【川重の謎の車体】山形線719系の今後を考察する #2

こんにちは。こづるしんでんです。

前回、私が執筆した山形線719系の将来について考察した記事、皆さんはご覧いただきましたか?それなりに多くの方にご覧いただけたこの記事、要するにこういうことです。

結論:山形線新車はE129系交流×標準軌版

で、済めばよかったんですよねぇ……

今回は、なぜ話が複雑になったのか、そして結局719系の後継となる新形式車両はどうなるのかを、改めて考察してみます。

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前提:標準軌対応の車両

まず前提として、標準軌の路線である山形線・田沢湖線で使われている719系・701系の現状を整理しましょう。

719系5000番台

  • 1993年登場、ステンレス製2両編成
  • サイリスタ位相制御方式(国鉄末期〜JR初期の電車で多用)
  • 山形新幹線開業時に標準軌化された奥羽本線(山形線)専用で製造

サイリスタ位相制御はすでに部品が製造終了しており、今では廃車発生品に頼らざるを得ない状況です。加えて山形線は勾配が多く負担が大きいため、機器劣化も進みやすいです。運用継続はかなり大変です。

701系5000番台・5500番台

右:Nee751 – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=155764311による

左:Lover of Romance – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2284810による

701系はロングシート主体で通学輸送には強いものの、観光や長距離利用には不向き。機器更新は行なっているもの経年30年に差し掛かりつつあり、今後10年単位での置き換えは必須です。

つまり――「719系は今すぐ、701系は近い将来」
この2形式をまとめて置き換えるのが合理的で、そのために新しい形式の車両が必要だ、というところまで前回の記事では整理しました。(E129系準拠案……)

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なんでこれで済まなかったの?

まず、こちらのブログ記事をご覧ください。

『南のステンレスは何だ?と、北はこれから余裕がなくなる? 今週まとめ』
毎度! おばんです!今週もワンパターンで行ってしまった?土曜日恒例、川崎車両の南の果て。今週も? 至って静かな工場の休日。で、昨日見つけて「なんだこれ?」と思…

こちらのブログによると、どうやら川崎車輛で正体不明の謎の車両が製造されているようです。

さらに、こちらの記事では現時点で確認できる範囲から以下のような特徴が指摘されています。

・屋根上に主ヒューズの支持装置などが設置(→交(直)流電車と決定付ける要素)

・ステンレス製

・3ドア

・ストレート車体

・車端部側面上部に安全確認カメラの設置(準備)箇所と見られる穴(→中編成・短編成でワンマン運転を想定か)

(出典:Kumoyuni45「川重に正体不明の新型車体が出現」 2025年8月31日付記事)

川崎車両で「謎の交直流電車または交流電車」が製造・その正体は?
8月下旬頃から、川崎車両構内で『外観から形式が特定できないものの、屋根上から交流電車または交直流電車と分かる鉄道車両の構体』が確認されているようです。現時点で確認できる範囲から、以下のような特徴を備えていると考えられます。 屋根上に主ヒュ

で、よくよく考えてみると「交流」の新型車両の投入先って、結構限られてしまうんです。

  • 東北は701系代替の可能性もあるが、まだ先の話になりそう
  • 北海道は733系の製造は発注分終了(今後追加生産はあり得るが、そもそも車体が違う)
  • 北陸地方の交流区間は三セクに移管済み→新車導入は可能性低
  • 九州は急いで置き換える車両がない

そう考えると、この川重の「謎の車体」が対象となる路線は、消去法でほぼ山形線(719系置換)しか残っていません。
この時点で、「719系置き換えの新形式はほぼこれしか考えられない」という流れになるわけです

つまり……考察が外れました。

まあそんなこともあるさ。まあ気を取り直して、このE723系(仮称)は、どのような仕様の車両になるのか考えてみましょう。

これから先、川崎車輛で確認された正体不明の車両は、山形線向けの新型車両、「E723系」である、と仮定して考察を進めます。

記事公開時点では正式な発表は出ていないことに注意してください。

HB-E220系の構体なの?

ごめんねHB-E220撮ったことなかった

さて、このE723系。最近のJR東日本の電車の多くはJ-TRECで製造しているので、なぜわざわざ川崎車輛で製造しているのか不思議に思いませんか?

ここで浮上するのが「HB-E220系ベース説」です。

・HB-E220系はストレート断面のステンレス車体+ステップを埋めれば電車ホームにも入線OK

・GV-E400系・HB-E220系はモーターで動く→電車化が容易

・JR東日本管内(というか東北地方)ですでに採用されている設計→安価に済む

それぞれ見ていきましょう

構体が似てる+ステップ埋めればOK+東北にGV・HBがいる

まず、川崎車輛で製造されている構体の写真を見てみると…….なんかGVライクな構体に見えませんか?

