【山々を越えてゆく】1日3往!?熊本と大分を結ぶ特急「九州横断特急」で行く豊肥本線完乗旅

ご無沙汰してます。ふぺです。

皆さんは北部九州の主要都市である熊本大分を結ぶ特急列車こと「九州横断特急」をご存知でしょうか?

この九州横断特急は「ソニック」や「リレーかもめ」といった九州の代表的な特急列車に比べて影は薄いものの、実は非常に面白い要素が詰め込まれた列車となっているのです!

今回はそんな九州横断特急の乗車レポートについて、お送りしていこうと思います。

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まずは大分駅に

というわけで、こんにちは。

撮影日は11月30日の日曜日、私は“ICカード大回り”を利用し、特急と普通列車を使って、大分県の代表駅である大分駅へやってきました。この大分駅は小倉と宮崎・鹿児島を結ぶ日豊本線由布院を経由して久留米までを結ぶ久大本線阿蘇を経由して熊本までを結ぶ豊肥本線の3路線が交差するターミナル駅となっています。

ここから先、私は12時09分に発車する豊肥本線の特急列車「九州横断特急4号」に乗って、熊本駅まで向かうよう計画を立てました。この九州横断特急は1日3往復のみ運転されており、中々乗るハードルの高い列車となっています。

ホームに上がると、既に九州横断特急で使われる車両が待機していました。

この車両はキハ185系といい、かつて四国地方で「うずしお」「しおかぜ」として走っていましたが、2000系の登場などにより余剰気味となっていたところを、JR九州が買い取り「ゆふ」や「九州横断特急」として使うようになりました

緑色の国鉄色や水色の四国色を纏っていた四国時代とは変わって、車体は全体が赤で塗装されており、JR九州の特急らしいロゴや文字がデザインされています。

またこの九州横断特急は基本的に2両編成での運転となっていて、1号車が指定席・2号車が自由席という区分になっています。

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ICカード大回りとは?

それではここで、ICカード大回りについて軽く解説していこうと思います。

JR九州 公式HPより

ICカード大回りとは、 JR九州の発行するSOGOCAの利用可能エリア内を駆使して、最短距離の運賃で遠回りしながら電車に乗るという乗り鉄お馴染みのものとなっています。通常のきっぷの場合では、田川や新飯塚といった福岡の大都市近郊区間までしか乗ることはできませんが、ICカードを使って大回りをすることにより、移動可能な範囲が大幅に拡大して、豊肥本線を使って熊本へ・久大本線を使って久留米へ行くこともできます。

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カイサツも。カイモノも。スッ!とゴー! JR九州の「SUGOCA」公式ホームページ。自動改札機にタッチするだけで通過できる便利なICカード乗車券。

車内を見ていく

それでは話を九州横断特急に戻しまして、まずは座席を見ていきましょう。

キハ185系は2列/2列でシートが並んでおり、緑と黒の市松模様のモケットのシートが並びます。またヘッドカバーはベージュ色となっているほか、肘掛けや窓のテーブルにも木材が使用されています。

背面テーブルはこのような感じとなっており、新幹線や883系の背面テーブルに比べると一回りやや小さくなっています。またテーブルの左下にはタクシーの宣伝シールが貼られていたのですが、サービスの利用可能駅一覧に久大本線の駅しかなく、おそらくこのキハ185系は「九州横断特急」だけでなく「ゆふ」にも充当されることがあるのでしょう。

そして窓側の床下には、気動車特有の足置き(?)スペースもあるほか、座席下に足を通すこともできます。

大分を発車して森の中へ

遅れてきた特急列車からの接続待ちを行ったため、九州横断特急4号は定刻より7分ほど遅れて発車

私が乗車した1号車(指定席)の乗車率はこのような感じで、窓側ははぼ全て満席・客層も老夫婦や旅行目的で乗っている方が多く、意外にも外国人観光客は見かけませんでした。また2号車(自由席)の乗車率は1号車(指定席)に比べて低く、場合によっては自由席のほうが良いかもしれません。

大分駅を出発すると暫くのどかな住宅街を進みますが、中判田駅を過ぎると雰囲気が一変して、沿線が一面木と竹だらけになっていきます

竹中駅付近からは大野川が並走するようになります。この大野川は大分県と宮崎県の県境にある祖母山から別府湾に注ぐ川で、豊肥本線沿線には大野川水系の湧水や滝が多くあります

そうして九州横断特急は大野川を横目に眺めつつ、少しずつ標高を上げていきます。

三重町駅に到着

大分駅を出発して約40分、九州横断特急は最初の停車駅である三重町駅に到着

三重町駅は約3万人もの人口を抱える豊後大野市の中心駅で、当駅を始終着とする列車も多く設定されています。また最近は駅舎やロータリーがリニューアルされたらしく、非常に綺麗な容貌になっていました。

「荒城の月」豊後竹田駅に到着

大分駅を出発して約1時間、列車は豊後竹田(ぶんごたけた)駅に到着

当駅の所在する竹田市は「荒城の月」で著名な瀧廉太郎の出身地として有名であり、駅舎も城風のデザインになっているほか、駅前も古風な建物や電線を地下に埋めたことで非常に趣のある街並みとなっています。

また列車の発着時には「荒城の月」が流れることで鉄道マニアにも有名な駅となっています。

さらに森の中へ…

豊後竹田駅を出発すると阿蘇山の火砕流台地に入り、これまで以上に車窓が緑一面に変貌していくほか、車体と枝がぶつかり合う音も偶に聞こえるようになり、より森の中へ入ってきたことを実感させられます。

