
ご無沙汰してます。ふぺです。
福岡市西区の姪浜駅から福岡市博多区の福岡空港駅を結ぶ地下鉄空港線。今回はこの地下鉄空港線全線の13.1kmを自転車で走破してみようと思います。
K01:姪浜駅

まずは地下鉄空港線の起点である姪浜駅からスタート。
「龍王うさぎの伝説」のモニュメントが目を引く姪浜駅は地下鉄空港線で唯一の西区に位置する駅であり、当駅を境にJR筑肥線が糸島方面へ伸びているほか、車両基地が当駅近くに所在する関係で、この姪浜駅は地下鉄空港線/JR筑肥線の運行上非常に重要な拠点駅としての役割を担っています。
また当駅横には西区役所があるほか、周辺には始発駅の着席需要の多さを表すかの如くマンションが多く立ち並んでおり、駅構内には「えきマチ1丁目」があるほか、拾六町・能古渡船場へ向かうバスが多く発着するバスターミナルも併設されておりまして、駅前は非常に賑やかな雰囲気を醸し出しています。
また姪浜は海苔の産地として有名であり、今では唯一の博多湾での海苔養殖の場所となっています。この姪浜産の海苔は塩分濃度が高く、甘みがあるのが特徴で、福岡市の給食では定期的にこの姪浜海苔ふりかけが出ます。
そして10時22分、4番のりばに停車している303系筑前前原行きの発車と同時にサイクリングをスタート。

しばらく地下鉄空港線の高架と並走していくと、だんだんと高架が標高を落としていき、いよいよ地下へと潜っていきます。ちょうど1000N系の姪浜行きが地上へ出ていきましたね。
このトンネル入口の北側には姪浜ドライビングスクールがあり、さらに北側へ進むと南国リゾートのような雰囲気を持つことで有名なイオンマリナタウンがあります。

地下に潜った地下鉄の線路をgoogleマップ越しに調べつつ進むと、片側2車線の大きい道路に出ます。この道路は明治通りと呼ばれており、道路の大半が明治時代末期に整備されたことから明治通りと呼ばれるようになりました。
またこの愛宕(あたご)地区には火伏せの神を祀る「鷲尾愛宕神社」があり、この鷲尾愛宕神社は全国に多くある愛宕神社のうち「日本三大愛宕」の一つに入るほど有名な神社となっています。
ここからしばらく、地下鉄空港線はこの明治通りに沿って進んでいくことになります。

福岡都市高速道路と交差して直ぐに室見川を渡ります。この室見川は福岡県と佐賀県の県境にある脊振山系を源流として流れる二級河川であり、3月〜4月頃にかけて「やな」という江戸時代から続く伝統漁法で「しらうお」を取ることが春の風物詩として有名です。
そしてこの室見川が西区/早良区の境となっており、ここから地下鉄空港線は早良区へと入っていきます。
K02:室見駅

室見川を渡って早良区へ入って直ぐ、10時30分に次の室見駅へ到着。
今こそ路線末端の途中駅の雰囲気を出している室見駅ですが、地下鉄空港線(1号線)が開業した当時はまだ姪浜駅が開業していなかったため、1981年〜1983年の約2年間のみ始発駅として機能していた過去があります。また駅直ぐにある室見川の下を潜る関係で、福岡市地下鉄の駅の中では比較的深い地下3階にホームが設置されているのも特徴ですね。
そんな室見駅の周辺にはマンションやスーパー・郵便局など、実に都心近郊の住宅街らしい雰囲気となっているほか、駅前のバス停からは博多駅や天神方面はもちろん、能古渡船場や壱岐丘へ向かうバスも多く発着しています。
室見駅からさらに東側へ進んでいくと、また川を渡ります。

この川は金屑川(かなくずがわ)と呼ばれており、近くを流れる室見川と同じく二級河川として博多湾へ注いでいかます。
この金屑川は江戸時代の福岡藩が治めていた際に架橋が厳しく規制されていたうえに橋がなかったため、人々は川に置き石をして水深が浅い干潮時に渡っていました。このため金屑川は「飛石川」としても呼ばれていたようです。
K03:藤崎駅

