
ご無沙汰してます。ふぺです。
2025年11月21日(金)、福岡市は地下鉄七隈線の車両を6両編成に増結し、博多延伸に続くさらなる延伸について検討していることが明らかになりました。
そこで今回は七隈線沿線民である私が、この増結&延伸案の概要と七隈線の混雑状況について解説していきたいと思います。
七隈線、増結とさらなる延伸へ。

2025年11月21日に福岡市から発表された七隈線の6両化&延伸の検討。概要としては七隈線で使われている3000系及び3000A系車両を従来の4両編成から、同じ福岡市地下鉄が運営する空港線・箱崎線と同じ6両編成へ増結するということと、この七隈線の利便性をさらに向上させるべく、いくつかの延伸案を検討するというものとなっています。この増結等に向けて、福岡市は2026年度予算案で検討費の計上を視野に入れるとのことです。
6両編成への増結について

この七隈線は2005年に福岡市西区の橋本駅と福岡市中央区の天神南駅を結ぶ地下鉄路線として開業し、2023年の天神南駅から博多駅への延伸開業を機に利用者が大幅に増加するようになりました。
延伸前は天神南駅での乗り換えの悪さや乗り換え路線の少なさ等から、長らく利用者の低迷が目立つ状態が続いていましたが、博多駅へ延伸したことにより、JR路線等から博多駅を通じて、福岡大学や中村学園大学といった七隈線沿線の大学へのアクセスが格段に向上したほか、路線の利便性が向上したことによって七隈線沿線の住宅街から博多駅周辺への通勤需要も高まったことにより、七隈線の利用者は延伸開業前(コロナ時)の約1.5倍である12.3万人まで増加しました。
また、これまで七隈線沿線に住んでいた大学生がアパートを解約して、JR沿線の実家から通うケースも増加し、不動産会社もアパートを取り壊してファミリー向け住宅や高級マンションの建設にシフトするなど、この七隈線の延伸開業は福岡市の交通事情や沿線状況に大きな変化を与えました。
しかし利用者が増えた影響で車内の混雑率は非常に悪化しており、延伸開業当初は混雑率が最高140%まで増加し、今も依然と利用者数は増え続けている状況です。

これを踏まえて、福岡市は2023年8月19日・2024年3月23日・2025年8月4日にダイヤ改正を行い、予備車両を活用するなどして大幅な増発がされましたが、これ以上の増発は運用や車両数の観点から難しい状態となっているほか、七隈線の利用者数も2025年9月末の時点で15.8万人/日に増加し続けていることから、七隈線の混雑状況の改善はかなり厳しくなってきています。
これを踏まえて福岡市は2026年から2027年にかけて、博多延伸開業に向けて製造された3000A系を追加で4編成導入することが発表されており、これによって七隈線のさらなる増発が可能になりますが、おそらくこの車両追加導入分の増発でおそらく七隈線の線路容量は限界に限りなく近くなると考えられます。

これによって七隈線の混雑は一時期は落ち着くと思いますが、路線末端部である橋本駅周辺で大規模な再開発が行われていることや、他の駅周辺でもでマンションの建設が進んでいることからも、今後も利用者数は増加する一方だと思われます。

そして今回発表された七隈線の6両への増結案は、さらなる七隈線の利用者増加に向けた混雑対策と後述の延伸計画の一環と考えられます。七隈線は現在、全ての車両が4両編成で運行されており、定員は378人(3000系)となっています。これが6両編成へと増結されると、1編成あたりの定員は約1.5倍へ増加し、3000系で計算すると578人程度になるようです。

この増結によって七隈線の混雑は大幅に緩和されることが予測できますが、問題として増結車両が入れるようにホームを拡張しなければなりません。しかし七隈線は博多駅や天神南駅などはある程度余裕を持ったホーム長が取られているほか、その他の駅も大半に旅客用ホームの先に関係者のみ入れるスペース(構造物)があり、ここをホームに転用できれば、意外とすぐにホームの拡張は可能に見えます。

また七隈線と同じリニア地下鉄である横浜市営地下鉄グリーンラインでは、平日朝の混雑率が160%を超えているのを踏まえて、2022年から一部の編成で6両編成への増結が行われており、これによって混雑率も2019年度の163%から2023年度は123%まで落ち着いており、増結による混雑緩和の効果は非常に大きいと思います。
おそらくこの増結については、来年度から始まる車両追加導入の結果を見て判断するものと考えられますが、平日休日に限らず博多に近づくにつれて車内がかなり混んでいくほか、夕方の橋本方面も福大前まで立ちになることがほとんどなので、この増結案は沿線民として是非とも真剣に実現に向けて動いてほしいと思います。
次に七隈線のさらなる延伸案についてです。

