
こんにちは。こづるしんでんです。E8系が4編成も故障したっぽいと聞いて横転しています。
そんな中で、今回は一番影響が大きかった6/17のG11編成の車両故障と、その故障で東北新幹線がどのような影響を受けたか、どのように乗客の救済を行ったか、について見ていきたいと思います。
華やかだが慌ただしい朝
2025年6月17日。この日は鉄道ファンにとって、朝から「当たり日」でした。
仙台駅では、7時頃にE926形「East-i」による副本線検測、続いて8時頃にE8系のG11編成が大宮方面へ向けて試運転に出発。そして9時頃、なにかと話題の次世代新幹線のALFA-X(E956形)も大宮へ試運転に向かいました。
副本線検測とは、あまり使われない線路の状態を確認する作業で、そこまで頻度は多くありません。それにE8系やALFA-Xの試運転が加わり、仙台駅は朝からレア車両が次々と走り出していく、そんな華やかな光景でした。
しかし、華やかさの裏で、まさかあれほどの大規模な輸送障害が起こるとは、誰が予想したでしょうか。
E8系G11編成の車両トラブル

いつもの日常が流れていた午前11時24分ごろ、大宮方面からの試運転を終え、仙台へ戻る最中だったE8系G11編成が、宇都宮駅と那須塩原駅の間でモーターが加速しないトラブルを起こしてしまいました。
報道によれば、
JR東日本によりますと、トラブルが起きた列車は山形新幹線の新型車両で、回送列車として東京の上野駅を出発し、午前11時20分ごろに那須塩原駅の手前3キロほどのところで走行できなくなり停車しました。列車は7両編成で、運転士1人が乗務していて、乗客はいませんでした。
【NHK NEWS WEB 2025年6月17日付】
東北新幹線 東京~仙台で5時間余運転見合わせる | NHK【NHK】東北新幹線は、栃木県内で回送列車が走行できなくなった影響で、東京と仙台の間の上下線で17日昼前から5時間余りにわたって運…
とあります。
G11編成は、2025年春に製造されていました。ひとつ前のG10編成は、明らかに試運転の回数が多かった編成です。G11編成も同じように何回も試運転を行うのかな~と思っていた矢先にこんな出来事が起こってしまい……
今回のトラブルは、何回も行われた試運転の裏にあったのかもしれません。
乗客救済と列車振替、なすの274号

トラブル発生直後、すぐ後には「はやぶさ17号」(新函館北斗行き、E5系)が走っていました。この列車には多数の乗客が乗っていた上に前には故障したE8系、後ろには後続のやまびこ号がいて、前にも後ろにも動けない状態でした。
そこで、緊急措置として、乗客を対向列車の「なすの274号」に移動させるという異例の救済対応が行われました。
E2系が担った“英雄”の役割
この郡山発東京行きの「なすの274号」。実はE2系J70編成が使われていました。E2系はかつて東北新幹線の主力として「はやて」や「やまびこ」で東北を駆け回っていましたが、今はE5系にその座を譲り、なすのを中心に使われています。
そんなE2系が「はやぶさ」のピンチを救う形で、静かに、しかし確実に任務を全うし、東京まで走り切りました。
JR東日本によると、回送列車の後続を走っていた「はやぶさ17号」(乗客682人)と「やまびこ57号」(同480人)は、宇都宮―那須塩原間に停車。やまびこ57号は宇都宮駅に引き返し、はやぶさ17号の乗客は、上り線の列車に渡り板を使って移動した後、宇都宮駅に向かった。
【読売新聞オンライン】
駅間で止まった新幹線の乗客682人、渡り板で横付け車両に移動…東北新幹線など5時間半運転見合わせ【読売新聞】 17日午前11時25分頃、栃木県那須塩原市の東北新幹線下り線で、回送列車(7両)が車両故障により停車した。回送列車を動かすため、東北新幹線は東京―仙台間で約5時間半にわたって運転を見合わせた。 JR東日本によると、回送
反対側の線路にいたなすの274号をはやぶさ17号に横付けし、それぞれのドアの間に渡り板をかけて乗客を移動させたようです。
さらっと言ってますがかなり難しいことで……あんな人数の乗客を無事に移し切ったのは普通にすごいです。
E2系という存在の「安心感」
E2系は、東北新幹線での主力運用からは撤退しつつあるりますが、こうした非常時のバックアップとして「最後の信頼できる砦」のような存在感を放っています。今回のように突然の事故により発生した救済輸送でも、しっかりと運行を完遂しています。
よくよく考えてみれば、過去の輸送障害の時にもE2系は活躍しています。例えば、前回の連結分離の際には、大宮駅の近くにいたE2系を臨時「はやて」号として運行し、多くの乗客を乗せて仙台まで運び切りました。
華やかな車両に目を奪われがちな現代にあって、こうした場面で「派手ではないけれど、ちゃんと動く車両」である、いわばバックアップ的な存在のE2系。やっぱりすごいですね。
仙台駅での混乱

午後、北からの列車がすべて折り返した仙台駅、改札前やコンコース、ホームなどあらゆる場所が大混雑していました。乗客の大半は発車未定の東京方面の列車を待っていた印象でした。また、ホーム上にいた駅員も、乗客からの多くの質問に答えていました。
特に仙台駅では4線あるホームをフルに使って列車を捌いていました。また、ほとんどの列車が仙台止まりになり、定期列車ではほとんどない仙台行きのはやぶさ・こまち等を見ることができました。


