【重要な役割】特急ソニックが結ぶ福岡と大分の繋がり

ご無沙汰してます。ふぺです。

福岡県の博多駅と大分県の大分駅を結ぶ特急ソニック。この特急ソニックは福岡市と大分市という九州トップレベルの都市の中心部同士を結ぶ特急ということもあり、利用者もかなり多くビジネスマンや観光客にとってはなくてはならない存在へとなっています。

ではこの特急ソニックはなぜここまで重宝されるようになっているのでしょうか?

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特急ソニックとは

大分駅に到着した「ソニック11号」

特急ソニックとはJR九州が運行する特急列車で、福岡県の博多駅と大分県の大分駅を結んでいます。

この特急ソニックは九州内を結ぶ特急列車の中でもトップレベルで需要の高い特急列車で、博多と大分の間で毎日30往復が運転されているほか、うち1往復は大分より先の佐伯駅まで足を伸ばします。また日豊本線のカーブでも高速で通過できるように、使用車両は基本的に883系や885系といった振り子車両が使用されています。

また一部の特急ソニックは大分駅で特急にちりんに接続しており、当駅で乗り換えて宮崎方面へ出ることも可能になっています。

この特急ソニックの特徴は高い表定速度と多くの停車パターン。特急ソニックの名前の由来が「SONIC(音速)」である通り最高速度は130km/hとかなり速く、表定速度も約99キロと全国2位の速さを誇るほか、停車パターンも計23パターンと非常に多くなっています。

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重要な”東九州のアーバンライナー”

博多駅にて出発を待つ「ソニック23号」

この特急ソニックは博多〜大分の約200kmを約2時間で結んでいるのですが、この所要時間がビジネス需要に非常に相性が良いのです。このたった2時間で北部九州の大都市同士を移動できるのはかなり強く、特急ソニックを使えば朝に大分or福岡に出張し、その日のうちに帰ってくることができるのです。

さらに福岡は都心部と空港が近いことで鉄道と飛行機の競合がタイトになりがちなことで知られていますが、福岡空港⇄大分空港の直接の航空便は2025年7月現在設定されておらず、福岡と大分を移動できる公共交通機関は特急ソニックか高速バスの2択になります。そして特急ソニックはJR九州お馴染みのネット予約によって非常に安く乗ることができるほか、高速バスに比べて定時性も高いため、福岡と大分の移動手段は特急ソニックがメインとなっています。

また大分駅で特急ソニックから特急にちりんに乗り換えて、大分県南部の都市である佐伯や旭化成の工場がある延岡へ出る人も多くおり、このため特急ソニックは“東九州のアーバンライナー”として東九州の人達にとってはなくてはならない存在となっているのです。

特急ソニック なぜ利用者が多い?

ではなぜ特急ソニックは利用者が非常に多いのでしょうか?

ぱくたそより

まず多いのがビジネスでの利用です。

まず博多駅が所在する福岡市は、ターミナル駅や福岡空港といった交通の要所から天神・西新といった都心部が非常に近いという都市のコンパクトさから非常に人気が高い都市で、アジアのビジネス拠点としてアクセスが良いことから年々福岡市に本社を置く企業が増え続けています

対するソニックの目的地である大分市では鉄鋼・石油・化学・半導体・電気・自動車・精密機器など幅広い分野の産業がバランスよく集積し、製造品出荷額等は福岡県に次いで九州2位を誇っています。また市内にある大分港大在コンテナターミナル九州トップレベルの拠点港として名を馳せており、日本国内の港湾取扱貨物量ランキングでは全国11位・九州内では北九州に次ぐ2位を誇っています。そして当港からは中国・東南アジアの各港をメインとした世界各地の各港と結ばれてお“九州の東の玄関口”として機能しています。

このため福岡市に本社を置いて大分市に工場を持つ企業も少なくなく、本社から会議や視察等の目的で特急ソニックを利用するケースや、商談などの目的で特急ソニックを利用する…など、ビジネス関係の利用は多岐に渡ります。

