
どうも。スギ花粉です。今回から千葉県内の鉄道路線についての解説記事を、たまーに出していければと考えていますのでよろしくお願いします。記念すべき初回は東金線です。さっそく本編へ入っていきましょう!
路線概要
東金線は、千葉県大網白里市にある大網駅から、東金市を経由して同県山武(さんむ)市の成東駅を結ぶ13.8kmの路線です。電化こそされているものの、全線単線で各駅停車のみの運転、運転本数も最大で時間3本とローカル色の濃い路線で、最高速度は85km/hです。大網駅では外房線と、成東駅では総武本線とそれぞれ接続しており、房総半島を一周しようと目論む大回り勢の皆様には馴染みの深い路線でもあるのではないでしょうか。というかこの路線がなければ半島大回りは成立しません。
また、この路線がなければ大網〜成東間を鉄道で移動する場合は千葉を経由する必要が出てきてしまうため、かなり重要な短絡線と見ることもできるでしょう。
使用車両は2種類で、主に使用されるのは209系2100番代の6両編成。同形式の4両編成の定期運用はなく、早朝夜間に運転される4両編成の列車には、E233系5000番代の4両編成が充当されています。
※踏切事故による車両不足の影響で、6両編成のE233系も使用中です。朝方の一部列車で209系の運用を代走しています。
実はすでにおもしろポイントがありまして、「幕張の209系6両編成が定期運用を持っていてかつ4両編成が定期運用を持たない」というのは実はこの路線だけです。
上り:5684Y、666M、670M、676M、回送1本
下り:623M、5983Y、669M、673M、679M


歴史
東金線は、1900年に房総鉄道が大網駅から東金駅まで敷設した路線を、1907年に鉄道省が買い取り、その4年後の1911年に総武本線と接続する成東駅までの全線が開業しました。今年で部分開通から125周年、全通から114年と、思いの外歴史が長い路線です。その後、1935年にガソリンカーが運転開始、気動車を経て1973年に全線が電化されました。JR化後の1990年には京葉線との直通列車が運転開始され、1999年には貨物列車の運行が終了します。なお、この頃には東金線内での貨物取扱はなく、外房線の新茂原貨物駅を発着する列車が大網〜土気間の勾配を回避するために経由していたのみでした。2001年にSuicaの利用が開始されると同時に、東京近郊区間へ組み込まれました。その後は113系や211系の撤退&209系2100番代の投入を経て現在にいたります。
運行形態
運行形態は時間帯によって大きく変わります。朝夕の時間帯は一部の例外を除いて線内完結運転となり、外房線への直通は行われません。運転間隔は30分程度ですが、まあまあな例外が存在します。一方、日中時間帯はほとんどの列車が外房線に直通します。

上り列車では、成東発8:04の1630Mから、13:49発の1646Mまで全てが外房線の千葉駅まで直通します。運転間隔は30分〜1時間程度です。日中パターンダイヤの終了が他路線に比べて早めなのは、沿線に高校が多く存在(詳細後述)し、社会人メインの帰宅ラッシュよりも早い時間に線内での輸送力を確保する必要があるからなのではないかと考えられます。
そして、この路線には特に注目すべき列車があります。それは、京葉線との直通列車です。E233系5000番代が充当される5684Y(成東06:51発)と5983Y(大網19:47発)がそれにあたり、現在は各駅停車として運転されています。この2列車は、外房線の誉田駅で外房線の上総一ノ宮駅発着の6両編成と併結・分割し、東京駅発着で運転されています。2023年のダイヤ改正までは通勤快速として運転され、外房線方面の列車は勝浦まで直通していました。「なるかつ」の愛称で一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?ちなみにこの列車、誉田駅で分割併合を実施していることから、「合理化のために近く廃止では?」という声が多く聞かれますが、今のところは走っています。


