
出身は長野県東信地方、びゅうです。以前のイブニングウェイ乗車記のある意味続き…?として今回はしなの鉄道の有料着席保証列車、しなのサンライズ号の乗車記をお送りします。
しなのサンライズ・しなのサンセットとは

しなの鉄道が運行する有料の着席保証列車です。その名前から分かる通り、しなのサンライズが朝に、しなのサンセットが夕方にそれぞれ運行されます。しなのサンライズは小諸→長野の片道1本、しなのサンセットは長野〜上田間に1.5往復が設定されています。

車両はSR1系100番台、公式には「ライナー車両」と呼ばれている専用車両が充当されます。これは2020年度から始まったしなの鉄道への新型車両導入に際し、有料着席保証列車の「再導入」による収益性向上などを目的に真っ先に導入された番台区分となっています。


この車両、最大の特徴としてなんとロング・クロス転換座席、いわゆるデュアルシートを搭載している点にあります。JR及び大手私鉄以外の事業者での採用は初めてであり、かつ唯一の20m3ドア車体での搭載となっているなど地味にレア物なんですよ。

ちなみにこの両列車及び土休日に同車両を使用して運行される有料座席指定列車の軽井沢リゾート号、種別表記がまちまちなことに定評があります。車両の幕や自動放送では「特別快速」なのですが、市販の時刻表では単に「快速」と表記されたり、この画像のように駅の掲示では「有料快速」なんて身も蓋もない表記も……。
その歴史
この区間における着席保証列車の歴史は意外と長く、JR時代の1990年代初頭には軽井沢→長野間にモーニングライナー、長野→小諸間にホームライナーと称して運行されていました。車両はモーニングライナーが特急あさま用の189系及び489系、ホームライナーは快速みすず用の165系及び169系(新急行かもしか用に0系廃車発生品の簡易リクライニングシートを搭載するなどのアコモ更新が実施されたグループ)が充当されていたようです。
そしてしなの鉄道成立後、しなのサンライナーとして朝の列車が運行開始します。車両は先述のアコモ更新済み169系を115系と共に譲渡されており、そちらを使用。その後2002年には夕方時間帯の列車がしなのサンセットとして運行を開始。朝の列車もしなのサンライズと改称して現在の体系になりました。
しかし2011年、JR線内の保安装置更新に対応できないとして169系の運用が不可能に。妙高やおはようライナー(塩尻→長野)充当用に残存していた189系6連を借りてきて置き換えます。しなのサンセットはさらにその後すぐに115系に置き換えられ、115系で乗車整理券が必要という中々の迷列車に……。結局2015年、北陸新幹線金沢開業に伴って189系もほとんどが廃車されるとしなのサンライズも115系に置き換えられ、同時に乗車整理券制度も一旦廃止となってしまいます。
時は流れて2020年。待望の新型車両SR1系の投入が始まりその一次車はライナーの「再有料化」に対応するためにデュアルシートを搭載した車両として落成。営業運転を開始した同年7月から座席指定制の有料列車に「先祖返り」しました。
同時に運行形態も変更。しなのサンライズは小諸から上田まで各駅停車でその後上田から長野までノンストップという形態から小諸から上田もノンストップという形に改められました。しなのサンセットについては上田発長野行きの下り列車の運行がスタート。しなのサンライズについてはその後2023年ダイヤ改正で小諸から上田のノンストップは取りやめられましたがそれ以外は概ね現在まで同じ運行形態となっています。
小諸→長野間乗車記
2025年9月某日、しなのサンライズに小諸から長野まで乗車してきましたのでその乗車記を。

この日の充当車両はSR1系S102編成+S103編成の4連。しなのサンライズは所定では6両編成なのですが、2024年10月以降4両編成への減車が継続中です。もっとも、所定運用だと予備車0なのである意味こちらの方が健全な運用形態に思えなくもないのですが……。
なお、記事執筆中にこの減車措置について、実質的な無期限延長が発表されました。このまま所定になりそうな長さですね……。
先述の通り、小諸発車後上田までは各駅に停まっていきます。この間の利用は座席指定券も不要なため、各駅で乗客を拾っていきます。地方特有の相席避けもあるため参考にはなりにくいものの、最初の停車駅滋野の時点で立ち客が出る程度の乗車率がありました。

今更ですが座席がこちら。リクライニング機構まで搭載した最新型ではないものの、座面の硬さも程よくホールド感もありかなり上質な座席です。これで座席指定券は300円なので個人的には中々バリューが高いなぁと感じました。
そして上田に到着。ここから先は有料区間なのに加え、そもそも当駅までの需要もかなり大きいことから乗客がかなり入れ替わります。特に立ち客は全員が下車し、発車。乗車率は窓際は全て埋まり私含め通路側の席も半分以上埋まるなど中々の盛況っぷり。ざっと7割8割程度でしょうか。正直予想以上です。
そして長野まで実に30分間ノンストップという韋駄天っぷり。かつての特急あさまの停車駅の戸倉やJRとの境界駅である篠ノ井も全て通過です。速度もほぼ終始路線最高速度の85km/hに張り付いており、優等列車の威厳を感じられます。
そして通勤ラッシュ真っ只中の長野に到着。この列車の直後に到着したJR篠ノ井線からの列車は超満員で、地方といえどもきちんと通勤ラッシュを感じることができました。
ある意味兄弟?

長野駅3番線に到着したしなのサンライズ。折り返し発車していった数分後、新たな列車がやってきますが……。

中央東線特急に使用されているE353系です。その正体は塩尻〜長野間に平日のみ1往復走っている臨時特急信州。3両編成という短い編成ですが、こちらはれっきとした特急列車です。
この列車、2024年のダイヤ改正でかつて同区間を走行していたおはようライナーの時刻を踏襲する運行形態に改められ、2019年で廃止された同列車の事実上の復活として受け止められました。つまりしなのサンライズとは同じ使命を帯び、同じように「復活」を遂げた列車であるというわけです。

2025年ダイヤ改正で全車指定席となった信州ですが、乗車率は雑な目測で6割7割といったところ。こちらも十分に定着していると評価して良さそうです。

まとめ
県都たる長野市の人口はおよそ36万人。決して大都市と呼べる規模ではありません。しかしこの規模であっても、公共交通が担う通勤需要は十分に大きく、このような着席保証列車が成立する土壌があることを実感することができました。時間が早く中々大変だとは思いますが、ご興味を持たれたのならぜひ第三セクターのデュアルシート車に乗りに信州へお越しください。
軽井沢リゾート号のが乗りやすいけどそれ言い出したら負けな気がするので

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仙台支社→東北本部→福島事業本部
動きが目まぐるしい…
- 2025年9月26日しなの鉄道【唯一のJR「じゃない」特別快速】しなのサンライズ乗車記
- 2025年8月20日まとめ・考察【常磐ホームトレイン】仙台都市圏での着席保証サービス一考
- 2025年8月5日コラム【21世紀のデフレナンバー】東武50000型の付番の話
- 2025年7月11日乗り鉄【定着なるか】特急イブニングウェイ乗車記
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僕、以前”信州”に乗ったことがありました。実際、意外と混んでいて、増発しても良いのでは!?と思いました、、