ当日、皆さまとお会いできるのを楽しみにしております!!!

この記事を書いた人
ゴハチさん
ゴハチさん
別名:停車駅馬鹿

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