
自己紹介
みなさん初めまして。このたびご縁がありましてFreedom Trainのライターとして参加させていただくことになりました、さんごと申します。自宅のすぐそばを小田急線が走っているからなのか、気づいたら鉄道が好きになっていた大学生です。
私は主に地元路線「小田急」の過去から現在までの運用やダイヤについて深堀りした記事を書いていくつもりですが、ときたま「他社線」を取り扱ったり、気分によっては昔撮影した写真を張っていくことがあるかもです。
……って感じで自己紹介だけでたくさん書いちゃいそうなので、細かいことは以下にまとめました⇩
なかのひとについて
最寄りの路線:小田急線
出身地:東京都
好きな車両:小田急1000形
好きな発車メロディ:SF10-31・ムーンリバー(微遅)
好きなアーティスト:セカオワ
好きな食べ物:寿司
撮影機材:EOS 7D MarkⅡ
というわけで、本題に入ります♪
小田急線準急の歴史と変化

小田急線に「準急」が設定されたのは、いまからちょうど80年前の1946年10月。
それまで設定されていた「直通」の後継として設定された種別であったため、現在のような短距離輸送を目的としたものではなく、都内から向ヶ丘遊園以西の各駅へ向かう旅客のための長距離列車として運行されていました。
準急設定当時の停車駅は新宿、下北沢、経堂、成城学園前、稲田多摩川(現在の登戸)から小田原までの各駅で、千代田線開業に伴う代々木上原駅停車化や10両準急の経堂通過を除けば、この基本パターンが2018年改正までのおよそ70年ほど引き継がれていたことには非常に驚きです。
1つ1つ説明しているとキリがなさそうなので、年表にしてみました👇
1946年10月:準急列車の運行が小田原線と江ノ島線で開始。
1951年4月:停車駅に喜多見、狛江、和泉多摩川が追加。
1964年11月:喜多見、狛江、和泉多摩川が再度通過駅に。
1972年3月:新宿駅7時~9時に到着する準急が経堂駅を通過。
1974年6月:営団千代田線が代々木公園駅までの延伸開業に伴い、平日朝の上り準急が代々木八幡駅に停車。
1978年3月:営団千代田線が代々木上原駅までの延伸開業および相互直通運転開始に伴い、停車駅に代々木上原が追加。同時に10両編成の準急が運行を開始し、同列車はホーム有効長の関係で経堂駅と百合ヶ丘駅~生田駅は通過。
1990年3月:百合ヶ丘駅~生田駅の10両編成対応化により、10両準急が同駅にも停車。
1998年3月:江ノ島線準急の定期便を廃止。年末年始の終夜臨では残る。
2002年3月:江ノ島線準急を完全に廃止。
2004年12月:箱根登山線からの直通準急が設定される。同時に8両編成の準急が廃止。
2008年3月:箱根登山線からの直通準急が廃止。同時に途中駅で分割併合する準急が廃止されたため、6両編成の準急が廃止。
2014年3月:多摩線直通の準急が運行開始。
2018年3月:複々線完成に伴い、準急は千代田線・常磐線発着のみの設定に。停車駅に狛江、祖師ヶ谷大蔵、千歳船橋を追加。同時に多摩線直通の準急を廃止。運行区間を小田急線内は代々木上原駅~伊勢原駅へ縮小。
2025年3月:同年ダイヤ改正で向ヶ丘遊園以西へ乗り入れる準急は1日1本のみに。停車駅に喜多見、和泉多摩川を追加。運行区間を小田急線内は代々木上原駅~本厚木駅へ縮小。
ざっくりとした年表ではありますが、今回は赤いラインマーカーを引いた3つについて紹介していきたいと思います。
2025年改正~:柏発準急本厚木行き

2026年現在で向ヶ丘遊園以西に乗り入れる唯一の準急が、柏駅19時51発本厚木行き。
25年改正前までは夕ラッシュ時間帯に7本が設定されていた向ヶ丘遊園以西に乗り入れる準急ですが、現在残っているのはこの本厚木行き1本のみとなってしまいました。
主な理由は、22年改正で一度廃止した急行伊勢原行きを25年改正で「準急→急行」へ格上げする形で復活させたためであり、向ヶ丘遊園以西に乗り入れる準急のうち5本が格上げの対象となりました。
ではなぜこの準急本厚木行きのみ急行への格上げがされなかったかですが、2025年ダイヤ改正のプレスリリースには「平日夕方の東京メトロ千代田線から直通する準急」が対象と記載されており、唯一残った準急のみ代々木上原駅の発車時刻が21時台へ入っているからではないかと考えられます。
つぎに、この準急本厚木行きの詳細を見てみましょう。