列車名 | 変更点 | 備考 |
---|---|---|
はやぶさ・こまち24号 | 仙台止まりに変更。 | E5+E6 |
はやぶさ・こまち29号 | 仙台始発に変更 | E5 |
やまびこ210号 | 東京~仙台 | E5、ほぼ定時 |
やまびこ65号 | 盛岡行き、仙台始発 | E5、やまびこ60号の折り返し |
さらに発車順序も調整されていました。本来ならやまびこ65号の後に発車するはやぶさ・こまち29号を先行させて、空いた14番線に東京行きのはやぶさ110号を入れるなど、かなり柔軟に調整されていました。
救済措置の臨時列車

さらに、17時に運転再開後最初に仙台駅を出る、はやぶさ110号を臨時で運行しました。この列車は、仙台駅を17時頃に出る臨時列車ですが、なんと各駅停車扱いに変更し、さらに17両編成で運転していました。福島や郡山など、仙台以南の駅では長時間新幹線が停車しておらず、混雑していたと考えられます。そこでそれらの駅に停車し、乗客を乗せるいわば「救済輸送」を行いました。
ちなみにこの後仙台駅を出た上り方面の列車は
・はやぶさ110号:各駅停車に。17両で運転。
・やまびこ150号:もともと17両
・はやぶさ・こまち30号:もともと17両
と、多くが17両で運転されました。17両にすることで輸送力を確保したかった……17両で運転する列車が多い時間帯だったことも、17時に運転再開させた要因のひとつだったかもしれません。

さらには、定期ダイヤ外でE653系を使った臨時快速列車や、特急ひたち25号の仙台への延長運転など、在来線でも臨時列車による救済が行われました。
E8系に何が起きたのか
6月17日に発生したG11編成の走行不能トラブルについて、JR東日本は翌18日に報告資料を公表しました。
何があったのか
報告書によると、G11編成の走行不能の直接原因は、
補助電源装置が故障して主変換装置に電力が供給されなくなったため、主変換装置内にある冷却
装置が動作せず、回路保護機能が作動しました。これにより、車両を動かすためのモーターを駆動
することができず、走行不能に至りました。【JR東日本報告書】
https://www.jreast.co.jp/press/2025/20250618_ho01.pdf

つまり、どういうことか?メンバーに聞いたところ、

電気を車両に送るための部品が壊れてしまったため、車両を動かすために必要なモーターが動かなくなってしまい、走れなくなってしまいました

電気を供給するための装置が壊れて電気が変換できなくて、冷やすための装置が動作しなかった。それで電車が壊れないようにするための機能が動作して、動かせなくなった
だそうです。へえー。
G8〜G11、相次いで故障
また、公式に原因が発表されたG11編成だけでなく、G8〜G10編成でもトラブルが起こっていたようです。
G8編成:つばさ136号として運用中、小山駅停車中に故障。
G9編成:つばさ139号として福島〜笹木野間を走行中、車両トラブルが発生。
G10編成:郡山駅通過線で停車中に不具合が報告されている。
G11編成:宇都宮〜那須塩原間の確認走行中に走行不能。
これら4編成はG8〜G11という連番編成で、すべて6月17日前後に異常が集中したという事実は、単なる偶然では片づけられないのではないか……と考えます。
ほかの3編成についても、早く原因がわかるのを待つばかりです。
運行停止と「信頼の再構築」へ
JR東日本は報告書の中で次のような方針を明らかにしています。
原因が判明するまで、E8系の単独運転をすべて取りやめる
【JR東日本報告書】
https://www.jreast.co.jp/press/2025/20250618_ho01.pdf
これは、E8系全体に対する事実上の営業線からの一時撤退です。新製が次々と進むなか、その量産車が実戦配備から下げられるという、前代未聞の事態になっています。
さらに当面の間、山形新幹線では一部の直通列車をのぞき、福島駅で折返し運転を行うようです。
E8系9編成、E3系6編成で回していた山形新幹線。E8系が使えないとなったら、大減便は避けられません。直通列車をなくし、山形新幹線内のみで運行するのも苦渋の決断だったのでしょう。
新幹線車両の信頼……
この日の東北新幹線は、早朝から深夜まで、前代未聞の出来事の連続でした。さまざまな出来事が詰め込まれた1日。運行現場にとってもファンにとっても、記憶に残る一日となったのではないでしょうか。
鉄道車両の信頼には、“止まらない”ということが第一にあります。
E8系は、今、試練の中にあります。次に走るその日には、誰もが安心して次の目的地を目指せるように──E8系が真の戦力となる日は、もう少し先かもしれません。
おまけ

仙台駅にちょうどE6系Z1編成がいました。最近この編成のことを記事で扱ったな~。
参考文献・出典
- 【NHK NEWS WEB】「東北新幹線 東京~仙台で5時間余運転見合わせ 5万人超に影響」2025年6月17日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250617/k10014837261000.html - 【読売新聞オンライン】「駅間で止まった新幹線の乗客682人、渡り板で横付け車両に移動…東北新幹線など5時間半運転見合わせ」2025年6月17日
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250617-OYT1T50102 - JR東日本・プレスリリース https://www.jreast.co.jp/press/2025/20250618_ho01.pdf

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中央特快相模湖行き()
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