実はこのE723系、GV-E400系・HB-E220系ベース説が現実的にあり得るんです。

まず、GV-E400系・HB-E220系はE721系と異なり、低床構造ではありません。そのためステップがあります。で、今山形線で運用されている719系・701系は設置されているステップを埋めて電車ホームの高さに対応させています。つまり、ステップを埋め標準軌の台車を履けばこれらの車両は入線できると言うことがわかります。

あと、GV-E400系・HB-E220系はすでに東北地方で投入済みの車両。E723系がこれらの車両と似た設計をしていれば、保守部品の共通化等、コスト削減にも役立つと考えられます。

モーター駆動→電車化が容易

また、GV-E400系もHB-E220系も、最終的に主電動機(モーター)で走る構造を持っています。

  • GV-E400系 → ディーゼルエンジンで発電し、その電力でモーター駆動
  • HB-E220系 → ハイブリッドシステムで発電・蓄電し、モーター駆動

つまり両形式は「電車と同じくモーター駆動」であり、違うのは電気をどこから取るかという点だけ。
これを架線集電方式に置き換えれば、そのまま電車化できるわけです。(まあいろいろと積む装置は必要になりますが)

つまり、山形線の標準軌・電車ホームでも十分運用可能であり、実用性は十分ということです。

どこに投入される?

さてさて次に行きましょう。このE723系、どの路線に投入されるのでしょうか。

巷では主に719系を置き換える、と騒がれていますが、私的にはそれ以外の置き換えもあるのではないか、と踏んでいます。

719系置き換え以外も!?

まず、このE723系が運用できる、標準軌に改軌された路線はこの日本に2路線しかありません。

2路線ですよ?

今この2路線では3種類の車両が使われていますが、E723系をこの2路線に投入すれば車種を統一できます。どうしてもこれらの路線で運用するには独自仕様になってしまうので、これは大きなメリットです。

山形線

現在、山形線では701系5500番台9編成と719系5000番台12編成が運用されています。

719系5000番台は機器に今は数少ない「サイリスタ位相制御」を採用しています。実はこの部品、すでに製造終了しています。今までは0番台の廃車発生品(もしかしたら8100系も?)で食い繋いできましたが、いかんせん勾配の多い路線で劣化も早く、相当ヤバイ状況です。早く置き換えた方がいいですね。

701系5500番台は2013年ごろに機器更新工事が施工されていますが、落成自体は1996年ごろと経年30年ぐらいです。少し早いかもしれませんが、719系とまとめて置き換えても大丈夫な時期でしょう。一応ステップを付けて狭軌用台車を履けば、他の路線に転属可能ですが……経年からしておそらくないでしょう。

2形式をまとめて置き換えるのであれば予備車を共通化できるので、投入するならE723系19〜20編成ぐらいですかね。

田沢湖線

秋田新幹線のならび

現在、田沢湖線では701系5000番台9編成が運用されています。実は先日、運用を離脱していたN5001編成が狭軌台車に履き替えの上秋田総合車両センターまで廃車回送されました。

製造年・機器更新の時期も5500番台とほぼ同じであり、運用離脱した編成も出ていることから、こちらにもE723系が8〜9編成分投入されると考えて良さそうです。

内装はどうなる?

さて、では気になる内装について考えていきましょう。

前提

まず、E723系は2両編成で投入されます。

・701系5000番台:片側ロング+もう片側セミクロス

・719系5000番台:集団見合い式(=セミクロス)

・701系5500番台:オールロング

ロングシートとセミクロスシートが混在していますね。701系5000番台はあえて片側をセミクロスシートにしていますが……E723系はこれら3形式をまとめて置き換えるので、どのような座席がいいのでしょうか。

オールロング

HB-E220系方式。まあありえますが……

個人的に5000番台があえて片側セミクロスにしていることもあり、多少はクロスシートを配置するのではないか、と考えています。

セミクロスシート

E721系方式。こちらも現実的にあり得ますが……

実は山形線の山形~天童のあたりって日中でも混むときは混むんですね。(by大回りで混雑負けした人)そう考えると、セミクロスシートは可能性が低いのではないでしょうか。

1両ロング+1両セミクロス

E129系方式。

E129系はボックスの115系とロングのE127系を一気に置き換えたため、この座席構成が採用されたそうです。ん? この状況どこかで見なかったかな?

セミクロスの719系5000番台・701系5000番台とロングの701系5500番台を一気に置き換えるので、案外この方式はいいかもしれません。

半分ロング+半分セミクロス

GV-E400系方式。

車両の半分はロングシート、もう半分はセミクロスシートにする案です。

車端部は優先席でロングシート/フリースペース、中央部はロングシート、車両の先頭よりのところにクロスシート(片側2区画ぐらい)がちょうどいいんじゃないでしょうか。

ワンマン運転の際の乗車口である後ろのドア付近をロングシートにすれば車内も詰まりにくいでしょう。

まとめ

というわけで、謎の「川重ステンレス3ドア車体」の正体は、やっぱり山形線・田沢湖線の新車=E723系(仮称)って考えるのが自然そうです。

719系はもう限界、701系もそろそろ危ない。どうせならまとめて置き換えてしまえ!という流れですね。GV-E400系やHB-E220系をベースにすれば電車化も簡単だし、部品も共通化できてJR東日本的にもお財布に優しい。

座席はロングかセミクロスかですが……まあ全部ロングにしちゃう可能性もゼロじゃないけど、個人的には「1両ロング+1両セミクロス」あたりが落としどころなんじゃないかなと思います。

まだ正式発表は先でしょうけど、いよいよ719系の後継車が現実味を帯びてきました。動き出すのが楽しみですね。

最後までご覧いただきありがとうございました。

この記事を書いた人
こづるしんでん
こづるしんでん
中央特快相模湖行き()
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