こんばんは、あさまです。
こん僕は4月の最後の方に原因不明のウイルスにかかって3日ほど休んでいましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
題して、
ニューヨーク市地下鉄徹底解説シリーズ
です。
前のシリーズ記事との間隔がかなり空いてしまいました。申し訳ございません。
今回の記事は第八部として、計画中/建設中/廃止済の系統の解説をしていきます。
さて、ニューヨーク市地下鉄徹底解説シリーズではここまで23の系統と3つのシャトルを解説してきました。
今回解説する計画中/建設中/廃止済の系統、本当はもっと書きたかったのですが、歴史を遡りすぎるととんでもない量になりそうだったので、いつか「番外編」的にできたら良いなぁと思っています。
なので今回はとりあえず最近計画/建設/廃止された系統を全部で5つ紹介します。
ということで今回もよろしくお願いします。
Interborough Express(計画中)
まずはInterborough Expressの解説です。
(Interborough Expressですが、他と比べて現時点で分かっている計画に関する情報が少ないため、ほかの系統などと比べて詳細な解説をすることが難しい状況となっています。申し訳ございません。)

さてさて、さっそくリンクを貼りました。
こちらMTAのプロジェクトページですが、下のほうに地図があります。
地図の通り、この計画はブルックリンとクイーンズを結ぶ路線になっています。
Roosevelt AvenueからBrooklyn Army Terminalまでの23kmほどを結びます。
この路線は17の地下鉄路線と交差する計画のため、他路線やマンハッタン方面へのアクセスも沿線の方にとってはかなり便利になるものだと思われます。
そしてこの路線はもう一つ大きな特徴があります。
この路線はライトレール路線として整備される予定となっています。
そう、普通の地下鉄ではなく、路面電車になるのです。
現時点でMTAに路面電車やライトレールは運行されていないため、このプロジェクトが整備されれば、MTAで唯一の路面電車、ライトレールとなることが予想されます。
そしてこのプロジェクトですが、2027年に運行開始されるとの予測がされているそうです。
路面電車として整備するという特徴故に、整備が地下鉄路線等と比べて比較的簡単な整備ができるため、2年後という予測が出されているのだと思われます。
路面電車ですから、車両も新しく作る必要がありそうです。
MTAのプロジェクトページには、駅や車両のイメージが少しだけ載っています。
車両のメーカーはどこになるのか、デザインはどうなるのかなども気になるところです。
ちなみに、仮にこれにも系統番号が付くのであれば、
かつて使われていた「V」や「K」などが復活するかもしれませんね(後述)。
以上、Interborough Expressの解説でした。
T系統(建設中・一部開通)
次に、2017年1月1日に第一フェーズ(工区)が開通し、計画の一部区間が営業されているSecond Avenue Subway Project(二番街地下鉄プロジェクト、通称「T系統」)の解説です。
以前出した記事で同じ区間を走行する「Q系統」の解説を少しだけしましたが、今回はそのプロジェクト全体の解説をします。Q系統の解説も見たい方はこちらからぜひご覧ください(第六部です)。
さて、このプロジェクトの計画自体は1929年ごろに誕生しているのですが、時間をさかのぼりすぎると経緯がかなりややこしくなってしまうので、ここでは省略させていただきます。
25年前の2000年ごろ、MTAはIND Second Avenue Line(マンハッタン二番街の地下鉄)を建設する計画を提案しました。これは当時の公共交通機関の整備状況により提案されたものでした。
当時、セントラルパークより東側を走行する地下鉄は、現在の4/5/6系統のみで、二番街などに住んでいる方もそれを使うことで、混雑がひどかったようです。
一方で二番街を走行するバス(現在の「M15」系統)もかなり多くの利用があったということで、地下鉄やバスの混雑緩和のためにも、二番街に地下鉄を早急に整備することが求められていくようになったそうです。
そしてMTAはしばらくしてプロジェクトを始動させます。
マンハッタン島の北、125丁目から二番街を経由し、マンハッタン島の南、ハノーバースクエアまでを結ぶ路線で、その運行系統は「T」と名付けられ、ラインカラーは水色(正確にはターコイズブルーらしい)と定められました。
理由はこんな感じらしいです。
- アルファベットの「O」と「I」は、数字の「0」と「1」にそれぞれ混同される可能性がある
- 「K」は計画時には廃止となっていたものの、計画策定の少し前まで使用されていた
- 「V」は計画時に使用されていた(2010年廃止、後述)
- 「H」はRockaway Park Shuttleの内部管理名称である
- 「P」「U」「Y」はそれぞれ英単語の発音と混同される可能性がある
これらの条件をクリアした「T」、そしてJFKエクスプレスと呼ばれるかつてジョン・F・ケネディ国際空港からマンハッタンを結んでいたシャトル的な運行系統の色となっていた水色がそれぞれ運行系統名・ラインカラーとして定められたということだそうです。
MTAはこのプロジェクトを四つの工期に分けて実施しています。
