
こんにちは!矢切ディスカッションの「作画担当」みど〜7番です!
突然ですが、皆さんは「擬人化」をご存知でしょうか?人間ではない物を人間のキャラに落とし込む、そんな行為です。そして当団体、矢切ディスカッションのメイン活動は「鉄道擬人化」です。つまり鉄道の要素を落とし込んだキャラクターを作っているということです。
今回からの「矢切の裏話」では、矢切の作画担当・みど〜7番による「鉄道擬人化キャラの制作秘話」をお届けします。第1回は「車両編」ということで、鉄道擬人化というとこれがすぐ思い浮かぶ!という方も多いであろう「鉄道車両の擬人化」にスポットを当ててお送りします。それでは、よろしくお願いします!
前座:擬人化の共通設定を考えておく
これは考えなくてもいいのですが、擬人化をキャラクターとして動かしたりキャラ同士の絡みを楽しんだり、ストーリーを作ったりする場合は擬人化キャラの共通設定や世界観を考えておきたいところです。
例として、みど〜の擬人化シリーズ「トエイ・コンストラクション」では、このように定めています。

これ、もしかしたら世に公開したの初めてかもしれません(笑)
エイションはあくまでもこちらの世界をベースに、ただ筆者がロボキャラ好きなので”技術がちょっと進んだ”世界線、ということにしています。運輸業の人員不足は現実でも実際に起こっていますよね…きっと技術が進んでいる世界線なら、人間とほぼ遜色ないロボットとか作って補うんだろうなあとか考えたんです。それがこれに繋がった訳ですね。ファンタジーに見えて意外と現実思考です。
筆者が他の方の鉄道擬人化を見た限りだと「あくまでも擬人化は人間ではない」という傾向が多いようで、エイションのような「擬人化=人間」という方は少ないように思えます。が、傾向はあくまでも傾向です。創作というものは結局自分の好みを詰めるものですので、あなたのよろしいように。
今回擬人化する車両
さて、前座はここまでにして…今回擬人化していく車両はこちら!

住宅・都市整備公団9100形です。
こちらの車両は「C-Flyer」とも呼ばれ、その独特な形状が浅草線直通系統(4直)の中でも異質な輝きを発しています。1次車と2次車で結構な違いがあるのですが、それはこのツイートを見ればわかると思います↓
さて、こちらの車両を擬人化していくのですが、今回は「形式単位」での擬人化でいこうと思います。編成で人が増えたりはしないということですね。そのはずだったのに…
その1:第一印象で初期案を練る
※ここからはみど〜7番のやり方となります。他メンバーや他の擬人化民の方はそれぞれのやりかたで擬人化していると思いますので、あくまでもみど〜はこうやってるんだ程度に思っておいてください…
…これは2023年3月のお話。当時北海道に住んでいたみど〜は1月に行った関東遠征で「4直」の魅力を知り、帰ってきてすぐ調べまくり京成の全路線を擬人化していた。(この詳細は後日公開する「路線編」で説明します)そこで調べていたら目に付いた車両、それが住宅・都市整備公団9100形電車であった…
私は公団線の開業日が3月19日であることを知り、それに間に合うように擬人化キャラの制作を開始した。「複数編成が存在する場合はトップナンバー準拠の仕様とする」という設定もその時にできたものだった。
ブラックフェイス部分の要素として首元あたりに3色LED方向幕が備えられた黒ロンT。先頭車と中間車で配色の異なるドアがモチーフであろう水色と黄色の袖なし上着、上着と逆の配色をした羽パーツ。そして公衆電話のような色をしたインカムとそこから生えたバイザー。灰色の短パンとブーツは実車でいうところの丸みを帯びた銀色部分だろうか。そして何より、排障器のように鮮やかな青色をした髪にロゴの差し色のような黄色の瞳、Cの形をしたアホ毛。
上記に挙げたこれらは全て、みど〜7番の第一印象により固められたキャラクターデザインである。

そして生まれた彼こそがC-Flyer擬人化の初期案、「千都 草深(せんと そうふけ)」である。
ちなみに「草深」というのは印西市に存在する地名であり、C-Flyerとともに生を受けた駅「印西牧の原」の仮の名前「印西草深」からとっている。「奇跡の原っぱ」とも呼ばれた「草深原(そうふけばら)」が自称・彼の庭であるという設定もこの時についた。
そして、この「初期案」は2023年9月まではそのままだったのだが…
その2:乗った感想を元にブラッシュアップ
一般的にはこの工程が「その1」にあたり、なるべく要素の詰まったほぼ完璧な状態の擬人化に仕上げてから描きあげるのかもしれない。
ただし、私は完全初見だからこそ得られる第一印象を重視している。そのため、まずその形式を知ったばかりの状態でキャラクターを作り、乗車後にブラッシュアップする形をとったのだ。実際、乗車後に抱いた印象はこのようになった。

