はい、召喚されました、もりやです。
実はこの間、とある方と一緒に登校していた時のことです。
「メトロの記事書いたほうがいいかな、ここに来た理由も豊住線だから」
「早く書け、今すぐ書け。なんならもうすぐに書ききれよ」
そんな風に急かされてしまってちょっと恥ずかしい限りです…w
とはいえ、ついに投稿できる念願の豊住線ネタ!喜びですね。
では、本日もよろしくお願いいたします。
豊住線とは?
地下鉄8号延伸線、通称豊住線は有楽町線の支線として免許申請された豊洲から四つ木を通り亀有、ひいては野田市へ向かう構想の路線のことを言います。
名前は豊洲駅と住吉駅を結ぶために「豊住線」と呼ばれるのが一般的な説ですが、東陽町のあたりの地名が豊住町という事で豊住線という説もあります。
目的は東京東部の南北交通の発展、東西線の混雑分散化、そして非常事態時の交通利便などの効果が期待されます。
豊住線の紆余曲折
豊住線という路線計画を発表したのは1972年の第15回都市交通審議会でのこと。
その頃、現在の東京メトロの前身である帝都高速度交通営団(今後は営団と表記)はある危機的状況にありました。それは
留置線が足りない
というものです。
というのも現在の有楽町線の終着駅は今でこそ新木場駅ですが、かつては新富町駅にあり、ここから新木場まで延伸するとなるとより多くの車両が必要になります。
当時建設中だった和光市検車区での最大収容車両数(留置線の本数)が210両(21本)なのに対して新木場駅までの延伸開業時には32編成が必要なためにキャパが足りないという事になったのです。
そこで江東区は8号延伸線の整備促進を条件に工場の用地買収を許可しました。
もともと江東区の南北縦断事情はバスでの移動、特に中心部を走る四ツ目通りでは乗り換えが必須な状況です。また、交通量も多く遅延も多々あります。しまいには東陽町から住吉まで2kmほど離れており、選択肢がバスか歩きのみとなっています。ちなみに歩くと35~45分ほど、バスだと10分ほどかかります。
こんな事情もあり江東区としては縦断路線が欲しいところにこの話です。もちろん了承してしまうでしょう。
このような経緯で豊住線の話が持ち上がりました。その後いろんなことがあり1982年に1回目の免許申請がされました。
そして1988年に有楽町線が全線開通、それと同時に車庫の運用が開始されました。
と、ここまで順調ですがちょっと行政の方をみてみましょう。
1985年の運輸政策審議会にて豊住線豊洲ー亀有は平成12年(2000年)まで作るべき路線だと返答されています。そのことを受けて翌年に江東区・墨田区・葛飾区・そして松戸市で地下鉄8・11号促進連絡協議会が発足されました。(11号は半蔵門線のこと)
さて、ここからしばらく経って時が動いたのが2000年。ここで1/4が終わりました。まだ先は長いですよ~。
2000年、運輸政策審議会にて豊洲から野田市までが整備・着手するのが適当だという回答が出されました。
さて、そんな中最後の営団線の営団半蔵門線の水天宮前ー押上が2003年に開業、そして翌年に営団が超新星爆発を起こし、東京メトロが爆誕しました。
ここで豊住線最大の難敵が現れました。それがメトロの方針です。
『副都心線以外の新線は建設しません』
というもので、これのおかげでかなり遅れたといっても過言ではありません。
さて、連絡協議会のことを覚えているでしょうか。はい、あれです。その協議会ですが、そちらが声明で豊洲ー住吉を一番最初に建設するということをメインに進めていこうという確認したということです。要は早く建設しろってことですね。
ここから江東区が頑張った軌跡です。
まず、説得するためには自分から行動するべき、と言うことで2010年に江東区が地下鉄建設の積立金を開始し始めました。もちろんこのことは東京都として中立的(というか反対的な立ち位置にいたとも言われています)としてスルー、メトロなんてもってのほかでした。
