【小田急】Re:10両になった6両・8両たち

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はしがき

どうも皆さんこんにちは。好きな四字熟語は「燈籠光柱」と「廃材芸術スクラップアート」、まもうなです。
さて皆さん、こちらの車両はご存じでしょうか?

言わずもがな、小田急3000形です。
2600形、旧4000形、旧5000形、9000形の置き換えを目的に、2001年から製造が開始された同形式、現在では10両編成が12編成、8両編成が8編成、6両編成が27編成、計47編成346両が在籍する小田急で最多の製造両数を誇る車両です。
製造時期の違いによる細かな仕様差や、近年ではリニューアル編成が登場するなど、バリエーションに富んでいるこの形式ですが、実は「純粋な生え抜きの10両編成がいない」ということはご存じでしょうか?
今回は、そのお話です。

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おことわり

本記事は、「沿線ちゃっと」にて2024年2月に公開した記事に加筆修正を加え、再執筆したものです。予めご了承ください。
なお、小田急の編成表記は「新宿側先頭車x両数」(例:3251×6編成)と表すのが正しい表記法ですが、本記事では便宜上「新宿側先頭車+F」(例:3251F)と表記するものとします。

3000形の10両編成のおはなし

3000形の10両編成は、3091F~3094F、3081F~3087Fの2種類に大きく分けることができますが、その大きな差は組み込まれた時期にあります。
3090番台は2010年から2011年にかけて、3080番台は2017年から2020年にかけて組み込みが行われ、10両編成として営業運転に就いています。
そのほかの差にも大雑把に触れておき、この後の項で詳しく話していこうと思います。

3090番台3080番台
組み込み種車6両編成8両編成
帯色ロイヤルブルーインペリアルブルー
種車と新車の経年差浅い編成によりばらつき
種車7次車・8次車5次車・6次車・7次車
車外LEDフルカラー式LED表示機(全車)フルカラー式LED表示機
(増結車・3081F・3082Fの全車)
3色LED表示機
(3083F以降の従来車)
車内LCD15インチ液晶パネルx1
(アス比3:4、ノングレア)
三菱前期ROM
17インチ液晶パネルx2
(アス比16:9、グレア)
三菱後期ROM「セサミクロ」
小田急TV(広告配信システム)
その他3081F、3082F、3083Fは全密閉式主電動機に交換

なお、3000形の全先頭車は1度改番が行われているため、顔の車番をよく見ると改番跡を見ることができます。

光線状態によっては車番の部分のみが目立つ。

従来車と増結車の違い:3090番台編

3090番台の従来車と増結車の違いは、次の1点が大きく見られます。
床下機器に関しては詳しくないため、割愛させていただきます。

なお、これは3080番台でも見ることのできる仕様差で、従来車は赤いカバーを通して赤く発光するのに対し、増結車は直接発光します。
3090番台においては外装で判別する唯一の手段となります。

Case①:8次車に9次車4両を組み込み

まず始めに紹介するのは、「8次車の6両編成」に「9次車の4両」を組み込んだ10両編成です。
3091F、3092F、3093Fが該当します。
3090番台は、分割併合運用の大幅削減、廃止により、4+6連で運用する必要性が薄れたため、旧型車両の4両編成を置き換えるために10連化した経緯があります。また、3090番台の種車は急行用に転用されることを見越して製造されたとされています。

3091F

画像が見苦しくて申し訳ありません…

2006年に落成された3280Fに中間車【3191-3291-3241-3341】を組み込み、10両化されています。

3092F

2007年に落成された3281Fに中間車【3192-3292-3242-3342】を組み込み、10両化されています。

3093F

2007年に落成された3282Fに中間車【3193-3293-3243-3343】を組み込み、10両化されています。
ここまでは、種車の製造順に沿って増結が行われています。

Case②:7次車に9次車4両を組み込み

次に紹介するのは、「7次車の6両編成」に「9次車の4両」を組み込んだ10両編成です。
3094F、3095Fが該当します。
なお、組み込みの経緯や仕様差に関しては【Case①】と同様のため、割愛させていただきます。

3094F

2006年に落成された3278Fに中間車【3194-3294-3244-3344】を組み込み、10両化されています。

3095F

2006年に落成された3279Fに中間車【3195-3295-3245-3345】を組み込み、10両化されています。

ここまでは、グループごとの製造順に沿って組み込みが行われています。
3090番台の5編成で分割併合用の4両をだいたい消し飛ばしたところで、3000形の増備はいったん終わり、4000形の増備へと移行します。(4061F~4065Fの増備がこの増結時期と被る)

地下鉄直通運用に入る4000形

休憩:複々線完成のおはなし

小田急の30年にもわたる悲願であった複々線。
話は千代田線開業時までさかのぼります。喜多見に接続する答申が出された東京9号線(現在の千代田線)ですが、小田急線との接続を巡り紆余曲折を重ねます。そうしたのち、千代田線は代々木上原に接続、開業し小田急線の代々木上原~東北沢間も併せ、初めて複々線となります。 
そして穴埋めといっては何ですが、小田急線の喜多見まで複々線とする方針となったのです。これが現在の複々線の始まりです。
なお、その後、国は新百合ヶ丘まで複々線化すべきと方針転換をし、小田急も複々線効果を発揮するためには向ヶ丘遊園までの複々線が必要であると考えており、現在では代々木上原~登戸が複々線、登戸~向ヶ丘遊園が【上り2線、下り1線】となっています。
この、2017年末に完成した複々線と都心部の全駅10両対応が、次の増結へとつながってきます。

