【カシオペアの後継?】E657系 夜行列車仕様の概要について

ご無沙汰してます。ふぺです。

2025年6月10日、JR東日本はとあるプレスリリースを発表しました。

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E657系 夜行列車仕様の概要

JR東日本 プレスリリースより

JR東日本が発表したプレスの内容というのは、常磐線で活躍するE657系の1編成を夜行列車仕様へ改造し運行するというもの。

E657系は2012年より運行を開始した交直流対応の特急電車で、主に品川〜いわき・仙台を結ぶ「ひたち」や品川〜勝田を結ぶ「ときわ」で活躍していましたが、コロナ禍の減便等や運用調整の結果、編成に余りがある状態となっていました。

JR東日本 プレスリリースより
JR東日本 プレスリリースより

デザイン及び内装は「SLばんえつ物語」などをデザインしたJR東日本建築設計が担当。

外観は白色の車体に赤帯を巻いていたデザインから一新、当時寝台特急として活躍していたブルートレインを彷彿とさせるような紺色を基調としたデザインに変更されます。

色は1号車に前述のブルートレインの記憶を受け継ぐメモリアルブルー、10号車に真夜中から夜明けへ向かう時の流れを象徴するミッドナイトホライズンを配し、2色の青と白色のラインを組み合わせることで、夜明け前の一瞬の輝きであるブルーモーメントを描き出し、かつての夜行列車の旅の楽しさを受け継ぎながらも「地域の皆様と共に新しい未来を歩んでいこう」という意思が込められています。

JR東日本 プレスリリースより

またE657系夜行列車仕様は全車がグリーン車になっており、改造も10両編成まるごと行われるようです。

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車内について

このE657系夜行列車仕様は前述の通り全車両がグリーン車となっています。では車内はどのような感じになっているのでしょうか?

JR東日本 プレスリリースより

まずはプレミアムグリーン個室。部屋の広がりが感じられるようシンプルな形状や配色になっており、素材感豊かな塗装面を床から天井まで大胆に使い、高級感がありつつも落ち着いた空間を演出しています。

また玄関や荷物置きとして使用できるスペースが設置されているのはもちろん、室内は靴を脱げるようになっているほか、L字形ソファは景色を楽しめるように窓側を向いて設置されており、座面を組み替えることでフルフラットのベッドにも変形することが可能となっています。またベッドの大きさも幅190cm×長さ200cmと非常に広くなっており、快適に寝ることができるようになっています。

このプレミアムグリーン個室は両先頭車である1号車・10号車に設置される予定だそうです。


JR東日本 プレスリリースより
JR東日本 プレスリリースより

次にグリーン個室(1人用)。1人用のグリーン個室はやわらかな丸みを帯びた形状に表情豊かな素材感を備えた座席になっており、テーブルも多くの物が置けるよう大きいタイプのものが使用されているほか、1人でもゆったりくつろげるよう色味は落ち着いたものが採用されています。またコンセントやオートロック式と思われる扉が設置されており、快適に過ごせるよう多くの配慮がなされています。またベッドの大きさは幅90cm×長さ195cmと、1人でくつろぐには十分なスペースが確保されています。

他にも車いす利用の方でも快適に過ごせるよう、6号車に車いす対応のグリーン個室が1室設置されています。

JR東日本 プレスリリースより

次にグリーン個室(2人用)。2人用のグリーン個室も1人用のグリーン個室と同じように、やわらかな丸みを帯びた形状に表情豊かな素材感を備えた座席とコンセントやオーロック式の扉が設置されているほか、1人用の個室がゆったりくつろげるよう落ち着いたデザインだったのに対し、2人用の個室では家族や友人との会話が弾みやすいよう華やかで親しみやすい色が採用されています。

またこちらのベッドの大きさ幅185cm×長さ200cmとされており、プレミアムグリーン個室とほぼ同じ大きさのサイズが確保されています。

また車いす利用の方でも快適に過ごせるよう、こちらも6号車に車いす対応のグリーン個室が1室設置されています。

JR東日本 プレスリリースより

次にグリーン個室(4人用)。4人用のグリーン個室は先ほどの1,2人用の個室とは違い、常時フルフラットの個室となっており、小さな子供でも安心してくつろげるようにいるほか、ベッドの大きさも幅325cm×長さ195cmと4人が横になっても十分くつろげる空間となっています。またこちらもプレミアムグリーン個室と同じように玄関や荷物置きとして使用できるスペースが確保されています。

JR東日本 プレスリリースより

次にラウンジ。ラウンジは編成中間にある5号車に設置される予定のもので、車内唯一のオープンスペースとして開放的ながら落ち着いた空間を演出しており、乗客同士で語り合う場として整備されているほか、飲み物やスナックを販売する自動販売機も設置される予定だそうです。

このE657系夜行仕様の定員は120名程度としているほか、各室にリネンや枕カバーは用意されるようですが、シャワーは設置されない予定のため、お風呂は乗車前に済ませておく必要があります。

運行開始日・料金は?