そして毎年毎年頑張って江東区は東京都や東京メトロに説得し始めました。因みに筆者は豊住線建設計画に対して2015年頃の江東区報の一面にて知ることになります。
そしてここ最近、外国人旅行客が増え始めたことでこの豊住線上にある数々の観光スポット、主に東京スカイツリーだと思いますがその後の豊洲市場の開場ということもあって都心臨海部の縦断の弱さがどこかでボロを出したのでしょう。
2018年、ついにこの均衡していた状況に終止符を打ちました。東京都が鉄道新線建設等準備基金を創設しました。
この「鉄道新線建設等準備基金」というものはその名の通り新路線を作るためにお金を貯めるというものです。ちなみに、現在採用される可能性のあるものはこの今回発表された2路線のほかにJR羽田空港直通線、TX直通の臨海部直通線、蒲蒲線なんかも入ります。
この条例、うちの区でよく言われていたのが区長が豊洲市場移転に関して交換条件で求めたものだとか…そのようなことを筆者は聞きました。
もうここまでくればとんとん拍子。あれまという間に2回目の提出、許可も下りて住民説明会も開催。最後には駅の名前の公募まで。早いですね~。
さて、そんなこんなで前提となる話は終わり。ここからは概要などを解説していきましょう!!!
工事の概要
建設ルート
ルートは豊洲を出発するとおよそ半径200mの直角カーブを曲がったのちにST-1(以下枝川(仮)駅)、東西線深川検車区の直下を通り東陽町駅、そして江東区の主力幹線の一つである四ツ目通りを北上し、ST-2(以下千石(仮)駅)、住吉駅と続いていきます。
路線距離は5.2km、総事業費はおおよそ2190億円で、開業の目標は2030年の中ほどになる予定です。
途中の区間ではJR京葉線や東京メトロ東西線、越中島貨物線をアンダーパスしていきます。
路線のルートとして問題となった潮見駅への乗り換えですが、おおよそ5~10分程度で乗り換えることが可能になりそうです。しかし、島を超えての乗り換えでオススメはできません。大人しく新木場に行きましょう。
出入り口の設置予定個所は未定、今後は各企業や個人と対談・場合によっては交渉していきながら決めていくとのことです。恐らく土地の買収関連であるものだろうと思います。
掘削方法
今回使用される工法はシールド工法と開削工法の2種類となります。
基本としては駅周辺を開削、駅と駅を結ぶ区間がシールドといったような内容です。
まずは開削。開削工法で掘られる区間は豊洲駅、東陽町駅と住吉駅、そして新駅の枝川(仮)駅と千石(仮)駅の計5か所となっています。ほとんどの駅が大通りの直下に掘られる駅で地上の交通に影響を与える可能性はさほど大きくありません。
シールド工法は千石(仮)駅から住吉駅間を除いて複線シールドトンネルで掘られるとのことです。千石(仮)駅から住吉駅は単線シールドトンネルで掘られるそうです。
それぞれの距離は具体的に公表されていませんがおおよそ700mほどが開削、800mほどが単線シールドトンネル、残りが複線シールドトンネルとなっています。
ここからはあくまで予想ですが使用する方法の中でも具体的には凍結工法で掘られるものだと思います。
凍結工法とは名前の通りあらかじめ掘削する土壌周辺にパイプを埋め込みそのパイプの中に冷やした液体を流して凍結させた後にそこを掘削機(シールドマシンが主流)で掘るというものです。使用例として東京メトロ半蔵門線の九段下駅周辺や都営三田線・東京メトロ千代田線の大手町北側に使われています。
そんな凍結工法が利用されるであろう理由ですが、それは江東区ならではの特徴にあります。
1つ目に江東区はそのものが埋め立てでできているという点です。この江東区や江戸川区などの東京沿岸部は江戸時代以降に土砂や東京から出た可燃処理された廃棄物などを埋め立てて出来た埋立地として造成されました。そのためにそのために地盤が弱いために凍結工法を採用する可能性があります。