“準急本厚木行“
列車番号4057 運用番号02S
代々木上原21時00分発
➤➤➤ 本厚木22時15分着
この準急の小田急線内の所要時間は1時間15分ですが、これはっきり言って遅すぎます。
比較として小田原線下り最速の各停伊勢原行きも見てみましょう。

“各停伊勢原行“
列車番号6505 運用番号B28
代々木上原05時07分発
➤➤➤ 本厚木06時20分着
この各停の所要時間は1時間13分です。まさかの準急より各停のほうが所要時間が短いという、逆転現象が起きてしまいました。
とは言っても、この各停は小田原線の始発列車であり、複々線区間含み新宿から伊勢原まで一度も追い越されないので、当然かといえば当然かもしれません。ということで、過去に夕ラッシュ時間帯に運行されていた区間準急本厚木行きとも比較をしてみましょう。

“区間準急本厚木行“
列車番号4807運用番号B31
代々木上原17時28分発
➤➤➤ 本厚木18時49分着
この区間準急の所要時間は1時間21分でした。これは現行の各停と比較しても所要時間がほぼ変わらないので、いかに区間準急が遅かったかがわかりますね。準急の停車駅が過去の区間準急と比較して2駅しか差がなくなったものの、流石に現在の準急のほうが早いみたいです。
最後にこの準急本厚木行きの主な停車駅の到着時刻を記載しました👇
柏 :19時51分発
松 戸 :20時06分着
綾 瀬 :20時16分着
北千住 :20時20分着
湯 島 :20時32分着
大手町 :20時37分着
霞ヶ関 :20時42分着
表参道 :20時51分着
代々木上原:20時57分着 ※急行唐木田行を待ち合わせ
経 堂 :21時08分着
成城学園前:21時14分着
向ヶ丘遊園:21時23分着 ※急行伊勢原行を待ち合わせ・快速急行の通過待ち
新百合ヶ丘:21時38分着
町 田 :21時50分着 ※快速急行小田原行を待ち合わせ
相武台前 :22時04分着
海老名 :22時10分着
本厚木 :22時15分着
2014年改正~2018年:新宿発準急唐木田行き

つぎに紹介するのが、平日下りに1本のみが設定されていた、新宿駅7時31分発唐木田行き。
2014年改正で朝ラッシュ下り1本のみ設定された、多摩線に乗り入れる唯一の準急ですが、2018年の複々線ダイヤ改正と同時に廃止されました。
廃止された理由は、先述のとおり複々線完成による白紙ダイヤ改正が行われたためです。また、このダイヤ改正以降しばらくのあいだは多摩線の急行は新宿発着が基本となったため、唐木田到着後の折り返しが急行綾瀬行きであったのも廃止に繋がった理由と考えられます。
ではなぜこの準急唐木田行きが1本のみ設定されたかですが、それは運用の流れと使用車両に理由がありそうです。ここで準急唐木田行きの詳細を見てみましょう。

“準急唐木田行“
2014年・15年:列車番号4701 運用番号90E
2016年・17年:列車番号4701 運用番号53E
新宿07時31分発
➤➤➤ 唐木田08時19分着
実はこの準急唐木田行きは新宿発でありながら、4000形の固定運用でした。それもそのはず、唐木田到着後は折り返し急行綾瀬行きとして運行していた、且つ2014年当時はすでに新宿駅地上ホームにホームドアが設置済みだったので、必然的に4000形での運行となりました。
他にも、当時の駅設備やダイヤの観点から準急にせざるを得なかった理由があります。
現在は新宿駅~開成駅のすべての駅が10両編成が停車可能なホームとなっていますが、2014年当時の小田原線は以下のようになっていました。
8両編成までの停車対応駅
代々木八幡駅・東北沢駅・世田谷代田駅・梅ヶ丘駅
6両編成までの停車対応駅
開成駅・栢山駅・富水駅・螢田駅・足柄駅
このような事情から各停・区間準急で折り返すことはできず、必然的に準急以上の列車での運行が必須となっていました。
また、当時の朝ラッシュ下りの多摩線は各停が中心のダイヤで組まれていたため、一部の各停唐木田行きが新宿発でしたが、これが原因で世田谷代田駅~祖師ヶ谷大蔵駅・喜多見駅~和泉多摩川駅 ➤ 生田駅~百合ヶ丘駅の有効列車が最大で17分空いてしまうという現象が起きていました。
ここで代々木上原駅2008年当時の時刻表を見てみましょう。この時刻表では各停・区間準急・準急のみを記載しました。