明治通りに沿って進むこと約3分、10時33分に次の藤崎駅に到着。
この藤崎駅にはバスターミナルが併設されており、当駅でバスに乗り換えて百道・四箇田団地・室住団地へ向かうことができるほか、駅周辺には早良区役所・ももちパレス・早良警察署などといった施設も立ち並んでおり、早良区の中心地として非常に人通りの多い街並みを形成しています。また駅から南側には百道(ももち)地区が広がっており、福岡タワーや総合図書館・百道中央公園などへのアクセスに便利な面も備えています。
またこちらも室見駅と同じく、室見川の関係でホームが地下22mという深さに設置されており、空港線の駅の中では1番の深さを誇ります。
そしてバスの乗り換え客を含めた利用者が多く入ってくるため、当駅を境に地下鉄の混雑率も変化します。
K04:西新駅

サザエさん通りと交差しつつ、10時38分に西新駅に到着。
かつて宿場町として栄えた西新は西部副都心と学生街の2つの面を持っており、駅周辺には西南学院や修猷館高校などの学校も多く並ぶほか、西新中央商店街や繁華街などといった施設も充実しており、藤崎駅と同じく多くの人の往来があります。また画像奥にあるような高層マンションも駅周辺に点在しており、住みたい街ランキング上位にランクインするほど早良区の生活拠点としての役割も備えています。
この西新駅を通る地下鉄空港線はかつての西鉄福岡市内線(路面電車)の跡地を沿うように建設されていることは有名な話ですが、実は福岡市内線が存在した時代の西新駅は当駅より城南線と呼ばれる路線が分岐しており、当駅から六本松・南薬院を経由して渡辺通を結んでいました。
また当駅は地下鉄空港線の運行上でも欠かせない駅となっており、日中は毎時3〜4本ほど貝塚方面から来た地下鉄箱崎線の列車が当駅で折り返しています。そのため当駅を境に本数もさらに増え、西新〜中洲川端では日中は毎時12本が運行されるようになります。

引き続き明治通りを東側へ進むと、今回3つ目の河川である樋井川を渡ります。
この樋井川はかつて田に水を送る樋(とい)が川の上を横切っていたのが語源とされており、今でも都市河川ながらアユやシロウオが生息しているという非常に自然豊かな川となっています。そしてこの樋井川が早良区/中央区の境となっており、ここから地下鉄空港線はいよいよ天神が所在する中央区へと入っていきます。
K05:唐人町駅

10時44分、最初の中央区の駅である唐人町駅に到着。
当駅近くにある唐人町商店街は、江戸時代に唐津街道に沿って町家が立ち並んでいたのが元となって発展したとされており、また駅周辺には当仁小学校や西日本短期大学などがあり、こちらも西新駅と同じく文教地区としての面が強い街でもあります。
そして当駅はマークイズももち・みずほpaypayドームの最寄駅として機能しており、ドームで試合やライブがあった際は、ドームから駅まで長蛇の列ができることでも知られています。この列ができるほどの混雑はすさまじく、福岡市は混雑対策としてこの区間に「動く歩道」を設置することを検討しています。
また唐人町という名前から、かつては唐との交流が盛んであったことを連想させますが、実は「唐」との交流はそこまで盛んではなく、そもそも「唐人」という語呂が外国人を意味するものらしく、高麗人を始めとした外国の商人が住み始めたことから「唐人町」という地名が付けられた…とされているらしいですが、この「唐人町」という地名の由来がそもそもハッキリしておらず、この理論も諸説の一つとされているので、確定はできない状態となっています。
K06:大濠公園駅(福岡市美術館口)

10時50分に大濠公園駅(福岡市美術館口)に到着。
駅名の由来となった大濠公園は全国有数の水景公園として有名で、福岡城の外濠を元として1927年に東亜勧業博覧会が開催された際に会場として造成されました。そしてこの大濠公園には様々な施設があり、日本庭園や茶室や福岡市美術館が整備されているほかボートのレンタルもでき、さらに島の中央にある浮見堂からの景色などを楽しむことができるなど、ランニングや家族の憩いの場として福岡市の名所となっています。
また大濠公園駅の近くには舞鶴公園や福岡城跡もあり、春には花見・夏には祭りなど四季折々の風物詩が楽しめることでも有名となっています。
K07:赤坂駅