2023年の博多延伸開業から、福岡市地下鉄では延伸について特段大きな動きはありませんでしたが、今回沿線住民からの要望が多かった「博多〜福岡国際空港」と「橋本〜姪浜」の2つの延伸案が検討されていることが明らかになりました。
今回発表された七隈線の2つの延伸案のうち、前者の「博多〜福岡国際空港」のルートについて軽く解説しますと、七隈線博多駅から山王地区を経由して福岡国際空港へと至るものになっています。この延伸案の目的地である福岡国際空港には現状では鉄道が乗り入れておらず、アクセス手段が地下鉄空港線で福岡空港駅まで行く⇨バスに乗り換えるか、博多駅から直行のバスに乗るかの2択になっています。
このため、福岡国際空港は地下鉄が乗り入れている福岡国内空港に比べるとアクセスの悪さは拭えず、バスの運転手不足の問題も深刻化していることや七隈線沿線から空港へのアクセス向上・根本的な輸送力強化等の観点からも非常に魅力的な案と言えるでしょう。そしておそらく前述の増結案も、この空港延伸を見据えた輸送力強化と思われます。
しかし問題点として、七隈線の輸送力や空港線との案内の混同があり、国際空港へ延伸するならば誤乗対策として空港線の路線名を変更するなどの対策を取らなければなりません。
さらに七隈線では、リニア地下鉄という通常の地下鉄車両に比べて一回り小さい車両を採用しているため、キャリーケースを持ち込んだ空港利用者などで車内が混雑することや、ただでさえキャパオーバー気味の七隈線博多駅に空港利用者が合わさることを考えると、車内の混雑とは別でさらなる問題が発生すると思われます。
しかし七隈線沿線から国際空港へ1本でアクセスできることや、バスに比べて大幅な輸送力の強化が狙えるといったメリットも多くあるため、路線の状況を見て慎重に検討していただきたいと思います。
次に「橋本〜姪浜」の延伸案についてです。この延伸案は地下鉄七隈線の始発駅である橋本駅から、福重や石丸を経由しながら空港線の始発駅である姪浜駅までを結ぶというもので、この区間は直通するバスが少なく、利便性が低いことから、主に西区の人を中心に延伸の要望が多い傾向にあります。
この橋本駅と姪浜駅の間には西鉄バスが毎時1,2本程度が運行されていますが、先述の博多〜福岡国際空港の延伸案に比べると想定できる利用者数は少なくなると思いますので、空港延伸以上に慎重に検討するものだと思われます。
個人的な意見
一通り今回発表された増結の検討と延伸案についてまとめ上げたところで、七隈線沿線民の私が今回の発表についての個人的な意見を述べたいと思います。
まずは6両への増結についてですが、これは非常に賛成しています。七隈線は近年の利用者増で混雑が非常に悪化しており、朝は福大前や六本松といったエリアから多くの人が乗車し、薬院大通あたりで車内はほぼ満員になり、七隈線特有の車両の小ささも相まって、非常に圧迫感があります。そして終点の博多駅では一斉に乗客が降り、改札や地上へ上がる階段が人で溢れかえっている状態となっています。また18,19時台の帰宅ラッシュ時も博多駅で先発する列車はほぼ満員状態になっているほか、次の天神南駅でさらに乗車があり、特に博多駅の階段が近い2,4号車と天神南駅の階段が近い1号車は特に混雑が激しい傾向があり、福大前付近まで立つことがほとんどです。
この6両編成への増結は沿線民にとってとてもありがたく、これにてラッシュ時の七隈線でも車内にゆとりができると思いますが、帰宅ラッシュ時は福大前以西は車内は空いている状態になっているため、博多〜福大前までの区間列車を設定するのもアリなのでは?と思います。
次に延伸案についてですが、私としてはどちらも微妙なものに感じます。
七隈線が国際空港まで延伸すれば利便性は大幅に向上すると思いますが、国際空港から乗ってきた乗客と天神方面へ向かう乗客で博多駅がより一層混雑することが懸念されるほか「国際空港と国内空港で乗る路線が違うことになるというのはどうなのか?」という疑問もあります。分かりやすさや輸送力の点から考えて、ここはやはり空港線を国際空港まで延伸するのが、利用者目線だと1番良いような気がします。
次に橋本〜姪浜の延伸案についてですが、バスの本数の関係上から地味に不便な区間であるうえ、こちらは国際空港側と違い路線の末端部であるため、混雑の心配をする必要はないと思いますが、延伸しても利用者数が見込めるのか?という不安があります。私としてはこの区間の延伸のほうが期待度は高いですが、市がどのように考えるのか気になる点ではあります。

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