後半はもはや初期キャラデザへのダメ出しですが、私の擬人化の服装は制服としてある程度通るくらいの構造にはしておきたいという方針があります。その点において、どこから生えてるかわからない羽パーツが邪魔そうだったり、ロンTに上着というあまり制服に見えない構造は私として修正したいところでした。また、側面についていた公団プレートや2連ライト、3700形準拠の中身など取り入れたいものが乗っている間に増えていったのです。
そこで、それらをブラッシュアップして描き直したのがこちら。

まず制服のベースを3700形のキャラと同じポロシャツとし、上着に方向幕を移植。これで「中身は3700、ガワはオリジナル」という実車の要素が追加されました。襟には路線記号のバッジと共に公団マークを配置することで側面の公団マークプレートを表現。ポロシャツのボタン部分には特徴的な2連ライトのモチーフを配置しました。見比べるとわかりやすいですが、表情も以前よりまろやかになりましたね。
…この頃から、編成単位の擬人化に軌道変更したいという気持ちが湧いてきました。
その3:形式単位から編成単位に
軌道変更を決めた理由は単純、その2の前段階で2023年9月に乗車したC-Flyerが9118編成だったからです。いわば思い出の編成ができてしまったということです。
形式擬人化を編成擬人化にするのは一見難しいかと思うかもしれません。しかし、ここでその1で定めた形式擬人化のルール「トップナンバー準拠」が効果を発揮します。これにより、草深くんの”管轄対象”を9108編成とすることで新たに残り2編成のキャラを生やすことができます。
ということで、草深くんをベースとした「兄弟」というていで2編成のキャラ2名を練った結果…

このようになりました。9118編成はやはり9108編成と仕様が同じこともあり、既に存在する「草深くん」の双子という明確な設定をこの時点で決定。9128編成のみ仕様が異なる(同じに見えてよく見ると違いが多い)ため、思い切って女の子にするという選択を取りました。こうして生まれたのがこちらの2名です。

こちらが9118編成「千都 宗甫(せんと そうほ)」くん。宗甫というのも印西市の地名で、せっかくなのでC-Flyer組の名前は印西市の地名で固めようという方針です。
青と黄色の位置が草深くんとは逆になっており、髪も草深くんは内向きなところが外ハネになっています。みど〜が双子キャラを作る時はよく髪の方向で差別化したりするのですが、それです。

そしてこちらが9128編成「千都 若萩(せんと わかはぎ)」ちゃん。名前は印西市の地名であり、この編成のデビューと共に開業した駅「印旛日本医大」の所在地でもあります。オシャレな地名してんね。
末っ子の女の子です。絵柄がガラッと異なるのはこの時迷走していたからです… 2次車の他と微妙に異なる感じを出すため、性別も身長も胸も(!?)兄2名とはガラッと変えました。ツインテールなのは私の好みです(笑)ちなみに、9128編成には本来公衆電話は最初からついていませんが…恐らく、このインカムは草深くんから借りたのでしょう。公団マーク部分は歴史的観点から都市公団のマーク。

ちびキャラですが並べてみました。圧巻ですね… C-Flyerが3人、とても素晴らしいです。
ちなみに、この時のデザインは途中で2連ライトモチーフのベルトがついたりブーツが排障器モチーフの青色になったりなどアレンジされていっていますが、基本の形は現在でも変わっていません。

よく見るとわかりますが、若萩ちゃんのブーツにだけ出っ張りがあったりスカートがテカっていたりします。これが2次車のみの特徴だったりします。
てかしれっと宗甫くんも草深くんのバイザーつけてますね。どんだけ予備あるん(実はただの色ミスなのですが、結果的にはそこまで目立たないのでヨシ)あとは草深くんに羽パーツを復活させたくらいでしょうか。一応上着の腰あたりに外付けパーツとしてついているということになっています。
その4:初期案と現在のキャラデザ比較
さて、最後にせっかくなので初期案の草深くんと現在の草深くんを見比べてみましょう。

そもそもの絵柄や頭身が変わりすぎですね。
…ゴホン。これでは本末転倒なので話を本題に戻すと、初期案と比べてブラッシュアップされたことで要素が増えたこと、そしてインカム部分の固定に説得力が出たことにより擬人化としてだけでなく1人のキャラクターとしての解像度も上がっている気がします。初期案の凛々しい草深くんも好きですが、やはりC-Flyerといえば「まろやかさとスピード感」とも言われる程、まろやか度は重要です。その点では、まろやかな草深くんに落ち着いたのは正解だったのかもしれませんね。
ですが、結局は「擬人化に正解/不正解はない」というのが心理です。なのでもし初期案の方が良いと思う方がいてもそれは間違いではないです。私自身も初期案には初期案なりの魅力を感じます。もったいないので、草深くんの過去の姿として採用しようかな…。
結論
ということで、今回の記事はこれで締めとさせて頂きます。矢切ディスカッションとしての初記事でもありFreedomTrain初の鉄道擬人化記事でもある本作、拙い所もあるかと思いますがここまで読んで頂きありがとうございました。もし気になった方がいらっしゃいましたら、Twitterやpixivなども覗いてみてくださると幸いです。それでは!(執筆:みど〜7番)
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