原因となっているのが、7時16分発本厚木行き(以下本厚木行6525レ)の後に向ヶ丘遊園行きと唐木田行きが連続していること。この16分の本厚木行6535レを逃してしまうと成城学園前駅を除く世田谷代田駅~和泉多摩川駅の各駅から生田駅~百合ヶ丘駅へ向かう場合、15分後の唐木田行きに乗る必要があります。
しかもこの唐木田行き、成城学園前駅と経堂駅で接続がないにもかかわらず、それぞれ2分間停車するため、所要時間がかなり長くなっています。ですが多くの人はこう考えるでしょう。
経堂か成城学園前で急行に乗り換えればよくない?
私も最初はそう思いましたが、ダイヤと路線図を見ているとあることに気づきました。

“平日の日中・土休日の終日 急行列車が停車”
はい、当時は平日朝夕ラッシュ時に運行されている急行は上り下り問わず、経堂駅は通過していました。現在ではすべての急行が停車となっていますが、2004年に完了した駅の高架化と同時に10両急行・準急が停車可能となったことで、2022年改正までこの対応がなされました。
では成城学園前駅で急行に乗り換えるのはどうでしょうか。向ヶ丘遊園行きと後続の急行(以下小田原行1027レ)のそれぞれの時刻表を見てみましょう。

下北沢駅を急行よりも3分早く出発した各停ですが、豪徳寺駅付近で抜かされてしまい、各停から急行への乗り換えはできませんでした。これは当時の朝方下り急行は多くの列車が向ヶ丘遊園と新百合ヶ丘での退避だったため、成城学園前の緩急接続は一部の準急を除いて行なっていませんでした。
ところで向ヶ丘遊園行きの前を走る本厚木行6525レは小田原行1027レとの接続をとるために、向ヶ丘遊園で8分間も停車します。そして、向ヶ丘遊園行きは本厚木行6525レの8分後に代々木上原駅を出発します。
では、向ヶ丘遊園行きは本厚木行6525レに終点の向ヶ丘遊園駅で追いつけるのでしょうか。今度は各停向ヶ丘遊園行と6525レ本厚木行きのそれぞれの時刻表を見てみましょう。

残念ながら追いつくことはできません。
これらより、6525レ本厚木行きを逃すと2本後の唐木田行きを待たないといけないわけです。
お待たせしました、今度は2014年ダイヤ改正以降の代々木上原駅の時刻表を見てみましょう。2008年当時の時刻表と同じく、この時刻表でも各停・区間準急・準急のみを記載しました。

2008年~2013年までは唐木田行きだった部分がこの改正で本厚木行きに変更がされたほか、準急伊勢原行きが唐木田行きに変更がされたため、運転時刻も前倒しされました。
さて、このダイヤ改正により以下の改善がされました。
・7時25分発向ヶ丘遊園行きの終点向ヶ丘遊園での接続改善
・7時31分発唐木田行き→本厚木行きの変更による、登戸以西の混雑分散
まずは1つ目から見てみましょう。
これは2014年改正以前に向ヶ丘遊園行きが終点に到着した時間の向ヶ丘遊園駅の発車標です。

冒頭でも何度か説明をしましたが、生田~百合ヶ丘に向かうには8分後の各停唐木田行きまで待つ必要がありました。
しかもこの各停唐木田行きはこの時点で唐木田まで先着の列車だったため、急行片瀬江ノ島行きに乗ろうが、急行小田原行きに乗ろうが、新百合ヶ丘駅乗換で結局この唐木田行きが来ることになります。これらより喜多見~百合ヶ丘の乗客をたくさん乗せたこの各停唐木田行きは多摩線の最混雑列車でもあったので、そういった意味でも使いづらい列車でした。
では、2014年改正以降の同じ時間を見てみましう。

向ヶ丘遊園行きが到着した4分後に準急唐木田行きが発着することで、成城学園前駅を除く世田谷代田~和泉多摩川駅利用者の利便性が向上しました。また、向ヶ丘遊園駅から新百合ヶ丘以西の各駅へ向かう旅客は後続の急行小田原行きまで待つため、実際に準急唐木田行きはそこまで混雑はしていなかった印象です。
2つ目も見てみましょう。
これはピーク帯の代々木上原駅7時31分発が各停唐木田行きだったことで、登戸駅では3分後の準急伊勢原行きを待つ人が多く、結果的に準急伊勢原行きが混んでしまうということが起きていました。他にも、唐木田行きは新百合ヶ丘3番線ホーム到着であったことも理由と考えられます。
この準急の時間前倒し&唐木田行に変更によって、柿生駅~玉川学園前駅の利用者は準急唐木田行きの後にくる各停本厚木行きを続けて乗るようになり、混雑の分散にもつながりました。
最後にこの準急唐木田行きの主な停車駅の到着時刻を記載しました👇
新 宿 :07時31分発
代々木上原:07時36分着
経 堂 :07時44分着
成城学園前:07時48分着 ※各停本厚木行と接続
向ヶ丘遊園:07時54分着
新百合ヶ丘:08時02分着
栗 平 :08時07分着
小田急永山:08時13分着
多摩セン :08時15分着
唐木田 :08時17分着
2004年改正~2008年:箱根湯本発準急新宿行き

