【失敗?】西鉄「Nライナー」の需要と集客増の方法について考えよう

ご無沙汰してます。ふぺです。

昨年運行された西鉄「Nライナー」。西鉄では初めての有料座席指定車の試みということもあり、鉄道ファンを中心に注目を浴びることになりましたが、残念ながら実際の乗車率は予想を下回る結果となってしまっていました。

ではなぜ「Nライナー」は利用者が少なかったのでしょうか?そしてこれを改善するにはどうすればいいのでしょうか?今回はそれについて解説していこうと思います。

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Nライナーとは

西日本鉄道公式より

Nライナーとは2024年の4〜5月に運行された西鉄初の臨時有料座席指定車です。

ここ近年の鉄道業界では特急より安い値段必ず座って帰ることができるというメリットがある着席保証列車こと「ライナー列車」の運行が活発化しており、東武東上線の「TJライナー」を皮切りに「京王ライナー」「拝島ライナー」といったライナー列車がここ十数年間で数多く登場しました。このライナー列車は“少しプラスの料金を支払うことで座って帰ることができる”という点から、主に都市部から離れた駅を最寄りとする利用者に多く刺さるようになり、結果として多くの利用者に利用されるようになりました。

この近年のライナー列車の活発化に西鉄も便乗して試験的に運行を開始したのが「Nライナー」であり、主に野球観戦帰りの客の利用を目論んで夜の21〜22時に設定されました。

Nライナー1号Nライナー3号Nライナー5号
西鉄福岡(天神)21:41発22:11発22:36発
西鉄二日市21:56着22:28着22:50着
朝倉街道21:59着22:31着22:53着
筑紫22:02着22:34着22:57着
三国が丘22:06着22:38着23:00着
小郡22:10着22:42着23:04着
宮の陣22:16着22:48着23:11着
西鉄久留米22:19着22:51着23:13着
花畑22:21着22:53着23:16着
大善寺22:28着
西鉄柳川22:41着
新栄町22:54着
大牟田22:57着

Nライナーは始発駅である福岡(天神)のみ乗車専用駅とし、最初の停車駅である二日市からが降車専用駅となっています。

そしてNライナーの1番の特徴は「福岡(天神)の次は二日市」ということ。現在の西鉄天神大牟田線の最優等種別である特急は福岡(天神)を出ると薬院、大橋、春日原、二日市…と停まっていくため、運転停車駅である薬院を除き大橋・春日原を通過する列車はかなり久しぶりの登場となりました。また二日市到着後は朝倉街道、筑紫、三国ヶ丘…といった急行停車駅に停車し、終点である大牟田・花畑に向かいます。

このNライナーで使用されたのはクロスシートを搭載した3000形5両編成で、定員は200名・料金は300円となっていました。

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Nライナー なぜ利用者が少なかった?

座席や料金形態から見るにある程度の需要はありそうなNライナーでしたが、実際の乗車率は約2割に留まってしまいました

このNライナーの運行目的は「野球観戦帰りの客の利用」でしたが、この野球試合が予想以上に長引いてしまい、実際にNライナーが運行された時間帯と野球観戦帰りの時間帯が噛み合わなくなってしまったことが乗車率低迷の要因とされています。

日程対戦試合試合終了時刻Nライナー発車時刻
4/19オリックスvsホークス21:4622:11発(3号)
5/7ホークスvs日本ハム21:4722:11発(3号)
5/17ホークスvsライオンズ21:1621:41発(1号)
5/21ホークスvs楽天20:5021:41発(1号)

上記に記した試合は全てみずほpaypayドームにて行われましたが、ここからバスを使って福岡(天神)駅へ向かうとなると最速でも20分はかかってしまい、結果として利用者が目的の列車に間に合わない…ということがありました。また4/19と5/17の運転日に関しては金曜日ということもあり、飲み会帰りの需要も見込めるかと思いましたが、それでも利用者が低迷していたことを考えると「Nライナー」は失敗に近い…と言えてしまえるでしょう。

Nライナーの需要はない?

ではNライナーの需要はないと言い切れるかと言うとそういうわけでもなく、西鉄に「ライナー列車」の需要があることは確かです。

西鉄のターミナル駅である福岡(天神)駅や薬院駅が属する福岡都市圏は、大企業の企業移転や天神ビックバン(再開発)によってここ数年で急激に規模が拡大しており、それに伴って福岡市周辺の路線は混雑が常態化するようになっています。

https://www.nnr.co.jp/konzatsu/omuta.pdf

2023年に西鉄公式が計測した混雑率調査では朝ラッシュに走るほとんどの列車で混雑率が100%を超えており、特に福岡(天神)駅に8時15分に到着する急行列車では混雑率が200%に近い数字を叩き出すなど、大牟田線の混雑が酷いことがお分かり頂けるかと思います。また18〜19時台の帰宅ラッシュの時間帯も同様で、ほとんどの列車が混雑している状態となっています。

そこでこの時間帯に「Nライナー」を走らせれば、多少の混雑解消及びライナーの需要確保に繋がることはできるのではないでしょうか?

