※こちらの記事は過去に別サイトに掲載していた記事を執筆者本人が加筆転載したものです
新幹線の中からこんにちは、まいおおおかです。
今回の記事は過去に別サイトで投稿した記事の再投稿になります。
私自身ブルーラインの沿線に住んでおり、かなり愛着のある車両ばかりでぜひ紹介したく書いた記事になります。
よければ読んでいただければと思います。
はじめに
まず初めに、横浜市営地下鉄の形式区分けについて軽く解説します。
現在横浜市営地下鉄には2形式存在しており、それぞれ3000形と4000形になります。
また、その中でも更に分かれており、3000形は5次車まであり1992年から2017年まで製造。それぞれ形式名の後ろにA、N、R、S、Vのアルファベットで区別されています。
4000形は現在1次車のみですが、車両計画により2次車以降が存在することがわかっています。
次に、横浜市営地下鉄の車両番号について。
ここは画像で解説します。以下の画像をご覧ください。
少し特殊な方法で付けられており、形式名→編成→号車の順に四桁です。編成はブルーライン全体で共有となっており、画像だと開業時の1000形から通算で35編成目となります。最後の一桁は号車で、全車6両編成なので7~9と0が入ることはないです。
前提知識がわかったところで、早速各形式の紹介に入っていきます。
1.現在最古参 3000A
まず紹介するのはこちらの3000形1次車の3000A。現在最も古い形式で、廃車進行中です。
製造年 | 1992年〜1993年 |
編成 | 3241〜3311 8編成(残り2編成) |
制御方式 | 三菱GTO-VVVF |
製造所 | 東急車輌(現 総合車両製作所) |
こちらの形式の特徴的な点は現在横浜市営地下鉄ではこの形式だけとなったボックスシート。運転台の後ろに1つだけ、つまり1編成で2席設けてあります。
かつては1000形などにもありましたが、引退によってこの形式のみに。もし引退すれば横浜市営地下鉄からは完全に消滅することになります。
ちなみにこの車両、ボックスシートに限らずすべての座席がかなり柔らかく乗り心地がかなりいいです。
他にも窓上LEDモニターや現在位置が点滅してわかる路線図も搭載。モニターがなかった頃の横浜市営地下鉄ではありがたい存在でした。
また、GTO-VVVFの奏でる特徴的な音も魅力の一つですが、よく地下鉄特有の爆音走行音やこの車両の特徴の一つである爆音空調に遮られます。アナウンスすら全く聞こえません。
更に細かいところに目を向ければ、丸みを帯びた前面、少し窓の大きいドア、大きな前面方向幕、関東通勤形では珍しいカーテン、化粧板付きドアなど他の形式との相違点が盛りだくさんの形式です。
ただ、後輩の4000形によって置き換えが進行中。一説によると引退は次の4000形2次車デビュー時になる可能性があるとのことですが、まだわかりません。早めに、平和にお見送りしたいですね。
2.更新が進行中 3000N
次に紹介する形式もまた沼です。今度は3000形2次車の3000N。形式名の最後のNは「New」のN。
製造年 | 1999年 |
編成 | 3321〜3381 7編成 |
制御方式 | 三菱IGBT-VVVF |
製造所 | 東急車輛(現 総合車両製作所) |
3000Nの特徴的な点は前面のブラックフェイス。3000Aから継承されたものですが、こちらは角が四角くなったためより強調され近未来的な外観に。銀一色のはまりんステッカーもこの車両だけ。
こちらの形式は現在更新工事が進行中で、3351、3331、3321、3361編成がすでに更新されています。主な更新点としては、LED表示器のフルカラー化、はまりんステッカーの撤去、前照灯LED化、優先席の手摺交換、ドア上表示器の交換など。また、1本目の3351編成のみドア下の床が黄色になっています。
実は3000N、前面のLED表示器が快速運転開始前の名残でかなり小さく、種別表示がかなり認識しにくい問題があったのですが、更新編成ではその問題を解決すべく背景色の色分けと種別表示を1文字にすることで対処。普通なら青に「普」の1文字、快速なら赤に「快」。かなり癖の強い方向幕に、更新編成が出てきた直後はTwitterでちょっと話題になりました。