各駅紹介
ここからは、13.8kmの間に設置された各駅を見ていきます。
大網駅
まずは起点の大網駅です。所在地は千葉県大網白里市南玉で、外房線の所属駅です。東金線のホームは3・4番線で、外房線の1・2番線ホームとはやや離れた位置にあります。3・4番線と2番線の間にはスロープがあり、階段を経由せずに乗り換えをすることができます。
駅前ロータリーは若干特殊な構造をしており、バスに乗車する際には歩道から直接乗車することはできず、ロータリーのど真ん中から乗車する必要があります。乗り入れている会社は小湊鉄道と京成バス千葉イーストで、各方面へのバスが発着しています。

駅周辺にはマンションが立つほか、アミリィというショッピングモールがあります。また、県立大網高校は当駅が最寄りです。
ちなみに現在の駅位置は2代目で、元々は500mほど成東駅寄りの位置(現在の大網保線技術センターの付近)にあり、房総東線(当時)の列車は全て当駅でスイッチバックしていました。駅移転後も旧駅から外房線へと繋がる線路は残されており、JR化後もしばらくは貨物列車の運行に使われていました。
福俵駅
次は福俵駅です。東金市に所在するこの駅は若干面白い経歴を持っています。まず、1938年に開業しますが、たった3年後の1941年に休止します。そんな休止状態が13年も続きましたが、1954年に再度営業を開始するという経歴を持っています。誕生時からあまり大きな駅ではなく、旅客のみの営業で現在も棒線駅です。路線バスの発着もなく、2006年のデータでは1日あたりの乗車客数は578人と、東金線内で最小です。完全な無人駅のため、それ以降のデータはありません。そして、東金線で唯一この駅が最寄りとなる高校・大学がありません。
東金駅
次は東金駅です。この駅も東金市内に位置し、市役所までも徒歩数分と、中心部に位置しています。サンピアという商業施設もすぐそばにあるほか、10分ほど歩いたところにある八鶴湖は春になると桜が美しく咲きます。

乗車客数が3908人/日と多いことから、業務委託駅ではあるものの終日駅員が配置されており、指定席券売機も設置されており、自動改札機も設置されています。駅そのものは2面2線で、方面によるホーム分けは特にされていません。また、夜間に2本だけ大網方面からの当駅止まりの列車が設定されており、うち一本は当駅で折り返して千葉行きとなり、最終列車となるもう1本は回送で大網駅へ戻ります。
この駅で特筆すべきことは東口の建設です。地元の東金市が費用を負担する形で建設が進められており、現在は改札を出てから跨線橋を渡って東口に回る必要のあったサンピア側への移動が非常に楽になる見込みで、利用者として非常に楽しみです。
そして、この駅の周辺には高校が多数あり、徒歩圏内には東金高校があるほか、東金商業高校と千葉学芸高校には直行バスが出ています。また、かなり距離がありますが九十九里高校も当駅が最寄りとなります。
また、この駅からは過去には九十九里鉄道という私鉄が発着していました。ガソリンカーを用いて、現在は鉄道空白地地帯となってしまった九十九里町の上総片貝駅までの鉄道路線を運行していましたが、モータリゼーションなどによる客離れのため、1961年には廃線となり、現在はバス事業者としてその名を残しています。

求名駅
次に求名駅です。島式1面2線の構造で、1番線が成東方面、2番線が大網方面の発着ホームです。この駅も少し面白い経歴を持っている駅で、一度無人化されたものの、再度有人化されたという歴史を持っています。なぜかといえば、駅前に大学のキャンパスができたことによって利用者数が増加したからです。大学開校前と比較して、最大では4倍以上の乗降があった時期もありました。2023年まではPOS端末も設置されており、長距離を含む乗車券や、自由席特急券を発売していました。現在は駅員は改札のみを行う駅で、きっぷは近距離券売機で買えるもののみ買うことができます。
成東駅
終点であり、総武本線との接続駅である成東駅です。この駅では、東金線は主に0番線の発着です。なお朝方に2本だけ3番線から発車する列車があります。直営駅で駅設備は整っており、みどりの窓口が今でも設置されているほか、駅舎内には冷暖房完備の待合室やNewDaysも設置されています。駅前はあまり栄えてはいない印象ですが、かなり大きな駐輪場があります。利用者数は2541人/日と、東金駅よりは少ないです。