またこの豊後竹田〜宮地は、豊肥本線の中でもトップクラスで本数が少ない区間となっており、普通列車は1日に5往復のみしか運行されません。

ワンマン運転の特急

豊後荻〜宮地での後面展望

この九州横断特急は全国でも珍しい「ワンマン運転の特急」となっており、車掌さんが乗務されていません。

ワンマン運転の特急は2025年現在では「にちりん」「ひゅうが」「きりしま」「九州横断特急」と「スーパーおき」「スーパーいなば」の一部区間のみで行われており、九州の地方特急では当たり前のものだったりします。しかし車掌さんが乗務されていないことで自由席の検札がなくなるため、”キセル乗車”ができる…と思うかもしれませんが、不定期で車掌が乗務して検札をされるようなので、くれぐれも”キセル乗車”はしないようにしましょう。

熊本県に進入‼︎阿蘇駅に到着

坂の上トンネルや東側外輪山を眺めつつ宮地駅に到着して、すぐに次の阿蘇駅に到着

当駅が阿蘇の観光拠点となっており、ななつ星in九州も停車するほか、駅前にはレンタカー営業所もあります。また宮地駅と当駅から数名の方が乗車され、指定席は窓側が全て埋まりました。

阿蘇の絶景‼︎カルデラと新阿蘇大橋

阿蘇駅を出発すると北側外輪山や阿蘇カルデラ・火山群が多く見えるようになり、阿蘇谷の中を駆け抜けていくことになります。丁度阿蘇の山々も秋らしい色に染まっていますね。

また赤水駅を通過して暫くすると、右側に新阿蘇大橋が見えてきます。

この新阿蘇大橋は2016年の熊本地震で崩壊した旧阿蘇大橋を代替する目的で、2021年3月に架橋され、橋からは黒川の絶景や長陽大橋を眺めることができるようです。そしてこの新阿蘇大橋は全長525m・最大橋脚高97mもあり、その迫力は車内からも伝わります。

立野のスイッチバック

坂の上トンネルから標高を下ってきた列車ですが、この赤水駅〜立野駅は標高差が約190mと、豊肥本線で最も傾斜が急な区間となっているため、勾配を緩和するべくスイッチバックを行います。

まず赤水駅方面から熊本方面に進んできた列車は段々と減速をして、やがて停車。すぐに運転士さんが2号車(熊本側)から1号車(大分側)の運転席に移り、停車から4〜5分ほどで発車します。

先ほど通った線路を横目に立野駅へ進む線路へ進入し、ゆっくりと下っていきます。

こうして列車は無事に立野駅に到着。当駅で宮地行きの「あそぼーい‼︎」と交換を行います。

また当駅は高森へと続く南阿蘇鉄道が伸びており、土休日にはトロッコ列車「ゆうずけ号」も運行されるようです。「あそぼーい‼︎」と含めて今度乗りに行きたいですね。

立野駅からはもう一度進行方向を変え、熊本駅へ向かっていきます。

空港最寄りの肥後大津へ

立野駅を出発して約10分ほどで住宅街へ入り、肥後大津駅に到着

当駅は副駅名として阿蘇くまもと空港駅が付けられており、当駅から熊本空港へ向かうバスも運行されていますが、最近は空港へ鉄道を延伸する構想が本格化してきており、これからどうなっていくか注目したいですね。

そして当駅からは電化区間になり、815系や817系といった電車が通るようになるほか、観光需要の大きいローカル線から混雑が顕著な通勤路線として路線の性質が変わっていきます

新水前寺駅に到着

肥後大津駅を出発して約20分、最後の途中停車駅である新水前寺駅に到着

当駅は熊本県内第2位の利用者数を誇り、熊本市電と乗り換えて通町筋や辛島町といった中心部へ向かうことができます…が、特に乗降は見られず横断特急は新水前寺駅を発車していきます。

熊本駅に到着‼︎

こうして大分駅を発車して約2時間49分…九州横断特急4号は終点の熊本駅に到着

約3時間弱の長い移動でしたが、座席がフカフカで全く疲れなかったほか、大分駅から熊本駅まで客層が変わることはほとんどなく、九州横断特急を利用しているほとんどの人が熊本と大分の移動に使っているということを実感させられました。

ここまで私たちを運んでくれた「九州横断特急4号」は車内清掃を行ったのちに「九州横断特急6号」として大分へ帰っていくようです。

実はめちゃくちゃ遅い⁉︎

ここまで大分〜熊本をショートカットして結んでくれた九州横断特急ですが、実は非常に鈍足なことで有名です。

この九州横断特急は大分〜熊本を3時間弱で結びますが、実は大分駅を九州横断特急4号より1分遅く発車する特急ソニック28号に乗り、小倉からさくら553号に乗れば、九州横断特急より30分ほど早く熊本駅に到着することができます。また他の九州横断特急も非常に鈍足で、いずれの列車も日豊本線&新幹線を経由したほうが早く着くという格好になっています。

しかし九州横断特急が6,070円なのに対して、こちらの新幹線経由の場合では12,920円と倍近い価格になるので、よほど急いでいない限りは九州横断特急を使ったほうがいいでしょう。

おわりに

いかがだったでしょうか…

金欠で乗れない…😭という方もICカード大回りを利用すれば(ほぼ)特急券代だけで乗ることができますので、ローカル特急ながら乗ってて非常に面白い「九州横断特急」にぜひ興味を湧いて頂いたら幸いです。

この記事を書いた人
ふぺ
ふぺ
icon @Bashamichi_mm04

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