近年、電車の乗り方に新たな「革命」が起こっていることは知っていますか?
今回の記事では12/4よりクレジットカード決済での乗車に対応した横浜市営地下鉄についてのレポートと、その他対応済の鉄道会社とこれから対応する鉄道会社についてまとめてみました。
※この記事の情報は12/8時点のものです。
横浜市営地下鉄 計画の概要
まずは最近導入された横浜市営地下鉄から見ていきます。
計画の概要からです。
この計画では、各駅の改札口1台にクレジットカードに対応した専用リーダーを設置し、クレジットカードのタッチ決済によって改札口を通過できるようになります。なお、タッチ非対応のスライド型や差し込み型のクレジットカードは使用できないため注意が必要です。
専用リーダーが設置されるのは車椅子や大きな荷物でも通りやすいよう幅を広くした改札口。こちらの改札口はゲートの扉が広いため、格納スペースの上部にスペースがあります。その部分を活用する形ですね。
設置されるのは横浜市営地下鉄ブルーラインとグリーンラインの全40駅。これによって横浜市営地下鉄をクレジットカードを使ってどこでも行けるようになります。
対応しているのはVisa・JCB・American Express・Diners Club・Discover・銀聯(UnionPay)で、MasterCardは今後対応する予定だそうです。
なお、実証実験という形のため、2027年度末までとなっています。
開始前の様子
まずは開始前の様子を見に行ってみました。
こちらはブルーラインの下飯田駅、日付は11月28日。現在黒いテープで隠されていますが、切符投入口の手前の部分にタッチするようです。
ちょうどゲートの格納部分の上に収まっていて、通路側に傾けられているおかげでタッチもしやすくなっています。
開始後の様子
それでは開始後の様子を見に行ってみましょう。
こちらが改札機の様子。QRコードリーダーは搭載しないシンプルなもので、小型で段差もないのでタッチしやすくなっています。先述の通り、車椅子やベビーカーでも通過しやすい幅広タイプの改札機の上部に設置されています。
実際に乗ってみた
では、早速乗ってみたいと思います。今回使用したのはゆうちょデビットで、デビットカードですがクレジットカードと同じようにタッチ決済が可能です。
タッチしてみると、一瞬タイムラグがありながら通過できました。決済音は少し違う感じで、よくあるフリー素材の効果音が結構な音量で流れました。周りにクレカ使ってることバレバレですね。
タイムラグについてですが、だいたい1秒くらいです。Suicaよりは確実に遅いので、朝ラッシュに使うと周りに迷惑をかけてしまうかも。空いている時間に使うのが良さそうです。
出場時も同じようにタッチしてしっかりと運賃を支払うことができました。ちなみに、1日後に引き落としされました。
乗車後の感想ですが、かなり便利です。毎回券売機に行ってチャージする手間も、残高不足で弾かれることもないので気持ちも時間も余裕ができます。ただ先述の通りタイムラグはあるので、列車が来たばかりや、乗り換えの人たちと一緒のときなど人の多いときは避けたほうが良さそうです。
気になる運賃ですが、交通系ICカードと同じ運賃が適用されます。割高にならないのはありがたいですね!
他社の対応状況は?