当駅からもバスが発着しており、コミュニティバスのほかに八街駅行きと九十九里方面、そして千葉駅行きの長距離路線バスも設定されています。また、駅から少々離れたところにある京成バス千葉イースト成東営業所からは千葉駅行き・東京駅行きの高速バスが発着しており、JRと競合関係にあります。

ちなみにですが、千葉〜成東間の所要時間は東金線回りと総武本線回りでほぼ同じとなっています。ただし、両経由とも単線区間での待ち合わせが発生して多少の差が生まれるため、少しでも早く到着したい時などは乗り換え案内で検索してから乗車するのよいでしょう。
東金線の未来を考える
さて、ここからは考察パートです。将来この路線がどんな未来を辿るのか考えてみたいと思います。
まず真っ先に思い浮かぶのが新型車両への置き換えです。209系も登場から33年と、老朽化が進んできています。そろそろ新型車両への置き換えが行われる事は容易に想像できます。
では、その新型車両とは何か。労組資料などから千葉地区へのE233系・E131系の投入が明らかになっています。E233系は現在も東金線で使用されていますが、さいたま・豊田の各車両センターからの転入が予定されているということで、今以上に使用する列車が増えるかもしれません。また、E131系が投入された場合はワンマン化されることが予想されます。E131系は中編成ワンマンに対応しており、導入された全ての路線がワンマン化されています。また、0代、600代の導入されたエリア同様に減車の可能性もありますが、前述したように沿線に学校が多数あることに加え、通勤利用もある程度あることから朝夕の時間帯はそこそこの需要があり、4両編成では対応しきれない可能性があります。そのため、6両運転は継続されると考えられます。6両でのワンマン運転に関しては、宇都宮地区で6両編成でのワンマンが行われているため、減車がなくてもワンマン化することは可能でしょう。
ちなみに千葉支社は5両編成を導入して痛い目を見た(?)過去があるため、5両編成の導入はないと思われます。
E233系を中心に投入された場合は、ワンマン化はされないと思われます。理由は単純で、労組資料で判明している改造メニューに、ワンマン化改造が入っていなかったからです。
そして、運行形態の項でも挙げた京葉線への直通列車ですが、こちらは京葉線、房総地区のどちらかで車両の置き換えが発生するまではこのままなのではないかと考えています。逆に言えば、新車が入ると同時に大きく変わる可能性はあります。
このように考える理由として、現行の輸送形態がそこまで非効率とは考えられないからです。まず、誉田駅での連結作業では、車掌の誘導によって連結が行われており、駅員の用意が必要ありません。そして、基本編成、付属編成ともに間合い運用が適切に設定されており、車両運用も効率的に行われているからです。もしこの間合い運用を丸ごと消した場合、調整が行われなければ東金線の成東行きの下り終電が1時間早まってしまい、かなり利便性が低下してしまいます。
兎にも角にも、新型車の導入は決定したも同然の状況ですから、今と同じ状態がそう長く続くことはなさそうです。
終わりに
今回の記事はいかがだったでしょうか?近い将来、車両面での激変がほぼ確実となっている東金線。ひょっとすると運行形態も大きく変わる可能性があるため、今の姿のままである時間はそう長くないでしょう。また、東金駅では駅設備の改良も行われており、負の話題が多い地方ローカル線にしては明るい話題をも見せています。一方で、沿線人口の減少に伴って利用者数が減少していることもまた事実です。これから先、どんな未来が待っているか気になる路線ですね。
それでは本日はこの辺で。ありがとうございました。

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