また過渡期ともいえる形態の詰め合わせで、コルゲートの側面やブラックフェイスは3000A譲り、前面の角ばった感じや制御装置は後輩の3000Rなどと同じ。座席はこの形式独自のもので、残念ながら横浜市営地下鉄では1番固いです。こちらの車両は2030年度までに引退、また現在更新工事が進行中ということで記録の急がれる形式です。
ちなみに、踊場駅で2019年に発生した車止め衝突事故により3381編成が廃車となっています。
3.1番多いブルーラインの顔 3000R
次に3次車の3000R。開業時から活躍していた1000形を置き換える形で登場したため、「Replace(置き換える)」の頭文字をとったRがつけられました。
製造年 | 2004〜2005年 |
編成 | 3391〜3521 14編成 |
制御方式 | 三菱IGBT-VVVF |
製造所 | 日本車輛 |
編成数14編成のブルーライン最多の形式、3000R。その数にふさわしく良くも悪くも普通な車両になっており、暖色の車内はほかの形式との共通点もかなり多いです。一応同じ形式の中の形態差があるようですが、ほとんど区別できません。ただ先代の3000Nとの形態差は多く、製造所も日本車輛に変更されています。
車内は全くと言っていいほど3000Sと同じ、制御方式も3000N、3000Rと共通。特に同時期に製造された3000Sと似ているところが多く、前面装飾と帯の色の順番、台車程度しか形態差はありません。この理由については後程解説します。
編成数こそ多いものの、椅子が固かったり不便なところもないため、嫌われている印象はあまりありません。ただ珍しいものが好きな小さな子供には苦しい車両になるかも。
この車両も車両更新が予定されているため、見た目や機器類が大きく変わる可能性があるので早めの記録をお勧めします。
4.先輩からのお下がり 3000S
次は4次車の3000S。こちらの車両は3000Rとの相違点が少なく普段乗っているだけでは意識しにくいですが、細かいところに目を向けるとブルーライントップクラスに面白い車両だったりします。
製造年 | 2005〜2006年 |
編成 | 3531〜3606 8編成 |
制御方式 | 三菱IGBT-VVVF |
製造所 | 日本車輛 |
3000Sはホームドアや保安装置に対応できないことから引退した2000形を置き換えるため製造。ただ、当時2000形は登場から20年程度しか経過しておらず、まだ使える部品もあったため一部部品を再利用することに。そうしてお下がりのパーツをところどころに使用して登場したのがこの3000S。ちなみに、形式名のSは満足を意味する「Satisfaction」からとってつけられたもの。どこに満足したのかはわかりません。
2000形から譲り受けたのは台車・ブレーキ装置など主に足回りのもの。ただ、制御装置や車体は3000Rとほぼ同じものが新製されました。そのため製造費も5億円と3000Rの8億円と比較してもかなり安くなっています。
ただ、部品を流用したことによるデメリットも。当然台車などは2000形のころから使われているため、当然その分寿命も短くなってしまいます。2000形のデビューが1983年なので譲り受けた部品は40年物。老朽化も進行してしまい、ついに先日横浜市交通局から「2030年頃に全車引退」と余命宣告を受けてしまい、約25歳での引退が確定。面白い形式だっただけに残念ですが、部品の寿命を考えると致し方ないようにも思えます。
また、2019年に下飯田駅で発生した脱線事故のため3531編成が、車両故障のため3571編成が廃車になっています。
5.1編成のみの異端児 3000V
3000形最後は5次車の3000V。この形式は1編成しか製造されず、また他の3000形とも大きく違うため異端児的な扱いになっています。形式名のVは5をローマ数字で表記するとⅤになることからつけられました。
製造年 | 2017年 |
編成 | 3611 1編成 |
制御方式 | 三菱SiC-VVVF |
製造所 | 日本車輛 |