ぱたくそより

このE657系夜行仕様は2027年春を目処に運行を開始する予定だそうで、運行範囲は首都圏エリアから北東北エリアを予定としております。かつてのブルートレイン「はくつる」「あけぼの」みたく青森や秋田などの北東北の主要エリアを結ぶ列車として運行される可能性が示唆されているほか、夜行列車のほかに北関東などの観光地を結ぶ昼行特急として使用される可能性もあることが発表されています。

また料金ですが、主に東京〜青森(例)の東北新幹線グリーン車にプラスアルファしたような値段にすると言われており、合計の金額は3万円弱ほどになると思われます。

ぱたくそより

運行時間帯ですが、プレスリリースが発表された同日に行われた会見によると山手線の駅(上野・新宿など)を21時に出発し、青森に翌朝9時頃に着くダイヤが想定されているようです。

また料金ですが、東京〜新青森で東北新幹線グリーン車に乗車した際にかかる料金である23,540円に若干上乗せした金額を想定していると話しており、秋田便も現在が22,890円とされているため、どちらも3万円弱はかかると思われます。

なぜ運行することになった?

ではなぜE657系夜行仕様は運行が決定することになったのでしょうか?

理由は多々あると思われますが、まず1番大きいと思われるのがホテル代の高騰です。

Wikipediaより

現在は東京〜青森は約3時間で着くことができますが、かつて新幹線がなかった時代は特急でも8〜10時間かかっており、そのため都市間を効率的に移動する手段として夜行列車が全国各地で運行されてきました。しかし新幹線の開業や安いビジネスホテルの増加によって、都市の移動手段が夜行列車から前日に新幹線で目的地に行きホテルに宿泊に変わってしまい、結果的に夜行列車は姿を消すことになりました。

しかし2021年に始まった物価高高騰の影響に並行してホテル代も高騰するようになり、ここでまた移動と宿泊を両立できる夜行列車の需要が急増。これにより都市間の移動手段としてサンライズ出雲・瀬戸が挙げられるようになったほか、JR西日本では117系を改造したWESTEXPRESS 銀河を運行し大反響を呼ぶなど、夜行列車の需要が大幅に拡大していました。

提供:りょー

この流れに便乗してJR東日本は2024年より新宿〜白馬にて特急アルプスを運行。登山客向けの列車として試験的に繁忙期に運行を始めた結果、こちらも連日満席を叩き出すようになりました。

改めて夜行列車の需要を認識したJR東日本はこの宿泊と移動を両立したい需要を回収するためにE657系を夜行列車仕様に改造することを決めたのだと思います。

カシオペアとの関連

このE657系夜行仕様の登場で噂されているのがカシオペア紀行の後継ということ。

提供:りょー

カシオペア紀行とはJR東日本が運行していた数少ない客車寝台列車の生き残りで、かつては上野から札幌まで結んでいましたが北海道新幹線の開業により定期運用から離脱。その後ツアーや臨時列車として青森・秋田や甲府へ足を運ぶ機会が続いていましたが老朽化により今月末にて引退することが発表されました。

そしてこのカシオペアの特徴であったのが全車A寝台(グリーン車)であったということ。全車A寝台の寝台特急というのは非常に珍しく、当時カシオペアと同じ上野と札幌と結ぶ寝台特急として北斗星が存在していましたが、こちらは一部B寝台が連結されていたため、カシオペアはより一層”豪華列車”としての位置付けがなされていました

JR東日プレスリリースより

ここでカギとなってくるのがE657系夜行仕様全車グリーン車であるということ、そして東日本各地を巡る夜行列車であるということです。老朽化したもののカシオペア紀行で手に入れた乗客と需要を失うのは惜しい…と考えたJR東日本は後継として同じような立場であるE657系夜行仕様を開発することにしたのだと思われます。

おわり

いかがだったでしょうか?

夜行列車やブルートレインが大好きな私としてはこのようにJR各社が新たな夜行列車を開発・運行してくださろうとしている事は非常嬉しく思っています。当時のブルートレインとは色々と違うかもしれませんが、当時に似た「夜行列車の雰囲気」を味わえる事は確かなので、E657系夜行仕様に限らず興味のある方はぜひ、夜行列車に乗ってみてはいかがでしょうか…

この記事を書いた人
ふぺ
ふぺ
よく奇行に走ります
icon @Bashamichi_mm04

コメント  ご意見やご感想等お気軽にどうぞ。

  1. 辻本 より:

    E657系の夜行列車運行は品川7・8番線〜盛岡間の運行になる。名前はコンゴウインコ

  2. すずきさん より:

    旅行会社がチケット買い占めて単独では購入しづらくなるんだろうな…

  3. しゃいにんぐ333 より:

    北斗星を愛用していた自分としては”やっと戻ってきた!”の思いでいっぱいです。
    願わくばかつての”はくつる”のような俊足ぶりを見せて、
    これと共に上野~札幌間を結ぶ”次世代サンライズエキスプレス”が誕生して欲しいです。
    どちらも別に毎日運行はしなくて週末1往復で良いんです。
    次世代サンライズエキスプレスはシャワー・カフェテリア(サフィール踊り子風内装でカフェドクリエ並のリーズナブルな価格で)を備えて、上野~札幌間を13時間30分で走って欲しいです。
    やはり今の寝台特急はプライバシーと時速100km走行を可能にしないと、ね。

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