フェーズ1は96th Streetから72nd Street(Q系統はLexington Avenue-63rd Streetまでも走行)まで、
フェーズ2はHarlem-125th Streetから96th Streetまで、
フェーズ3は72nd StreetからHouston Streetまで、
フェーズ4はHouston StreetからHanover Squareまでと、
それぞれ分けました。
すでにフェーズ1区間は2017年1月1日に開通しており、現在はフェーズ2の建設中です。
フェーズ3の建設が完了すると、T系統が爆誕しIND Second Avenue Lineの全線を走行する系統となる予定です。
計画では、ラッシュ時には1時間14本の頻度で列車が運行される予定で、これに伴ってQ系統は1時間19本から14本の頻度に減らされ、72nd Street以北での最大運行頻度は1時間28本の予定となっているそうです。
また、ここからは完全に個人的な考察ですが、T系統爆誕後はR211が車両として使用されるのではないかと考えています。
理由として、R211が現在まさに導入が進んでいるMTAの最新鋭車両であること、
またMTAがR211の追加受注(435両分)をしたため、今後のR211導入の一環で、新しく誕生するT系統にも使用される可能性があると考えたからです。

これが川崎重工のニュースリリースになります。「過去最大規模の鉄道車両案件」(引用・原文ママ)ということで、ここはさすがMTAといった感じです。
ということで、ここまでがT系統の解説でした。
9系統(廃止済)
次は2005年をもって廃止されてしまった9系統の解説をします。
基本データは廃止時点でのものとなっております。
路線名 | 9 |
起点駅 | Van Cortlandt Park–242nd Street |
終点駅 | South Ferry |
駅数 | 33駅 |
経由路線一覧 | IRT Broadway–Seventh Avenue Line |
廃止年月日 | 2005年03月27日 |
このような感じです。
運行形態としては、全区間でIRT Broadway–Seventh Avenue Lineの電車線(緩行線)を走行していたそうです。
9系統は1系統の派生系統的な立ち位置のもので運行されており、当時1系統は現在と違う運行形態だったようです。
廃止理由は利用者の減少が主な理由のようで、また廃止時点でどのような車両が使用されていたのかは分かりませんでしたが、おそらく1系統などでも使用されているR62Aが使用されていたものと考えられます。
余談ですが、英語で9系統を呼ぶときは「ナイン」ということができますが日本語で9を発音すると「きゅう」となり、どうしてもQ系統と似てしまうんですよね。
記事は文章なので説明しなくてもいいと思っていますが、もしQ系統を説明したい場合は「クイーン(queen)のQ」と僕はよく呼んでいます。ご参考までに。
以上が9系統の解説でした!
K系統(廃止済)
次は1988年をもって廃止されてしまったK系統の解説をします。
K系統。Kけいとう。けーけいとう。けいけいとう。
基本データは廃止時点でのものとなっております。
路線名 | K |
起点駅 | 168th Street |
終点駅 | World Trade Center |
駅数 | 23駅 |
経由路線一覧 | IND Eighth Avenue Line |
廃止年月日 | 1988年12月11日 |
このような感じです。
運行形態としては、これまた9系統と似ていて全区間でIND Eighth Avenue Lineの電車線(緩行線)を走行していたそうです。
K系統は1932年が運行開始と、比較的長い歴史を持つ系統だったようです。
実はK系統は廃止時点での名称で、廃止直前の1985年までは「AA系統」と呼ばれていたそうです。かつてのMTAではこれのように、二つのアルファベット(以下「二重文字」)を使った系統名をいくつか運転していましたが、1985年にMTAが行った二重文字等の再編により、AA系統はK系統とC系統に再編されたのです。
しかしその3年後、MTAは大規模な路線名やルートの変更を行ったことで、K系統はC系統に代替される形で廃止されてしまうこととなるのです。
ここまでK系統の解説となります。
V系統(廃止済)
次は2010年をもって廃止されてしまったV系統の解説をします。
基本データは廃止時点でのものとなっております。
路線名 | V |
起点駅 | Lower East Side–Second Avenue |
終点駅 | Forest Hills–71st Avenue |
駅数 | 24駅 |
経由路線一覧 | IND Queens Boulevard Line IND Sixth Avenue Line |
廃止年月日 | 2010年06月25日 |
このような感じです。
運行形態としては、すべての経由路線の全区間で電車線(もしくは複線区間)を走行していたそうです。
V系統は2001年が運行開始と、残念ながら10年程度しか運行されなかった系統だったようです。
廃止理由はMTAの財政危機のようで、財政危機によりその当時運行していた系統を一部廃止することで、再構築を行わざるを得ない状況になってしまっていたことが原因のようです。
この再構築により、V系統はM系統に代替される形で廃止となってしまったのです。
以上がV系統の解説でした!