3000Vは3000Aの置き換えのため2017年に12年ぶりの新型車両として登場した形式で、先行試作車として1編成が製造されたものの、そのまま1編成のみの状態で5年が経過。その後、この形式を基にしてコストダウンが図られデザインも大きく一新した4000形が登場しました。
この形式は快速運転の開始(2015年)から始めて作られた車両のため、前面行先表示器が大きいサイズになっており、また最初からフルカラーLEDを搭載しています。
その他にも横浜の海をイメージした側面デザインや、従来の暖色系の車内から青を基調にした寒色系の内装に変わったり、SiC素子を採用したVVVFインバータ、透明の化粧板や貫通扉など特徴的な部分が多く、3000形のなかでも異端児扱いされています。
ただ、そんなに力が入っているのに1編成しか製造しなかったため製造費が設計含め24億円と超高額に。そのため度々「新幹線より高い24億円の高級車」と揶揄されたりも。後継の4000形は1編成当たり13億円なので何にそんなにお金がかかったのか。
個人的には1編成のみという特徴から整備の関係などで早期引退しそうな予感がするのですが、4000形と似ている部分が多いし大丈夫だろう…など心配している形式でもあります。
ちなみに、この形式からドアのステッカーなどにいた横浜市交通局のマスコットキャラクター「はまりん」が消されています。まさかこのまま忘れられるわけじゃないよな…
6.開業以来のデザインから脱却! 4000
最後に紹介するのが2022年にデビューしたばかりの4000形。こちらの車両は「30年ぶりの新形式」「50年ぶりの川崎車両製」「開業以来のデザインを一新」など横浜市営地下鉄にとって節目となる要素てんこ盛りの大注目の形式です。
製造年 | 2021〜2024年 |
編成 | 4621〜4691 8編成 |
制御方式 | 三菱SiC-VVVF |
製造所 | 川崎車両(川崎重工) |
4000形は3000Vを基にして製造された車両で、目的は3000Aの置き換え。8編成が在籍しており、現在では製造も完了し3000Aの置き換えは目前。
基本的に3000Vの仕様を受け継いでいますが、外装は大きく異なります。前面は開業以来のくの字デザインを脱し、丸みのある形状に。ライトは縦目になり、側面デザインも3000Vとは大きく変わっています。特に3000形では側面帯が太く複数色でしたが、この形式では水色一色の細帯に。
内装はLCD周りが黒くなったり、車端部が一部灰色になっていたりなどこちらも変化が。音の面ではドアチャイムが2回繰り返すようになりましたね。しかも、座席が3000Aと同じくらい柔らかいんです。当然ボックスシートはないですが…
そして、車両計画から4000形は2次車以降も存在することが確定。もしかすると3000形みたいに30年間製造され続けるかもしれません。
さいごに
かなり省略したところも多かったのですが、どうでしょうか。個人的に好きな3000A・3000Nの文章が長くなってしまいましたが、当然ほかの形式も魅力が多く、先日発表された車両計画で3000Aと3000Nの引退、3000Rの車両更新が現時点で決まっており、3000Vは1編成のみ、4000形は最新編成がこの記事の執筆時点でまだピカピカなので冗談抜きで全車ネタ状態。それなのにあまり人も来ません。4000形デビュー初日に撮影したときは0人でした。
そんな横浜市営地下鉄に少しでも興味を持ってくれると嬉しいです。運賃は初乗り210円と高いですが路線距離が地下鉄としては長いのに1日乗車券が750円と安かったり、地上区間も多いので地下鉄らしくない写真も撮影できます。
乗っていても、乗客の入れ替えが激しかったり、湘南台駅手前では富士山が見えたり、座席が柔らかかったりなど面白い路線です(まあ地下が多いので飽きますが…)。
ぜひ横浜市営地下鉄に来てくれると嬉しいです。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
今回の記事では、以下のサイトを参考にさせていただきました。
https://www.city.yokohama.lg.jp/kotsu/tanoshimou/otanoshimi/sharyosyoukai.htm
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