昭和通りと分岐しつつ引き続き明治通りを東側へ進み、10時57分に赤坂駅に到着。
当駅は天神に近いことから非常に発展しており、企業の本社やビルが連立してオフィス街らしい風景を創り出しています。また企業が集結しているのもあり飲食店やコンビニも多く、駅南側には中央体育館・北側には福岡市場などがあり、都会の利便性と落ち着いた住環境が両立しているのも特徴です。また駅近くにある「赤坂けやき通り」は、ケヤキの街路樹が並び「福岡市都市景観賞」に選出されるほどの美しさを持つのはもちろん、お洒落なカフェや書店が立地するなど、高級感溢れた落ち着いたショッピングエリアとしても有名です。
また当駅のシンボルマークも特徴的であり、赤坂の「ア」をベースに近くの平和台陸上競技場のスポーツ選手に見立てたデザインとなっています。

また赤坂駅5番出口から直ぐの場所には中央区役所があり、このように赤坂駅周辺には様々な施設が立地していることが分かります。
K08:天神駅

11時05分、いよいよ天神駅に到着。
今や九州最大の繁華街である天神ですが、かつては福岡城の城下町として発展し、武家屋敷が多く点在していましたが、明治維新のあとに屋敷跡地を活用して県庁や市役所などの官公庁が設置されるようになり、路面電車の開通も相まって天神の発展はさらに加速していくようになりました。そして戦後に「新天町」「博多大丸」などが次々と開業していき、それに続くように地下鉄や天神地下街、銀行などといった施設が次々と進出していった結果、現在の「天神」という繁華街が出来上がったのです。
また最近では100年に1度の再開発「天神ビックバン」がスタートしており「天神ブリッククロス」「ONE FUKUOKA BLDG.」「天神ビジネスセンター」など、次々と先進的なビルが建設されています。
そんな天神も交通の要所として機能しており、地下鉄天神駅から地下街を経由して西鉄福岡(天神)駅や天神南駅など、計3路線への乗り換えが可能な駅として、地下鉄空港線の中でもトップレベルの乗降客数を誇ります。
また地下鉄天神駅に交差する形で通る渡辺通りは、天神高速バスターミナルを発着する高速バスや連接バスなどが多く通るため、ここを通る際は高頻度でバスを見かけるのも面白い点と言えるでしょう。

渡辺通りを抜けた後も市役所通りや水鏡壱番通り・水鏡弐番通りなどと合流しつつ、引き続き明治通りを東側へ進んでいき、次の中洲エリアへと入っていきます。
K09/H01:中洲川端駅

那珂川と博多川を渡って博多区へ入り、11時16分に中洲川端駅に到着。
当駅は歓楽街の「中洲」と商店街の「川端」の2つの面があり、中洲には飲食店が立ち並ぶ夜の街・川端は川端通商店街を始めとした歴史ある文化の街が広がります。中洲は大正時代より花街として発展し、夜になると屋台が数多く出店するほか「中洲まつり」「中洲ジャズ」「花魁道中」などのイベントが開催されるのに対して、川端は140年もの歴史を持つ川端通商店街や博多座・櫛田神社・鏡天満宮が立地するなど、昔ながらの風情を残した風景が特徴の街となっています。また他にも福岡アジア美術館や福岡アンパンマンミュージアム・キャナルシティ博多などといった施設も多く立地しており、駅周辺は全体的に賑やかな街を形成しています。

さらに博多川の河川敷には船着場があり、ここから博多川の川下りを楽しめるほか、夜は屋形船が中洲のネオン街を彩ります。この中洲を始めとした河川は鎌倉時代に博多大水道として整備され、今や殆どがビルの建設などで消されながらも、防衛や物流の観点で福岡の発展に尽力しました。そんな博多大水道が造り上げた歴史ある水路を巡ることができるということで、水上ボートなどは非常に人気があるようです。
また中洲川端駅は地下鉄箱崎線との分岐駅となっているほか、当駅から空港線は明治通りから離れて90度カーブして大博通りへと入っていきますが、ここで一度空港線を離れて箱崎線へと進んでいきます。
H02:呉服町駅

11時24分、呉服町駅に到着。
呉服町駅は博多駅と博多港を結ぶ大博通りと明治通りが交差する地点に設けられており、駅のシンボルマークも博多港を出入りしていた日宋交易船がモデルとされています。また当駅から博多港方面へ向かうBRT等に乗り換えることができ、ベイサイドプレイス博多・マリンメッセ福岡などの施設へ向かうことができます。
この呉服町駅も室見駅と同じく今こそ途中駅の色が強くなっていますが、かつて1982年の地下鉄2号線(箱崎線)開業時から1984年の馬出九大病院前への延伸まで、約2年間のみ路線の終着駅として機能していた過去があります。
呉服町駅が属する地下鉄箱崎線は前駅の中洲川端駅から直線状に進んでいきますが、本来のルートである地下鉄空港線のルートに戻るため、ここから右へと曲がりオフィスビルが立ち並ぶ大博通りを進んでいきます。
K10:祇園駅(博多旧市街口)

