
こんにちは、こづるしんでんです。
今日は鉄道ファン(というか沿線民)にはたまらない、仙石線に新たに登場した新型車両、E131系800番台について紹介していこうと思います。
「E131系」と聞くと、多くの方は房総や相模線あたりのローカル線で走っているあのE131系のイメージを思い浮かべるでしょう。けれども、この仙石線用の800番台、実際に目の当たりにすると「あれ?」となるはずです。そう、名前は同じ「E131系」でも、細かく観察していくとまるで違う車両のように見えるからです。
私も、福田町の車庫に実際に足を運んで、じっくりと観察してきました。今回はその体験も含めて、E131系800番台がなぜ「仙石線専用の特別仕様車」と言えるのかを語りたいと思います。
名前はE131、でもまったくの別物

まず最初に伝えておきたいのは、この車両、仙石線向けに最適化されたE131系だ、ということ。
E131系といえば、ローカル線向けに設計されていて、4ドアだったり貫通構造だったり、柔軟な編成運用ができる車両というイメージが強いですよね。実際、0番台や500番台、600番台といった他のE131系は、4ドア編成で増解結対応もできるようになっていて、部品の共通化も図られています。
しかし、この仙石線用800番台は、大まかに見ると同じものの……
- 4両固定編成
- 前面は完全非貫通で、ダミー貫通扉すら存在しない
- ATACSを装備
- 窓ガラスはHB-E210系と同様の複層断熱ガラスを採用
- LCD案内はドア上に交互に配置された千鳥配置
- 車体外板は白いFRPで、強い光沢と眩しさを持つ
といった特徴を備えています。
つまり、既存のE131系のイメージとは少し異なり、仙石線の環境に合わせた専用仕様車なのです。(筆者の意見ですが)
ドア事情

さて、細かいところですが、仙石線E131系800番台のドア周りを見ていきましょう。
鉄道ファンならご存知の通り、E131系のドアガラスは(房総や相模線用の0番台や500番台、600番台など)どこか角張った四角いドア枠(E233系準拠)が特徴的です。まあいわゆる最近の電車っぽいデザインなんです。
一方で、この仙石線の800番台、実はHB-E210系譲りのドアガラスを採用しているんです。角が丸みを帯びたガラス形状で、ドアに化粧板はないです。
ここでちょっと他のE131系やHB-E210系のドアと比較してみましょう。
項目 | E131系(0,500,600番台) | HB-E210系・E131系800番台 | E721系 |
---|---|---|---|
ガラス構造 | 単板ガラス | 複層ガラス | 複層ガラス |
化粧板 | 有 | 無 | 無 |
ドア形状 | 角張りがちな四角形 | 丸み帯びて滑らか | 丸み帯びて滑らか |
まあ窓ガラスの形状の差異が生じた理由は、角張ったガラスの車両を郡山の工場(というか東北)で扱ってないからでしょう。HB-E210と共通化したかったんでしょうねー
「完全非貫通」の存在感

私が足を運んで最初に受けた印象は、やはり前面の違いでした。
以前から非貫通で知られるE131系1000番台(鶴見線向け)もダミー貫通扉がついています。まるで連結対応車のような顔をしているんですよね。でも、この800番台はそのダミーすらありません。
白いFRP製の一体成型前面は眩しいほどに輝いていて(比喩じゃなくて)、シンプルかつ新車だ、というイメージを持ちました。前面に穴も扉もない。連結運用なんて考えずに最初から「この4両で固定・一体で走る」というコンセプトが貫かれているのが、間近に見るとひしひしと伝わってきます。(相模線は4両なのに貫通扉つき……解せぬ)
40年近く働いてきた205系と比べると、やっぱりまだピカピカです。
ATACS搭載

仙石線といえば、新しい保安装置である「ATACS」をはじめて導入した路線です。
このE131系800番台は、ATACS対応のための識別IDを前面の窓ガラスに記載しています。IDは151。りんかい線71-000がID-171からだったのは、E131系800番台もATACSを積むため番号をずらしたからなのでしょう。
ID-01~ID-19: 205系3100番台
ID-21、ID-23: キヤE193系、E491系
ID-31~ID-63: E233系7000番台
IDー71~ID-80: 70-000系
ID-91~ID-96: 12000系
ID-151~ID-164: E131系800番台
ID-171~ID-178: 71-000系
※ATACSとは
JR東日本が開発した、無線通信型の保安装置です。従来よりも列車の間隔を詰められるとか、地上設備が簡単になるとか色々便利だそうです。将来的に山手線、京浜東北線にも導入される予定です。
列車内に搭載した車上装置で自列車の位置を検知し、双方向の無線通信により他の列車との間隔制御や踏切のコントロールを行う新時代の列車制御システム「ATACS(アタックス)」。
https://www.jreast.co.jp/recruit/new-graduate/special/atacs より引用
ワンマン運転用カメラ
今回の800番台でも、乗降監視カメラなど、ワンマン運転に必要な設備も装備されています。
運転席の外脇に設置された小型カメラは乗降状況をリアルタイムで把握し、車内天井にも防犯カメラが複数あるようです。これらはワンマン運転時の安全・安心を支える重要な装置です。
実際に現地で確認すると、こうした最新機器が標準装備されていることに驚かされます。仙石線のワンマン化は、この車両なしでは語れませんね。
内装はいつもの

内装に目を移すと、いつものJRのロングシートですね。色が水色と青色の2色で、まさに仙石線っぽいです。205系にあった2wayシートのように、ボックスシートがないことは残念ですが、仙台近郊の仙石線だとロングシートが一番です。(普通に混みます)
仙石線E131系 プレスリリース
https://www.jreast.co.jp/press/2024/sendai/20241223_s01.pdf
LCD案内の千鳥配置


さて、筆者が実際にプレスリリースを読んで「うーん」と感じたのが、LCD案内表示の配置方法です。
仙石線E131系800番台のLCD案内は、ドアの上に交互に配置される「千鳥配置」となっています。
これは表示機の数を抑え、省スペースを確保するための設計で、理論上は全ドアの近くで「最低限の案内」が届くように工夫されています。
ただ、実際に乗ってみると、立つ場所や混雑状況によってはまったく見えない場所が出てくることも。
正直、鉄道ファンの視点から見ると、「どうせなら全ドアに付けて、どこにいても確実に見えるほうが良かったんじゃないか」と思ってしまいます。ただまあLCD自体ホイホイとつけられるものではなく……
設計の合理性とユーザー利便のバランスの難しさが垣間見えるポイントでした。
「号車表記」がついている
もう一つ、筆者が現地で思わず驚いたのが、各車両に号車表記が書いてあったことです。
東北地方の普通列車や快速列車の多くは、基本的に車体に号車番号を掲示しないことが多いんですよね。
例えば701系や719系、E721系などでも号車表記はほぼ見かけません。(増解結ごとに変わるから)
それがこの仙石線E131系800番台では、かなり大きく、はっきりと「1号車」「2号車」などと表記されています。
これは、仙石線がワンマン運転化を進める上で、乗降位置の案内などをわかりやすくするためなのでしょう。
とはいえ、東北の鉄道ファンにとっては珍しい光景で、「おや、号車表記なんてついてるんだ?」とびっくりしたのは間違いありません。
まとめ

こうしてじっくり観察すると、この800番台は「E131系」の名を冠していますが、仙石線という独特の環境とニーズに合わせて、細部までカスタマイズされています。
名前だけでなく、形も性能も運用も「仙石線の顔」となるこのE131系800番台。これからの走りと進化から目が離せません。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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