ぱくたそより

次に多いのが行楽目的での利用です。

大分市が属する大分県は「おんせん県」と言われる通り非常に温泉が有名な地域で、別府や湯布院などといった有名な温泉地が連立しており、このため温泉旅行などの行楽目的で利用する方も多く存在します。またこの行楽客向けのお得なきっぷもJR九州公式から販売されており、今年の春に発売開始した「こっちでも行けるよ!ゆふいんきっぷ」の影響もありまして特急ソニックは行楽客の方々にも多く利用されるようになっています

また特急ソニックを利用する行楽客はこれだけではなく、大分在住の方々が天神や中洲といった福岡市の繁華街へショッピングに出かける際にも使われるほか、福岡から大分の実家へ帰省する際にも多く利用されています。

昔から重要視される”福分輸送”

485系「にちりん」(Wikipediaより)

この福岡〜大分のいわゆる”福分輸送”はJR九州にとっても重要なものでした。

かつての日豊本線では特急にちりんが福岡(博多)と大分・宮崎を結んでいましたが、並行する大分自動車道が全通に近づいてたこともあり、日豊本線の高速化が図られました。そこでカーブでも高速で通過することができるように振り子車両の883系が開発され、これに合わせて1997年に博多〜大分のにちりんは「ソニック」に改名され、にちりんは大分(小倉)〜宮崎空港を結ぶようになりました。

博多駅に進入する「ソニック30号」

そして特急ソニックには883・885系といった「振り子車両」のみが使用されています。しかしこの「振り子車両のみ使用」というのは運用の面から考えるとやや面倒臭く、振り子車両限定にせずに783系・787系といった非振り子の汎用型特急をそのまま充当できるようにしたほうが非常時の代走なども仕立てやすく、色々と都合がいいわけです。しかしここで絡んでくるのが競合である高速バス

この福岡〜大分の輸送は飛行機がライバルにならない代わりに高速バスとの競合がタイトになります。しかしこの特急ソニックはネット予約を駆使すれば3000円弱…つまり高速バスの値段とほぼ同額で福岡〜大分を移動することができます。さらにこれにプラスで「振り子車両」を導入すれば列車の高速化をすることができ、高速バスに比べてかなり有利な点に立つことができます。

またここまで驚異的な安価で長距離を移動できる特急は珍しく、もし福岡〜大分の需要が薄ければ高速バスと競合する意味もなく、定価である5000円程度の値段が普通になっているでしょうし、振り子車両も導入されず現在より大幅に所要時間も伸びていたでしょう。

この「特急ソニック」はJRにとってもそれほどの工夫をするほどの需要及び価値があるという特急であるということが分かります。

裏で動く「東九州新幹線」構想

西九州新幹線「かもめ」(提供:ゴハチさん)

このようは感じで日々多くの人々を乗せて走る特急ソニックですが、その裏でとある計画が動き出していました。それが「東九州新幹線構想」です。

この東九州新幹線構想というのは全国新幹線鉄道整備法に基づく基本計画の路線の1つで、福岡市を起点とし、大分や宮崎を通りながら鹿児島までを結ぶ路線になります。

この東九州新幹線構想というのは大分県や日豊本線の沿線自治体が強く推しており、大分県と周辺の自治体では国に対し、事業化の前提となる「整備計画路線」への格上げを求めてきました。しかし具体的なルートが決まっていないことや、現在の段階では大分県を経由せずに九州新幹線の新八代から分岐して宮崎方面へ新幹線を伸ばす計画のほうが進展しており、まだまだ東九州新幹線の着工には程遠い状況となっています。

おわりに

この特急ソニックが繋ぐ福岡〜大分の輸送がいかに重要かがお分かり頂けたかと思います。しかし近年になって使用されている車両の老朽化が目立つようになったほか、東九州新幹線関連の動きが活発化し始めたことにより、そう遠くないうちに特急ソニックが支えている福分輸送に大きな変化が起きるかもしれません

まだまだこれから先どうなるのか分かりませんが、引き続き福岡と大分の間を走り続けてほしいものです。

この記事を書いた人
ふぺ
ふぺ
よく奇行に走ります
icon @Bashamichi_mm04

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