
ご無沙汰してます。ふぺです。
2025年7月15日に発表された日産の追浜工場閉鎖と苅田工場への移転。どちらの都市も鉄道と密接に関わっていることが特徴ですが、この工場移転によって追浜は苅田の鉄道事情はどうなるのでしょうか?
2027年度 追浜の日産工場が閉鎖へ
2025年7月15日に日本の大手自動車メーカー企業である日産自動車は、神奈川県横須賀市の追浜にある追浜工場を2027年度末に生産終了することを発表しました。この追浜工場とは1961年に操業を開始した、従業員約2400人を抱える大規模な主力工場であり、2025年現在では「ノート」と「ノートオーラ」の2車種の製造を担当しています。
近年の日産自動車は販売不振に伴う過剰生産が経営を圧迫してきており、追浜工場含む各地の工事機能を集約することで経営を成長軌道に戻す戦略とのことです。また元々追浜工場で製作していた「ノート」「ノートオーラ」といった車種は福岡県苅田町にある日産自動車九州の「苅田工場」に製造機能を移転・統合するとのこと。
また日産としても「従業員の雇用を最優先にあらゆる可能性を検討する」とコメントしており、苅田工場や違う部門に移動するなどして、従業員の雇用をサポートする旨が発表されています。

ここで1番気になってくるのが日産工場がなくなる「追浜」の今後。追浜にある総合研究所やイベント施設は事業は継続する…と発表されていますが、2400人近くの従業員を抱える追浜工場が無くなるとなれば、追浜の街には大きな変化が訪れるでしょう。
工場の移転で「追浜」はどうなる?

日産自動車が移転することで街が大きく変わると噂されている追浜。追浜は「日産の城下町」と言われるほど日産との関わりが強い街で、横須賀市の経済の中心でもありました。この追浜工場が抱える従業員の数は2400人近くとされており、この従業員の大半が追浜や横須賀市周辺に在住していることや、市内に日産と強い関わりのある会社が約800社もあることを踏まえて考えると、追浜工場生産終了後の地域経済への打撃は避けられないでしょう。
この日産工場移転による追浜地域の影響は地域住民も憂慮しており、特に駅前商店街や飲食店を営む人からは商店街の衰退や閉店を心配する声が多く寄せられています。以前に同社の村山工場が閉鎖された際はイオン以外ほぼ手が付いていない状態とのことだったので、追浜もそうならないよう祈るばかりです。
追浜の鉄道事情はどうなってゆくのか
ではこの日産工場移転によって追浜周辺の鉄道事情はどうなるのでしょう?
追浜地域の代表的な駅としては京急本線の「追浜駅」があります。この追浜駅には普通・特急の2種別が停車し、日中は毎時8〜9本の本数が確保されているのが特徴です。
この追浜駅周辺の衰退で噂されているのが特急の追浜通過化。追浜駅は京急線の利用者数ランキングで11位を誇るなど、快特通過駅でもトップレベルの利用者数を誇りますが、日産の追浜工場が移転するとなると当駅を利用する通勤客は大幅に数を減らすことになります。そして追浜駅には日産工場への通勤客の利便性向上のために特急が停車しており、日産工場の移転が完了すると特急が追浜を通過するようになる可能性が高いでしょう。

また2025年現在の京急では金沢文庫・金沢八景・追浜…と3駅連続で停車しており、速達性の観点から見ると車両基地のある金沢文庫・逗子線やシーサイドラインとの乗り換え駅である金沢八景に追加で隣駅の追浜に特急を停まる意義はないように思えます。
しかしこの特急の追浜通過化は実現の可能性が高いかと言われるとそうでもなく、追浜には日産工場のほかに横浜DeNAベイスターズの二軍本拠地である横須賀スタジアムの最寄駅であることや、日産自動車移転後も専用埠頭といったある程度の施設は残ること・追浜工場が所属する横須賀市が移転の影響を最小限にしたい意向を表していることから、必ずしも追浜に特急が停まらなくなるとは言いにくいでしょう。
工場が統合される「苅田」では
一方、追浜の工場機能が移転される福岡県の苅田では知事を中心に安堵の声が広がったほか、苅田商工会議所の会頭からは「経済効果が期待でき、会議所としては引き続き支援する」との発言が見受けられました。

この苅田にある日産自動車九州はかつての九州工場を2011年に分社化して誕生した比較的新しい工場で、約4500人の従業員を抱えており「セレナ」や「エクストレイル」といったクルマを年間50万台製造しています。そして今後これにプラスで追浜で製造されていた「ノート」といった車種が追加されることになるほか、今後岡山県の水島製作所で製造されていたEV自動車も製造を担当することが検討されている点から、日産自動車九州の稼働率は100%に到達することが予測されています。
そしてこの苅田の今後の鉄道事情として考えられるのが特急の苅田停車。JR日豊本線の苅田駅から4kmほど離れた場所に苅田工場(日産自動車九州)がありますが、この苅田工場への通勤客増加に対応すべく朝夕のみ特急が苅田駅に停車する可能性があります。しかしこの特急の苅田停車も実現する可能性は必ずしも高いとは言えないのが現状です。

現在の日豊本線小倉エリアでは小倉、下曽根、朽網、行橋…が特急停車駅となっており、このうち下曽根と朽網は2駅連続停車となっています。そして苅田駅は朽網の隣駅ということもあり、もし苅田が特急停車駅へと昇格した場合この区間は3駅連続で特急停車駅になることになります。ほか朝夕のみ特急が苅田に停まるとしても、博多⇄大分の都市間移動で特急を利用する人からは所要時間が増えることに対して反発を招く可能性があり、苅田に特急が停まる可能性は現状を見る限り正直低いと言わざると得ないでしょう。
しかし特急が停まる可能性は低いにしろ、朝に柳ヶ浦⇨小倉で走る快速(3534M)が行橋を出ると下曽根、城野、南小倉、西小倉…と停まっていき苅田は通過してしまうため、特急に比べると通勤需要に応える形で快速の停車駅に苅田が追加される可能性はあると思われます。
おわりに
いかがだったでしょうか?
日産工場の移転で何かしらの変化が生まれそうな両都市の鉄道事情。まだまだどうなるか分かりませんが、これからじっくりと観察していきたいと思います。
参考資料



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よく奇行に走ります
icon @Bashamichi_mm04
- 2025年7月22日九州【両都市の今後】日産工場移転で「追浜」と「苅田」の鉄道事情はどうなる?
- 2025年7月20日九州【失敗?】西鉄「Nライナー」の需要と集客増の方法について考えよう
- 2025年7月18日九州【消えた計画】新幹線が来るはずだった街「佐世保」と「白いみどり」の未来
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