
どうも、公団鉄道だいすき中沢です。
京成グループに属し、京成線を介して都営線や京急線などと直通を行う「北総鉄道」そしてそれにくっついている、かつて住都公団(現・UR)が運営していた鉄道事業の受け皿「千葉ニュータウン鉄道」…それらの車両たちを形式別にわかりやすく紹介していく「北総公団車両図鑑」。
前回は「住宅・都市整備公団9100形」についてお送りしました。
前回で現役車両は紹介しきってしまったので、今回からは過去に運行されていた車両を紹介していきます。
それでは、第6回は「住宅・都市整備公団9000形(2000形)」についてお送りします…
9000形の特徴
前面

9000形は、住宅・都市整備公団鉄道 千葉ニュータウン線(現・千葉ニュータウン鉄道区間)の小室〜千葉ニュータウン中央間開業に伴い2000形として登場しました。
真ん中には貫通扉。住宅・都市整備公団時代はここに公団マークをつけていました。その上に方向幕(物理)がついていて、種別と行先を表示します。左右の窓の上部には大きなライト(前照灯)がついており、下には小さな急行灯と尾灯がついています。また、我々から見て左側の窓には運行番号(運番)表示機がついています。運番の最後のアルファベットはどの会社の運用かを表し、Nの場合は北総・千葉ニュータウン鉄道の運用という意味になります。ところでこの運番表示機の左側にある謎のコマは一体…?
側面

面白い塗り分けをしていますね。この3色には、それぞれこのような意味合いがあるそうです。
赤・緑→ニュータウンの若々しさをイメージさせる色
グレー→落ち着いた住環境をイメージさせる色
住宅を整備する公団だからこそのカラーチョイス、まさに“公団節”がきいていますね。ちなみにこの色合いから「トマトサラダ」なんて呼ばれたりもしていたようです。確かにおいしそうな色をしていますね。

また、3分割された側面窓も特徴的。真ん中だけ幅が小さくなっています。ちなみに、この幅の小さい窓のみ固定式である(窓が開けられない)ほかカーテンも設置されていません。これは「カーテンを全て下ろした際に車内から駅名標が見えなくなるのを避けるため」だそう。車内案内表示装置がない時代だからこその工夫ですね!
機器類
筆者が機器に詳しくないためあまり分かりませんが、整備上の都合で北総7000形とほぼ同じものが使用されていると思われます。(というか、どうやらそのようです)
車内

車内は全車ロングシート…なのですが、ここにも工夫が!

なんと、座席がオレンジ色と赤色の組み合わせとなっています!これはオレンジ色が2人分、赤色が4人分の座席となっており、座席定員の明確化を目的としているみたいなんです…!これは北総7000形にはなかったデザインで、やはり“公団節”がきいていますね!
元の名前は「2000形」どうして改番?
さて、ここで冒頭の文章を思い出してみましょう。
9000形は、住宅・都市整備公団鉄道 千葉ニュータウン線(現・千葉ニュータウン鉄道区間)の小室〜千葉ニュータウン中央間開業に伴い2000形として登場しました。
「2000形として登場しました」
そうなんです。9000形は、元々「2000形」として登場していたんです!ああ、京急じゃないですよ!住宅・都市整備公団ですよ!
…では、何故2000形から9000形へ改番したのでしょうか?
そもそも何故2000形だったの?
そもそもこの「2000」というチョイスは、直通予定のあった北総、新京成、京成、都営と被らないように選定されていました。また、「2000年に向かって伸びゆくニュータウンの将来を象徴するように」という意味合いもあったらしく、やはりニュータウン造成組織だからこその観点が入っていますね。…あれ?
この付番、京急を考慮してないな?
そもそも京急の意向に適合していなかった
というか、この車両はそもそも先頭車が付随車となっており、京急の意向である「先頭車は電動車でなければならない」というルールに適合していません。恐らく京急に乗り入れることをそもそも想定していなかったのでしょう…
なんなら「1号線直通規格」という、都営浅草線に直通するためのルールにも適合していません。この1号線直通規格では社局ごとに使える車番が決められており、2000番台は京急に割り当てられているからです。
そのため、公団2000形は9000形へと車番を変更したのです。
運番表示機の左コマ、何?
そういえば9000形の運番表示機には一番左に他より大きい謎のコマがありますね。これはなんでしょうか?
驚かれるかもしれませんが…なんと、これは種別幕なんです……

どうやら登場したばかりの頃は種別幕自体がなかったようで…京成・都営・京急への直通に伴い種別と運番を同じ表示機で出すようになったみたいです。なんでだよ。
なお、このタイプの種別幕は僅か2年で使われなくなったとのこと。理由は貫通扉上部の行先幕に種別を併記する方式にしたからだそうで…最初からそうした方がよかったのでは()
どこで見ることができるの?

9000形はもう全車両が廃車されており、保存などもされていないため実車を見ることはできません。
ですが、模型が売っています!!

こちらは9000形の引退時にトミーテックから出た「鉄道コレクション(鉄コレ)」の事業者限定品。実際に1/150スケールの線路で走らせたりするのにはそれ用の動力などが別途必要ですが、鑑賞用にするなら何も手を加えなくてもOK!住宅・都市整備公団鉄道が好きな方や9000形が好きな方はぜひ、お近くの模型店やネットショップなどで探してみてください!
結論
1984年から2017年まで、33年もの間活躍した9000形。もしかしたら知らなかった方も少なくないのではないでしょうか?
この記事が、9000形を知るための1つのキッカケになれたら…そう思い、この記事を執筆させて頂きました。よければ、頭の片隅にでも「こんな車両が北総線にいた」ということを置いといて頂けたら、公団オタクとしてとても嬉しいです!
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