2つ目は掘削する部分が海抜0mを下回る地点のみである点です。現在の地下鉄海抜別最深ランキング1位の住吉駅を始めとする全ての区間で川の下に相当するほどの深さを掘ります。また、一部区間では運河の下を通る部分もあり、特に京葉線越中島貨物駅近くを通る汐見運河では並行して直下に建設されるため、浸水を始めとしたトラブルが想定されるため凍結工法が採用されるのではないでしょうか。
また、トンネルのほかに豊洲駅の新ホームの建設もこの事業の一環として行われ、現在新木場方面の1番線ホーム向側に新ホームを設ける予定です。こちらの詳しい使用情報はまだ入ってきていませんのでどう使用されるか、豊洲駅2・3番線ホームの利用及びその先にある留置線の使用も併せてまだハッキリと分かっていません。
その他建設情報
豊洲駅と住吉駅の既存スペースを除いた全ての駅で1面2線に統一されることが分かっています。
また、仮に東京メトロの発表のまま建設することになれば、千石(仮)駅に両渡り線が設置されます。この駅から住吉駅までのシールドトンネルの竪穴が千石(仮)駅の北側のホーム端あたりに設置されることからこの渡り線は南側に設置されると予想できます。そのため、千石(仮)駅から住吉駅は単線に並列なると予想できます。
開業後について
使用車両は現在有楽町線で運転している10000系や17000系が運用されます。さらに可能性として直通する西武車や東武車も使用されるかもしれません。
本数は日中8本/hを、ラッシュ時では12本/hを想定とした運転本数を確保し、和光市方面への直通も行われる予定になっております。
一方で半蔵門線押上方面には直通はしないと報道されています。その原因は押上駅が関係していると思われます。
押上には東武線への接続の為に曳舟寄りにカーブが設けてあります。具体的な数値は分かりませんが半蔵門線をメインとした建築限界であると考えると半蔵門線と有楽町線では有楽町線の方が100mmほど建築限界が大きいために2・3番線、特に3番線に入線した時に車両とホームが接触してしまうという可能性があります。そのために有楽町線系統の車両は入線することができないと考えられます。
ほかにも住吉での折り返しができない構造になっている点も挙げられます。住吉の周辺に折り返し設備を保有している駅は清澄白河と押上がありますが、清澄白河での折り返しは押上方面に向かう人にとって後続の列車に乗り変えるという方法のみになってしまい、利便性が悪くなってしまいます。逆に押上方面から来る人も同様です。
そもそもなんでこんなことが起こるかというと線路と記載されてる本数が仮に同じ路線を走るとするとキャパオーバーとなってしまうためです。
そのために押上駅で2・3番線が半蔵門線規格ではなく有楽町線規格でない限り押上駅での折り返しが難しいと考えられます。
筆者の注目するポイント
今回の計画について個人的に難所になるだろう感じている区間がいくつかあります。
まず大きなところで東陽町駅の開削工事です。というのも東西線の下をかいくぐるように建設するために東西線東陽町駅の構造上、沈下する可能性があるという点です。
もちろん、副都心線新宿三丁目の工事を知っている人からしたらできて当たり前のようなことですが今回の中間層を設けるような記載がなく、図面を見てもそのような感じが見られないところから少々の心配があります。
次にこの工事の難所となるだろう箇所は汐見運河です。
もちろん先ほど話したように運河の直下を並行して通るために凍結工法という少々特殊な工法を用いることもありますがそれに近いくらい重要な難所があります。それは京葉線との交差です。地図で見ると分かる通り枝川(仮)駅から東陽町駅の間に京葉線をアンダーパスする箇所がありますが、そこは京葉線は橋脚になっており、その橋脚の基礎部分を避けながらの掘削を行う必要があります。また、先ほど話した凍結工法ですが、この区間の土壌は海水が染み込んでおり、凍らせるための凝固点が低く、凝固できるのかという疑問点もあります。