最後に紹介するのが、平日上りに1本のみが設定されていた、箱根湯本駅17時09分発新宿行き。
2004年ダイヤ改正で夕ラッシュ下り1本のみ設定された、箱根登山線内を走行する唯一の準急でしたが、2008年のダイヤ改正と同時に廃止されました。
廃止された理由は、先述の2008年ダイヤ改正で箱根登山線に乗り入れる一般車両を4両編成に統一したためであり、この準急は箱根登山線内を6両編成での運行であったことから、廃止せざるを得ませんでした。
ではなぜこの準急新宿行きが1本のみ設定されたかですが、それは箱根登山線の運用の変化に理由がありそうです。まずは準急新宿行きの詳細を見てみましょう。

“準急新宿行“
列車番号4204 運用番号115A40
箱根湯本17時09分発
➤➤➤ 新宿19時27分着
準急の歴史でもさらっと触れましたが、運用番号を見て気づいた方もいるのではないでしょうか。
2004年改正~2008年まで日中の分割作業のほとんどは新松田駅で行われており、併合も同駅で行われていました。では、この準急新宿行きはどうだったのでしょうか。新松田駅到着直前の旅客案内装置にはこんな表示が出されていました。

“前4両空車増結”
はい、この準急も他の急行と同様に新松田で増結し、10両編成に大変身しました。
10両編成になってしまえば、2018年改正前まで残っていた新松田始発の準急と大差ない気もしますが、この準急はすこし違います。この準急の後続列車は小田原発快速急行新宿行きで、そのさらに後ろから箱根湯本発急行新宿行きが追いかけてくるダイヤでした。ここで3つの列車のダイヤを比較してみてみましょう。

2018年改正直前まで残っていた新松田駅始発の準急は相武台前駅まで逃げてきましたが、この箱根湯本駅始発の準急は町田まで先着という超鈍足列車でした。
しかも箱根湯本駅をこの準急の次に出発する急行新宿行きもなかなかの鈍足で、終点新宿まで準急に追いつくことができないです。んまぁ、土休日ダイヤ箱根湯本10時38分発各停新宿行きは新百合ヶ丘駅まで先着なんだけど。
では本題である設定された理由ですが、小田原駅平日上り17時台の2003年3月改正のダイヤと2004年12月改正のダイヤを見比べてみましょう。

だいぶ変わっていますが、2003年改正の時刻表(上)にあった17時30分発急行新宿行が削除されており、それの代わりに2004年改正の時刻表(下)には準急新宿行が入っています。もうすこし見てみましょう。

2004年ダイヤ改正(下)で夜間帯の小田原~箱根湯本間の一部列車が小田急車両での運転になったため、小田原線上り急行(足柄駅~開成駅は通過)が増発。これにより足柄駅~開成駅の有効列車が20分以上間隔があいてしまうため、各停か準急の設定が必要となりました。
また、2003年改正(上)で設定されていた17時32分発各停新松田行きは新松田から急行新宿行きに変更されるので、その部分の補完もするためにもこの部分のみ準急での設定となったわけです。
最後にこの準急新宿行きの主な停車駅の到着時刻を記載しました👇
箱根湯本 :17時09分発
入生田 :17時12分着
風 祭 :17時16分着
箱根板橋 :17時20分着
小田原 :17時23分着
新松田 :17時43分着 ※前4両を増結
秦 野 :17時56分着
伊勢原 :18時06分着
本厚木 :18時13分着
海老名 :18時22分着
相模大野 :18時34分着
町 田 :18時38分着 ※快速急行新宿行を待ち合わせ
新百合ヶ丘:18時54分着
向ヶ丘遊園:19時02分着
成城学園前:19時10分着
経 堂 :19時14分着
代々木上原:19時21分着
新 宿 :19時27分着
さいごに
初回にして想定していたよりも長くなってしまい、次回はこれ以上に濃い内容を書かなければいけないと思うと死にそう……笑
これからもマイペースで更新していきたいとは思いますが、4月になったらまた大学が再開するので3月末までには+2本くらい仕上げられればなーって、考えているところ。
これからもマニアックなネタばかりを取り上げていくことにはなりそうですが、今後ともどうぞよろしくお願いします。
それでは~👋

- 2026年2月23日コラム【小田急線ダイヤ考古学】平日1日1本の準急




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