11時29分、祇園駅(博多旧市街口)に到着。
祇園駅は博多駅に近いことからオフィス街としての役割を持ちつつ、櫛田神社や東長寺といった寺院も点在しているのが特徴です。そして祇園駅は櫛田神社前駅と同じく博多祇園山笠が有名であり、飾り山笠・舁き山笠がこの付近を通るということで、博多祇園山笠の開催時は当駅を利用して山笠を見に来る人が多数います。そんな博多祇園山笠の起源は鎌倉時代まで遡り、かつて博多の町で疫病が流行した際に承天寺の聖一国師が施餓鬼棚に乗って祈祷水を撒いて疫病退散を祈願したことが始まりとされています。
そして祇園駅と博多駅は連絡通路で繋がっており、いよいよ博多駅が見えてきました。
K11/N18:博多駅

11時34分、ついに博多駅に到着。
博多駅はJR鹿児島本線・福北ゆたか線・九州新幹線・山陽新幹線・地下鉄空港線・地下鉄七隈線の計6路線が乗り入れるターミナル駅であり、駅前の博多バスターミナルと共に九州一の交通要所として機能してきます。また駅構内には「JR博多シティ」「阪急百貨店」「アミュプラザ博多」といった商業施設が入居しているほか、駅前のイルミネーションやクリスマスマーケットなど、賑わいを見せていました。
今こそほぼ1つのような扱いとなっている博多と福岡(天神)ですが、この2都市はかつて非常に険悪であったことで有名であり、那珂川を境に福岡城の城下町として栄えた「福岡」と博多大津を中心に港町と商人の町として栄えた「博多」として発展しましたが、明治時代の市制施行の際には「福岡市」と「博多市」で揉めまくり、結果として1票差で「福岡市」になったという過去を持ちます。
ここから1993年に延伸された区間へ入り、福岡空港駅へ向けて南東へ進んでいきます。
K12:東比恵駅

少し道に迷いつつ御笠川を渡り、11時48分に東比恵駅に到着。
東比恵駅は運送会社を始めとしたオフィスや工場が並ぶ住宅街となっており、博多駅に比較的近いにも関わらず落ち着いた雰囲気があります。そしてこの東比恵駅は博多駅や福岡空港へのアクセスが非常に良く、近くには山王公園や小中学校もあり、とても暮らしやすい街といえるでしょう。
また周辺には比恵遺跡と呼ばれる遺跡もあり、旧石器時代の倉庫群などが発見されているようです。

東比恵駅からは国道3号線に沿って終点の福岡空港へラストスパート。空港がだんだん近くなってきたからか、博多駅に近いエリアにも関わらず周辺の建物の高さもどんどん低くなっていきます。
この「高さ制限」がある関係で、博多と天神では大阪や名古屋のような高層ビルを建設するのが難しくなっており、前述の天神ビッグバンによって徐々に緩和されつつありますが、完全な解決は空港を移転でもしない限りほぼ不可能に等しいでしょう…。
K13:福岡空港駅

福岡都市高速道路を交差しつつ滑走路を迂回するように進み、12時05分についに福岡空港駅に到着。
福岡空港のアクセスは全国的に見てもトップクラスであり、地下鉄に乗れば約5分・自転車でも約30分で着くことができます。駅周辺にはタクシーが並ぶほか、スーツケースを持った空港利用者が多くおり、実に空港前らしい雰囲気がありました。
そしてこの地下鉄の福岡空港駅は国内線ターミナルへ乗り入れており、国内線ターミナルから国際線ターミナルへ移動する際は画像奥に停車しているバスに乗り換える必要がありますが、近年この国際線ターミナルのアクセスの悪さが問題視されており、地下鉄七隈線を福岡国際空港へ延伸するという案が出ています。
まとめ
姪浜駅から福岡空港駅までサイクリングした結果の所要時間は約1時間43分。地下鉄であれば約30分ほどで行くことができるので、約3倍の時間を掛けて行ったことになります。しかし地下鉄の車内からは見えない沿線の風景を楽しむことができ、楽しいサイクリングにすることができました。
皆さんもぜひ、チャリチャリなどを使って空港線をサイクリングしてみてはいかがでしょう?

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