【大雨】長期間続く京急の雨量規制による遅延の理由と問題点、改善策

9月7日、台風と秋雨前線を要因とする大雨が関東地方に降り注ぎ、冠水などの大きな被害をもたらしました。これにより、関東の鉄道各社は計画運休や減便などの対策に追われ、9月7日当日は混乱が起こったものの、ほとんどの路線で大きな被害はなく通常運行に戻りました。

しかし、今でも影響が続いている路線が2つあります。1つは、そしてもう1つが今回扱う京急です。
土砂崩れのあった内房線の遅延の理由はわかりますが、大きな被害の起こっていない京急が1週間もの間大きな遅延で混乱し続けているのは、なぜなのでしょうか?ここでは、過去の事案なども参照しながらその理由と問題点、そして改善策を探っていきます。

※注意事項※
記事の中には、責任を追求する表現がありますが、この記事の趣旨は責任追及ではなく現状の整理と改善策の提示になります。この記事をきっかけに強く責めるような発言をSNSや鉄道会社とその社員の方々、鉄道会社に関係する方々にすることはお控えください。

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現状の整理

この記事を執筆している9月11日、今日は京急の走る神奈川県と東京都に雨が降っています。とはいえ、そこまでの豪雨ではなく普通の雨といった感じ。しかし、京急は今日も遅延。理由は大雨による速度規制で、どうやら横浜以南で60km/hの速度制限がかけられているようです。

他にも、大雨起因で遅延した日を見てみると、大雨当日である7日から、8・9・10と、5日連続で雨による速度規制を理由に遅延しています。しかも、どの日も朝ラッシュに被る時間帯の遅延。多くの人に影響を及ぼしたのは言うまでもありません。

さらに、本来12両編成で運行を行っている朝の特急と快特を8両で運転した日もあり、上大岡のホーム上に人が溢れている写真がSNSでアップされていました。

では、雨量の方はどうだったのでしょうか。三浦の天気を見てみると、6日は1日あたり116mm、7日は82mmと、かなりの雨が降っています。しかし、8日は1.5mm、9日は15mm、10日は6mmとさほど雨は降っていません。横浜を見てみると、同じく6日は116mm、7日は65mmと多くの雨が降っています。唯一9日が35.5mmと多いですが、それ以外は大きく変わりなくそれほど降っていません。

ここまでが現状です。では、次からは理由に迫っていきます。

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続く遅延の理由と京急の「トラウマ」

この理由を理解するには、まず京急、特に本線の南側の特性を理解しておく必要があります。
横浜以南、特に金沢八景以南は山の間を縫って走るような線形で、土砂崩れの起こるおそれのある場所が多くあります。SNS上では「並行路線が動いているのに…」といった意見がありましたが、この京急特有の事情を考えると致し方ないこととも言えるのではないでしょうか。

地理院地図より作成

雨は止んだら終わりではなく、降った雨水は長く土の中にとどまり続けます。特に今回は、大雨の翌日から毎日のように雨が降り続いており、土の中の水分がなかなか抜けていかない状態。土砂災害のリスクを考えると、速度規制は妥当と言えます。

また、京急と大雨について語るとき、必ず触れておくべきとある事故があります。それが、2012年と1997年に発生した土砂崩れによる脱線事故。どちらの事故も上の地図の区間で発生しており、2012年の事故では重症者9人、軽症47人、1997年の事故では19人のけが人を出す大きな被害がありました。

2012年の事故で脱線した車両と同形式の1500形

1997年の事故以降、京急は運転規制区間を設け、雨への対策を強化しています。明確な証拠はないものの、これ以降京急は雨に対して慎重な姿勢を取っているように感じます。このことが、今回の続く遅延の理由として1番大きなものではないかと考えられます。

しかし、全てを致し方ないで片付けられるわけではありません。いくら事情があるとはいえ、インフラとして日本の経済を支えている大手鉄道会社が5日連続で大幅に遅延するというのはなかなか異常な事態です。ここ最近は大学がないので私は使っていないのですが、もし大学がある時に毎日遅延されたら困ってしまいます。

どこが問題?改善策は?

今の大きな問題は、土砂災害対策のやり方と、その長期化、そして事前対策の不足です。

土砂災害対策として挙げられるものとしてはいくつかあり、いま京急が行っている速度規制は最も効果的なものの1つです。速度を落とせば振動で土砂災害を招くリスクは大幅に抑えられますし、仮に土砂崩れが起こっていてもすぐに気づいて停止できます。それ以上に強い対策としては運休ですね。

しかし、毎回このような方法を取っていては、遅延、運休、そして混雑を招きます。先述の通り鉄道はインフラであり、平常運行が望ましいものです。もちろん遅延や運休は致し方ないものであり、ましてやそれが人身事故や天候など鉄道会社に直接関係のないものなのであれば尚更です。

ただ、そのような致し方ない理由にも、対策を行うことはできます。例えば人身事故だとホームドアの設置、動物の侵入なら柵の設置などが考えられます。そして、土砂災害や大雨に対しても同じように、防護柵や法面防護工事などの未然に防ぐ設備整備や、雨量計や異常報知装置の設置といった監視体制の整備などの対策を行えば、天候理由でもある程度の範囲は防ぐことができます。実際に京急も対策を行っているようですが、この状況を見ると不足していると言われるのも当然です。

横浜市営地下鉄ブルーライン上永谷駅 背景の山はコンクリートで固められ土砂災害を起こさないよう対策されている

しかも、京急は横浜と東京という大都会や、羽田空港、さらに直通先では成田空港までを結ぶ重要な路線。ひとたび遅延が起これば最悪京成まで影響を及ぼします。これが地方のローカル線であればバス代行などの策もありますが、大動脈といえる路線で広大な路線網を抱えるのであれば脆弱なインフラは直ぐに解決すべきと言えるでしょう。

京急には、土砂災害対策のさらなる強化と、それによる雨量規制の緩和を期待したいところです。

今日以降はどうなるの?

この記事を書いている9月11日時点の天気予報では、12日は雨予報のためまた速度規制がかけられる可能性があります。しかしその後は、雨予報が出ているのは17日になります。最近の天気は不安定なので、突然ゲリラ豪雨が降る可能性は否定しきれませんが、少なくとも予報通りに行けば12日が最後の山場になるのかもしれません。

まとめ

一度起こってしまった遅延は仕方ないもの。しかも過去に事故を起こしてしまった前例があるのであれば、慎重になる気持ちも理解できます。しかし、鉄道は日本の経済を支える重要なインフラ。長期間にわたって遅延し続ける状況は、インフラとして問題があると言えます。乗客としても大変ですし、運行を支えている方々も辛い状況なはず。今回の一件を踏まえて、これからまた異常気象により増えるであろう豪雨への対策を強化し、安心して使える鉄道になってほしいと、私は願っています。

この記事を書いた人
もりもりくん
もりもりくん
ゆったりまったり、様々なジャンルの記事を書いていこうと思います。

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