
こんにちは、杉山英澪です。
さて、名鉄はとにかく「カオス」を極めた鉄道です。名鉄名古屋駅の列車の捌き方、豊橋付近でのJR飯田線との線路の共有、孤立した路線・瀬戸線、何度も行われる種別変更など、挙げればきりがないほどです。そんなカオス私鉄・名鉄の中でも、今回は知多の方に目を向けてみたいと思います。

ここは、あの細井平洲先生が生まれた街、東海市。ケチャップで有名なカゴメが生まれたのも東海市、フキの出荷の日本一も東海市。何だかんだで凄い街です。今回ご紹介するのは、そんな東海市の中心となる……

太田川駅です。
では、この駅のどこがカオスかを見ていこうと思います。
その①:2層構造のホーム
太田川は、常滑線と河和線の分岐する、交通の要衝。しかも、常滑線も河和線も、平日日中には時間8本の列車が運行されます。つまり、平日日中でさえも(片道)毎時16本の列車が発着するということになります。平日日中の名古屋市営地下鉄の名城線(の一部区間)よりも多く、かなり異常です。
ただ、平面交差の場合、遅延が発生した際に両路線に影響を及ぼすおそれもあります。そこで、名鉄は少々イカれたことを行いました。それが、ホームの2層構造化です。名鉄では初めて、そして2025年現在では唯一の例となっています(将来的には知立駅もこうなります)。他の大手私鉄に目を向けてみても、2025年現在では、このような構造の駅は京急蒲田駅・京成青砥駅・近鉄布施駅ぐらいであると思います。

ご覧のように、太田川駅から北に500メートル程度離れたところから線路が分岐しています。では、次に各階のホームとその発着列車についてまとめます。
2階ホーム | 1・2・3・4番線 | 1番線:常滑線 常滑方面 2番線:河和線 河和方面 3番線:常滑線 金山方面 4番線:常滑線 金山方面 |
3階ホーム | 5・6番線 | 河和線 金山方面の直通列車 |
このような感じになっています。河和線の知多半田・河和方面から来た列車と、常滑線の常滑・中部国際空港方面から来た列車が交差することはなく、円滑な列車運行が可能となっています。高架化前は、それらの列車が交差していたため、片方の列車が遅延したら、もう一方の列車も待たねばならないという状況が起こっていた、ということになります。
その②:地名と駅名との差異
太田川で降りて、少しブラブラし、北の方へ向かうと、ある川を渡ることになります。では、その川の名前は……

そうです。大田川です。太田川ではないのです。それに、駅の所在地も、「愛知県東海市大田」です。「太田川」や「太田」という地名は、実は東海市には存在していないのです。ゆえに、「太田川」は一種の広域地名となっているのです。面白いことに、駅の至近にあるコンビニエンスストアたちでも表記揺れがあり、商業施設「ラスパ太田川」の斜め左側にあるファミリーマートは「東海太田川」店、日本福祉大学の向かいにあるローソンは「東海大田」店となっています。

なお、開業時は実際に「大田川」駅でしたが、1930年頃に「太田川」駅に改称されています。
まとめ
如何でしたか。名鉄のカオスさで言うと、どうしても名古屋駅が注目されがちです。実際、それほどまでにカオスであり、面白いので、なかなか文句は言えませんが……。しかも、中部地方の空の玄関口・中部国際空港からの特急列車「ミュースカイ」も、大半はこの駅を通過してしまいます。そんなあまり目立たないような駅にこそ、名鉄の真のカオスさが見られるのです。愛知に来たら、是非訪れてみてください。あ、東海市の観光物産プラザもおすすめですよ。
最後に……
この記事の投稿日である8月3日は、東海市の誇る細井平洲先生、そして東海しゅうちゃんの誕生日です!大変おめでたいですね。私もそれを記念して、太田川の或る書店にてグッズを購入しました。

とても可愛い。尊いですね。それではこの辺で失礼致します。
出典
- 国土地理院発行『地理院地図』(https://maps.gsi.go.jp)
- 国立国会図書館デジタルコレクション『官報 1912年02月27日』(https://dl.ndl.go.jp)
- 宮崎県『ひなたGIS』(https://hgis.pref.miyazaki.lg.jp/hinata/)
- 名古屋鉄道 公式ホームページ

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