もじコレ #0:ガイダンス

この度、2024年8月8日に発生した日向灘沖地震により犠牲になられた方々に謹んでお悔みを申し上げるとともに被災されました皆様に心よりお見舞い申し上げます。

また、被災地におきまして救済と復旧・復興支援等の活動にご尽力されている方々に深く敬意を表します。

皆様の安全と被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。

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1. はじめに

こんにちは、Azusaです。

世間一般では夏休み半ばみたいですが、こちらは今日から夏休みです!9月中旬まで休めるの強すぎる…

さて、本日より完全新シリーズ「もじコレ」を掲載します。文字というジャンルから鉄道に関係ないように見えますが、実は文字と鉄道って切っても切れないほど深い関係があるのです。

本記事は「もじコレ」の初回です。そのため、ガイダンスという形になります。何卒。

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2. もじコレとは

とりあえずロゴっぽい何かでもおいておきます。当たり前だけど無断転載厳禁。

もじコレは「鉄道における文字とサインシステムのコレクション」というコンセプトのもと、鉄道サインのありとあらゆる部分を発掘・伝達するシリーズです。まぁ「もじ鉄がサインシステムについてあーだこーだ語る」という解釈でいてください。このシリーズでは「ヌマレッシャーズ」よりかは沼要素を薄くするつもりです。確証は持てないけど。

3. もじ鉄について

3.1 そもそも「もじ鉄」ってなに?

鉄道に乗って旅行することが好きな人を「乗り鉄」、鉄道の写真を撮ることが好きな人を「撮り鉄」というように、鉄道に関連する文字やサインが好きな人もいます。このジャンルを「もじ鉄」といい、鉄分類の中では最近できたものとなります。このことから、最近まで「もじ鉄」という単語・ジャンルが無く影があまりにも薄すぎて人々から認識されていないも同然でした。

しかし、ある1人の男性が執筆した本が「もじ鉄」のジャンルを創るまでに発展した出来事が起きたことで「もじ鉄」のジャンルが急速に波及。現在ではポピュラーになるほど勢力が拡大しているのです。

それがこちらの「もじ鉄 書体で読み解く日本全国全鉄道の駅名標」という本です。グラフィックデザイナーで鉄オタの石川祐基さんによって書かれました。ちなみに私もこの本がきっかけでもじ鉄になりました。石川さんに感謝。

3.2 もじ鉄が注目するポイントとは?

もじ鉄が注目するポイント、それはサインシステムです!皆さんに馴染みのあるもので言うなら「駅名標」や「案内板」とかですね。駅名標に使われているフォントの特定、サイン観察のため駅に訪問・資料の撮影や駅名標再現が主な行動となります(自己解釈)。中には一瞬でフォントを特定する猛者もいたりいなかったり…

4. 実際にサインシステムを観察してみよう

ここまでいろいろ話ましたが、それでもイメージが湧かないという方が大半でしょう。そこで、実際にサインシステムを観察してみましょう。実践も大事なことです!ここでは、私が製作したJR東日本と京急の駅名標を見てみます。

JR東日本の場合…

まさに、駅名標の代表格ともいえるデザインです。和文(日本語)は「新ゴ」、欧文(英語)は「Helvetica」が使われていることが分かります。ちなみに和文の左にあるものは「ナンバリング」といい、海外からの乗客が分かりやすいよう駅に番号を振り分けたものとなります。使われているフォントは「Frutiger」です。

京急の場合…

同じく品川を通る「京急」。JR東日本とは異なり青系統の色がメインのデザインとなっています。和文は「新ゴ」、欧文とナンバリングは「Frutiger」です。主要な情報が中央に集約されているからか、すっきりとした印象ですね。

ところで、京急の駅名標をよく見てみると日本語で示された駅名が少しだけ横長になっているのが分かりますか?これについては次の項で解説します。

5. サインに隠された文字の工夫

5.1 文字の形が潰れているわけ

先ほど見た京急の駅名標では、「和文の文字が潰れている」と書きました。これは製作者のミスではなく、あえてこのようにしています。それは何故でしょうか?以下の図を見てください。

これは文字を変形した部類に分けたものです。この中で何も手を付けていない、普通の状態の文字を①正体(せいたい)といいます。一方で、正体の文字を潰して形を長方形にした文字があり、縦に潰して横長にしたものを②平体(へいたい)横に潰して縦長にしたものを③長体(ちょうたい)といいます。文字を平体や長体にすることで、狭いスペースや長い駅名の文字を配置することが可能となります。また、全体のレイアウトがデコボコせずに済む効果もあります。これ、結構シンプルですけど大事なひと手間なんですよ。

5.2 文字どうしが合体している…!?

サインシステムを観察していると、たまーに文字どうしが合体しているものが見られます。これを合字といい、単語における文字の造形を簡略化することができます。

上図は通常の文字と合字された文字を比較したものです。例えば「Office」という単語を打った場合、「ffi」の部分の間隔がかなり詰まっていることが分かります。これでは窮屈かつ視認性が保たれません。そこで、「ffi」を合字してみましょう。あら不思議、かなり見やすくすっきりとしたではありませんか!見やすいサインを作るために工夫されていることがよくわかります。

5.3 素晴らしい工夫だけど…

このように、ひと手間加えることで実用性が高まるテクニックがあります。しかし、むやみに使うとかえって分かりにくいものとなってしまいます。このようなアレンジは時と場合を考えてやるのが鉄則です。

6. おわりに

いかがでしたか?

一応ガイダンスのつもりでしたが、結構語ってしまいました() もう少し押さえろよ俺…

というわけで、「もじコレ」はこんな感じで進めます。今後もよろしくお願いします。

次回は「バラバラなサイン」を紹介します。まぁ、違和感でしかなかったっすよマジで。お楽しみに~

もじ鉄に興味が湧いた方へ

「この記事でもじ鉄に興味が湧いたかも」と思ったそこのあなた!先ほどちらっと紹介したグラフィックデザイナーの石川祐基が執筆した「日本のもじ鉄 鉄道サインと書体の図鑑」という本をオススメします。めちゃめちゃ面白いぞ!!皆さんも是非読んでください~(唐突な他者の宣伝失礼しました)

この記事を書いた人

Azusa
何もかもが怪しい気分屋デザイナーです。「ヌマレッシャーズ」と「もじコレ」やってます。何卒。

コメント

  1. あず より:

    > 「ffi」の合字
    これ、サンセリフ体だと非常に悪手だと思っています……

    セリフ体において黒い点の塊が重なってしまい視認性が悪くなりますが、サンセリフの場合は点の重なりが生じないどころか「ı」の点が無い違和感のほうを非常に強く感じてしまいます。。。
    (筆者さんを批判する意図はありません。フォントベンダーさんしっかりしてくれという嘆きです)

    • Azusa より:

      コメントありがとうございます。
      実を言うと横浜市営地下鉄の駅事務室でサンセリフ体の合字があるんです。それを参考にした結果、たまたまそこのフォーマットが「i」の点が無いものだったためこのような表記となりました。

      • あず より:

        画像確認しました。ほんとだ、この看板組んだ人とは仲良くなれなさそう……

        まあこれは文字鉄観点というよりフォントマニア観点なのでふりとれで議論を続けても仕方ない話が、もじ鉄目線でツッコミポイントがあるサインもいくつか思い浮かぶのでそうした類型の紹介や改善案を提示するまとめはどこかでやりたいですね。
        横長筐体でやたら文字が小さくなるJR東の駅名標とか……

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