海抜計算平均およそ地下10m、潜る河川全てが汽水または海水が流れているという区間、どれくらいの速度で凍らせることができるのか楽しみですね。
ほかにも今後話題となる都バス路線「東22系統」と「陽12系統」についてですが、これらのバス路線はこの豊住線路線にがっつりと経路がかぶっています。自身の予想ではおそらく陽12が減便になることでしょう。東22は本数を50%に絞っての運転になるであろうと考えられます。この東22系統は全車両が東陽町止まりになっているわけではなく、半数近くが東京駅丸の内北口まで足を延ばしています。この路線の需要は豊住線開業後も存在し、そのために残るものであると考えられます。
そのほかには施工会社についての情報がないことからそちらも気になりますね。
最後に…
まず最初にこの路線建設を最前線で動かしてきた故山崎元江東区長に敬意を表します。
江東区の長年の夢であった豊住線、署名活動まで行われてきました。ついにこの路線が建設されるというニュースが入ってきたときは自分自身飛び跳ねた記憶もあり、江東区報では3週間くらい1面に掲載されその人気度がうかがえます。
そんないろんな話のあった当路線も開業まで残り10年ちょい!
現在、江東区ではそんな豊住線を紹介するブースを転々と回しています。配られているパンフレットには豊住線の事細かな内容が記載されてます。もし近くに行ってみたらぜひ貰いに行ってみてはいかがでしょう。
追記:南北線の延伸線の話をホームドア氏が掲載しています。
ぜひそちらも見に行ってみてください!
参考文献
新たな未来へ向けた第一歩!有楽町線延伸(豊洲・住吉間)及び南北線延伸(品川・白金高輪間)新線プロジェクトが本日ついに始動します
地下鉄8号線(豊洲~住吉間)に関する主な経過(鉄道事業許可まで)
この記事を書いた人
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コメント ご意見やご感想等お気軽にどうぞ。
東武が、秩父鉄道やJRを介さずに、地下鉄を介すだけで、本線と東上線の車両を交換できる・・・東上線にスペーシアが走る日も遠くない?
あと、飯能発西武池袋線・西武有楽町線・東京メトロ有楽町線・東京メトロ豊住線・東京メトロ半蔵門線・東武スカイツリーラインのどこまで乗り入れるかな?(笑)
東上線は和光市までですけど・・・北千住に西武の車両が現れるのも面白いかも(笑)
コメントありがとうございます!
東武鉄道の本線と東上線の車両交換に関してですが、現在可能なのが地下鉄のATC、新CS-ATCを搭載している50070型のみしか行うことができないので今後も秩父鉄道を経由させての輸送だと思います。ただ、50070型と同一構造の50090型、50050型と同一構造の50000型(50003~50009F)と運転実績のある30000系は新CS-ATCを載せて地下鉄経由で回送される可能性もありますね。
地下鉄直通の東武特急は理論上可能ではあるのでそこは期待ですね(とはいえ2017年の中期経営計画での失敗があるためにやる意欲があるかどうかは別ですが)。
西武直通はこの記事に書かせていただいた通り押上駅の構造、特に4番線は東武線の出発信号に擦れる可能性があるために難しいかもしれません。
S-Trainが豊住線に乗り入れるけど西武に豊住線開業用にS-Train新車導入する。
コメントありがとうございます!
豊住線沿線は住宅地が多く、工場や会社などに通勤する方々が多いため、S-TRAINの運行理由と違うために導入は無いのではないでしょうか。
もちろん東陽町駅周辺は会社や事務所などが集まる地域ではありますが、このような場所への通勤は千葉県の方からの通勤が一般的で南北通勤も区内完結の人が多いため導入されにくいと思います。