Nライナーを成功させるには

京王ライナー(提供:りょー)

では「Nライナー」を成功させるにはどうすればいいのでしょうか?


まずはライナーの運行時間帯です。Nライナーは去年の試験運行の際は21〜22時台と帰宅ラッシュも終わった時間帯に運行&目的の利用客が拾えない…といった反省点がありましたが、これを混雑が悪化している朝の7〜8時台と夕方の17〜19時台に運行してみるのはどうでしょうか?

理想としては大牟田・花畑を6〜7時台に出発し、薬院・福岡(天神)には8時台に着くダイヤ…そして福岡(天神)・薬院を17〜19時台に発車して花畑・大牟田に19〜21時に着くダイヤがベストでしょう。混雑が悪化している時間帯やその前後にライナーを走らせることで、ある程度のライナーの需要を拾うことができる気がします。


次に利用可能駅。試験運行の際のNライナーは乗車可能駅が福岡(天神)駅のみでしたが、ここにプラスで隣の薬院駅を追加で可能にしてみるのはどうでしょうか?薬院駅は地下鉄七隈線との乗り換え駅で、博多や六本松方面から当駅で乗り換えて二日市・久留米方面へ行く需要も存在します。

そこで薬院駅を新たにライナー乗車可能駅にすることで、博多⇨薬院⇨久留米方面の需要を拾うことができ、集客増に繋がることができるでしょう。


次に運行本数。以前の試験運行の際は福岡(天神)⇨花畑・大牟田が3本という設定になっていましたが、この「3本」というのは利用客にとっては中々利用しづらく、実際に本格運行を開始した際もこの本数のままであれば集客増に繋がることは困難でしょう。

実際に私鉄ライナー列車の始祖であるTJライナーは朝5本/夕15本、そして京王ライナーは朝8本/夕21本という本数を誇っているほか、00分発・20分発・30分発…といったように発車時刻も覚えやすいように設定されています。

これを「Nライナー」にも起用し、夕ラッシュの場合では福岡(天神)を毎時20分・40分発で2本設定すれば利用者にも覚えやすく、利用者増加に繋げることができるでしょう。


次に充当車両とサービスアップ。以前の試験運行の際は主に急行列車で用いられる3000形5両が充当されていましたが、この3000形5両は今年度のダイヤ改正で運用が削減されており、4編成のうち2編成は朝or夕のみでその日の運用が終了する始末になっています。

そこでこの3000形5両を本格的にライナー列車として走らせるのはどうでしょう?3000形5両の定員である200名はライナー充当列車としてはちょうど良い部類だと思いますし、余った3000形5両を有効活用することができます。

提供:ゴハチさん

またこの3000形5両をデュアルシートにリニューアル改造すれば特急/ライナーで座席の差別化ができるほか、ロングシートにすることでライナー以外の列車でも混雑解消に役立てることができ、他にもライナー以外の有料特急などにも使用することが可能になります。またこのデュアルシートの設備としては「京王ライナー」や「Qシート」で用いられているようなタイプが好ましいと考えており、コンセントや簡易テーブルを備えるだけでも快適性は大幅に向上できるでしょう。


ぱくたそより

最後に宣伝と予約方法。前回の試験運行の際は駅構内にポスターを掲示する程度でしか宣伝していなかったので、積極的に広告やCMで「Nライナー」の宣伝をすることで、より多くの人に「Nライナー」の存在を認知してもらえる可能性があります。また予約方法も当日に窓口で販売するのではなく、1週間前などから公式サイトなどでネット予約できるようにすれば利用者としても買いやすく、利用者の増加に繋がることができるでしょう。

おわりに

いかがだったでしょうか?

西鉄初の有料座席指定車である「Nライナー」の運行は西鉄公式としても諦めていないようなので、ぜひ試験運行の反省点を活かして本格的な導入に踏み切ってほしいものです。また私も改善点についてはある程度まとめてみたつもりですが、他にも「こうしたほうがいいんじゃないか」と意見がある場合は、ぜひぜひ下記のコメント欄に書き込んで下さると嬉しいです。

この記事を書いた人
ふぺ
ふぺ
よく奇行に走ります
icon @Bashamichi_mm04

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