まずはかなり先行して開始していた関西圏の様子について見てみましょう。
南海電鉄ではかなり早期から開始しており、こちらは専用の改札機か、普通の改札機の手前にある簡易改札機のようなものなどの4種類のリーダーにタッチする方式。2021年の時点で開始しておりかなり時代の先を行っています。
ただ、対応駅は全駅ではない様子。詳しくは下記のURLを確認してみてください。https://www.nankai.co.jp/contents/contactless/map/
公営交通での採用も進んでいます。神戸市営地下鉄ではすべての駅で使用可能になっているようです。
南海電鉄以外にも関西圏では設置がかなり進んでおり、大手私鉄はほとんど対応している上ポートライナーや大阪メトロなども対応済。大阪万博による影響なのでしょうか。
特に近畿日本鉄道はあの規模で全駅対応しており、本気度が伺えます。
次に関東圏の様子について見ていきます。
こちらは対応している鉄道会社は少なく、東急電鉄(世田谷線除く)と京王電鉄、江ノ島電鉄など。もう少し速いペースで進んでほしいものですが、難しいんでしょうか…
画像を見ておわかりかと思いますが、一部ではQRコードの読み取りにも対応しており、例えば京王電鉄では一部のフリーきっぷを事前にスマホで購入してQRコードをここにかざすと通過できるそうです。QRコード決済には対応していません。
中国の上海の地下鉄でもAliPayやWechatPayが駅の自動改札で使えるようなので、こちらもPayPayなどに対応してくれると助かるのですが…
さて、関西と関東をサラッと見ていきましたが、他にも対応している会社・対応予定の会社は数多くあります。表にまとめてみました。
東北 | 関東 | 中部 | 関西 | 九州 |
福島交通 | 京王電鉄 東急電鉄 江ノ島電鉄 横浜市営地下鉄 西武鉄道 | 長良川鉄道 名古屋鉄道 遠州鉄道 | 京都丹後鉄道 大阪モノレール 泉北高速鉄道 南海電気鉄道 神戸市営地下鉄 ポートライナー 神戸電鉄 近畿日本鉄道 大阪メトロ 阪急電車 阪神電車 | JR九州 西日本鉄道 福岡市営地下鉄 熊本市交通局 鹿児島市交通局 |
こうしてみるとかなり進んでいることがわかります。また、地方私鉄では車両側にリーダーを設置する関係から導入が簡単で、大手私鉄よりも進んでいる印象があります。
新しい電車の乗り方について
鉄道は初期から昭和末期の時代までずっと紙の切符が使用されてきました。途中自動改札機の導入によって係員が改札で切符を切る光景はなくなりましたが、切符自体に変化はありませんでした。
変化が起こったのは1988年で、名古屋市交通局が改札機に投入して運賃の支払いができる「回数券カード」を発売、その後「ラガールカード」「ルトランカード」そして「パスネット」の導入によってプリペイド型の磁気乗車券の時代が始まりました。
が、これはあまり長く続かず1998年に広島県のスカイレールサービスで導入された「スカイレールICカード」が日本で始めての鉄道で使用できるICカード式乗車券となったのを皮切りに、Suica、PASMOなどが登場しICカード乗車券の時代が始まりました。ちなみにモバイルSuicaのサービス開始はなんと2006年ですが、初めてモバイルSuicaが使えるiPhoneが発売されたのは2016年のiPhone7なことからも分かる通り、実際に使われ始めるのは相当後になります。
そして、これから始まりそうなのがクレジットカードを使用した乗り方。今はまだ使える範囲も限られていますが、これから主流になっていくのではないかと思います。決済方法がどんどん統一されていくのは便利で嬉しいことですからね。また、クレジットカードは世界共通なので、海外からのインバウンド需要にも応えることができます。
一方問題点もあります。
センターとの通信に時間がかかる関係から、普通の交通系ICカードより時間がかかってしまい、改札をつまらせてしまう問題があります。すでに横浜市営地下鉄では敬老パスの導入により有人改札に大渋滞ができることがあり、改札渋滞の問題はなるべく避けたいところ。
また未成年はクレジットカードは作成できず、デビットカードやプリペイドカードにも年齢制限があります。これらの理由により、完全に交通系ICカードを置き換えることにはならないと予想します。
さいごに
ここまで読んでくださりありがとうございました。私自身試してみてかなり便利だったので、これからも利用していくつもりです。使いすぎが怖いので注意しないといけないですね…
現在はまだ使える事業者が少ないので、もっと増えていくと良いですね!
また、バスでも使えるところがかなり増えているようです。鉄道だけではない新しい乗り方に、注目ですね。
参考にしたサイト
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