以上。
今回の記事は以上となります!
今回は5つの系統を解説しました。
個人的にT系統は記事中にも述べた通りかなり思い入れのある区間を走るということもあるので、実際に延伸されたらまた乗りに行きたいと思っています。
T系統として将来走行する区間の一部は現在「Q系統」として走行しています。興味があればぜひ乗りに行ってみてはいかがでしょうか。 ご参考までに、Q系統の運行形態等は「こちら」で一通り解説しています。合わせてぜひご覧ください。 次回はいよいよ本シリーズのラスト、第九部として「乗ってみよう」の記事を出します。地下鉄の乗り方や、乗る時に注意しなければならないことなどを解説したいと思います。こうご期待ください!
なお、現地で撮影した資料や写真がなかった場合には、一部絵などで写真の代わりとさせていただく可能性があります。予めご了承ください。
【注意】
現地で何か事件などに巻き込まれてしまったとしても、
筆者の僕や本サイトでは一切責任を取りません。
行かれる場合は自己責任で、
お気をつけて行ってらっしゃいませ。
なお、この記事の内容はあくまで一鉄道ファンとしての予測や考察にすぎません。
(将来的に)誤った内容である可能性などもあります。
正確性の保証や、閲覧による不利益等については責任を負いかねます。
ということで、今回の記事はここまでとなります。お読みいただきありがとうございました。
また次回の記事でお会いしましょう!!
本記事の記述にあたって参考にさせていただいたサイト様
Wikipedia様
ニューヨーク州やニューヨーク市地下鉄について調査をしている中で参考にさせていただきました。
この記事は、<a href=”https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/“>クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 4.0 国際 パブリック・ライセンス</a>のもとで公表されたウィキペディアの項目<a href=”https://en.m.wikipedia.org/wiki/9_(New_York_City_Subway_service)“>「9 (New York City Subway service)」</a>を素材として二次利用しています。
この記事は、<a href=”https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/“>クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 4.0 国際 パブリック・ライセンス</a>のもとで公表されたウィキペディアの項目<a href=”https://en.wikipedia.org/wiki/K_(Eighth_Avenue_Local)“>「K (Eighth Avenue Local)」</a>を素材として二次利用しています。
この記事は、<a href=”https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/“>クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 4.0 国際 パブリック・ライセンス</a>のもとで公表されたウィキペディアの項目<a href=”https://en.wikipedia.org/wiki/V_(New_York_City_Subway_service)“>「V (New York City Subway service)」</a>を素材として二次利用しています。
この記事は、<a href=”https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/“>クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 4.0 国際 パブリック・ライセンス</a>のもとで公表されたウィキペディアの項目<a href=”https://en.wikipedia.org/wiki/T_(New_York_City_Subway_service)“>「T (New York City Subway service)」</a>を素材として二次利用しています。
この記事は、<a href=”https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/“>クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 4.0 国際 パブリック・ライセンス</a>のもとで公表されたウィキペディアの項目<a href=”https://en.wikipedia.org/wiki/Interborough_Express“>「Interborough Express」</a>を素材として二次利用しています。
MTA様 ホームページ
ニューヨーク市地下鉄の地図等の参考にさせていただきました。
この記事を書いた人

-
鉄オタ歴約10年のあさまです!
「短く簡単に」をコンセプトに、 Youtubeでは鉄道に関する動画を投稿しています。
あさま、とは言っていますが基本的に取り扱う話題とかは日本全国やっていけたらと思っています。よろしくお願いします!
最近の投稿
- 2025年5月9日海外ニューヨーク市地下鉄徹底解説 第八部 計画中/建設中/廃止済の系統
- 2025年4月3日JR東海【開業五周年】JR東海御厨駅に行ってきた!
- 2025年3月17日海外ニューヨーク市地下鉄徹底解説 第七部 シャトル
- 2025年2月24日海外ニューヨーク市地下鉄徹底解説 第六部 N/Q/R/W系統
コメント ご意見やご感想等お気軽にどうぞ。