複々線化工事中の世田谷代田駅急行線仮設ホーム。(提供:こつあず鉄道ちゃんねる)
現在では急行線の駅設備は撤去されているものの、ホームと柵の遺構を見ることができる。

従来車と増結車の違い:3080番台編

3080番台の従来車と増結車の違いは、以下の3点が大きく見られます。
床下機器に関しては詳しくないため、割愛させていただきます。

側灯

なお、これは3090番台でも見ることのできる仕様差で、従来車は赤いカバーを通して赤く発光するのに対し、増結車は直接発光します。

内装

次に、座席。従来の車に比べ、座面のクッション性がアップしているほか、握り棒の形が変更となり、艶消し加工がされるようになりました。
この形、どこかで見たことあるような気がするんですよね…。3080番台の増結車は2017年~2019年に増結…。2019年…なんかこんな内装が目に浮かびますね

そうです。5000形です。つり革の形状こそ違いますが、同時期に製造されている5000形に影響を受けた握り棒となっています。(5051Fは2019年11月落成。)

はろもこ!

3083F~3085Fの従来車は3色LED、3081Fと3082Fの従来車は「劣化した」フルカラーLEDを搭載していますが、増結車は新品のフルカラーを採用しているため、差が激しくなっています。

なお、ここで取り上げていないものとして、客室窓の処理が異なるなどがあります。

Case③:7次車に10次車2両を組み込み

次に紹介するのは、「7次車の8両編成」に「10次車の2両」を組み込んだ10両編成です。
3081F、3082F、3083Fが該当します。
複々線化の完了に伴い10両編成の必要性が増えたこと、また都心部での全駅10両編成対応化が完了したことにより、各駅停車を10両編成で運転できることとなり、増結が行われました。

3081F

2006年に落成された3665Fに中間車【3381-3431】を組み込み、10両化されています。
3281から3481までは、3092Fに組み込まれた車両の元の車番と重複しています。

3082F

2006年に落成された3664Fに中間車【3382-3432】を組み込み、10両化されています。
3282から3482までは、3093Fに組み込まれた車両の元の車番と重複しています。

3083F

2005年に落成された3663Fに中間車【3383-3433】を組み込み、10両化されています。
1061Fが廃車となったことで、4号車の3333号は小田急で唯一のゾロ目車番となっています。

Case④:6次車に10次車2両を組み込み

次に紹介するのは、「7次車の8両編成」に「10次車の2両」を組み込んだ10両編成です。
3084F、3085F、3086Fが該当します。
組み込みの経緯はCase③と同様です。

3084F

2005年に落成された3662Fに中間車【3384-3434】を組み込み、10両化されています。

3085F

2005年に落成された3661Fに中間車【3385-3435】を組み込み、10両化されています。

3086F

2005年に落成された3660Fに中間車【3386-3436】を組み込み、10両化されています。

Case⑤:5次車に10次車2両を組み込み

最後に紹介するのは、「5次車の8両編成」に「10次車の2両」を組み込んだ10両編成です。
3087Fが該当します。
組み込みの経緯はCase③と同様です。

3087F

2005年に落成された3659Fに中間車【3387-3437】を組み込み、10両化されています。

組み込みにはどのような規則性があるのか?

3090番台

3090番台では、「次車区分」を見れば製造順に組み込まれているものの、実際の竣工順では順序が入り乱れており、製造区分を意識した組み込みがされたものと考えられます。

3080番台

3080番台では、製造順と逆順に組み込みが行われており、3081Fなどの番号が若い編成において経年差をできる限り減らす意図が考えられます。

なお、3088F以降(3658F以前の編成)にも組み込みを行う予定だったようですが、コロナで中断になったようです。(情報提供いただいた方ありがとうございます。)

あとがき

本記事では、沼でしかない小田急3000形の組み換えについて扱いました。書いた当の本人でも完全には把握できていない部分もあり、誤り等ございましたらコメント欄までお願いいたします。

【次回予告】
こいつ、塗り替えたいです。
それではまた。まもうなでした、。

この記事を書いた人

まもうな
まもうないのり町民
燈籠光厨

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記事
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コメント  ご意見やご感想等お気軽にどうぞ。

  1. 坂口平作 より:

    2017年度の計画で、3000形8両15本を順次10両化する事になっています。
    計画途中に、コロナが流行して、事業は中断していますが、今後、計画は
    再開すると思います。 (小田急OB)

  2. ひろげん より:

    可能な車両さえ良くあるよ。

  3. 浅原純 より:

    千代田線は東京8号線ではなく、9号線です。
    8号線は、有楽町線になります。

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